「ワリィな、んな時間に呼び出しちまって」
「いや…。それで話とは何だ?」
04の体調が回復するまでの間、ルミナたちとは再び別行動を取る羅たち。
小さな村での静養もしばらくが過ぎ、すでに04も体力も大分回復していた。
そんなある日の夜の事だった。
羅は高麗には秘密で、04を村の外れに呼び付けたのだった。
「お前はだな…、高麗のことをどう思ってんだ?」
「?」
どこかビクビクしながら尋ねる羅を、04は少し不思議に感じた。
だが、04はさして気にすることもなく…。
「そうだな…」
天井を仰いで目を瞑り、高麗のことを思い返す。
「今の私がこうしていられるのは高麗のお陰だ。だがそれは、お前にも言えることだ。」
04にじっと顔を見つめられて言われ、羅は少し頬を赤らめた。
「そ、そうか…。なはは…」
「それがどうかしたのか?」
まゆ一つ動かさない04の真っすぐな視線が羅の邪まな心に突き刺さる。
「いや、じ、実はだな…」
頭を掻きながら、顔をあっちこっちに向けて照れ出す羅。
「お、俺様の女にならんか…?」
「お前の女?」
表情を全く変えることなくオウム返しに尋ねる04。
「何故だ?」
「な、何故だって言われてもだな…」
これまで女性に縁のなかった羅には、
とても「ヤりたいから」などとは言えない。
「高麗にはシエルがいるわけでだな…」
「高麗はシエルが好きなのか?」
初めて04が、ちょっと驚いたような表情を見せた。
「そ、そうだ。だから、お前は俺様と一緒になればそれぞれカップル成立というわけだ」
「…」
再び04は真顔になって、表情からは感情を読み取れない。
「お前が俺様の女になれば、お前は高麗の義理の姉ということにもなるしだな…」
「ほぉ、高麗の姉か…」
羅には04の口元が少し緩んだように見えた。
「どうだ…?」
おずおずと尋ねる羅に、04はキッと向き直って言った。
「分かった。私はお前の女となろう」
「マ、マジでか!? 本当に良いのか!?」
いともアッサリと04がOKしたことが、口説いた羅自身にも信じられなかった。
「いずれは私は高麗と…と考えたこともあったのだが、高麗にはシエルがいるのでは仕方がない。」
やっぱり表情を変える事なく、淡々と答える04。
「それに、お前には高麗同様に世話になったしな。お前にも好意は持っている」
「な、なにぃ!?」
好きと言われたわけでもないのだが、女性に縁のなかった羅にとっては、
好意を抱かれていた事自体も初めてであったため、羅は思わず叫んでしまったのだが…。
「シエルと同じくらいにな」
ガクッ、と前につんのめってしまいそうになる羅。
「そ、それで俺様の女になるという話は…」
「お前こそ、本当に私などで良いのか?」
「は?」
「…何でもない。お前たち兄弟は変わっているな」
ハテナ顔の羅を見つめながら、04の表情に笑みが浮かんだ。
その04の笑顔を目の前にして、羅は思わず赤面してしまう。
(も、萌えるじゃねぇか…)
羅は当初の目的を果たさんと、性的欲求が頭を擡げ始めた。
「ん?」
「わわっ!! な、何でもねぇ!!」
04が何も言って無いにもかかわらず、羅は04の表情が元に戻ったことで、
スケベな内心が悟られてしまったのかと、つい謝ってしまう。
「とにかく、お前が私を望むというのであれば、私は拒否をするつもりはない。」
04は、そうはっきりと言った。
「…ゴクッ」
それに対して、羅は思わず息を飲んだ。
(れ、04が…俺様の女に…)
羅の脳裏に様々なスケベ妄想が走馬灯のようによぎる。
(俺様は04に何やっても良いってことだよな…)
「どうした? よだれなど流して」
「はっ!?」
04に指摘されて、羅は現実を取り戻し、袖でよだれを拭った。
「それではこの事を高麗に知らせてくる。」
「ま、待て04!!」
羅に背を向けて宿に向かおうとした04の腕を、羅は掴んだ。