地上でめでたく結ばれたルミナとチェルシー。
だが、毎夜のごとく夫婦生活を続けているにもかかわらず、
一向に子どもが出来る気配がないのが三年も続いていた。
所謂、不妊症夫婦である。
二人が病院で診察を受けた結果、ルミナの精子が一般男性よりも少ないことが発覚。
どうしても子どもが欲しい二人は不妊治療、つまり人工授精により子どもを産むことを決心した。
「すまねぇな、金髪。俺の身体が変だったばかりに・・・。」
「ちょっと、何言ってんのよ。別にアンタが悪いってワケじゃないんだし。」
卵子の採取を終えて処置室から出てきたチェルシーをルミナは出迎えた。
「浅葱さーん、浅葱ルミナさーん。」
「あっ、ちょっと行って来るわ。」
ルミナは看護士の方へ向かった。
「浅葱さん。精子の採取をいつものようにお願いしますね。」
「・・・。」
看護士から検尿をするときと同じ紙コップを渡されるルミナ。
手間のかかる卵子の採取とは異なり、精子の採取は自慰によってなされるのだ。
「んじゃ、金髪。ロビーで待っててくれよな。」
チェルシーの方を振り返り、笑顔でルミナは男性用トイレに向かった。
だがチェルシーには、その背中は虚しさで一杯に見えた。