「この新入りの女、初めてだったみたいだな。」
薄汚れた白衣を来た男が黄色い歯を見せながら、
周囲にいる白衣の男たちに聞こえるようにそう言った。
猿轡をされ、ベッドに手足を拘束された私は何の抵抗もできず、
破瓜の痛みに耐えながら、私の股の間で腰を打ち付けて来るこの男を、
ただ、目に涙を浮かべながら憎しみの目で睨つけることしかできなかった。
「たまんねぇ、こりゃ最高だ!!」
ここは「能力」を開発するために設立された研究施設。
私のような「能力」の素質のある者が世界各地から集められ、
日々、研究者たちから実験動物と同様の扱いを受けていた。
だが上層部の意志とは別に、私達は更なる境遇に置かれていた。
「おい、早く代われ。後がつっかえてんだからよ。」
ここに連れてこられるのは年頃の少年少女が大半であった。
少女たちは女に飢えた研究者たちの格好の餌食となっていたのだ。
それは私とて、例外ではなかった。
「あせんなって。んじゃ、出すぜ…。」
「んんっ!!」
頭の中で「妊娠」の二文字が浮かんだ。
私は身体をバタバタさせて精一杯の抵抗をして見せた。
「もう遅いってのっ!!」
「んーっ!!」
最後に男の腰が勢いよく私の奥を突き、男はそこで射精をした。
ドクドクと私の中で爆ぜるそれが、まるで現実感のないもののように感じられた。
意識が朦朧とする中、次の男が再び私の身体に覆いかぶさった…。
「はっ…!?」
私は思わず飛び起きた。
周囲を見回して、さっきのが夢であったのだと認識する。
私の横には、私と同じく生まれたままの姿で眠る華秦の姿があった。
夢だとしても、あれは紛れもない忌まわしい私の過去だ。
華秦との交わりで得られた幸福感も、今の夢で冷めてしまった。
私は再びベッドに横になり、華秦の胸に頭を押し付けた。
「怖い夢でも見たのか?」
思いも拠らなかった声が頭の上で響いた。
「ゴメン、起こしちゃった?」
私が顔を上げると、華秦が優しくほほ笑んでいた。
「いや、もう起きようと思っていたところさ。みんなに知られるの、嫌なんだろ?」
華秦と私がこういう関係なのは、赤たちにはまだ知られてはいないことだ。
だが私はもう少し、この肌の温もりを感じていたかった。
「お願い、もう一回だけ…。」
以前の私では考えられないようなことを私は哀願した。
「昨日あれだけしたって言うのに…。チェルシーって相当なスケベだったんだな。」
「ちょ、ちょっと…。そうさせたのは…アンタじゃないのよ…。」
焦って弁解する私に、華秦はウインクして。
「じゃあ、あと一回だけだぜ。」
「…うん。」
私は華秦の腕の中に包まれ、再び彼を受け入れるのだった。