物質にはすべからず表面というものがある。  
 表面というのはそれだけで電気的に不安定だ、という理屈もなりたっている。  
 考えてみれば単純な道理だろう。  
 電子結合の手は大抵が反極に存在しており、表面という場所においては内側が結合している以上外側は結晶部分と結合していないというだけだ。  
 わかりやすく言えば内側よりも外側の結合の手のほうが反応性が高い。  
 と、小難しい理屈を並べてみたが上条が目にした事実は実に矮小なものだった。  
 蒸気が浴室の天井にまで登って、冷やされた天井で滴になって重力に引かれて落ちた。それだけである。  
 はっきり言えば結晶云々は関係ない。  
 ただこれだけの話だ。  
 だが、天井に傾斜をつけるなり天井の構成素材を変えるなりしている”高級な”浴室では起こらない現象でもあったりする。  
 湯船につかって、あははん気分を楽しんでいるところに滴が落ちて背筋冷っ!、とならないというそれだけのことなのだがやはり性能の差が存在するのだ。  
 すべての事柄が数値化してしまう学園都市の非情さというには大袈裟に過ぎるが。  
 あれから。  
 とりあえず塗れたいくつかのタオルは洗濯機に放り込んで。  
 疲労しきった二人は休憩の意味も込めて湯船につかることにした。  
 入浴は意外とカロリーを消費する行為でもある。それでも同じ温度で全身を温められるのは心地よいものだ。  
 御坂美琴の購入した入浴剤は瞬時に平凡な浴槽を高級な香りのする泡風呂へと変貌させた。  
 落ち着きを取り戻してみれば泡風呂というのは風呂の中で身体を洗うものであって、だとしたら最初に目隠しをして背中を流した意味は何だろう、と上条は困惑する。  
 騙された、という思いがほんの僅かに心の中に積るも、細い肩越しににこにこ微笑んでいる少女の姿を見るとそんなものは溶けてしまう。  
 上条がゆっくり足を伸ばせるスペースはこの浴槽には無いし、当然二人は狭苦しい思いをしている。いや、狭さを楽しんでいるのだ。  
 上条の脚の間に御坂美琴は背中をむけてちょこんと座って上条の両腕を自分の腹周りに回させて実に幸せそうにしている。  
 柑橘類の香りのする泡が胸元から下を隠していて、頭越しの若干高い位置から彼女を見下ろしている上条は少なからず悔しい思いをしていた。  
 馬鹿である。先程あれだけ好き勝手したのに、もう求め始めている。  
 上条は自分の情けなさに嘆息した。  
 どんなに結合の手が存在しようとも相手側が存在しなければ反応はしない、のが化学の基本だ。  
 指している事象は異なるが純水が摂氏零度では凍らないことと一緒だ。結晶化が起こらないことと一緒だ。  
 そこに衝撃なり核なり「反応の起点」が必要となる。  
 多分、上条当麻と御坂美琴の間には彼彼女たちが理解できないぐらいに反応する条件は揃い過ぎていたのだ。  
 だから、そこにちょっとした衝撃を加えてやるだけで今みたいな過剰すぎる恋愛反応を示す。  
 それが急激過ぎたからまだ二人はお互いの距離をうまくつかめていない。  
 はぁ、と上条は嘆息した。  
「ん? どうしたの、当麻?」  
 先程に比べればいつもの日常を取り戻した、それでもやはり顔の赤い美琴が振り返って上条を見上げる。  
 彼女は心の中で爆発しそうなほど積み上がっている媚熱を隠そうとはしていない。幸せが溢れている表情だ。  
「いや、な。ちょっとがつがつしすぎちゃったかなぁと反省しているところでございますのよ。  
 なんつうかさ、メイクラブとかスキンシップっていうよりも、交尾、みたいなことしちまったなぁって。  
 自分がケダモノすぎて落ち込んでいるところです」  
「変な所にこだわるわね、アンタ。私はすっごく嬉しかったし、今幸せなんだけれども。  
 一生支えてくれるとか、アンタだけのものだとか、言ってくれたし」  
「あー、それなぁ」  
 上条が天を仰いで美琴から視線を外す。外された少女はきょとんとした顔をした。  
 そして、表情に微妙に怒りが混じってくる。  
 
「……アンタ、まさか嘘だったとか言うんじゃないでしょうね?」  
 今にもバチバチ言い始めそうな物言いに上条は泡の風呂から右手を引き抜いて少女の頭にそっと乗せた。  
 ふぅ、と鼻から息を出して少女に再び視線を移す。  
「嘘じゃねぇよ。嘘なんかじゃねぇ。……けどさ、なんつうか、あの言葉はある意味酔っぱらいが大言吐いたようなもんでさ。  
 もっときちんとした形で美琴に言わないと礼を欠くことになるんじゃないかなぁと上条さんは思うのですよ。  
 まだ自分で稼いでるわけでもない俺が、そんなこと言っても所詮言葉だけの遊びにしかなってないなぁって。  
 美琴とは一生の関係でいたいって思ってるし……だから、その、な」  
 年頃のあどけなさと女の色香の二律背反事項を両立させた少女が不思議そうな眼で上条を見つめていた。  
 その頬に上条は右手の親指を這わせた。  
 柔らかく、暖かかった。  
「俺が美琴のことを好きって言葉以外は……保留にさせてくれ。いつか、絶対いつかきちんとした形で言うから」  
 真剣に真摯に上条は言った。  
 嘘はつきたくないと。  
 だが。  
「ばっかじゃないの、アンタ。っていうか馬鹿でしょ」  
 と、少女の言葉は辛辣だった。大事なことなどで二度も言った。  
 結構本気で緊張していた上条はそのそっけない言葉に思わずずっこける。たたらを踏む。いや、座ってはいるけれど。  
「おいおい、美琴たん、そりゃあんまりですよ?」  
 ハリウッド映画の主人公のように歯を見せながら上条は苦笑して見せた。  
 が、美琴は釣られて笑わない。  
 むしろ怒りをあらわにする。   
「あんまりなのはアンタよ。  
 いい? 嫁入り前の、しかも中学生の女の子キズものにしておいて責任取る言葉は後にしてください?  
 っざけてるの? ふざけてるんでしょ。ふざけてるとしか思えないわよ。  
 どーせ、アンタはこれからもどっかの誰かを助けるために向う見ずに命張ったりするのよ。  
 まともな人生なんてできっこないわよ。人並な責任なんて取れるようになれないわよ。  
 こっちはそんなの百も承知で好きなってるんだし、それぐらいの覚悟はあるんだから今更取り下げなんて許しません!」  
 互いに感極まった状態の混じりっ気なしで交わされた言葉は既に美琴の中で宝物になっていた。  
 加速するように胸の中で甘く切なく突き刺さるこんな大切な情熱を今更取り上げるなんて例え上条当麻でも許さない。  
 もちろん、上条が真剣に自分を考えていることは百も承知している。自分で言った通りに知っている。  
 そうだとしても彼女は御坂美琴だった。御坂美琴であることを否定できない。  
 強い意志を持ってまっすぐ自分を睨みつけてくる少女に上条は折れた。  
 結局、結束、勝てる道理などない。  
 視線を逸らした時点で負けは決定しているのだ。  
 男は惚れた女には絶対に勝てないように運命づけられている。  
 ああ、将来絶対尻に敷かれるなと上条は苦笑した。  
「……何が可笑しいのよ」  
 唇を尖らせて美琴が言う。  
 視線は強いまま。だがどこかしら弱さを見せて。  
 どうやら自分の言葉に照れているらしい。  
「うん、美琴たん可愛いなぁって」  
 白い歯を見せて笑いかけると今度は少女のほうが顔を赤くして絶句した。  
「あ、あんた、いきなり何よ?」  
「いきなりでもないんですけどね。うん、やっぱり上条さん一生美琴には勝てないわ、うん」  
 上条の中で出た結論だが、美琴は自分の決心のこめた言葉をはぐらかされたように感じた。  
 そうでありながら馬鹿にされたとは思えない。上条はそんな笑みをしていない。  
 そのことはわかるのだがやはりきちんとした言葉の返答がないと足元がぐらぐらするような不安定さを感じる。  
 少しだけ、不安になった。  
 それが表情に出る。  
 そんな恋人を見て、上条はやはり苦笑した。  
「そうだよな。今更逃げるなんてできねぇよな」  
 右手と左手とで少女の頭を抱える。逃げられないようにする。  
 それは同時に上条から後退という選択肢を奪った。  
 苦しくて切なくなる。百メートルの断崖絶壁から飛び降りるほうがきっと心は楽だろう。  
 それでも、もう決めたことだ。  
 きょとん、とした目で見上げる恋人に上条は告げた。  
 
「結婚、しよっか」  
 へ? と疑問設問困惑混乱の表情。上条の言葉を学園都市最高の頭脳を持つはずの超能力者が理解できなかった。  
 一秒、二秒。  
 じっくりと十秒も数えたころに信じられないとばかりに大きく目を見開いて口元を両手で押さえる。  
 細く華奢な肩が小さく震えていた。  
「え? 結婚!? ええっ!?」  
 信じられない、信じられない。  
 夢じゃないんだろうかと大きく見開かれた瞳が訴えている。  
 嬉しくて、怖くて、自分の耳を疑う。  
 夢じゃない、嘘じゃないと上条は微笑んだ。  
「もちろん、俺も美琴も結婚できる年齢じゃないからまだ先の話だけどさ。  
 本当は責任取れるようになってから言いたい台詞だったんだけど、結果は同じになりそうだし。  
 いくら考えても美琴以外と将来を過ごす自分が想像できないんですよ上条さんは。  
 たぶん、美琴も同じだと思うけど」  
 そこまで言って、上条は少女の頭から両手を離す。そして言葉を続ける。  
「ただ、結婚って好きだからできるとかそういう問題じゃなくってさ。恋愛って二年で途切れるって説もあるよな。  
 情熱的なものがなくなって、お互いのいいところも悪いところも全部わかって、それでも好きでいられるかってすごく大切な問題だと思うのですよ。  
 こういっちゃなんだけど、今は俺も美琴も恋愛に酔っている状況なわけでさ。酔いが醒めても本気で好きでいられるかって不安もある。  
 けど、俺はツンツンしていて感情的でガキっぽさを抱えてて、でも正義感があってまっすぐな美琴のことをずっと好きでいるんだろうなって確信もあったりするんだ」  
 上条は大きく息を吐いた。そして同じぐらいに吸い込んだ。湯の効果ではなく体温が上がっている。  
「結婚しよう。好きだって感情以外の全部は俺が何とかする。何とかして見せるから。だから『はい』か『イエス』で答えろよな」  
 恋人の言葉を御坂美琴は半分も理解していなかった。  
 ただ、本当に真面目に、言葉遊びでもなんでもなくて現実の問題として語って、それでもなお自分と結婚したいと言ってくれている。  
 そのことだけは魂で理解できた。  
 思い返してみれば上条当麻という少年は嘘を吐くことができない。  
 自分の記憶を失ったということに関して嘘を吐き続けたが、逆説的に言えばその嘘を守るために彼はずっと「本当の上条当麻」に嘘を吐かなかった。  
 どこまでも自分に正直だった。  
 自分に正直だからこそ損得というものを考えず自分の正しいと思うことのために戦うことができた。  
 そんな彼が生涯のパートナーとして自分を求めてくれている。  
 こんなに嬉しいことが他にあるだろうか。  
 御坂美琴は文字通り魂が震えるのを感じた。  
「馬鹿っ! そんなのっ! 聞かなくったってっ!」  
「言葉で聞きたいって言ったのは美琴だろ?」  
 どこにでもいるような平凡な少年の、しかし世界でただ一人だけの愛しい人の笑顔。  
 どくん、と心臓が高鳴る。  
「はい、よ! それ以外の答えなんかないわ! 私は! アンタじゃないと駄目なんだからっ!」  
 絶叫のように答える。  
 咆哮ですらあった。  
 魂が肉体を突き動かしていた。  
 しがみついて唇を重ねる。震える両手で必死に抱きつく。ふわふわと浮き上がるような感覚と灼熱のような感情とが入り混じって自分で自分が把握できなくなっていた。  
「んん……ん……」  
 ほろり、と一滴の涙が頬を伝って落ちて、唇が離れる。  
 少女が切なく見上げると少年は輝くように微笑んでいる。  
 どうしようもないぐらいに嬉しくなっていた。  
 この人のものなんだ、という喜びが全身から溢れ出している。  
 身体が求めて止まらない。  
「……今度は、私が、する」  
 二人とも昂ぶっていた。溶け合って一つになってしまいたい。  
 抱きついたとき、上条が既に硬くなっているのは感じていた。  
 美琴も今の言葉でどうしようもなく求めている。  
 
 腰を浮かせて膝で歩み寄って上条の下腹部の上に身体を移動させる。  
 泡の下でよく見えないけれども、硬くなったペニスを掴んで自分の秘裂へとあてがう。  
 熱い亀頭を受け入れようとぐちゅりと音を立てた、気がした。  
 なんでこんな恥ずかしいことができるんだろうと美琴の頭の一部が疑問に思うが、それが当たり前のことなんだと肉体が応えていた。  
「ん……っ!」  
 ゆっくりと腰を下ろすと熱い杭がずるっと胎内に入り込んできた。  
 めちめち、と柔らかい肉を割り開いていく。  
 こつん、と奥の奥に何かが当たった。  
「は、あああああ……」  
 重さと熱さに満たされる。心が充足していく。  
 信じられない。まだ、こんなに好きになれるなんて。  
 がくがくと何かに怯えながら御坂美琴は御坂美琴のまま淫らに愛しい人に微笑んだ。  
「アンタの、入ったよ?」  
「ああ、美琴の気持ちいいところに入った。すっげぇ熱くて、狭くて、最高だよっ!」  
 騎上位だからどうしても自分の体重が一点にかかる。  
 少女の幼い子宮は固いペニスに突き上げられている。  
 まだ上下運動はしていないのにこつんと押されている現状だけで満たされている。  
 だが、先ほど精液の味を覚えた子宮はこんな刺激では物足りないと少女の脳に訴え始めていた。  
 ゆっくりと腰を引き上げる。ずず、と身体から出て行く感触を味わって、そして腰をゆっくりと下ろす。  
 初体験のときも、先ほどの交わりのときも受身でしかなかったため動かし方が良くわからない。  
 あれほど乱れたといえ、やはり経験が少なすぎるのだ。  
 膣肉を熱棒で焙られるような快感と大好きな人を受け入れた満足感があってもそれが動きにつながらない。  
 それでも、拙いながらも腰を上下に動かし始めた。  
「はんっ、あっ、うんっ、ん……」  
 湯船は当然ながらベットのようにスプリングが入っているわけでも柔らかいわけでもない。  
 どうしたって膝が痛くなる。しかし気にならなかった。  
「いや、はんっ! 擦れるっ! こつんこつんって!」  
 動きは浅い。  
 気持ちよさも上条にされるほどではない。  
 それでも美琴は必死だ。  
 上条もまたそんな少女の表情に感動すら覚えていた。  
 茶色の髪が塗れてボリュームをなくし張り付いていて、細い眉が歪んで眉間に小さな皺をつくって。  
 頬を赤く染めながら小さな吐息が唇から漏れて。  
 可憐過ぎて心臓が止まりそうになる。  
 能動的に動きそうになるのを必死に堪えた。  
「ね、ねぇ? 気持ちいいかな? 気持ちよくできているかな?」  
 言葉の表現と裏腹に怒っているような拗ねているような声色で少女が問う。  
 何に憤っているのか美琴自身にもよくわからない。  
 ただ、下腹部がどうしようもなく熱くて、この思いを共有できていないのではないかという恐怖だけがあった。  
「っ! 気持ちいいに決まってるだろうがっ!」  
 若干物足りなくは思っている。  
 しかし肉体的ではなく精神的に上条は満たされていた。  
 あの、御坂美琴が自分から腰を振って上条を喜ばそうとしている。  
 固まりになりそうな程の愛情を見せ付けられて男として嬉しくないわけがない。  
 感無量だった。  
「あ、はンっ、うンっ、よ、良かった……」  
 細かく刻んだ切なげな吐息と共に美琴の表情が柔らかくなった。  
 同時に膣奥から粘りを帯びた愛液が分泌される。  
 そして動きがより一層大きくなった。  
「んはっ! ん、は、はんっ……あん、ああんっ、んっ!」  
「ぐぅ! 美琴の中、なんか急に……!」  
 二人が交わっている場所から電流が流れる。  
 もちろんそれは能力としてのそれではない。  
 女としてのそれと、男としてのそれ。  
 ぞくぞくと背筋が震える感覚と上条の声色に美琴は満足げに微笑んで更に腰の動きを激しくした。  
 
 ―――じゅぼっ、ずぼっ、ずんっ、ずっ!  
 もちろん、音は聞こえない。湯の中の動きは漣と波紋に変換される。そしてそれすらも泡の下で見えない。  
 だとしても二人の脳裏には何もかもを感じていた。  
 ふるふると揺れる小ぶりの乳房。  
 喉の渇きを癒すように上条はむしゃぶりつく。  
「や、はんっ!」  
 甘い嬌声を上げた美琴は塗れてツンツン髪でなくなった少年の頭を抱きかかえて自分の胸に押し付けさえした。  
 つん、と尖った乳首を口の中で転がす。  
 軽く前歯を立てて強く吸う。  
 いつの日かこの乳房を奪われる日が来るんだ、と上条は感じ、まだ生まれていない自分の子供に嫉妬すらした。  
 そして子供を授かるようにと美琴が腰を動かし続ける。  
 もちろん、まだ学生の二人にはそんなことはできない。  
 それは本当に未来の話だ。  
 だとしてもお互いを求めていることは今も未来も関係ない。  
「ああっ、熱いよっ! 当麻のおちんちんっ! すごく熱くていっぱいっ!!」  
 二人はどちらともなく手を握った。  
 指と指とが絡み合う。  
 太い上条の指と細く白魚のような美琴の指。  
 そしていつの間にか上条も腰を動かしていた。  
 ほんの僅かの時間もおかず、二人の動きがシンクロする。それでもピストンというには穏やか過ぎた。  
 果てたい、という気持ちよりも繋がっていたいという気持ちのほうがずっと大きい。  
 再び唇と唇とを寄せ合う。舌と唾液とを交換する。  
「ん……んんっ……大好き、当麻……」  
「んっ……俺も、だ」  
「そんな言葉じゃ、駄目……」  
「……好きだ、愛してる、美琴……」  
「あはっ……嬉しい……」  
 重ねる睦言の最中にも穏やかな上下運動は続けられる。  
 上下運動だけではない。先ほど上条が発見した左右への動きも加わる。  
 石臼を回すように美琴の腰が時計回りに動いた。  
「あ、これ……当たるところ、違うんだ……んんっ」  
「すげぇエロい顔してるぞ、美琴」  
「んんっ、だってぇ……はンっ! 当麻も、えっちな顔、してるよ?」  
 そして。  
 上条が下から少女ごと腰を持ち上げた。  
 二人の交わっている部分が泡の上にまで浮かび上がる。  
 少女の未熟な性器が淫蕩に上条のペニスを頬張る姿が丸見えになった。  
「あ、やだっ! 当麻っ!」  
「見たいんだ。いいだろ?」  
「やだやだっ! 恥ずかしいってばっ!」  
 背中をバスタブにかけて下半身を浮かして、と横から見れば間抜けな姿の上条に御坂美琴は逆らえない。  
 嫌がるそぶりを見せても上条のペニスと少女の秘裂はてらてらと光っていた。  
 不安定な形のまま上条が腰を使う。自然、深くは突き入れられないがその分浅い場所に当たった。  
「んんっ!」  
 御坂美琴が柳眉を歪ませる。甘い嬌声が浴室に響く。  
 唇が歪んで端から唾液が零れた。  
「ここが、いいのか?」  
「ああんっっ!!!」  
 再び、不自然な体勢で上条が腰を動かす。すると美琴はより一層大きな嬌声を上げた。  
 恋人の新しい場所を見つけて上条の唇が歪んだ。図に乗ったのか、何度も何度も同じ動きを繰り返す。  
 そのたびに少女は愛らしい顔を歪ませて快感に喘ぐ。  
 
「や、んんっ! そこばっかりっ! あんっ!」  
 交わる場所でつんと桜色の肉芽が跳ねている。上条は不安定な体勢のまま手を伸ばした。  
「ひゃああんんっっ!!!」  
 親指でくりくりと転がすと圧倒的な快美電流が美琴の身体を駆け巡った。  
「ああんっ! だめだめっ!!! 熱くなっちゃうっ!! そんなの、駄目だってばっ!!」  
 歯の根が浮かび上がるほどの快感に美琴の目の内側で火花が散った。  
 強烈過ぎる愉悦にぴしゃあ、と秘裂から飛沫が迸る。  
「あああっ、やだやだっ! もうおしっこ漏らすのはやなのぉっ!!!」  
 がくがくと全身を震わせながら美琴がぼろぼろと涙を零した。  
 しかし上条は愛撫も挿入もやめない。やめないまま少女に言った。  
「これ、おしっこじゃないぞ。あって、出てる場所違うし。潮ってやつじゃないのか?」  
 言って、間欠泉のように出ている飛沫を手にとって舐める。  
 少女が信じられない、と大きく目を見開いた。  
「うん、おしっこと味違うし」  
「馬鹿馬鹿ばかぁああ!!! 変態変態へんたいっ!!!」  
 その変態が再びクリトリスを弄ると美琴の目の前で火花が散った。  
 ばちばちっ、というそれは現実のもので、上条は慌てて体制を崩して美琴を抱きかかえて右手で頭を抑える。  
 あうあう、と小さく口を動かしている少女を苦笑いで見つめた。  
 羞恥に身を焼く少女は眦に大粒の涙を浮かべながら上条を睨み付けている。  
「あ、アンタがこんなに変態だなんて思ってなかったわよっ!」  
 対面座位で抱き合う形になって、互いの体温の近づく距離で美琴が抗議する。  
 可愛くて抱きしめる腕の力を強くした。  
「嫌いになった?」  
「――っ!!! っざけんなっ! この馬鹿っ! そんなわけがあるかぁー!!!」  
 実に御坂美琴らしく雄々しく吼える。言葉の意味は実に女の子らしいが表現方法が暴力的で一直線。  
 そんなところが可愛くて上条はますます両腕に力を込めた。  
 電撃を飛ばされたって構わないと割り切る。  
「ま、嫌いって言ったってもう逃がさねぇけどな」  
 わざとらしくウインクしてみせると品のないことに美琴の胎内の分身もぴくりと動く。  
 真っ赤になって涙をぼろぼろ零しながらも強い目で上条を睨み付ける少女はお返しとばかりに恋人の大きな背中に両腕を回した。  
 ぷに、と小ぶりな乳房が押し付けられて尖った乳首が胸板を擽る。  
「あ、アンタみたいな変態、私以外の誰が付き合えるって言うのよ!」  
「俺だって美琴じゃなきゃこんなことしねぇよ。一生付き合ってもらうぜ? なんせ、将来のお嫁さんなんだからさ」  
「――!!?? 卑怯なんだってばっ! アンタはっ!」  
 まだ睨み付けている美琴の唇を上条は奪う。美琴も抵抗なく受け入れる。  
 何度も繰り返したのにまだ足りない。唇と唇、舌と舌。互いの粘膜を通して体温を重ねる。  
 抱きしめたまま上条は美琴を抱えた。壁に押し付ける。  
 そして再び。  
 獣のように腰を使い出した。  
 ―――ぱんっ! ぱんぱんっ!  
 空気を押しつぶすような滑稽な音と共に律動をぶつける。  
 痛くないように左手をクッションにしながら右手で乳房を揉み解す。  
 美琴も半分立った形で上条の首に両手を回した。  
「あ、アンタは……この形が好き、なの?」  
「そういうわけじゃないけど、風呂場で出来る、んっ、体位ってそうはないと思うぜ? マットとか、ぐ、買っておこうか?」  
「当麻が……あんっ! したいのなら、んんっ! いいけど……」  
「そう、かっ! 上条さんは、もう風俗とかいけないから、美琴たんに泡踊りとかマットプレイ、やってもらうのも、いいなっ!」  
「あ、アンタは本気で変態かぁーっ!」  
 下らない言葉を重ねるうちにも少女の子宮は降りてきていた。  
 深い密着感と共に子宮に衝撃が反響する。  
 温かい美粘膜はぎゅうと絡み付いて亀頭もカリ首も刺激し、竿を強く扱きたてる。  
 摩擦熱で火がつくのではないか、というほど激しく二人は重なり合った。  
 
「あうぅうっ! あぅんんっ!!」  
 頤を跳ね上げて白い喉を覗かせる。  
 少女の腕に力がこもって身体が押し付けられる。その分上条の興奮も加速する。  
 膣の戦慄きが一層強くなる。きゅうきゅうと射精を促してくる。  
 ―――にゅぷっ、にゅぷっ!  
 白いミルクのような肌が真っ赤に染まっている。上条が丸い尻を掴んで腰を動かす。美琴の左脚が上条の腰に絡んだ。  
 隙間なくペニスを責めてくる膣粘膜は柔らかく狭苦しく甘美に上条の脳を溶かす。  
 まるで無数の舌に舐められているような強烈な膣肉の感覚は痺れるように上条の全身を犯していった。  
 思わず、上条の口元がだらしなく歪む。  
「はあんっ! あんあんっ! や、んんんっ! んむっ!」  
 ―――ぬぶっ、ずずずっ!  
 ペニスが埋め込まれるたびに、肉が捲り上げられるたびに美琴が甘く啼く。愉悦と苦痛とが入り混じったような表情を浮かべながら上条を迎え続ける。  
 可憐で妖艶で、濃厚な瞳が上条を見つめていた。  
「ね、ねぇ?」  
「な、んだよ?」  
「そ、その……して、ほしいの!? そ、その、泡、なんとか、とか、まっとなんとか?」  
「え? そ、そりゃして欲しいけどさ」  
 半分冗談で言った台詞だったが美琴の目は真剣だった。欲情していながらも上条を愛そうとしていた。  
「だ、だったらっ、いい、よ? 私、アンタの望む、んっ、ことだったらっ! 何でもっ! する、からぁっ!」  
 可憐で妖艶で、濃厚な喜びの色を浮かべながら美琴が言う。  
「だってっ! んぅっ! 私だけ、だもんねっ! アンタと、えっちできるの、はっ!」  
 心臓は高鳴っていた。元々昂ぶっていた。  
 しかしこの一言は文字通り上条の心臓を鷲掴みにした。  
 まずい、と心のどこかが訴える。  
 ますます好きになってしまう。  
 でも、それの何がいけないのだと全身の細胞が訴えた。  
 かぁっ、と脳が赤くなる。  
「みことっ!」  
 襲い掛かるように叫んだ。  
 ―――ずぷっ! ずぷっ! ずぷっ!  
 今までよりも大胆に腰をピストンさせて突き上げる。  
 淫蜜が増してペニスが膣内を滑る。強張りをおしゃぶりするように膣口がひくひくと痙攣していた。  
「ずっと、私の、だからね?」  
 甘えた口調に必死さが滲んでいる。  
 溺愛、という言葉が上条の脳裏に浮かんだ。  
 確かに溺れるという感覚に等しい。その感情が膨張するペニスに伝わって少女の胎内にぶちまけたいという欲望を加速させる。  
 愛を伝えたいという思い。  
 欲求を吐き出さずにはいられない。愛情が肉欲に変換されていく。真っ白な、泥沼のような、予感。  
 肩口で揃えられた茶色の髪。  
 整った顔立ちと意志の強い瞳。  
 向こう見ずで喧嘩早くて、時に我儘で、面倒見の良いところもあって、正義感が強くて、それでもやっぱり小さな女の子。  
「――ああ、俺はずっと美琴のものだ――」  
 それが、当たり前に思えたことが嬉しかった。  
 ―――ぬじゅっ! じゅぶじゅぶっ! ぬぽぬぽっ!  
 ぎゅっと抱きついてくる少女。  
 密着される心地よいぬくもりと下半身の爆発しそうな性感。強烈な法悦にすべてが溶かされていく。  
「大好きっ! 大好き、当麻っ!」  
 小さなお尻を抱えて、開かれた性器に打ち込まれるペニス。  
 愉悦に染まりながら幸福そうに美琴が微笑んだ。  
 二人の身体を彩る玉のような汗の一つ一つが交じり合って、それが湯船へと無数に落ちていく。  
 ぶちゅ、と淫液が弾けて上条の太股に飛び散る。腰が打ち付けられるたびに水鉄砲のようにばら撒かれる。  
「美琴……ぐぅっ! すげぇ、気持ちいいっ!」  
 名前を呼んだだけで愛しさが募る。それはまさに狂おしいほど。  
 抱きしめて抱きしめられている喜びに全身が震えた。  
 
「ぁあんっ! 当麻っ! わたしも、きもちいいのっ! もっと、ぐちゃぐちゃにしてぇ! 当麻の色に染め上げてぇえっ!!!」  
 泡立つほど苛烈に腰が打ち込まれる。子宮の入り口を乱暴にノックする。  
 亀頭が吸い付かれるような感覚。  
 吸着するような膣肉の中を動くたびに快感のうねりに飲み込まれていく。  
 このまま昇りつめて、射精したい。  
「んはーっ、はーっ、し、痺れちゃうっ! 痺れちゃうのぉぉおっ!!! な、なんでっ!? 感じすぎちゃうっ!?  
 今日はまだ、二回目なのにっ! 今日だけで、最初のときと全然違うよっ!!!  
 これから、これからずっと、こうなのっ!? ずっと、当麻、私だけのものなのっ!?  
 わたしだけのものなんだからぁあああっっっっつっ!」  
 壁に後頭部を押し付けながら慎ましい胸を上条に押し付ける少女。  
 つん、と小生意気に勃った乳首が一層性感を強くする。  
「ひあっ! 子宮にいっぱいあたってるっ! さっきもいっぱい出されたのにっ!! 今出されたら子宮が当麻のせーし、飲んじゃうよっ!!!  
 で、でも、このままどびゅどびゅってしてっ! 膣内で感じたいのっ!!! 一滴だって漏らさないからぁああっ!!!」  
 茶色の濡れ髪が大きく揺れた。  
 塗れた摩擦音と雄と雌との嬌声とが密室にいやらしく響き渡る。  
 二人の身体から出る汗と猥雑な性臭とが交じり合って空間を世界から切り離して二人だけのものにする。  
 酸素不足のようにくらくらしながら二人は二人だけを求める。  
 ひゃあ、と美琴が情けない声を上げた。  
「いいっ! いいのっ! すごくいいっ! お願い、一緒にっ! 一緒がいいのっ!  
 もう夫婦なんだからっ!! お嫁さんなんだからっ!!!! 一緒じゃないと許さないんだからねっ!!!」  
 ぎゅうう、と肉棒が締め付けられた。  
 反発するようにペニスが膨らむ。存在を訴える。  
 脳内が快楽一色となってきーん、という甲高い音が耳の内側から響いてきた。  
「ぐぅっ! 美琴っ! 出るぞっ!」  
 ―――びゅくっ! びゅるうるっ! どびゅううっ! どくどくっ!!  
 膣の奥深くに打ち込まれた上条のペニスが爆発した。  
 一気呵成に尿道を駆け上がった精液が美琴の卵子を目指して子宮へとぶち撒かれる。  
 ぐわ、と膨らみながら跳ねまくった。  
「い、イくっ! イっちゃうっ! 当麻のせーえきで、わらひ、イくっ! イクイクっ!!! イっちゃうよぉぉぅおっ!!!」  
 少女の唾液がだらしなく飛び散った。  
 泣きそうな顔で天を仰ぐ。  
 扇のように濡れ髪が広がった。  
「ぐ、ぐぅうぅっ――」  
 すべてが子宮に吸い込まれていくような感覚に上条が奥歯を噛む。  
 男のアヘ顔なんて見せられるものじゃない。とくに一番大切な存在には。  
 それでも熱く滑った膣肉がきゅうきゅうと締め付けて精液を搾り取ろうとする感覚に上条はだらしなく呆けてしまう。  
 細かく刻まれるような煽動に掃除機のような吸いだし。  
 一級品の性器に上条のすべてが溶けてしまいそうになる。  
 最後の最後まで貪欲にしゃぶられて、本当に最後の一滴まで御坂美琴の膣内に吐き出した。  
「ひあ、ああっ……」  
 ペニスの脈動にあわせるように全身を痙攣させる美琴。  
 その表情は幸せそうでありながら視線は合っていない。  
 心ははるか大気圏を越えて彷徨っているようだ。  
 上条はそんな美琴を強く抱きしめる。  
 戻ってきたときに不安にならないように。  
 びくびくと背をそらし華奢な身体をぶるぶる震えさせながら淫蜜まみれの膣口がだらだらと二人の交わり液を零している。  
 ぷしゅ、という音と共に上条の陰毛が湿った。  
「やっぱり、感じやすいんだな、お前は」  
 快感の余韻と疲労を全身に感じながら上条は腕の中の少女の塗れて張り付いた前髪を上げてやる。  
 絶頂しながらも疲れきった肉体を上条に預けてくる御坂美琴の甘くて激しい吐息。  
 到底、上条の言葉は届いていない。  
「あー、ちっくしょう、やっぱり可愛いわ」  
 届かないとわかっていながら上条は言葉にして、一人納得して。  
 荒い吐息を繰り返すだけの恋人の可憐な唇を自分のそれで塞いだ。  
 

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