「一の組織を束ねるためには、はむ、うぐうぐ。  
 プライドを捨ててごっくん美学を身につけなければならぬのだよけぷぅ」  
「のうのうとよく顔を出せたな。とりあえず上条さんの非常食の魚肉ソーセージから口を離せ。  
 というかしゃべりながら食うな」  
 学校から帰ってきたらどこかで見かけたトンデモガールが冷蔵庫を開けて魚肉ソーセージを頬張っていた。  
 肩にかかる程度のカールのかかった短い金髪。  
 白いブラウスとスカートに黒いガーターストッキングという服装。  
 十二歳の少女という外見と裏腹にイギリスの黄金系魔術結社「明け色の陽射し」を束ねる魔術師。  
 残忍にして狡猾、ブレーキの代わりにアクセルがもう一つ備え付けられているような情け容赦ない女。  
 レイヴィニア=バードウェイである。  
 ちなみに胸が薄いことは禁句だ。  
「まぁそう硬いことを言うなもしゃもしゃ。私とお前の仲じゃないかむしゃむしゃ」  
 そうそうと二本目に突入するその顔には反省の色など欠片もない。  
 あけっぱなしの冷蔵庫の前からしゃがみ込んで動こうともしない。  
 こいつに謝罪をさせるよりはミドリガメにダンスを覚えさせる方が何倍も楽だと上条は嘆息した。  
 そもそも食いしん坊キャラは一人だけでたくさんである。  
 ただでさえ空気と呼ばれているインデックスさんから魔術の解説役だけでなく食欲魔人の座も奪うつもりか。  
 紳士を自称する割には男女平等に右手を顔面に叩き込む印象の強い上条。  
 だが、それは戦闘においてそれしか手段が無いからそうなっているだけで別に暴力主義者ではない。  
 事実、決闘というよりもじゃれ合いが強い御坂美琴との戦いで彼女を殴ったことはない。  
 誰か他人のために怒りが湧いた時でなければ拳を握れないのだ。  
 つまり、今の上条はバードウェイに対して無力である。  
 もっとも、上条が本気になったところでこの小娘に敵うとも思えないのだが。  
「で、なんのようだ。インデックスはどーした」  
「禁書目録なら『こもえのうちで焼き肉パーティなんだよ!』とか言って出掛けたが。  
 つまり私は留守番を頼まれている訳でこの程度の、ごっくん、報酬は頂いても文句はなかろう、と思うのだが」  
「だったら外で待ってればいいだろうが」  
「なにを言う。『部屋の中で待っていればいいんだよ』と禁書目録から許可も貰ったぞ」  
 インデックスはハワイでバードウェイが行ったことを知らない。  
 説明していないからだ。  
 それに裏切りをしたものが厚顔無恥に表れるなんてことを彼女は信じていない。  
 善人はみんなが善人だと信じる。  
 色々と怪しいところはあるがインデックスはシスターなのだ。  
 そういうところに付け入るバードウェイの態度が上条には気に入らない。  
 
「繰り返すぞ。なんの用だ」  
「んー」  
 強く上条が言葉を重ねるとバードウェイが少しだけ眉間に皺を作った。  
 二本目の魚肉ソーセージを平らげてだらしなくゲップを出して言う。けぷぅ。  
「実はだな、とうとうマークが切れてしまってな。ちょっと帰りづらいのだ。  
 まったく、私の命令よりもデートなどというものを優先しおって。  
 思わずお仕置き代わりにデート中に召喚爆撃かましただけだなのに三代虎徹振り回してくるんだぞ。  
 困ったものだ」  
「帰れ」  
 つかつかと歩み寄って右手でぐわしと襟首を掴む。そして引きずるように上条はバードウェイを玄関の外に放り投げた。  
 すると猫のように寮の廊下の壁を蹴ってすとんと着地、両手を腰に当てない胸を張りバードウェイが上条の前に立った。  
 見上げる形で見下している。  
 もちろん彼女は土足で人の家に入るというイギリス式マナーと日本式との違いを心得ているから足は来客用スリッパである。  
「いいじゃないか。私とお前の仲だろうに」  
「わざわざ日本に来るな。イギリスでもどこでも潜伏していればいいじゃないか、マークさんの気が落ち着くまで」  
 上条は黒い礼服の二十代金髪の男を思い出す。  
 特にこれと言って強い印象はないがその分悪印象もない。  
 上条を裏切って学園都市協力機関を離反させたという意味では目の前の少女と何も変わらないのだが違いはなんだろうか。  
 傲岸不遜を地でいくこの少女の理不尽極まりない命令にこき使われている姿に哀愁を感じたからだろうか。  
 結構楽しそうでもあったが。  
「いやいや、マークはあれで結構優秀なんでな。少なくとも欧州にいたら感づかれる。  
 人脈がかぶっているのが厳しいな。  
 何分、私とマークとを天秤にかけて後者を取る連中が多すぎるんだ酷いと思わないか」  
「酷いのはお前の性格だ。頭の一つでも下げてみろ。人生が随分と変わるぞ」  
「残念だが、組織の長が持っている権威というのは個人が壊してよいものではないのでな」  
 とは言いつつも、上条は靴も履いていない少女をマンションのような寮の廊下にいつまでも放りだせる人間ではなかった。  
 これで靴を叩きつけられれば人生もう少し楽なんだけどなぁ、と再度のため息をつく。  
 仕方ない、と身体をずらして室内を見せる。道を作る。  
「うむ。最初からそうしていればいいのだ。余計な手間暇をかける必要などなかったのだぞ」  
「会釈程度でもいいから頭を下げるという発想はないんだな」  
「無用なものは無用だ」  
 玄関マットの上で一度スリッパを手に持ってパンパンと叩いて、バートウェイが室内に入る。  
 かぽかぽと再度スリッパを履きなおした。  
 うっとおしそうに後ろ髪を掻きあげて上条を見上げる。  
「この国の湿気は髪に悪いな」  
「じゃあ湿気のない国に行け。南極なんかどうだ、サハラ砂漠より乾いてるぞ上条さんお勧め」  
「馬鹿を言え。湿気をものともせずお前に会いに来たんだ。泣いて喜ぶがいい」  
 
 部屋主の意向も伺わず軽い足取りで座布団を取り出して座った。  
 絨毯の上だからスリッパは脱いでいる。  
 この彼我の距離でいちいち履いたり脱いだりするところは良識的だろう。  
 M字を潰して脚の間に両手を置くような女の子座り。  
 こたつと兼用するケーブルに顎を乗せた。  
 意外なことだが何故か似合っている。  
「インスタントでいいぞ。いくら貧乏でもその程度あるだろう?」  
 ふんふんと軽い鼻歌を奏でながら言う姿はなるほど愛らしい。  
 中身さえなければ。  
 本当、中身があれでさえなければ振り向く男はそれなりにいるだろうに。  
 白い奴とか。白い奴とか。あと白い奴とか。  
「コーヒーが飲みたければ一方通行のところに行けば良かっただろうに。アイツはそれなりにコダワリあるし。  
 上条さんちにあるのは実家に贈られたお歳暮の残りですよ」  
「それがいいんじゃないか。日本人の発明したインスタントコーヒーを日本人の風習で飲む。贅沢というやつさ」  
 はぁ、と何度目か数えるのも面倒になったため息をつきながら上条はマグカップを手に取った。  
 節電のためにポットは使っていない。電気ケトルに水道水を注して電源を入れる。  
 学園都市も水道水は軟水だ。コーヒーを淹れるのには向いている。  
 そして二人分のコーヒー程度の湯量なら一分もあれば沸くのだ。  
「これを飲んだら帰るんだぞ」  
「話を聞いていなかったのか? スポンジ脳だというのはわかっていたがここまでとは。  
 一晩と言わず好きなだけ泊って行けとは言わんのか。  
 可憐な乙女が寝床を探しているんだぞ。膝まづいて手を取ってキスしてもいいんだぞ」  
「どれだけわがままだよお前。うちにはインデックスという居候が既にいるんですぅ。  
 貴重なカロリー源喰いやがって。出てけ出てけ」  
「滞在費用ぐらいは出すぞ? 貧乏なんだろう?」  
 費用という金銭にかかわる言葉を聞いて、ぴくり、と上条の肩が震えた。  
 にんまりとバードウェイが笑う。  
「一日に付き日本円で一万出そうか。なに、ホテルで過ごすことを考えれば格安だ。  
 うまい事やりくりすれば現金収入にもなるぞ、ヒーロー?」  
 ぴくぴく。  
 上条の肩が震え続ける。  
 座敷童も裸足で逃げ出すようなエンゲル係数の上条家はいつだって金銭が不足している。  
 なるほど魅力的だ。しかし魅力的な餌には強力な罠が仕掛けられているものだ。  
 根っからのサディストであるこの少女を近場に置いておけば絶対に不幸が訪れる。  
 上条当麻とて馬鹿ではない。いや、馬鹿だが百パーセントの馬鹿ではない。金星人ではない。  
 少しは学習するのだ。  
 
「断る」  
 瞳が泳いで戸惑ったが上条ははっきり断言した。  
 絶対にろくなことにならない。  
 とうまはまた女の人をつれこむんだねがるるるる。  
 アンタ! その女がなんでこんなところにいるのよ! びりびり!  
 目に浮かぶようだ。上条さんの不幸になる世界が。  
 第一この少女にどんな目にあわされたのかを思い返してみるがいい。  
「ふぅむ。金では駄目か? なんだったらこの身体でどうだ?」  
 コーヒー入りのマグを二つ持ってきた上条にバードウェイがシナを作って見せた。  
 テーブル九十度横の座布団に胡坐をかきながらはんと上条は鼻で笑う。  
 冗談にしても笑えない。  
「フレメアに負けているようなナイスバディで上条さんを誘惑? ブラいらずの癖に?  
 一方通行じゃあるまいし、上条さんはロリではありませんのことよ?」  
 驕りがあったかもしれない。  
 弱みを見せているバードウェイを軽んじていたのかもしれない。  
 手酷い目にあわされている少女を見返したかったのかもしれない。  
 上条は虎の尾を踏んでしまっていた。  
 コーヒーの香ばしい湯気が漂う。その向こうで意志の強い顔の少女が怒りを露わにしている。  
「ほ、ほう? 仮にも『明け色の陽射し』の首領であるこのレイヴィニア=バードウェイを前にしてそんなことを?  
 あんなくそちんまいガキより魅力が劣ると言うのか?  
 今ならジャパニーズ正統謝罪作法DO☆GE☆ZAで許してやらんこともないぞ?」  
 額に青い血管が浮かぶ。  
 唇が引きつる。  
 しかし上条は一本取ってやったとばかりに勝利の美酒代わりに右手でマグを取ってコーヒーに口をつけた。  
 にやにやといやらしく笑う。  
 踏み抜いた。踏み抜いてしまった。  
 繰り返すが、今彼の右手はマグカップを持っている。  
 簡単に振り回せる状態ではない。  
 残酷で冷静な、そして怒りに燃えている眼がそれを見ていた。  
 
 レイヴィニア=バードウェイの得意技の一つに「召喚爆撃」がある。  
 本来必要な準備を敢えて省略し、自らの腕と勘を頼りに即席で発動させる火属性大規模魔術。  
 つまりは魔術の手順を省略して発動させるという行為が誰よりも得意なのだ。  
 ましてや、のんびりとコーヒーを飲んでいる上条は隙だらけだ。  
「――――!」  
 バードウェイがコーヒーに指を突っこんだ。  
 引き抜いてテーブルに陣を描く。簡単に座標を定義するような低レベルなものだが彼女には関係ない。  
 ぽん、とバードウェイの小さな手がテーブルを叩いた。  
 魔術が発動する。  
「――――!?」  
 瞬間、上条の身体に電流が流れる。全身に強力な痺れが起きた。  
 崩れていく身体。力を無くして落ちていく。視界がかすんで上条が倒れ込んでいく。  
 コーヒーが零れることはなかった。崩れおちる途中の上条からバードウェイが取り上げたから。  
 何か起こったかわからない。そんな顔をしながら上条の意識が朦朧となる。  
 バードウェイが残酷に微笑んでいた。  
 上条が口をつけていたコーヒーをさも美味しそうに飲み干す。  
「いーだろ。光栄に思うがいい。  
 宿代替わりに私がフレメアなんてクソガキよりよっぽど性的な魅力に溢れていることを証明してやる」  
 上条は忘れていた。  
 バードウェイという少女がどういう存在なのかを。  
 か細い華奢な肢体と裏腹に凶暴なものを内側に秘めている。  
 目的のために手段は選ばない。  
 そして敵と判断してものに一切の容赦をしない。  
 そのうえで人間としての感情を強く持っている。  
 常識なんて関係ない。  
 誰かの手綱なんかに操られない。  
 にやりと歯を見せて笑った。  
 まるで虎のようだと朦朧とした意識の中で上条は思った。  
 
 
(ここは……)  
 上条が意識を取り戻した時辺りはうす暗かった。  
 ぼんやりとしたオレンジ色の光が揺らめいている。  
 それがランプの明かりだと気付くのに少々時間がかかった。  
 蒸し暑い。  
 まるで石造りの地下室のよう。  
 天井に換気装置が見える。そんなに古びたものではない。  
 だがコンクリートは打ちっぱなしで装飾なんかなかった。  
 妖しいものも見える。  
 天井から吊るされた鎖。産婦人科で使うようなM字開脚にさせられる背もたれつきの診療台。  
 三角木馬(重り付き)。壁に掛けられたさまざまな鞭。磔用の十字架。  
 鉄の処女。  
「へ?」  
 まるで中世の拷問部屋である。  
 魔女という名目で十字教会が一般市民から財産を奪い拷問した暗黒時代の遺物。  
 そんな場所に上条はくくりつけられていた。  
「な、なにが起きたのでせう? 上条さんは一体!?」  
「起きたようだな」  
 ランプの光の届かない部屋の隅、その暗闇から小柄な少女が現れた。  
 レイヴィニア=バードウェイ。  
 その姿はまさに異形だった。  
 いわゆるボンテージスタイル。  
 ガーター付きの黒ビスチェにやはり黒のヒールの高いブーツ。小柄な彼女の背を伸ばしている。  
 小さな股間に張り付くような下着もやはり黒。揺れるランプの光で僅かに縦筋の陰影が現れる。  
 腕にはロンググローブ。これもまた黒。  
 素材はすべて皮のようだった。  
 ローティーンの女王様。  
 知人の青い髪の変態ならば泣いて喜ぶ状況だろうが、上条にその気はなかった。  
「そ、その姿は一体……」  
「まずは自分の情けない姿を確かめてみるんだな」  
 くすり、と笑う姿は獰猛さを隠さない。  
 踏みつぶす寸前の小虫を見るような目で見つめる先につられるように上条が自分の体に視線を移す。  
「え? えええ?? な、なんで! どうして!?」  
 全裸だった。  
 正座の状態で手枷足枷が嵌められている。それぞれの先に重りが付いていた。  
 反射的に股間を隠そうとするも両手を動かすことはできない。  
(いったい……なにが……そう、確かバードウェイにコーヒーを淹れてやって……)  
 かつんかつん。  
 硬質な音を立てながらバードウェイが近づいてくる。  
 
「まったく、厄介だったぞその右手。魔術が使えないと本当に不便だな。この街にはタクシーも少ないし、苦労したぞ」  
「ど、どこだここは! どうしてこんなことを!」  
「ここは、ま、ラブホテルの一室ってやつだ。随分と趣味がいいな学園都市。  
 で、どうしてというのはアレだ。私の魅力というやつを鈍感な気様に骨の髄まで叩き込むためだ」  
 見下ろしてくる瞳には憎悪が灯っている。  
「貴様の節足動物並みの脳でも理解できるようにたくさん反省してもらうぞ。なに、安心しろ。最後は私に感謝しているさ」  
「せ、先生……節足動物には脳はありません。はしご状神経節です……」  
 どす黒いオーラを隠さないバードウェイに上条は素っ頓狂な突っ込みを入れる。  
 背筋が凍るような状況に置いて上条当麻はなお上条さんだった。  
「ほほう。よっぽど私にいじめてほしいようだな」  
 絶対零度の微笑み。ぞぞっと背中に恐怖を感じてしまう。  
 エターナルフォースブリザード。上条さんは死ぬ。  
 そうなっていれば楽だったかもしれない。  
 冗談を言っている眼ではない。狂気が混じっている。  
 もともと戦闘戦斗において周囲の被害を気遣わない非常識な少女だ。  
 目隠しをしたままアクセルを限界まで踏み込む。そのことに喜びを感じる。  
 それなのに妙に色っぽいのは何故だろう。  
 頬が桜色に染まっている。ランプの焔が艶やかさを引き出しているのだろうか。  
 高揚している。女を感じる。たかだか十二歳の少女に、この状況で、上条当麻はメスの色香を感じ取っていた。  
「随分と人のことをガキ扱いしてくれたが、お前も随分とガキの様だな、上条当麻」  
 股間も隠せない上条の前につかつかと歩み寄ってバードウェイが乱暴に股間を掴んだ。  
 そこは委縮していて完全に皮の中に包まれている。  
「ええ、おい。ガキのまんまじゃないか。日本には割礼の風習はないんだったな。  
 こんな粗末なものじゃ女の経験なんかないんだろう?」  
 ぐりぐり、と握る。  
 少女の小さな手と熱い体温、そして皮に包まれた未熟な少女の匂い。  
 上条のペニスはたちまちにして大きくなった。  
 赤い亀頭が顔を出して雄の匂いを放つ。  
「ほう? やればできるのだな」  
 余裕しゃくしゃくで手を離したバードウェイだが、その頬は赤い。むしろ言動に不自然さを感じる。  
 そのことに気づかないまま上条はまだしゃがみ込んでいる少女に言う。  
「おい! ふざけるんじゃない! 一秒も早く上条さんを解放しなさい!」  
「安心しておけ。禁書目録ならコモエの家で一晩お世話になるようだ」  
 そうして、バードウェイはショーツの左右についている金属ボタンを外した。  
 甲高い音が二つ。  
 脚を上げなくとも自然に下着がむき出しのコンクリートに落ちる。  
 
「ご褒美だ。見たことなんかないんだろう? じっくりと見せてやる」  
 やめ、と言いかけて上条が息を飲んだ。  
 見たいという強烈な欲求がある。雄として当然の欲求が。  
 薄暗くてよく見えないが、ちらりと焔が瞬くと白い肌がオレンジ色に映えた。  
 毛は生えていない。  
 白磁のように美しい肌に作り物のような一本線が刻まれていた。  
 僅かにもりあがる肉の丘に刻まれているそこは複雑な機構を何一つ見せていないのに淫らだった。  
 股間部分だけの下着が無いという異様な状況に上条は思わず興奮する。  
「まぁ、まだ毛はないが……内側はきちんと大人だぞ? あんな小娘どもとは違ってな」  
 拘束した上条の前でバードウェイが少し間抜けに脚を広げる。  
 両方の手でその場所を開くとピンクというよりも赤い肉が現れた。  
 むっ、とすえた匂いが漂う。  
 傲慢、高慢、唯我独尊。  
 そんなバードウェイが自ら性器を開いて上条に見せようとしている。  
 ものごとは急展開過ぎてついていけないが、瞬きを忘れたように上条は目を離すことができない。  
 ごくり、と喉が鳴った。  
 バードウェイの言葉と違ってまだ未成熟のそこは襞が大きいわけではなかった。  
 ただ粘膜と粘液の光沢が見える。  
 小さな可愛らしいクリトリスは既に顔を出していて溶けそうなほどに熟していた。  
 白百合のような外見と違い内側は濡れた薔薇のように艶やかだった。  
「どうだ? 初めて見せたんだ。光栄だろ? これでも私を子供というのか?」  
 バードウェイは小柄だ。ちびっこと言い換えてもいいだろう。  
 大体まだ十二歳だ。  
 そんな彼女が、それでいて尊大極まりない彼女が自分は大人だと背伸びをしている。  
 上条の中で何かがときめく音がした。  
「お前を脱がしているとな、こうなんて言うか、興奮してしまってな。  
 濡れてしまったよ。細かい傷跡が多いし。股間は子供のくせに体つきは大人なんだな上条当麻」  
 そして、上条が見ている前で小さな膣口からとろりと蜜が溢れ出た。  
 大粒の滴になってつぅと太股の方へと流れていく。  
 それを視線で追うと自然と二人の視線は上条の股間へと移った。  
「――っ! あれが最大ではなかったのか!?」  
 嗜虐的な色が一瞬消えた。本当に驚愕したようにバードウェイが息を飲む。  
 何もかもを知っているはずの少女に怯えの色が走った。  
 肉棒は硬直して膨張して先ほど彼女が手で刺激した時よりも一回りは大きく成長していた。  
 
 

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