「えっと……あのですね、とりあえずどういうきっかけで佐天さんとこういう関係になったのか教えてもらえませんか?」
軽く寝息を立てる佐天涙子に毛布を被せ、自身はくしゃくしゃのシャツとトランクスだけを纏った上条当麻。
彼に対しシーツ一枚をすっぽりと頭から覆った初春飾利は顔を真っ赤にして視線を合わせないようにしながら問いかけた。
先ほど佐天涙子と上条当麻が乱れた布団の上に腰かけている。
いつもの髪飾りをつけていないこともあってか、とても落ち着かない。
いやいや、友人にローターで責められ、その親友の乱れ処女を散らすさまを見て落ち着けるわけがない。
軽く肩をすくめた上条はごり、と首を鳴らしてから一息ついて話し始めた。
「きっかけは涙子がスキルアウトに絡まれてたところを助けたことなんだけどさ。その時にどういうわけか気に入られてね。
ま、理由はあれですよ。ボーイズラブの主人公のモデルだったってことなんだけどさ」
ぼりぼりと頭を掻いて上条が溜息をつく。
一戦を終えたペニスは流石に小さくなってトランクスの中におさまっている。
白いシーツを貫頭衣のように纏わせた初春も身体を小さく縮めている。
「そうでしたか。佐天さんらしいですね。思ったことをすぐに実行に移したりする所とか」
「まぁねぇ。積極的な女の子です。美琴のこと知ってて近づいてきたし。それを拒めなかった上条さんは本当に外道なんですけど」
「でも、それをわかっているんですよね、佐天さんは。御坂さんに対してどう思ってるんでしょう?」
室内は意外とさっぱりとしている。
大抵の物は収納にしまってあるし表に出ていて目立つのは二段ベットとパソコンラック、勉強机に本棚ぐらいだ。
もちろん、ダイニングキッチンのテーブルはあるのだけれども、そこは寝室と同じ空間ではない。
同世代と比べても物は少ないほうだろう。
上条は本棚を見遣る。
そこには埃よけのレースカーテンがかかっていて中身が見えない。
「……何冊ぐらい持ってるの?」
「……上条さんは今まで食べたパンの枚数を覚えているんですか?」
いきなり突っ込んだことを聞いてくる上条に初春は微妙にはぐらかす。無駄無駄URYYYと言わんばかりに。
可愛い顔を下に向けながらの上目づかいは吸血鬼を殺せそうなほど破壊力があった。
「なるほど。涙子の言うとおりむっつりなんですね。そして嘘が苦手、と」
それでも上条は挑発気味に苦笑する。肩をすくめながら息がかかりそうな距離にまで近づく。
途端、何やらいい香りが漂ってきて上条の心臓が高鳴った。
なるほど、意外と照れくさい。
すぐ傍に佐天涙子が軽い寝息を立てていることもある。
彼女と上条の痴態を初春がじっと見ていたこともある。
しかし何よりも、上条は可愛らしい女の子と一緒にいることが、初春は自分の親友をあれほど感じさせた男が体温を感じるほど近くにいることが不安なのだ。
シーツを纏ったまま膝を揃えて座る。
崩した脚の先がシーツから零れおちて白く透き通っている。
そして、幾分改まった表情で上条を見上げた。
「上条さんは、御坂さんに対して申し訳ないとか思わないんですか?」
ずばり、という正に核心を初春飾利は射抜いた。
性的なことに興味があるのは確かだ。しかし大切な友人二人を傷つけて平気だとこの男が思っているのならば許すことはできない。
今、その気になれば簡単に犯されてしまうという状況と、そうなってしまう自分を想像してどこか喜んでいることを理解しつつ問いかける。
んー、と上条が苦渋の顔をしながら頭を掻いた。
「思ってないわけじゃないよ。刺される覚悟はある。あるけど、うん、本当に酷いことを言うけど、二人とも好きなんだよな、俺。
どっちも泣かせたくないし幸せにしたい。正直、男として最低だと思うけど、そこだけは嘘じゃない」
苦虫を噛み潰しながらも単刀直入に切り出した答えに初春は自然と破顔していた。
肩から力を抜いて目に見えたようにリラックスする。
確かに酷いことを言っているけれども、嘘じゃない。
突き放す優しさのようなものには程遠い子供の理屈だけれども、きっとそういうところを二人の友人は好きになったのだろう。
自由奔放で顔を上に向けて歩く佐天涙子という友人の気持ちが少しだけわかったような気がした。
流れるような仕草で肩口から左手を出した。
そのまま腕を伸ばすとするりとシーツが落ちていく。
先ほども見たはずの、目に焼きつくような白い肌が露出していく。
艶やかな肌はただそれだけでも目に毒だ。
そのまま、初春はゆっくりと布団に倒れこんだ。
無防備に、横向きの姿勢でショートカットの黒髪を布団へと垂らしている。
まだシーツが被さったままの乳房を上側となった左腕で隠すように挟み込み、抑えつけられた幼い乳房は自己主張するようにわずかに歪んでいた。
白い足も覗いている。
カモシカのようなしなやかさを感じさせる表面は窓から差し込む淡い光を反射するかのよう。
腿の付け根ぎりぎりで隠しているシーツが一層淫らさを醸し出す。
上条を見上げる瞳は媚びるように潤んでいた。
大きな瞳が宝石のように煌めいて顔は耳まで赤く染まっている。
「これ、取材ですから。いい原稿描くためのものですから」
わかってはいた。
こうなることを二人とも了承していたはずである。
しかしながら突然女であることを表にした初春飾利に上条当麻は驚いた。
待て待て、と思う間もなくトランクスが盛り上がって窮屈そうにペニスが勃起する。
それを見て顔を真っ赤にしたまま初春が笑う。
「だから、私は処女はあげられませんけど、他はしてください。佐天さんみたいに綺麗にしてくださいよ。
上条さんのこと信じてますから。一人のことだけを愛せない癖に嘘がつけない貴方を信じてますから」
これは信頼ではなく信用。
故に敗北の結果を受け入れるギャンブルではなくリスクの少ない投資。
初春飾利の中に上条当麻に対する嫌悪感は無い。
もちろん、だからといって彼を恋愛対象にできるかというと話は別なのだけれども、ただの都合のいい快楽機関としてならば信用できる。
少なくとも嫌がるそぶりを見せればいつだってやめるだろう。
それに、なによりも。
甘えてみたくなってしまった自分自身を止められない。
自分が佐天涙子や御坂美琴に負けないぐらいに可愛いんだということを証明したい。
自然と顔がにやけてしまう。
横になったまま上半身だけを起こす。
まるでアルコールに酔ったかのように頭をぼうっと染め上げながら初春飾利は上条当麻の下着へと手を伸ばした。
「お、おいっ、ちょっと、初春さん!?」
積極的すぎる彼女に上条当麻は戸惑う。
愛だとは呼べず恋とすら言えない肉体だけが前提の関係を結ぼうというのだが、だとしても物事には順序というものがある。
「ぅ……」
座っているのに、するりと脱がされた。
自分から腰を浮かせてすらいた。
くすぐったいような感覚に苛まれ上条は喉の渇きを覚える。緊張しているのか皮膚が微妙に毛羽立った。
しかし少年が身じろぎしようが初春飾利には関係ない。
ゆるゆると太股にまで引きずり下ろして伸びたトランクスのゴムの向こうの勃起ペニスをまじまじと見つめる。
「あ……」
軽い悲鳴と眩暈。
男性器の丸々とした亀頭とがっしりと太い竿。根元は剛毛というほどではないがしっかりと生え揃っていて男を強調している。
生の性器を観察したことなど当然初春にはない。
もちろん興味はある。あるからネットでこっそりと画像を検索したこともあるし、修正の薄いボーイズラブの本を見て想像を重ねたりもした。
しかし顔から火を噴きそうなほど真っ赤に染め上げて、その温度が伝わってしまいそうな距離で本物を見るというのは正に圧倒的な経験だった。
「さわり、ますね」
ごくり、と大きく喉を鳴らして初春飾利がおずおずと手を伸ばす。
右手を竿の部分に添えた。感触を確かめるように表面を摩ってからきゅっと中ほどを握る。
「つぅ……!」
触れられた瞬間、上条の男根は切なく澱んだ。身体の芯まで響くような感覚。
特段敏感な場所でもないのに小さな手に握られて思わず奥歯を噛む。
「こういう握り方、でいいですか?」
潤んだ瞳で見上げてくる初春に上条は感じていないふりをしながら答える。
「そう、そんな感じで……上下に擦って……」
覚悟していたよりも遥かに理性を揺すぶられる。
上条はまったく経験がないというわけでもない。
今しがた豊かな肢体を持つ美少女の処女地を穢したばかりだ。
ぞれでも性的な匂いから程遠い初春飾利に手こきされるという状況は彼を興奮させる。
興奮は素直にペニスを膨らませる。十分勃起していたはずなのに二割増しほど容量が膨らんでグロテスクに血管が浮かんだ。
「あっ……や……」
初春は息を飲んだ。とても同じ人間の構造物だとは思えないと驚愕する。
しかし、興味はそれを容易く乗り越える。
「んんっ……大きくなりましたね……すごく硬くて熱い……いやらしいおちんちん……」
悩ましげに声を上げながら手を動かした。
カリ首まで丁寧に手のひらを登らせて根元まですとんと落とす。亀頭まで上げてまた落とす。
上げるときは軽く力を抜いて。落とすときはぎゅっと握って。
ただ締め付けるだけではない。痛みを覚えないぎりぎりのところで引っ張り上げて落とす。びりびりとペニス全体が痺れ始めた。
カリ首のあたりから漆黒に近い雪のような疼きを覚える。
「ううっ……くぅ……」
愉悦が刻まれていく。
上下に動かす回数が二十を超えるころになると初春飾利はだんだんとコツをつかみ始めていた。
やや余り気味の包皮が微妙にカリ首にかかるかからないかを目安にして力強さと速さをアップしていく。
リズムはアップテンポでどんどん加速していってばね仕掛けのようにペニスが乱暴に扱われる。
「うぅ……くぅ……っ!」
手で扱かれるのはある意味で口淫よりも膣肉よりも快感が強い。
力と速さの限界が遠いからだ。
そして初めて男性と存在を心地よくさせる行為に初春飾利は没頭していく。
「あはっ……ぬるぬるしたのが出てきました……これ、先走りっていうんですよね? ああ、でもこれだけじゃお尻は濡れませんよね。
もっといっぱいでないのかな」
初春の偏った知識ではどうなっているのか、少なくとも現実の上条にはわからない。
ショートカットの美少女は飴玉を転がすような甘い声で左手を亀頭に被せてきた。
ぬるぬるとしたそこを手のひらで回し始める。「おうっ! ちょ、ちょっとそれはっ!」
扱かれながら先端を舐められる上条の好きなプレイの一つにとてもよく似ていた。
御坂美琴も佐天涙子も嬉々として行う口腔愛撫。
何のヒントもなくそこにたどり着いた初春飾利に感服しながらも上条の声が上擦る。
「んはっ! 気持ちいいんですね、上条さんっ♪」
怒涛の勢いで快楽が募っていく。初春飾利は中学生とは思えない淫蕩に微笑みながら自分の行為に自信を深めていく。
「ほら、いい子いい子……」
幼子を撫でるように左手が円を描きだす。垂れ流しになったカウパーが亀頭全体に塗されて魂が奪われそうなほどに快楽が強くなる。
腰の奥がぶるぶると震え疼いて止まらない。
「ちょ、初春さん、急すぎ……」
答えは聞いていない。
手のひらだけではなく左手の指が亀頭に絡む。エラにひっかけるように先走り汁を広げていく。
まんべんなく、塗り残しのないように。
敏感な裏筋まで弄られてしまっては堪らない。
肩口が大きく震えて瞬間初春飾利の頭を掴んだ。
ぐい、と股間へと押し込む。
「う、初春……さん……」
乾いたような声。初春は自分が何を求められたのかを瞬時に理解する。
数瞬逡巡した後、興味のほうが勝ったのだろう。恐怖を屈託の笑みで隠して初春が大きく口をあけた。
はむ。
性と無縁に見えたまだ中学一年生の少女にペニスを咥えさせる現状に上条の背徳感が一気に高まった。
竿のほうにまでは流石に含めないものの亀頭部分だけでも温かな口内に包まれてぞくぞくと快感が加速する。
神経がシェイクされそうな甘美感に目の裏側をちかちかさせる。
初春飾利のショートカットの前髪は汗で額に張り付いて乱れていた。
口を動かしてはいないが舌はちろちろと口腔で動いている。
敏感な亀頭を苛めている。
なだらかな肩と細い腕。強調されてもまだ小さな乳房とほんのりと色づいた乳首。
女になりかけた少女が瞳を煌めかせて上条を見上げている。
冷静な観察と暴走する本能。
一瞬、見とれてしまう。
「ぐ……」
尻肉に力を入れて射精を堪えようとするもペニスはますます固くなる一方でその時を待ち望んでいる。
脂汗を浮かべながらも尿道そのものが広がって早く出たいと内側で何かが暴れだした。
右手も、そして左手も竿を扱く。
亀頭は口に含まれたまま鈴口が舌先で刺激される。
もう沸騰しそうだ。
男を容赦なく責めながら視線ははしたなく媚びている。
射精に導きたくて仕方がない。
それはただの興味なのかそれ以上なのか、二人ともそれすらもわからなかった。
「だめだっ! もう出るっ! 出しちまうっ!」
―――どくん、どく、どくどくっ! びゅるんっ! びゅるるっ!
腹筋が硬く硬直しながら塊のような何かが下腹部を駆け抜けた。
同時に脳天からすべてを引きずりだすような濁流がゲル状の液体となって初春飾利という少女の口の中で爆発する。
「――っ!! げほっ、ごほっ!」
思わず口を離す。
口腔を穢されて必死になってむせる。
だが射精は止まらない。
一度起爆してしまえば愉悦が収まるまで射精は止まらない。
二度、三度と白濁の液体が宙を舞った。
それは狙ったかのようにむせている初春飾利の顔面を打つ。
しっとり濡れた額も瞼も頬も、髪の毛すらも白濁に穢されていく。
そして唇の端には第一射の液体が吐き出されてだらしなく顎へと伝った。
「ゃっ……うぅんっ! んぶっ、はぁっ……」
舌に感じる苦みか、鼻腔内いっぱいに広がる生臭さか、そして呼吸器を打ったつらさなのか。
柳眉を寄せてすすり泣くように初春飾利が声を漏らす。
その眦にはうっすらと涙が浮かんでいた。
そんな彼女を上条は心臓の痛みを抱えながらもどこか冷静に眺めている。
上条に見つめられながら初春飾利は小さく痙攣した。
「うう……酷いです、上条さん。喉が痛いし苦いし生臭いです……」
汚れた顔を左手で拭いながら初春が上条を批難する。なんとか片目を開けられるようになった。
呟くような声を出す舌先にはまだ白濁が絡んでいる。
その舌先が卑猥だった。
「……私のことこんなにしておいて、気持ちよくなかったら許しませんから」
甘えるように睨みつけてくる。
派手に射精したことで後ろめたさや情けなさがある上条は素直に頷いた。
「ああ、凄かった……めちゃくちゃ気持ちよかったですよ」
「ふぅん……ならよかったです。正直ものだからご褒美上げますね」
言って、初春が淫蕩に笑った。上条が止める間もなくペニスに口を近づけて口に含む。
大量の射精をしたばかりで萎え始めていた肉塊にくすぐったい感覚がした。
敏感なままの亀頭にねっとりとした舌先が絡む。
ちゅう、と尿道に残っている精液を吸い取る。
ざらついた舌先が亀頭表面を研磨し、皮に包まれようとしていた亀頭を引きずり出す。
「うおっ、初春さんっ!」
無遠慮な仕草に上条が震える。ざわわと背筋に鳥肌が立つ。
荒々しいクリーニングのあと、ちゅるんとペニスが初春飾利の小さな口から解放されると上条当麻は荒い息を吐いた。
下半身は再び硬さを取り戻しているが腰が砕けて無様に座り込んでいる。
初春飾利の位置は変わっていない。
ずっと横になったままだ。余裕なんかどこにもない。
瑞々しい肌に白濁がこびりついて乾燥しはじめていた。そうでありながら珠のような浮かんでいる。
生臭い精液の臭いが部屋に広がっている。
「上条……さん……」
虚ろな視線で初春飾利が上条を見上げる。視線が合うと顔を俯かせてしまうが未練があるのか伏し目がちにちらちらと上条をうかがう。
「気持ち、よかったですよね?」
不安そうな目で確認を取ってくる。瞳がわずかに揺れている。
横になったまま両手がぎゅっと肩を抱いた。
「ああ、すごくよかったよ」
「……ありがとうございます。私も、凄い経験でした」
ぼう、と頬を染めて初春が微笑んだ。
そして、数瞬の後突然立ち上がる。
少しだけ脚がよろめいた。
「私、シャワー浴びてきますね。顔と髪洗ってきます。その間部屋の空気入れ替えておいてください。
……これで終わりじゃないですよね? お尻も綺麗にしてきます。期待してますから」
座ったままの上条を置いて、初春が悪戯っぽく微笑みながら浴室へと脚を進めた。
そんな彼女を見送って上条は大きく息を吐く。
視線が自然と佐天涙子の方を向く。
何事があったのかを知ってか知らずか、彼女は軽い寝息を立てたままだ。
「……不幸、じゃないよな。しっかし末恐ろしいな。涙子の観察力って本当に侮れないな」
ぐい、と背を伸ばす。
股間のせがれも同じように揺れた。
「末恐ろしいのは上条さんもですね。本当に節操無いんだから。美琴にばれたとき本当に殺されるな」
妥当な解釈に上条の眉が下がる。スキンシップ、なんて言葉でごまかせる範囲ではない。
快楽を与えたり与えられたりすれば情もわく。
そして、セックスに関して自分と同じような価値観を持っているとしたらきっと嫉妬に狂うだろう。
つくづくダメな男だと反省する。
(勝手な男だな。最低だ)
自己嫌悪を覚えながらも上条が佐天涙子を見つめる目は優しかった。
「うぅ……精液ってなかなか取れないんですね」
一方の浴室。
シャンプーを使って髪の感触を確かめながら初春飾利は呟いた。
正直、フェラチオまでするつもりはなかった。
第一、キスだってまだなのである。ファーストキスが勃起したペニスなんてシャレにもならない。
だが自分の手で気持ち良くなっている逞しい肉塊に愛おしさを覚えたのは事実だ。
自分に嘘はつけない。
つけないが積極的すぎたと思う。
「うう……これも取材です。取材なんです。いい作品を描くためのものなんです。
おちんちんの熱さや硬さがよくわかったじゃないですか。臭いだってわかったじゃないですか、。
これでフェラチオシーンとか凄くリアルに描けます。あんなに苦いとか生臭いとかむせるとか、孫引きじゃ絶対わかりません」
自分に嘘はつけない。
初春は洗面器いっぱいのお湯を勢いよく頭からかぶる。
濡れた猫のようにぶるぶると頭を振る。
その後、顔を真っ赤にしたまま右手を自分の背中側から臀部へと回した。
狭間のつぼみに触れる。
ローターでは何度も受け入れた場所。
「ここに……あれが入るんでしょうか? 入ったらどんな気持ちなんでしょうか?」
どきどきどき。
心臓が痛いほど高鳴る。
佐天涙子の漫画が上手いのは当然だと思った。
経験は口以上に物を言う。
だが、それはもう切っ掛けに過ぎなくなっていることに初春飾利は気付いていない。
じゅん、と股間が甘く疼いた。
見れば無毛の割れ目がお湯ではないもので濡れている。
先程佐天涙子にローターで責められてあれだけ感じてしまった場所。
佐天涙子が極太ペニスを受け入れて処女をささげてあんなに乱れた場所。
ボーイズラブとは全然関係ない、女の子しか知らない場所。
「う、うう……ダメです、それだけはだめです。こんな、数時間前は考えもしなかったことに流されちゃだめです。
上条さんはいい人ですけど、御坂さんの恋人ですし御坂さんを裏切るような真似はできません」
自分に言い聞かせる初春飾利。
だが、それは時間さえかければいいのだ、裏切りでなければいいのだという解釈だということに気づいていなかった。
そして、その二つの条件を自分なりの理屈でクリアした人間がいる。
彼女は初春飾利の目の前で踊るように乱れた。
親友たる佐天涙子の破瓜と彼女に責められたことを思い出して初春飾利はより一層顔を赤らめてしまうのだった。