「とうまは、わざとやってるの? だとしたら…あんまりにもひどいかも…」  
「んー、いや、ホントに何も考えてないのかもなー」  
 上条が登校した後の学生寮。インデックスと向かい合って、勝手に入れたお茶を啜りつつ答  
えたのは土御門舞夏である。妙に真剣な顔のインデックスに引きずり込まれてはみたものの、  
純白の修道服の少女の口から出てきたのは、舞夏にしてみれば愚痴なのか惚気なのか倦怠  
期の夫婦なのかといったような言葉ばかりであった。  
「だって、気がついてないはずないんだよ! ずっと一緒に住んでるんだよ? なのに、そぶり  
も見せないなんて……」  
 この少女は仮にも宗教者、しかも日本人のノンポリ葬式専用ではなく、十字教のそれもシス  
ターだろうにそれがまあなんと浮ついた…という考えがメイド少女の頭を一瞬過ぎったが、自  
分も相手も思春期のオンナノコである。普段も服装以外に宗教者らしいところは無いし、クラ  
スメイトたちと同じように扱って良いのだろう。そう考えることにした。  
 そうすると、女の子の間でしか出てこないような話題にも至るわけで。  
「実はー、上条当麻は男の子が好きなのっ! とかかー? だとして相手はー、……あー」  
 少し嫌な考えにたどり着いたらしく、舞夏が口元を引きつらせた。それを聞いていたインデッ  
クスが必死に反論する。  
「そっ、それはないんだよっ! だって、あの、その、……本とか…いっぱい見つけちゃった…  
し…」  
「そう? じゃあー、あー、あれだ、機能的に問題があるとか?」  
 さすがの舞夏も少し顔を赤くしつつ、手を口元に寄せながら純白シスターに囁きかけた。  
 もともとそういう話を自分から振ったのに、機能、と聞いて想像力を刺激されのだろう、イン  
デックスも顔を一瞬で赤くする。が、口から出たのはやはり反論だ。  
「そっ、それは違うよっ、だって……」  
「だって?」  
「寝たふりしてたら、本、お風呂に持っていってたし、…なんだか…声が、してた…し、…朝、に  
おい、した…し…」  
 ばれてるぞ上条当麻。君は泣いても良い。不幸だと。  
「じゃあ、残念ながら守備範囲にシスターが入ってな――はぐっ!」  
「そそそそんなことないもん! とうまの本のなかに――」  
 
 メイド少女に思わず掴みかかって叫びたてたインデックスだが、途中で茹蛸のようになって  
言葉が止まる。その様子を見ながら、舞夏はインデックスの手をどけるとニヤニヤと言葉を続  
けた。  
「ほうほう、上条当麻のコレクションにー、シスターみたいな西洋系ロリータ本があったと。で、  
どれ? どんなの?」  
 真っ赤になったままのインデックスが、ごそごそと上条コレクションの一冊を取り出してくる。  
隠してるつもりになっているだけか上条当麻、泣いてもいいぞ、と、こっちは土御門舞夏の心の  
声だ。  
「うわあ…」  
 結構すごい内容だったようだ。さすがの舞夏も息を呑んでしまった。  
「も、もういいでしょ? とっ、とにかくとうまが――」  
 インデックスが本を無理やり引っ込める。自分が見られているような気にでもなってきたのだ  
ろうか。  
 それから、上条当麻のことに話題を切り替えようと口をパクパクさせている。その様子に、半  
ばあきれつつも、相手が真剣なので考える振りだけはしておくことにした。  
「まあ、朴念仁と言えば朴念仁なんだろうなー、でも、それならそれで強引に行くのも手じゃな  
いのかー? ただ、押しても柳の葉っぱみたいにするっと抜けていきそうだから、押すんじゃな  
くて握ってしまえばいいんじゃないか? ……でも、それはそれで鰻の手づかみみたいにするっ  
と抜けていきそうだなー」  
「抜けていったら何にもならないかもっ」  
 銀髪のシスターが半泣きで反論する。  
「いや、それだったら、鰻は軍手で掴めば良いんだぞ? 要するに、」  
 インデックスの様子を見ているのが面白くなってきたのか、メイド服の少女は一拍置くとにや  
りと笑って続ける。  
「手段を選ぶ必要はないってことだー。既成事実があればさすがの上条当麻も観念するだろー」  
 
 なんだか最後のほうのシスターのテンションが異常だった、やりすぎたかも…と一瞬は思った  
が、直ぐに頭の中から自責の念とか反省といったものは消えていく。  
(まあ、いいかー。こっちに被害は及ばないだろー)  
 それっきり、この会話のことは過去のことになって、土御門舞夏は学生寮を後にした。  
 
 
                     −*-  
 
 
 上条当麻は健康な十代の男子高校生である。周知のとおりだ。で、男子高校生といえば、  
まあ、その、異性に色々と具体的な興味を抱く年頃であって、上条とて例外ではない。  
 何が言いたいのかといえば、要するに――溜まっていた。何が溜まっているのかまでは書  
かないことをご了承願いたい。  
 さて、溜まったのなら溜まったものは吐き出したいのだが、オカズも書籍、映像と隠してある  
し溜まれば溜まるほど妄想も具体化するのに、上条当麻の生活環境にそうできない事情が  
発生していた。  
 記憶喪失となって病室で目を覚ましたら、銀髪の少女が学生寮に居候していたのである。  
 狭い部屋で、泣く泣くユニットバスに引き込んで眠るということでかすかなプライベートは確  
保したのだが、映像ソフトを見ることは不可能になってしまったし、少女が眠ってから書籍を  
取りに行くにも、もし起こしてしまって見つかったら……と思うとそれもままならない。  
 ならば妄想、もとい想像力で! というのも可能だが、密室のユニットバスである。ある朝、  
「何の匂い?」  
 とにっこり聞かれてしまった。知っていて聞いているのか違うのか、もし判っているなら、  
 
 ―――インデックス、なんて恐ろしい子!  
 と言いたいところなのだが、とにかく、それもままならなくなった。  
 
 とりあえず、そういうことである。  
 
 
「文句言うわりにはよく食べるよなあ、ほんと」  
 生活費も少々乏しくなってきたある日、エンゲル係数の上昇激しい財政事情を思いながら上  
条が呟いたのはそんな言葉だった。  
 その言葉を聞いて、ちゃぶ台の向こうから居候の少女が少しムッとした表情で上条の顔を見  
上げる。  
「文句なんか言ってないもん! そ、それにそんな食べてばっかりみたいな言い方は……」  
「いや、インデックス、文句は言葉のあやにしても、よく食うのは本当だと思うのですよ?」  
 すでに箸を置いていた上条を尻目に、二人分と言うには少しばかり多すぎたのであろう料理  
を綺麗に片付けていたインデックスだったが、反論の反論を受けてまた表情を固くした。  
 あ、このちょっと拗ねたみたいな表情、可愛いな、と脳裏に過ぎらせつつも上条の言葉は止  
まらない。  
「よく食べるってのいうのは自覚してくれてもバチは当たらないと思うんだが。姫神とか吹寄な  
んか、弁当こんな小っちゃいんだぜ?」  
 と、両手の指で小さな四角を作ってみせる。  
 ちょっと不機嫌、くらいで収まっていたインデックスの表情だったが、上条のクラスメイトの女  
子生徒の名前が――しかも複数――出て、  
「う、家に帰ってまでとうまはとうまはとうまはっ!」  
 食の太さではないほうに切れたインデックスの顎がくわっ! と開き、上条に襲い掛かってき  
た。いつも気絶するほどのダメージを受けている恐怖の噛み付き攻撃に、さすがに反射が働  
いて体が逃げる。  
 ちゃぶ台を挟んでいたためだろうか、急に立ち上がったためか、それとも予想外の上条の動  
きにけ躓いたのか、インデックスがバランスを崩す。避けた上条の横に倒れそうになった。  
 噛み付かれそうになっていたとはいえ、いきなり転びそうになった少女に対して支えるように  
手が出る。  
 
 ふにっ。  
 
 下から抱きかかえるように受け止めた上条の顔面に、インデックスの胸元が覆いかぶさって  
きた。ぺったんこだと思っていた銀髪少女の胸が、しっかり女の子であることを証明するかの  
ように当たって変形する。さらには、ちゃんと買い与えたはずの下着を身に着けていなかった  
のだろう、そのささやかなふくらみの柔らかさとは別に、小さな突起の感触が伝わってきた。  
 そして、両手をその少女の体に廻した結果として、丸みがあって、絶妙の弾力のある部分の  
手触りを右手が認める。  
「ひ、ひゃあああんっ」  
 インデックスが単純に驚いた、というだけではなさそうな悲鳴を上げた。  
 が、この純白シスターの胸に顔を埋めた状態で、その表情は上条には見えない。その胸の  
柔らかさと、右手に伝わる感触――インデックスの小さくても形のいいお尻の手触りに、上条  
の頭の中で一本線が飛んだ。  
(どうせぶっ倒れるまで噛まれるんだ、噛まれる前に仕返ししといてやるんだ、そうだこれは正  
当な抵抗なんだ、そうですよっカミジョーさんっ!)  
 腰に回っていた左腕にぐっと力を込める。  
 細くて小さいのに、インデックスはやっぱり女の子だった。力を加えて密着させた少女の体  
は柔らかくて暖かい。上条と同じ石鹸を使っているはずなのに、ふんわり甘い匂いがするのは  
何故だろうか。  
 同じ石鹸、と思ったら今度はいろいろと妄想が頭の中を巡りだす。壁の薄い部屋で、インデッ  
クスが鼻歌を歌いながらシャワーを使っている音が正確に思い出されてきた。たった今体に  
受けている感触が、脳内で思い出だされたユニットバスの壁を透視させていく。  
 不幸にも(?)、何度かインデックスの裸を見てしまったことがあるという事実もあり、脳内の  
映像がどんどんリアルになる。  
 少女の胸元に埋めた顔を、さらに密着させようと動かす。  
「ひあっ、と、とうまっ……」  
 頭上で少女の声。何とか動いて逃れようとしたのか、その長い銀髪が降ってきて上条の頬  
をくすぐった。  
 煽られる。  
 右手にも力を込める。小柄でも形のいいふくらみに合わせて丹念に撫ですさった。柔らかい。  
柔らかいのに、絶妙の弾力が生意気にも抵抗した。  
「あふっ、や、とうま、そ、そんなとこ…触っちゃ……や、ひゃううんっ」  
 抵抗しようともぞもぞと動くインデックスだが、腰を上条に押さえられてままならない。のだが、  
抵抗する力自体も弱まっているようだ。それでも動かし続けていた太腿が、当然の帰結として  
立ち上がっていた上条の剛直を撫でた。  
 上条の背中に、電流のように快感が走る。理性がさらに掻き消えていく。  
 頬に感じていた少女の胸のふくらみの、その先端の小さな――なぜかさっきよりも固くなっ  
ているような気がする突起に、唇を這わせた。インデックスが纏っている純白の修道服越しに  
も、その小さな突起の自己主張がはっきりと伝わってきた。  
「ひゃうううんっ……と、とぅま、だ、だめだよぅ…、あうんっ」  
 抵抗の言葉を口にしながら、少女の両腕が上条の頭を抱えてきた。ぐっ、と力が篭って、乳  
首に唇を這わせた胸に顔が埋まる。  
 止まらなくなった。閉じていた唇を開く。触れていた突起を甘噛みした。  
「ひゃひぃっ!」  
 少女が一言悲鳴を上げて、その力が抜けた。  
 
 
                     −*-  
 
 
 インデックスは不満だった。  
 もう相当な日にちを一つ屋根の下で過ごしているのに、上条当麻の朴念仁っぷりは磨きが  
かかる一方にしか見えない。  
 もっとも、インデックス本人からして「一つ屋根の下」なんて考えただけで、真っ赤に顔が火  
照って上条の出かけた後の学生寮で一人身もだえするような初心な女の子なのだが、この  
際それは置いておくことに――インデックス自身としては――しておく。  
 裸だって何度も見られたのに、上条はその後目が合ったりしてもうろたえたりとかもしないし、  
いつだったかの深夜、自分に覆いかぶさるように上条がベッドに上がりこんできたときはもの  
すごくドキドキしたし、内心密かに覚悟決めちゃったりもしたのに――  
 上条さんはドギマギなんてしてません、ピーナツ食いすぎちゃって鼻血が……などと言われ  
ては、怒らないほうがウソだろう。  
 ちなみに、上条の秘匿物がどこに有るのかは調査済みだ。でぃーぶいでぃー、というのは操  
作方法が判らないので中身は不明だが、本のほうはスタイルの良いお姉さん風、というのが  
ほとんどで、自分のスタイルと比べてしまって大いに落ち込んだりもしたのだが、最近になっ  
て一冊だけ白人の少女モノが加わったのを発見している。  
 その中身はものすごく恥ずかしかったので忘れたいくらいなのだが、完全記憶能力がそれ  
を許してくれないのがちょっとだけ恨めしい。が、そういう物が上条の秘密の書棚に加わった  
のは、自分だって意識されてるはず、と再認識できたとちょっとだけ喜んだりもした。  
 それで、ユニットバスがちょっと変なにおいがしたある朝、わざと  
「何の匂い?」  
 と、消えて無くなってしまいたいくらいの恥ずかしさを感じつつも聞いたのだが、どうも逆効果  
だったらしい。だって、男の子の心理なんてわかんないよと言ってみても後の祭りな訳で、やっ  
ぱり上条が自分に手を出してくる様子はない。  
 あっちこっちで色んな女の子と(無自覚に)良い感じになっちゃってもいるが、上条自身無自  
覚なわけで誰と特別、といった様子も今のところはなさそうだ。  
 となれば、やっぱり自分が一番有利なはずだと思うのに。  
 
 
「文句言うわりにはよく食べるよなあ、ほんと」  
 という台詞が上条の口から出てきたのは、土御門舞夏と件の少年の話をした日の夕食のと  
きだった。こっちから、とか、手段を選ぶな、とかそんなことが頭をぐるぐる回っているときだった。  
 インデックスからしてみれば不意打ち同然の台詞に、ムッとして上条を見る。  
 また、自分は食べてばっかり見たいな言い方をする。――食べることが好きなのは否定しな  
いけど、自分のことを上条は本当に女の子として見てくれているの? と、口を開いたインデッ  
クスに対して上条は、  
「よく食べるってのいうのは自覚してくれてもバチは当たらないと思うんだが。姫神とか吹寄な  
んか、弁当こんな小っちゃいんだぜ?」  
 と、両手の指で小さな四角を作っる。ことさらに小さくしているようだ。  
(わざわざ他の女の子の名前を、しかも複数出して、女の子扱いもしてくれないなんて…)  
 思わず立ち上がる。いつものように、半ば意識することなく上条の頭を噛み砕こうとしたその  
とき、  
 
『手段を選ぶ必要はないってことだー。既成事実があればさすがの上条当麻も観念するだろー』  
 
 突然、土御門舞夏の言葉が蘇る。  
 思わず、バランスを崩した。逃げようとしていた上条が、バランスを崩したインデックスを見て、  
受け止めるように手を出した。  
 ぽすん、と上条の腕の中に落ちる。しかし、上条に近づきすぎたのだろうか、胸が少年の顔  
の上に落ちた。下着を着けていなかった小さな膨らみが上条の鼻に当たって形を変え、滑っ  
て膨らみの間と間にその顔が収まる。  
 抱きとめようとしたのだろう、少年の両手は片方が腰に、そしてもう片方がお尻を掴む。  
「ひ、ひゃあああんっ」  
 胸を圧迫しながら滑っていった上条の顔面の感触と抱きとめられた腰に回った腕の力、そし  
て何より――掴まれたお尻に伝わった刺激に、思わず悲鳴が出た。  
 その瞬間、上条が腰に回した腕に力を込める。さらに、息を荒げつつ胸に埋めた顔面をさら  
に密着させようと、もぞもぞと左右に振った。  
「はふぅっ」  
 思わぬ上条の反応に掠れた吐息が漏れる。フードから髪がこぼれ、上条の頬をくすぐった。  
 ぐっ、と上条の息を飲む音が聞こえて、その右手がインデックスのお尻を撫でさする。背中  
に電流のような感触が走った。  
 やだ、と声を上げつつ、抵抗しようともぞもぞと動くと、太股に何かが当たった。  
(と、とうま……? こ、これ――)  
 修道服越しに乳房を顔面でこすられ、お尻をまさぐられて霞む意識に、上条もまた興奮して  
いることを知った。とたんに、腰のあたりから広がった不思議な痺れがゾクゾクと全身を覆って、  
思わず上条の頭を抱きかかえていた。  
 太股が、ぐっと上条のズボンを押し上げる何かを押さえつける。  
「くはっ…」  
 上条が吐息を漏らしながら口を開く。そのまま、埋めていたインデックスの胸の固くなってい  
た先端を甘噛みした。  
 言いしれぬ、甘いショックがインデックスの全身を打つ。  
「ひゃひぃっ!」  
 声が出る。が、出来たのはそれだけで、全身の力が抜けた。  
 下着に、まるでお漏らしでもしてしまったかのような感触がする。が、この甘い痺れの余韻が  
もっと欲しくて、上条の頭を抱いた腕に力を込めようとして、それも出来ない。  
 
 離して欲しくない。  
 声を絞り出す。  
 
「ふあぅ、と、とうま……はなさ…ないで…も…っと――」  
 

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