「先生、今度の土曜日映画行きませんか? トムクルーズとキャメロンディアズのヤツ。」  
「えっ、あれもう終ってない?」  
「夜遅くの回まだやってるんです、俺あれ観たいんですよ映画館で。」  
「ふ〜ん。」(まあ、私も観てみたいかも・・)  
「付き合ってあげてもいいけど、夜は何かご馳走してくれるんでしょうね。」  
「・・もちろんですっ!・・何が食べたいですか?鍋なんてどうです?  
いやっ、ちょっと重いか・・・。」  
(可愛い・・映画くらいでハシャいでる・・)といいつつ、私も笑みがこぼれる。  
 
あのキスから、何週間も過ぎて・・・私達は元の同僚に戻りつつある。  
先に踏み出せないまま、時だけが経ってしまった。  
私が仕事以外で二人になるのをなるべく避けていたから・・・。  
大好きな仕事、事務所の皆や田村とのとっても心地良い今の関係。  
二人が付き合い始めて、もしそれが壊れるような事になったらヤダ・・。  
 
でもこれは、これでいいか・・・。映画なら友達同士って感じで行けるし。  
そんな風に都合良く考えてた。  
 
映画館に着いて、チケットを買う。  
「俺、いつも一番後ろが好きなんです。いいですか?」  
「別に、良いわよ。」深く考えずに答えた。  
土曜の夜9時過ぎ、館内はカップルがパラパラといる程度。  
まあ、ピーク過ぎたらこんなもんよね。   
照明が暗くなって、予告が始まる・・。  
「やっと始まりますねっ!」田村が耳元でささやく  
なんだかんだ云っても、私も楽しくなってくる・・・。  
 
映画が始まって間もなく・・田村が肩に手を廻して来た・・。  
(・・・えっ?・・・)  
田村らしからぬ大胆な行動に戸惑いつつ、振り払うのも大人気ない気がしてそのままにする・・。  
 
セーター越しに、暖かい大きな手のぬくもりを感じて胸の鼓動が早くなってきた。  
(・・だめっ、やっぱり映画に集中できないっ・・。)  
睨みつけるように田村の方を見て私は息が止まる。  
・・・彼はスクリーンじゃなくて私を見つめていた・・。  
その大きな目は・・・獲物を狙う雄のようだ。  
(なっ、何?・・・何なの?)  
咄嗟に目をそらして スクリーンに顔を戻すけどもう映画どころじゃない。  
・・・彼の顔が・・目の前に近づいてきて・・キスをされた  
(・・・!!!・・・・)  
「んっ!・・何すんのよっ・・」  
席を立とうとして、肩に置いた手でグッと押さえ込まれる。  
「田村っ・・・離してっ!」  
小声で抗議しても  
「静かにしてないと、みんなに気付かれちゃいますよ。」  
そう言いながら、また唇を塞がれる。  
「んっ.....ん〜っ。」(最初からこの為に?)  
 
執拗なキスに苦しくなり、小さく開けた口からすばやく舌を割り入れてきた。  
私の舌を逃がさないかのように、絡めてくる。  
くちゅっとした粘着系の音が響く。  
ようやく田村が顔を離して、でも私の体をしっかりと抱き締める  
「たむら...?」  
「先生...俺もう...限界なんです。」  
「ずっと、平気なフリして..同僚みたいに...でも..もう...。」  
耳元でささやきながら、甘噛みされて...それだけで顔が火照ってくるのが解る  
「田村...とりあえず...ここ出よう...ねっ?」  
彼の唇は、首筋をさまよってキスしたり、嘗め上げてきたり。  
「イヤです....先生...逃げちゃうでしょ。」  
 
彼の手が、セーターの下から胸元へ上がって来て、その大きな手で優しく  
胸を揉み上げられる  
「あんっ...はぁっ...」  
「んっ..!」  
乳首をつままれて体がびくんと反応してしまい 声を抑えるのがやっと  
「...先生...カワイイ....敏感ですね..」  
興奮したように私の唇を塞いでくる。   
男の人から、こんな愛撫を受けるのはどれくらい久し振りだろう。  
(どうしよう...もう...何も考えられない...)  
徐々に彼の手が下に..膝からスカートの中へ這ってきた・・  
(あっそこは...だめぇっ...!)  
膝を閉じて彼の手を拒もうとしても、私の足に自分の足を絡めて  
無理やり開かせる。もう逃がさないというように体を押さえ込まれて  
(誰か助けてっ!)  
只でさえ少ない他の人は、映画に夢中  
時折軋む椅子の音も映画にかき消されていく...  
 
 
 
自分でも、こんな事までするつもりはなかった。  
 
でも事務所で鈴のような笑い声を皆に聞かせたり、  
クライアントの相談に真摯にアドバイスしている姿や  
何事もなかったように、俺と仕事の打ち合わせをする彼女を見ていたら  
無性にやりきれなくなってきた。  
...俺の事は、どうでもいいんですか?  
先生の気持ちを、どうしても確かめたくなった。  
 
先生の小さな口元から漏れる吐息と微かな喘ぎ声を聞いたら  
もう止まらなくなってしまった。  
先生の膝の間から、太腿に手を差し入れる  
暖かくて、柔らかい感触に包みこまれた。  
「たむらぁ....お願い....ホントに...もうやめてぇ...。」  
か細い声に、むしろそそられるのを気付いていない。  
更に、奥に手をずらしていくと・・・先生が声を出さないように  
一文字に口を結ぶ。その目は、涙でうるんで必死に俺に訴えている。  
 
....たまらない....もっと先生を困らせたい。  
 
ストッキングの上から下着をそっとなぞると  
そこはもう濡れていた....。  
先生が、俺の肩に顔を埋めてイヤイヤをした。  
前髪が俺の顎に..甘い匂いがする。  
彼女の唇を奪いながらストッキングを一気に下げた。  
先生が体をのけぞらせるのを押さえ込み、下着の間に手を入れた。  
「ん----っ!」口を塞がれいる彼女は 腰を引こうとするけど  
俺は逃がさない。  
長い睫が、涙に濡れて震えていた。  
 
 
 
 
 

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