一人の死刑囚が獄死し、荼毘にふされた。  
その死刑囚の名は浅倉禄郎。優秀な検事だったが、後に凶悪な殺人鬼として恐れられた人 
物。  
浅倉の人生は血と狂気と、哀しみ、そしてわずかな幸せに彩られていた。  
娼婦の子として生まれ、母に歪んだ思いを抱いていた子供時代。幼い浅倉が学校から帰る 
と、母が見も知らぬ男と体を重ねている。  
そんなのは見慣れた光景であった。  
浅倉の母はある時彼に言った。 
「禄郎ちゃん、今日からお薬を飲みなさい。気持ちの落ち着くいいお薬よ」 
母が与えた糖衣錠を浅倉は素直に飲み続けた。それが自分の体を変えてしまうとも知らず 
に。 
思春期を迎えると、浅倉の体に普通の男の子とは明らかに違う変化が現れた。 
月経こそ起こらなかったが、胸が膨らんで逸物がしぼみ、女の体になってしまったのだ。  
冷たい美しさをたたえた女に変貌した浅倉が、母の客の男に体を奪われるのは一度や二度 
ではなかった。  
「俺は男だ!母さんと違う!」と声を張り上げて抵抗しても、客の男は浅倉の体を貪るこ 
とを止めない。自分は男だと認識していても、体は女として反応し、好きでもない男のい 
きり立ったものを咥え、放出される精を呑み込む。 
行為の度に心身を引き裂かれるような思いが浅倉を支配したが、我慢すればきっといいこ 
とがあると思って耐えた。  
浅倉は自分の体の変化を人に悟られることを嫌い、外出する時には胸にさらしを巻きつけ 
て膨らみを隠し、言動や服装も男らしく見えるようにした。そして母を手にかけることで 
過去を断ち切ろうとした。母はもう自分を認めることも愛することもないと、諦めたのだ。  
苦しみに耐え続けた浅倉だったが、学生生活の中で親友とも言うべき存在にめぐり合った。  
亀山薫である。亀山は浅倉を頭が良く頼りになる奴だと思って一目置いていたし、浅倉も 
陽気で正義感の強い亀山に憧れていた。  
そしてその憧れは浅倉を危うい行動へと駆り立てる。 
ある夜、浅倉は大学の男子寮で眠っている亀山を起こし、外に呼び出した。 
「ふぁぁ、浅倉、こんな夜中に何の用だ?」 
亀山はあくびをすると浅倉に聞いた。 
「たいした用じゃないんだが・・・」 
浅倉は亀山に抱きついて強引に唇を奪うと、亀山の股間に手を伸ばす。 
「何するんだ、お前はホモか?」 
「自分でもよくわからない。ただ、亀山のことが好きでたまらないんだよ」 
そういう浅倉の手がズボンごしに亀山の逸物を強く刺激する。 
「手、放せよ」 
何度もこすられ、握られるうちに、亀山の逸物が彼の意思に反して充血し、膨らんできた。 
(これだけ大きくなればできるだろ) 
浅倉は心の中で呟くと着ていたジャケットとシャツを脱ぎ捨て、胸に巻きつけていたさら 
しを取る。 
「亀山、俺の胸に触ってみろよ」 
「お前の胸がどうかしたのか?」 
亀山は戸惑いながら浅倉の胸に触れた。男のそれとは思えない柔らかな感触が亀山を驚か 
せ、同時に欲情させる。 
「浅倉・・・」 
「俺は普通の男じゃない。頭ん中は男だが、体は女だ。生まれつきこうだった訳じゃない 
けどな」 
辺りが暗いので亀山にはよく見えないが、そう語る浅倉の表情は悲しげだ。 
「お前のことが好きだから、こんなことまで話してやるんだ。なあ亀山、俺のこと変だと 
思ったか?」 
「変だなんて思っちゃいねえよ、驚いたけど。それに、俺もお前のこと嫌いじゃないぜ」 
浅倉の問いに明るい口調で答える亀山。 
「そうか、嫌いじゃないのか」 
浅倉は亀山のズボンと下着を一気に下ろすと、膨張している亀山の逸物にしゃぶりついた。 
「おい、やめてくれよ。そんな所」 
浅倉の口腔の温もりや舌使い、そして時々亀山の逸物に浅倉の歯が当たる感覚が亀山を昂 
ぶらせてゆく。自分の手や指では決して得られない快感と、友人に恥部を刺激される恥ず 
かしさで亀山の顔が上気する。 
「ああ、恥ずかしいけど、すっげえ気持ちいい・・・!」 
「うっ、んぐっ」 
浅倉は絶頂に達した亀山が出した精を飲み下した。亀山の精はわずかに粘り気を持ってい 
て苦かったが、それを飲むことは浅倉にとっては苦痛ではなかった。 
この真夜中の逢瀬の後、二人は単なる友人の関係に戻ったが、浅倉の亀山への思いは、絶 
えず胸の中で燃えていた。  
良き友と過ごした日々は、浅倉の短い蜜月だった。しかし、亀山にある女の影がちらつく 
ようになってから、浅倉は亀山に愛される資格はないと思うようになった。  
亀山と親しくなりつつある女は、浅倉とは何もかも違っていた。  
その女・・・美和子は快活で勇敢で、常に自信を持って前向きに生きていた。  
亀山には、自分なんかより美和子のような女が似合っている。そう思った浅倉は、亀山へ 
の恋にも似た想いを断ち切り、友人として彼と付き合うことを選んだ。  
(亀山・・・美和子さんと幸せになってくれ!)  
浅倉は陰ながら、二人の幸せを祈った。  
それから数年後。浅倉は検事として、亀山は刑事として、美和子は新聞記者としての道を 
歩み始めた。  
しかし平穏な時はあっけなく破られた。浅倉自身が破ったのである。  
浅倉は刃物を手に罪無き女たちを切り裂いた。女の体に男根の代わりに凶刃を入れ、オー 
ガズムの嬌声の代わりに断末魔の悲鳴をあげさせる。優秀な検事だった浅倉は今や存在し 
ない。  
狂気に蝕まれ、血に染まった浅倉は切り裂きジャックにもたとえられ、世間を震撼させる 
存在となった。  
しかし、浅倉の中にわずかに残る良心が、浅倉に囁くようになった。  
「誰カ、オレヲ止メテクレ、オレヲ助ケテクレ」  
浅倉はついに逮捕され、容疑者と刑事という形で亀山と再会した。不幸な形での再会だっ 
たかもしれないが、浅倉は友との再会に安堵した。  
やがて浅倉は法の裁きを受け、死刑を宣告された。しかし浅倉は監獄を抜け出した。  
一度は法の世界に身を置いた者として、法に殺されることには耐えられなかったのだろう 
か?  
牢獄を抜け出してからの空白の日々。その間に浅倉は心を失ってしまった。狂気も、良心 
も、事件の記憶さえも。  
再び監獄に連れ戻され、処刑の日を待つ身となった浅倉。  
数名の刑務官が浅倉の独房に入ってきた。彼らは抜け殻のようになった浅倉に罪の記憶が 
戻らないことに腹を立て、浅倉を嬲った。  
足蹴にし、屈辱的な言葉を投げつけ、怯えた目をした浅倉を嘲笑する。  
 
そのとき一人の中年の刑務官が下品な笑みを浮かべながら言った。  
「こいつ犯っちまおうぜ。女を散々いたぶってズタズタにしてきた奴なんだ、無理矢理犯 
ったって  
バチはあたんねえだろうよ」  
「いいですねえ、俺も最近ご無沙汰だったことだし、手伝いますよ」  
もう一人の刑務官が浅倉を押さえつけた。  
浅倉の顔に恐怖の表情が宿る。本能的な恐怖の感情が戻ったようだ。  
「暴れるなよ。お前が抵抗なんかしたら、囚人に暴力振るったとか言われて俺らが叩かれ 
る。  
この中の様子は監視カメラで撮られてるんだよ」  
そう言いながら中年の刑務官が浅倉の囚人服を脱がせる。  
浅倉の肌が露わになった。ほっそりとした体に柔らかく膨らんだ胸が刑務官たちの欲情を 
煽る。  
中年の刑務官の体が浅倉の脚の間に割って入り、中年の刑務官の硬く、大きくなった逸物 
が浅倉の体内に入ってきた。  
「ぎゃああ、ああ、やめろ・・・・!私から、離れろ!!」  
中年の刑務官に体を貫かれ、浅倉が叫ぶ。  
「いい格好だな、凶悪殺人犯の浅倉!男にぶち込まれるのは女に刃物をぶち込んで殺した 
罰だ!」  
浅倉を押さえつけている刑務官が浅倉の耳元で言う。  
「私が、殺した?」  
そう聞く浅倉の顔に、かつての鋭い狂気は感じられない。  
「そうだ、てめえが殺したんだよ。それにしてもいやらしい奴だ。さっきはあんなに叫ん 
でたのに、もう濡れてやがる。  
さすがは淫売のガキだな」  
どれほど恐怖や不快を感じていても、生理的な快感が襲ってくる。  
「嫌、嫌!私は・・・・」  
浅倉は中年の刑務官の精が自分の中に流れ込んでくるのを感じ取ると、そのまま意識を手 
放した。  
「人殺しは自分もやがて殺される。まあ、執行の日を待つんだな」  
刑務官たちは独房を出ていった。  
浅倉が死刑執行を待たずして命を落としたのはその数日後のことである。  
死ぬ瞬間、浅倉は面会に来た一人の男が叫んでいたのを思い出した。  
自分のことだけ思い出せと。  
叫んでいた男がかつての友人である亀山だったことは思い出せなかったが、その声には確 
かに聞き覚えがあった。 

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