「お待たせ。それじゃあ始めるぞ、いいな?」
「……仰せのままに」
深夜のある国、とある牢獄。個室として区切られているはずのその一つから、男と女の二人の声が狭い壁に反響している。
人影は女しか無く、男の声には古ぼけた雑音が混じっている。
「さて、ここで問題です。俺の右手は今何をしているかな?」
「はい、私の……んっ、胸を、揉み……ぁん、ぅ」
数分後。笑いを含んだ男の声に、艶の混じった喘ぎを漏らしながら息も絶え絶えに女が答えている。
「よく出来ました。しっかし、ついこの間の頃より絶対大きくなってるよなあ……まさか、他の誰かに揉ませてないだろうな?」
「違っー、ふぁ、ああぁっ」
床に直に置かれた、ラジオに似たアンテナを立てる無線機器。男の声はそのスピーカーから漏れ出ている。
それを傍らに置いて、つい先程全ての服を脱ぎ捨てた女は身を委ねていた。
……自らの手が織り成す、乱暴な愛撫に……。