「うーん、相変わらず節操無いサイズなんだけど」
ベットに腰掛けた浜面仕上の股の間に座った黒夜海鳥は何度目かわからない言葉を繰り返して目を丸くする。
数えるのも馬鹿らしいほどこの状況は経験しているはずなのに少しも慣れない。
淫らすぎて単語の方向性がずれているが、新鮮な驚きという言葉が一番近い。
到底人体の一部とは思えないモンスターは両手でも余る程大きくうどんのような血管を浮き出させて黒光りしている。
触れている両手が作り物でペニスが生もので、そうあるはずなのだが黒夜の心象では人造物とそうでないものとの感慨が逆だ。
経験も知識もあっても心象がそうなのだから仕方ない。
肩口で乱暴に揃えていた髪は綺麗に整えられている。
露出の激しい黒衣装にパーカーの頭部部分を被っていた不釣合いさを今の黒夜は持っていない。
三白眼気味の険しい目つきこそ残っているが、険しい顔をしない限り冷たい印象を人には与えない。
僅かなファウンデーションと薄目のアイライン、ピンクに近い色のリップ。シルバーのイルカデザインのイヤリング。
もうシャワーで化粧は落としてしまったけれども、今日一日はそれなりに愛らしい格好をしていたのだ。
小刻みに鼻を動かしながらおずおずとペニスを至極姿はどうにもこうにも絹旗最愛のそれと被る。
ほんと似てるよなぁ、と浜面仕上は女性に奉仕させている時に別の女性のことを考えるという失礼極まりない思考を繰り広げた。
確かに一日中歩いたし少々汗臭かった。
しかしきちんとシャワーは浴びたし身体は隅々まで洗ったのだ。
匂いなんて残っているわけがないのだが、鼻を動かされるとどうしても気になってしまう。
うずうずとむずかゆい。
そう自覚してしまうと勃起がますます固くなった。
「なんかさぁ、ますます固くなってるんだけどぉ。どれだけ変態なのさ、浜ちゃん」
軽蔑がたっぷりこもった視線で上目遣い。
揶揄する口ぶりだが瞳に情欲の炎がちらちらと見えていることに浜面は気づいた。
「で、その変態のちんぽ撫でてるのは変態じゃないのか?」
「変態かもね。でもそれって浜ちゃんの責任だかんね!」
悪戯っぽく、嬉しそうに笑う。
その笑顔に一瞬心奪われて怒張が跳ね上がった。
「ったく、ほんと節操ないなぁ」
口ぶりとは裏腹にねっとりとした視線で黒夜がわんぱくすぎるペニスを見つめる。
そして赤黒く晴れ上がった亀頭に強烈なキスをした。
「どうせ昨日絹旗ちゃんにいっぱい抜いてもらったんでしょ? なのになんでこんなに元気かなぁ。
タマのなかにはたっぷり溜め込んでるっぽいしさぁ」
「そりゃ、な。今日の黒夜はかなり可愛かったから精巣が張り切っちまったんだろ」
エロオヤジそのもののような台詞回し。
だが、可愛いという単語に反応したのか、黒夜が頬を染めて反射的に顔を背ける。
黒夜海鳥は容貌が整っている方ではあるが、外見に気を使う方ではない。
少なくともそうだった。
まともな愛情を受けることもなく暗闇の五月計画の被験者としてモルモットとなり、研究員を殺して追放され、薄暗い路地のドブネズミのように生きて自身の肉体を改造すらした。
そうでなくとも置き去りとして親に裏切られた経験が心に深い傷を残している。
愛される、ということに理解が及ばなかったし、そのために着飾ることに興味を持たなかった。
だが、半ば強引に試着させられてプレゼントされて、女の子らしい可愛い格好で一日デートをして。
生まれて初めてといっていいぐらいに黒夜海鳥の今日はときめいていた。
もちろん、女であることを自覚した日からオシャレに気を使わなかったわけではないけれども。
浜面仕上の手により浜面仕上好みの女に仕立てられることはこれまでと一線を画していたのだ。
そんな今日の一日。
可愛いと何度も言われたが、それでもどうしても嬉しくなってしまう。
それでもそれを正直に表に出すには黒夜海鳥というキャラクターは少々ひねくれ過ぎていた。
だから。
「うっさい、このスケベ。ちんぽビクビクさせながら言われても説得力ないんだよ」
と、誤魔化してしまう。
それでも笑って見下ろしている浜面仕上の態度に、完全に見透かされてるな、と黒夜は自覚した。
でも、それはそれで甘えてしまうのも特権かもしれない。
舌を伸ばして陰嚢の裏側を舐める。
そのまま舌の筋肉で持ち上げるも重さと弾力で舌から滑り落ちる。
それを啜るように唇で引き上げる。
片方の睾丸を口に含んで転がすように舐めしゃぶった。
この中で赤ちゃんの素せっせと作ってるんだなぁ、と妙な感心が湧いた後に黒夜は玉筋を一通り唇で挟み込んで刺激する。
幹自体にはまったく舌は触れていないし、精々指で抑えているだけだが浜面の亀頭がぷく、と膨れて先走りが涙のように尿道口に溜まっていた。
「タマだけでこんなになってるんですけどぉ」
猫のように目を細めて、黒夜は舌を陰嚢から亀頭へとゆっくり動かしていく。
「ぐ、うう……」
赤いナメクジが唾液の痕をつけて裏筋を擽ると浜面は切なそうな顔をして奥歯を噛むしかなかった。
「ほうら、れろれろってしてやってるんだぞ?」
言葉通り陰嚢から亀頭に黒夜は何度も舌を這わす。
尖らせた舌先でオス臭い肉塊に地震の唾液を擦り込んでいく。
その姿は幼い子供が額を親の胸元に擦り付ける姿によく似ていた。
自覚はしていなくてもマーキングと呼ばれる行為。
無意識が自分のものだと主張している。
―――ねろぉ、ちゅる、ちろちろっ、ちゅぱっ……
「うわぁ、なんかスッゲェエロいしクラクラする。女の頭をおかしくする匂いでもしてるのかな?」
怒張をヒクつかせながら浜面が両手でシーツに皺を刻む。
血の気がなくなるほど強く握られた指先、肩口から細かく震える両腕。今にも持ち上げてしまいそうになる腰。
乱暴で自己主張の激しく、それでいて甘え方の知らない少女を己の意思という名目で自分の都合のいいように奉仕させているという構図。
背徳感が背中で蟻走感となりむず痒い思いが浜面の喉を乾かせていた。
「なんだよ、気持ちいいんならオンナノコみたいにアンアン喘いでみせろよ。なに声我慢してんだよ」
最近、オンナノコらしさというものを身につけ始めた黒夜だがサディステックな性格はそう簡単には変わらない。
なにせ、一度責められたら恥ずかしい言葉を何度も言わされているのだ。
抑圧された嗜虐性は蓋を開ければ爆発的に顕れる。
とはいうものの、これはこれで甘えていることには変わりはない。
「あ、のな? こっちにも男の威厳ってやつがあってだな」
「何言ってんだが。負け犬上等人生で開き直りのくせに」
片目をつぶって、口元で笑って。
黒夜が尿道の先端を舐め上げた。
舌を尖らせてほじるように、ぐりぐりと、ちろちろと。
こじ開けるように舌先を回転させると浜面の全身に鮮烈すぎる快感が走った。
―――んちゅ、ちゅべっ、べろべろっ、ねろねろねりゅっ!
心地よい、だが物足りない。
もどかしさを感じるのは積み上がっていくからだ。
海水を飲むに似て、求めれば求めるほど乾いていしまう。
浜面は目の前がちかちかするのを感じた。
足の指が床を掴むほどに曲がる。
我慢汁と唾液が鈴口で混ざり合ってシーツに垂れて染みを作る。
そんな光景を見送りながら浜面はうっ、うっと喉奥で唸った。
「な、なぁ? それもいいんだが黒夜の口の中に入れてくんないか?」
哀れみをこうような情けない陳情に黒夜の瞳にねっとりとした炎が走る。
生殺与奪を完全に握っているという現状が黒夜の性的以外の興奮を高ぶらせて、それがとてつもなく心地よい。
なんだかんだで認めて惚れてしまった男が自分に情けを請うている。
こんなに誇らしいことはなかった。
「にひひひひ。かっわいーこというなぁ。そんなにチュパチュパして欲しいのかな?
まだ中坊の私に大の男がそんな情けないお願いするのかな?」
「ああ……して欲しいんだ。海鳥の可愛い口でチュパチュパしてイかせて欲しいんだよっ!」
上ずる声の懇願に黒夜はにんまりと目を細めた。
そして、かぱぁ……と赤い内側を見せつけるように小さな口を開いて、唇の端に消えない泡を残して。
かぷぅ。
とわざとらしいぐらいに咥えこんだ。
「んむぅ……んぷっ、んん……」
「うっ、おおっ!」
ぴりっ、と浜面がシーツに爪を立てる。
繊維を切り裂くような音がする。
破けなかったのは偶然に過ぎない。
熱い肉で出来た袋にペニスを包まれて、どんという塊のような快感が全身を駆けた。
黒夜の小ぶりで、それでいてぷっくらとした唇。
その内側の高い体温の頬肉。
柔らかで乱暴な舌。
敏感な生殖器で感じて浜面は一気に呼吸が苦しくなるほどに昂った。
「ふぅー、ふぅー、んふぅ……」
一方黒夜はみっともないほど小鼻を膨らませて呼吸を整える。
いくらサイボーグとして心肺機能の強化がなされていても口にこんなに大きなものを咥えさせられては呼吸が苦しくなる。
それでもにっこり微笑んで浜面を見上げ勝気な顔でゆっくりと顔を前後に動かし始めた。
―――んぼっ、ん、んむっ、ちゅぼちゅぼっ、ちゅぶぶっ、じゅぼぼっ!
時々唾液のローションを溢れ出しながら黒夜がちゅぱちゅぱと浜面の亀頭を飲み込む。
ペニスの半分ぐらいまで飲み込んだところで一回動きを止め亀頭の傘の部分をねちっこく舌で責める。
そのまま裏筋に舌を絡ませ、さらには唇で肉竿をしごきつつ時には形のいい歯を立てて痛みを与える。
もちろん、それは快楽のためのスパイスで本格的な苦痛ではない。
しかし僅かな痛みがより一層快楽の輪郭をくっきりと浮かび上がらせ、それが浜面を喜ばせた。
「んむっ、ちゅちゅっ、じゅるっ、んん……」
唾液を飲み込みながら黒夜は舌を動かす。
やはり浜面仕上のペニスは大きすぎて本格的に飲み込むのは難しい。
それでも苦痛には強いと自覚している黒夜は気にも止めないと奉仕を続ける。
「んはっ! ―――はぁ、はぁ。ほら、浜ちゃん、大好きなちゅぱちゅぱは気持ちいいかい?」
流石に苦しくなったのか、黒夜が口を離した。
そして大きく肩で息を付いて、そして自慢げに浜面を言葉で責める。
浜面も言われて変に反抗はしない。
「あ、ああっ! 最高だよ、ううっ……!」
と、素直に情けない顔をして同じく肩で息をついた。
「にひひひ☆ 浜ちゃんったらすんげぇとろけ顔しちゃって、凶悪ちんぽもびっくんびっくんさせててさ。
男のくせにそんな顔しちゃって。こっちも興奮しちゃうんだけどぉ?
もっともっとちんぽ虐めてやんよ。嬉しいだろ、にひひ」
サディステックな光を瞳に浮かべながら、それでも奉仕することが嬉しくてたまらないと笑う。
そして黒夜はもう一度口を大きく開けてペニスを飲み込んだ。
亀頭を吸い上げる。カリ首に巻きつくように舌を這わせる。
尖らせた舌先で何度も尿道口を刺激し、ペニス全体を唾液で潤かせようと舐りまくる。
―――んぼっ、ちゅぶちゅば、ん、ぺろぺろ、れろぉ
熱心というよりも執拗な口腔奉仕に浜面の目は血走ってしまう。
喉の唸りを奥歯で噛み殺し身体を突き破りそうな心臓の鼓動を厚い胸板で抑える。
黒夜はゆっくりと頭を動かしながら唾液まみれの陰嚢を揉みほぐす。
粘性の増した口内でペニスを温めながら頭部全体を性器に見立てて前後させる。
鼻先が浜面の陰毛に埋もれるほど奥にまで飲み込んで唇で強く扱き上げる。
そうこうしているうちに、黒夜海鳥の目が怪しく光った。
愛撫を続けたまま浜面の手をとって、それを自分の後頭部へと誘う。
小鼻をひくひくさせながら誂うような視線で浜面を見上げると浜面は双眸に野卑た色を漂わせる。
「んむっ、ぶむっ、ふむふはふぅん!」
黒夜の後頭部をしっかりと押さえ、腰を突き動かして。
浜面仕上が黒夜海鳥の口内に怒張を付き入れた。
旺盛に腰を叩きつけ、頬肉と喉奥とを犯す。
ずぼすぼと往復する淫水焼けしたペニス。
規格外のそれを嵌められて黒夜は小鼻を思いっきり膨らませて苦しげに息を漏らす。
だがその顔には被虐の快楽の色が強く浮かんでいた。
サディストの顔をしていたのに一瞬でメス奴隷に変わる。
その異様な変貌に浜面は興奮を爆発させる。
「んおっ、おごっ! んぶぅっっ! んぼっ、お、んぐはっ!」
「くうっ! 本当に黒夜は淫乱だなっ! たまらないぞっ!」
うわ言のように漏らしながら快感に浜面は表情を溶かす。
だが腰使いは弛緩した顔とは違い乱暴そのものでケダモノのように凶悪。
黒夜の口に性具でもあるかのような容赦ないピストンを加える。
―――じゅるるっ、じゅりゅりゅ、ちゅむ、ちゅるりゅっ!
だが黒夜は苦しがるどころか、もっともっととおねだりをするように浜面の怒張を強烈に吸い上げて締め上げる。
その右手はいつのまにか自分の股間へと運ばれていてねちゃねちゃとよく響く粘着音をかき鳴らしている。
乱暴に扱われて興奮を高めているのだ。
―――んもぅっ! ふん、ふんっ! ぶ、ふぐっ! ぶむっ! じゅるむむっ!
幼い膣口からメスの香りを振りまきながら黒夜は浜面のピストン運動を口で受け入れる。
突き込みに合わせて喉奥まで亀頭を受け入れ、引き抜きに抵抗するように真空になれとばかりに吸引する。
黒夜の浅ましいほど貪欲な口奉仕は膣穴に勝るとも劣らない快楽を浜面に与えていた。
あっという間に限界が近づいてくる。
「おおっ! く、もう出そうだっ! いいんか、このままでっ!」
浜面の震える絶叫を聞きながら黒夜は唇を突き出して甘く鼻息を鳴らす。
口内で収まりきらなくなった唾液の一部が鼻から溢れ出ていて間抜けな顔になっていた。
だが、
―――じゅるるっ! ジュルジュルジュルっ! ちゅぶちゅぶちゅぼっ!
そんなことは関係ないとばかりに強く吸い込む。
ペニスが根元から引きちぎられそうなほどの強いバキューム。
その圧倒的な快楽に浜面仕上は太刀打ちできなかった。
「あ、おおっ! 出すぞっ! 出すからなっ!」
「んぶぅっ! ん、む、おぷっ、ごふ、げふっ!」
―――どばっ びゅるるっ! びゅ、どぶどぶっ! どくっ! びゅるるっ!
ペニスが先端から崩壊する。
神の雷に触れ崩れ落ちたバベルの塔の如く。
高く高く積み上げられたが故にその崩壊は大きい。
そして、浜面の快楽と共に爆弾のような射精を口内で受けて、黒夜海鳥が目を回す。
あまりにも息苦しさに一瞬目が白く回った。
それでも決壊は強烈に行われ、しかも無意識のうちに浜面が腰を突き入れていて、一番苦しい場所に子種の弾丸が打ち込まれる。
そうだとしても黒夜は口を離そうとはしなかった。
鼻の穴に濃厚な精液を逆流させながらも射精させた、という女の絶頂にとろけた呻き声を上げる。
―――じゅるる、んぐぐ、じゅぞぞぞっ!
そしてとろろ芋でも食すかのように雄の汚濁をすすり上げ胃に落としていく。
黒夜が喉をこくこくと動かすたびに飲みきれなかったザーメンがじわりと逆流した。
白い鼻水を垂らしているような頓狂な顔。
その顔をしながら無意識のうちに股間の手の動きを早めぴちゃぴちゃという水音を強くしていく。
快楽に灼熱した頭で浜面はその音を聞いた。
理解する。
溺れそうになりながら黒夜海鳥は絶頂しているのだ、と。
それは知恵なのか浅ましさなのか。
そんなことを考えている余裕なんてなかった。
―――じゅぞぞぞっ、じゅるるるっ! んちゅうううっ!
「お、おおう?」
今度頓狂な顔をしたのは浜面の方だ。
口内奉仕で達したばかりのペニスを強く吸われる。
尿道に残った残滓を吸い出さんというバキューム。
射精したばかりの敏感な性器にはそれは強すぎる刺激だった。
だが半ば意識を失っている黒夜はそんな浜面の都合なんて関係ない。
ただただ本能の赴くままに搾り切れなかったそれを何度も何度も吸い上げる。
白濁の鼻水をすすりながら、ふうふうと荒い息を繰り返しながら、そして真っ白になった頭で呆れるぐらいに何度も何度も繰り返す。
ペニスの表面に白い滑りを一切残さないように。
「んちゅうううっ、ん、ん―――んはぁっ!」
ちゅぽん、と間の抜けた音と共にペニスが漸く解放された。
瞳に意識が戻ってきた黒夜海鳥が自分が何をしたのかを、目の前の肉塊をぼんやりと見つめながら理解する。
最後の最後、半ば奇襲のような奉仕から解放された浜面仕上は快楽で流した大粒の汗を全身に纏ったまま。
前かがみになるように呆然としたままの黒い小鳥を両腕で包み込んだ。
けふ、という生臭いゲップの音と共に視線が整い始めた黒夜が抱きしめている浜面に言った。
「えっと、その、ごちそうさま?」
あまりにも馬鹿げた言葉に浜面は強く抱きしめて引き寄せながら大声で笑った。