アンダーグラウンドの崩壊  
ロンはルリによって目覚め、俺たちは何とか命がけでロンを封じた。  
しかし、金髪は俺を庇って命を落とした。そして、ロンの中から助け出したルリは、自分の命と引き換えに金髪を助けた。ルリの言葉は今でも脳裏にこびり付いている。  
「生きていればきっと又、逢える」  
金髪が息を吹き返すのと同時にルリは息を引き取った。金髪は激しいショックを受け、涙ながらにどうして止めなかったと俺たちを責めた。俺たちは何も言えなかった。特に俺は。  
 
 
あれから3年が過ぎた。地下世界はあれから独立した国として地上の政府に認可された。  
今じゃ地上と地下の往復も可能だ。ちなみに公司はトップが代わり赤とスイジュンが支えている。雷チビやロールパン頭や尻尾頭は今でも地下に残り、公司の幹部として働いている。  
時折、観光がてら(尻尾頭はなんのかんの理由を作ってだが)遊びにやってくる。  
俺と銀は地上に戻り、高校を卒業した。銀之助は大学に進学したが、俺は勉強が大嫌いだったので就職する事にした。  
一念発起で警察官の試験を受けてみた。もとからそういう仕事に憧れも在ったし、今は不安定な時期で就職もロクなとこが無かったからだ。  
高校三年の時は死ぬ気で勉強した。そのお陰か何とか合格する事が出来た。俺の合格を銀や爺は喜んでくれた。一番喜んでくれたのは金髪だった。  
ルリが死んだ後、金髪はしばらく気が抜けたようだった。俺はそんな金髪が放って置けなくて地上に連れ帰った。  
金髪はその頃よく泣いていた。俺たちに見えないように隠れたところで小さな声でルリ様、ルリ様と呟きながらしゃくりあげていた。俺は金髪が哀れだった。  
しかし、奴は同情されるのが大嫌いだったからそういう時はいつも海や公園や遊園地など楽しい所へ憂さ晴らしに連れて行ってやった。  
元気になって欲しいという俺の気持ちが通じたのか、金髪は次第に元気を取り戻していった。前の様に笑い、からかいに怒り、爺のセクハラまがいのちょっかいにも笑顔で応戦するようになった。  
厄介になっているからこれ位はしないと、そう言って家の家事もしてくれる。俺の弁当も毎日作って持たせてくれる。金髪の料理は美味かった。  
学校から帰ると庭で洗濯物を取り入れているエプロン姿の金髪がいる事が何故か嬉しかった。金髪が家に来てから男所帯だった寺は何となく華やかになった。  
エプロンの金髪は亡くなった俺の母親の姿を思い起こさせた。俺の受験の時は金髪も一緒に遅くまで勉強してくれ、サボると怒り、夜食も作ってくれた。  
でも、俺は金髪がまだルリの事を引きずっているのは感じていた。前の様に笑っていても笑顔には何処となく影があった。  
 
今では就職して1年経つ。随分と職場にも慣れてきた。銀は国立の大学で(地下世界)についての研究に没頭している。  
身長が俺も銀も伸びて、金髪を追い越した。体つきが幾分かがっしりとした位で特にこれといって変わった事は無い。俺たちの関係は変わらなかった。  
金髪と俺の関係は昔のように相変らず、だった。だが、俺の気持ちは次第に変化していった。あれから金髪はますます綺麗になり、可愛い所を残したまま艶っぽくなっていった。  
生活していくうちに無意識にでも金髪の存在感を感じ、女として意識せざるを得なくなった。そんな金髪と一緒に暮らすのは正直、男として辛いものが在った。  
そして俺は、19になった日に有る事を決めた。  
「金髪に俺の気持ちを打ち明けよう」  
しかし、二人の関係が言ってしまう事で崩れていきそうな気がしてなかなか踏み出せなかった。  
 
「好きだ」  
「どーしてこの一言が言えないかなあ・・・・」  
銀の呆れた声が携帯から聞こえた。  
「うっせーよ。ボケ」  
「ホントの事でしょ?」  
非番の土曜日、俺は部屋でエロ本を眺めながら銀と携帯で話をし、自分の根性の無さにほとほと呆れてかえっていた。  
「まあ、今までの経緯から金髪に改めて言うのも何かこっぱずかしいし、かといってこのままズルズルすんのもなあ・・・」  
「判ってるじゃない。僕はチェルシーさんは留美奈の事は嫌だと思ってないと思うけどな」  
「そっか?」  
「嫌な奴と一緒に地上に来るわけ無いでしょ?一緒に暮らしてるし。それに・・・昔からチェルシーさんは留美奈の事が好きだったみたいだし」  
「そ〜かあ?そ〜だよなあ。うん」  
「自惚れないでよ。だからいっそちゃんと言った方がいいって。このまま一生、手も握らないまま年とっていくわけ?」  
「それは辛いもんがあるんだよな。あ〜」  
「出来ればそういうこともしたいんでしょ?これからチェルシーさんとどうするかも考えてるんでしょ?だったら言っちゃえば?言わなきゃなんも始まらないでしょ?」  
「そら、まあ」  
実際、金髪としている所を夢想してエロ本やエロビデオで自慰するのも限界だった。  
やっぱり本物の裸の身体に触れ、声を聞いて、セックスしたいと思う。  
「つまんない事で電話一日に何回も掛けてこないでよ。同じ話題のループじゃない」  
「つまんなくって悪かったなあ」  
「要するに頑張れってこと。あんな(ロン)みたいな化け物もやっつけたんだし、公務員にもなれたんだからもっと自信持てば?  
そっちのほうもさ。僕に背中押して欲しいんでしょ?頑張れ、って」  
「お、おう。そうかも・・・な」  
俺は電話を切ると、フッと溜息を吐いた。確かにその通りなんだが。  
下に降りていくと金髪が洗濯物を抱えて洗面所にある洗濯機に向かうところだった。  
「・・・・今、起きたの?洗濯物あるなら早く出してね」  
通りすがりに金髪が俺の姿を捉えて言った。  
「朝ご飯用意出来てるからさっさと食べちゃって」  
「お・・・おう」  
俺は廊下を歩いていく金髪を眺めた。形の綺麗な引き締まった臀部やすらりとした身体。綺麗な長い金髪の髪。  
(・・やっぱ・・・・やりてーな・・・・)  
ぼけーと眺めていると急に金髪が振り返った。  
 
「な?何だよ?」  
金髪が可愛い顔に眉間をギュッと寄せてちょっと睨むように俺を見た。  
(やっべー・・・気づいた・・・かな?)  
少しドキッとして奴の顔を見る。  
「あんたさあ・・・」  
「?何だよ?」  
「その・・・・下着・・・どうして出さないの?」  
「へ?」  
どうやらこいつは俺がトランクスをどうして洗濯させないのかと聞いているようだ。  
まあ、出せない事情があるんだが、それをいうと金髪に殴られそうなので俺は黙っていた。  
「別にいいだろ?そんなにおれのパンツ見たいのかよ?」  
「馬鹿!そういう意味じゃなくて・・・・汚いでしょ?洗濯しないと」  
金髪は顔を赤らめて俺の方を睨んだ。俺も思わず顔を赤くする。  
「お前が気づかんだけでちゃんと洗濯機に突っ込んでるぜ」  
俺はとっさに嘘を吐いた。金髪は俺の顔色を見て、下着を洗わせない理由を悟ったようだった。  
何故かちょっと悲しそうな表情を浮かべた。  
「なら、いい」  
そういうとパタパタと洗濯機の方へ歩いていった。  
 
飯を食い終わると何にもする事が無かった。ボケッと居間でTVを見ていたが、飽きてきてTVを消した。  
何か飲もうと思って台所へ行くと金髪が洗い物をしていた。俺は冷蔵庫を開け、中から牛乳のパックを取り出した。  
コップを取ろうとして食器棚を開け、ちらりと金髪の方を見る。長い髪を後ろで一つに括り、ベージュのエプロンを着けて泡を水で洗い流している。  
 
横顔がすらりとして、何とも言えないほど綺麗だった。  
(今すぐ抱きついて後ろから胸を揉み、スカートの中に手を入れてあそこを・・・・)  
思わず妄想してしまい、慌ててコップに牛乳を注ぐ。顔が上気した。心なしかジーパンの股間がちょっとヤバイ状態になった。  
金髪は洗い物を済ませるとタオルで手を拭いて、俺の方へと身体を向けた。俺は股間がバレ無い様ちょっとひゃっとした。  
「今日、お爺さん、檀家さんと一緒に一泊で旅行に行くって」  
「へ〜・・・そう・・・」  
「休みだってのに・・・・ちょっとくらい外に出たら?だらけちゃって」  
「休みの日に俺が何しょうが勝手だろーが!」  
「ま、そりゃそうだけど」  
金髪は軽く笑う。俺は飲み終わったコップを水で漱いだ。  
(どっかいって気晴らしでもするか・・・・金髪と)  
「・・・どっか・・・行くか?」  
「え?」  
「いや、休みだし、たまには、な。そーだ!映画でも行くか?」  
金髪はにっこり笑った。  
(こういう顔は本当に可愛いな)  
再び股間がヤバくなる。  
「ちょっと待っててくれる?掃除機掛けちゃわないと。後、一時間くらい」  
「お、おう。早くしろよ」  
「うん」  
そういうと金髪は台所から出て行った。  
(これって・・・・何かデートっぽいよな・・・・)  
俺はポリポリと顔を掻いた。  
 
部屋に戻って一時間後・・・金髪はまだ掃除機をかけているみたいだった。  
(は〜・・・・出かける気失せちゃうだろーが)  
俺は随分待たされてちょっとだらけてきた。寺は広いので掃除するとなるとそれぐらいは掛かるんだが・・・  
(帰ってからか、明日にでもすりゃいいのに)  
俺はベッドに倒れこみ、手近にあったTVのスイッチを入れる。小さくてボロボロだが、高校の連れからタダで譲ってもらった物だった。ビデオとセットになってるテレビデオという奴。  
チャンネルは一つしか写らないが、その代わりビデオはノイズが入るが一応は再生が出来る。  
「ああん・・あっ・・ああ〜ん・・・」  
入れっぱなしだったエロビデオの画面が映し出された。長い髪の女が男にバックから突かれ、大きな胸を鷲掴みにされながら喘いでいる。  
それを見ているうちに俺はムラムラしてきた。ふと俺の脳裏にさっきの金髪の笑顔が浮かぶ。愛くるしい可愛い顔。  
(金髪もセックスする時はこんな声を出して、こんな顔、するんだろーか?)  
(金髪の胸もでかいのかな?肌とか柔かそうだし)  
俺はアホな想像をしてますます興奮した。ビデオの中の女優がだんだん金髪みたいに思えてくる。何だか俺が金髪を後ろから犯している様に見えてきた。  
無意識のうちに俺は股間に手を持っていっていた。其処はもうパンパンに腫れていた。ビデオの中の女優が切ない声で喘ぐ。俺は息遣いを荒くしながら自分をしごき始めた。  
トランクスを脱いでいきり立った息子を激しくさする。  
「ああ・・・・・・・逝くっ・・・・!」  
女が限界に達するような声を出す。  
(金髪・・・ああ・・・)  
俺の頭の中ではあられの無い姿の金髪が俺の腰の動きに合わせて喘いでいる。  
(留美奈・・・・・や・・・・逝っちゃう!)  
可愛い顔に涙を溜めて、長い金髪を垂らしながら金髪が切願する。  
(逝かせて・・・・・逝かせてっ!)  
(金髪・・・ううっ!)  
俺は夢中になってうめいた。手に力が篭る。  
「・・・ああ・・きんぱ・・・」  
その時だった。  
 
どさっ!  
夢中だった俺は一瞬、何が起こったか分からなかった。はっとして我に返り部屋の入り口の方を見る。金髪が顔を真っ赤にしてこちらを見ていた。  
掃除機が隣にひっくり返っている。  
(・・・・・!!!!!!???????げええええええ!!!!!!)  
俺は一瞬、その場に凍りついた。金髪もどうしていいのか分からないように俺を呆然と見ている。TVの中から女の声だけが響いた。  
先に我に返ったのは俺だった。慌てて股間を傍にあった枕で隠す。  
「・・・何で!何でお前!此処にいるんだ!?」  
上気した顔で金髪に怒鳴った。  
「・・・へ、部屋の・・・掃除しようと思って・・・・ノックしたけどアンタは下にいるんだとばかり・・・」  
金髪は視線を彷徨わせ、顔を真っ赤にしたままあちらを向く。  
「大体!何でアンタ、鍵かけとか無いのよ!?それに昼間っから・・・そんな・・・・エッチな事するなんて!」  
金髪が慌てたように怒鳴った。  
「てめーこそ、待たせすぎだろうが!休みの日に俺がナニしようが勝手だろ!」  
「そりゃ・・・そうだけど・・・・でも・・・」  
金髪はオロオロしたように横を向き、ますます顔を赤らめる。  
「・・・取り合えず、パンツ履いてよ!」  
「・・・あ」  
俺は股間に眼をやって慌てた。すでに其処は射精寸前だった。  
「私・・・出てくから」  
金髪がドアのノブに手をかけた。その時だった。俺の頭の中が白くなった。自分でも止められなかった。  
俺は金髪の手を掴み、奴を引きとめた。金髪がびっくりして俺を振り返る。  
「な!?何!?」  
「抱かせてくれ!」  
「何!?何言ってるの?留美奈?」  
金髪は益々オロオロして俺の掴んだ手をじっと見る。顔が耳朶まで赤い。  
「お前を抱きたい。お前が欲しいんだ」  
俺も耳朶まで赤くなりながら金髪に言い放った。  
「・・・・嫌か?」  
金髪は俺の視線を外すように眼をキョロキョロさせる。  
 
「・・・わり・・・変な事言って」  
俺は内心がっくりしながら金髪を離した。  
「トランクス、履くから、部屋出てくれるか?」  
(金髪は俺と、つまり・・・そういう事はしたくないって事だよな・・・・)  
俺は傍に脱いでいたトランクスを拾い上げた。その時、布が擦れる音がして金髪が小さく俺の名前を呼んだ。  
「え?」  
見ると金髪が履いていたショーツを脱いでいる。  
「なっ!?お前?」  
「したいっていったのはアンタでしょ?」  
金髪が赤くなってゆっくりと俺の傍のベッドに近づいてきた。腰かけると俺に見えるようにスカートをたくし上げた。  
淡い金髪の髪と同じ茂みが俺の目の前に現れる。女の秘部をまじかで見たのは初めてだった。俺はゴクッと唾を飲み込んで金髪を見た。  
金髪は恥ずかしくて堪らないのか泣きそうな顔をしている。  
「・・・いいのかよ?」  
「ここまでしてるんだからいいも悪いもないでしょう?」  
金髪はそういうと足をゆっくりと開いた。ピンク色の花びらが淫らな糸を引いている。  
「いいわよ。入れても。もう・・・限界でしょ?それ?」  
金髪が赤くなって俺の息子を見る。俺の息子は金髪のあそこを見て、益々いきり立ってしまった。  
「金髪・・・・」  
俺は金髪に圧し掛かるとそのままベッドに押し倒した。そのまま唇を塞ぐ。  
「ん・・・」  
そのまま両方の手で金髪の胸を弄った。金髪が淡い溜息を洩らす。俺はそのまま金髪に前栽をしようと服を脱がそうとした。だが、金髪が俺の手を止めた。  
「・・・?どうしたんだよ?」  
「いいの・・・だってもう・・・・限界でしょ?いきなりでも・・・いい」  
「・・・いや、俺は・・・お前の・・・・」  
言いかけて金髪の顔を見た。金髪は何故か顔をこわばらせている。  
「どーしたんだよ?まさか、緊張しちゃったとか?」  
俺はからかい半分に金髪におどけた。  
「・・・・・」  
金髪が小さな声で囁いた。  
 
「?な・・・何だよ?」  
「ごめんなさい」  
金髪が俺に謝った。  
「はあ!?お前、何言って」  
「・・・ルリ様じゃなくて・・・・ごめんなさい」  
俺はハッとして金髪を見た。金髪の眼が涙で溢れている。  
「・・・お前」  
「本当はルリ様と・・・・したかったんでしょ?一緒に居たかったんでしょ?」  
金髪はどうやらとんでもない誤解をしているらしい。  
「お前なア・・・何かすごい思い違いしてるぞ?俺は・・・だな・・・」  
「いいの・・・・私のせいで・・・ルリ様が・・・・ルリ様だってきっと、アンタと・・・」  
「いいから!話、聞けって!」  
そんなやり取りをしているうちに、俺の息子が急に萎えてしまった。  
「あ・・・・」  
金髪がそれに気がついて俺を見た。  
「あの・・・嫌・・・これは・・・だな・・・」  
金髪は眼に一杯涙を溜めて俺を見つめる。  
「何もかも、私のせいなのよね」  
「違う!」  
俺は思わずきつく怒鳴ってしまった。金髪の眼から涙が溢れ出した。  
「悪い・・・・お前のせいなんかじゃ・・・」  
 
俺はとっさに金髪を抱きしめた。だが金髪は俺の腕を振り払った。  
そしてそのまま部屋から走り去ってしまった。  
「金髪!」  
俺も慌ててトランクスを履いて後を追った。金髪は下に降りると自分の部屋の和室の襖を荒々しく閉めた。  
「待て!俺の話を・・・」  
戸に手を掛けて開けようとすると  
「開けないで!」  
金髪が言い放った。  
「ちゃんと、話、聞けよ!」  
「お願い!しばらく一人にして!」  
「お前、すごく誤解してるぞ!俺はルリの事は」  
ルリの名が出た途端、金髪は息を呑んだ。  
「・・・・金髪」  
「ごめんなさい。・・・もう少し・・・・一人にさせて・・・・」  
金髪が小さく嗚咽しだした。俺は堪らなくなって、無理やり戸を開こうとした。  
「お願い・・・・今・・・・アンタの顔・・・見たくないの・・・・」  
戸に掛けた手を俺はゆっくりと外した。  
 
俺はしばらくぼんやりと自分の部屋で寝転がっていた。  
(やっぱりきちんと自分の気持ちを言うべきだった)  
金髪はきっと自分のせいでルリが死に、俺がルリを今でも好きだと思っているようだ。  
(違う・・・・俺は・・・あの頃だって・・・・・)  
俺はバッとベッドから飛び起きた。  
(やっぱり金髪に本当の事を言おう!)  
 
金髪の部屋に降りていき、そっと戸を開ける。  
「・・・・入るぞ」  
其処には誰もいなかった。どうやら金髪は俺が部屋を離れて数分の間に出て行ってしまったらしい。  
きちんと片付いた部屋の中は静まり返っていた。  
(あの馬鹿・・・・何処行ったんだ?)  
俺は家の中を探し回った。しかし、金髪は何処にもいない。  
(外・・・・か?)  
俺は外へと駆け出した。  
 
時間だけが過ぎていった。金髪が行きそうなところはすべて探し回った。近所の深夜スーパーや散歩道。けれど金髪は何処にもいない。  
(畜生!どこいっちまったんだ)  
気が付くと又、裏の公園に来ていた。満開の夜桜が電灯に眩しい。公園の時計が10時を指していた。此処は金髪が一番気に入っている場所だった。  
来るとしたらもう後は此処以外には無い。不意に俺の中で(ロンと闘った)時の光景が浮かんだ。奴の爪先に射貫かれそうになった俺を抱きしめて庇って変わりに死んだ金髪。  
あの時、俺は、金髪が俺の前からいなくなるなんて考えもしなかった。だってあいつはそこにいて当然の空気みたいな存在だったから。  
だから、ルリを助けた後も其処にいてくれると思っていた。  
息をしない、冷たい金髪の身体。俺を襲った(金髪を失う)恐怖感。  
(何あほな事考えてるんだ!俺!)  
俺はもう一回公園をくまなく探した。何度も(金髪!)そう呼んだ。公園のはずれには深い林がある。そこは変質者が出るので夜は誰も近づかない。  
(まさか・・・・此処に?)  
金髪がわざわざ危険を冒してここに入るだろうか?でも、もし、連れ込まれたりしてたら。  
銀の所へ行ったのかも?不意に考えたが、それならおせっかいな銀が電話の一本も掛けさせるはず。  
(調べるだけ、調べてみるか)  
俺は林の入り口に脚を踏み入れた。男でも夜中は躊躇してしまいそうな、何か出そうな雰囲気だった。突然、俺は中から飛び出してきた何かにぶつかった。  
 
「!?って!あ・・・あれ?君は?」  
それは高校生っぽいにきび顔の少女だった。真っ赤な泣き腫らした眼をしている。少女は俺の腕を掴むと  
「お願い!助けてください!」  
必死の形相で頼んだ。見ると、彼女は制服が所々破け、顔には殴られた後がある。仕事柄の俺の勘が働いた。  
「連れ込まれたのか?」  
「はい・・・ここで彼氏と携帯で話してたら、・・・・う・・・後ろから何かで殴られて、気が付いたら・・・男の人が・・・・無理やり・・・私を・・・押さえつけて・・・」  
少女は肩を震わせ泣き出した。  
「・・・大丈夫だから・・・しっかりして・・・・君を連れ込んだ奴らはまだ中にいるの?」  
少女はびくっとした。  
「そうだ!早く!早く!あの人助けてください!あの人、私を助けようとして・・・・女の人・・・・が・・・・私を逃がしてくれたんです・・・・逃げろって  
・・・・でも・・・・走って・・・・後ろ振り返ったら・・・・男が・・・あの人・・・羽交い絞めにして・・・」  
俺の心臓が高鳴った。  
(まさか・・・・・金髪!!!!)  
「相手の男・・・・この辺の暴走族みたいでした・・・・・5人ぐらい・・・いた・・・!ねえ!早く!助けてあげて!」  
少女は俺にしがみついた。  
「こっから一人であの・・・この先の派出所まで行ける?携帯から電話してお巡りさん呼ぶんだ。いいね?」  
「・・・・大丈夫!」  
少女は手の甲で涙を拭うと一目散に俺が指差した方に走っていった。走りながら携帯を耳にあてて叫んでいる。俺は中に走って入った。  
中は薄暗く、静まり返っている。意外と先の方まである。  
「金髪!何処だ!居たら返事しろ!」  
その時ガサガサと奥の方で何かが揺れる音がした。  
「金髪!?」  
先へ踏み込むと、チーマーらしい男が数人しゃがみ込んでいる。女の白い素足が見えた。これからレイプしようとしていたようだった。  
 
「早くやれって!」  
「あせんなって順番だろ?」  
「しっかし、いい女だな〜。さっきのとはツキとスッポン」  
「早くしねーと又暴れまわるぜ」  
「・・・げ!?な、何だてめー?」  
俺に気が付き二人ほど殴りかかってくる。俺は瞬時に一人に拳をぶつけ、一人を蹴り倒した。俺の視界に後ろでビニール紐で結わえられ  
上着をめくられ、スカートをまくられて白いレースのブラとショーツ姿の金髪が飛び込んできた。しかも、額から血が流れている。  
俺の理性が吹き飛んだ。  
「てめーらまとめてぶっ飛ばす!」  
次の瞬間、残りの3人は俺の拳とキックを思いっきり受けて地面にへたり込んでいた。  
 
女の子が通報してくれたお陰で巡査がすぐに駆けつけ、俺たちは軽く拘束されただけで家に帰された。金髪の怪我はほとんどかすり傷程度だった。  
「・・・私ももう駄目ね〜!あんな奴らに遅れを取るなんて。」  
居間でソファに腰掛けて、金髪は苦笑いしながら頭の後ろの包帯をさすった。どうやら後ろから羽交い絞めにされて殴られ、気を失っていたらしい。  
俺はちょっと怒ったように金髪に言った。  
「何であんな所行ったんだよ?あんな時間に・・・」  
「・・・私なんて襲う物好きはいないってアンタ言ってたじゃない・・・」  
金髪は俯き、悲しそうに笑った。俺は不意に金髪を抱きしめた。ぎゅっと強く抱きしめる。  
「・・・・留美奈?」  
金髪は突然の事に驚いたように俺を見た。  
「・・・・ルリを殺したのは俺なんだ。お前のせいじゃない。」  
金髪はますます驚いたように眼を見開いた。  
「黙っててごめん。俺の話を聞いてくれ。」  
あの時、お前が俺を庇ってロンに貫かれたとき・・・・  
 
俺は目の前で崩れていくお前を見て、頭が真っ白になった。俺のシャツにお前の血が着いて俺はやっとお前が殺された事を知った。  
その時、俺の中で何かが音をたてて崩れ落ちた。俺はロンに叫びながら突っ込んでいった。自分がどうなるかなんて何も思わなかった。  
ただ、お前を喪った悲しみと、ロンへの怒りだけで突っ込んでいった。ロンを射貫くとともに、俺の身体に激痛が走った。肩も脇も身体中が奴によって刺された。  
それでも俺はなりふり構わずロンに止めを刺した。ロンの身体がゆっくりと崩れ落ち、俺はロンに取り込まれていたルリを助け出した。ルリは瀬死の状態だった。  
もう力を使いきった様に見えた。俺はルリを抱き上げ、銀たちの元へと運んだ。  
同時にすさまじい音がしてロンの身体がゆっくりとアンダーグローブの地底へと引き込まれるように飲み込まれていった。  
同時にロンの近くに倒れていたお前も引きずられるように落ちそうになった。それを見た俺は咄嗟にお前の元に走った。銀たちが叫んだ。  
「止めろ!留美奈!一緒に死んでしまう!」  
眼を覚ましたルリも声の限りに叫んだ。  
「留美奈さん、チェルシーはもう死んでいるのよ!いっちゃ駄目!」  
それでも俺はまっすぐにお前へと走った。両足から血が流れ出し、片足が重かった。折れていたみたいだった。足を引きずりながら俺はただ走り続けた。  
「一緒に助けるって約束したんだ!俺一人で助けても意味がねーんだ!!!」  
俺は叫んだ。地面が割れ、足元が危なくなった。両足が落ちてきた岩にぶち当たって、俺はその場にへたり込んだ。  
だが、俺は両腕で這いながらお前のところに行った。腕が引き契られそうで頭から眼に血が流れ落ちた。両腕からも血が流れ出した。それでも俺はお前に手を伸ばした。  
 
お前に触れて  
(ああ・・・これでもう、俺はここで死んでもいいぜ・・・)  
そう思った。バラ色の同居生活とか、そんなもんよりもお前がいるだけで、それだけでいいと思った。お前を抱きかかえ、そのまま冷たい身体を抱きしめた。  
何でだか、安心した。穏やかな気持ちになった。俺たちを目掛けて無数の岩石が舞い落ちてきた。地面が割れ、俺たちは下へと吸い込まれるように落ちていった。  
俺はお前を離さないようギュッと抱きしめて一緒に落ちていった。その時だった。柔らかい光が俺たちを包んだ。ルリだった。  
ルリが能力で俺たちを包み込んで守ってくれているのが分かった。俺は驚いた顔でルリを見上げた。ルリは泣いていた。可愛い笑顔を浮かべながら泣いていた。頭の中にルリの声が響いた。  
生きていれば、又、逢える。  
ルリが連れ去られたときに言った台詞と同じだった。力を使い果たしたルリが銀の腕に倒れこむのが見えた。  
「やめろ!ルリ!やめるんだ!お前、死んじまうぞ!」  
俺は声を限りにして叫んだ。ルリが顔を上げ、にっこりと微笑んだ。俺は涙で視界が曇ったまま、金髪と共にゆっくりと地面に着地した。  
傷が塞がり、折れた足が治っていた。俺の腕の中でお前が小さく呻いたのが聞こえた。お前の致命傷の傷も塞がっていた。  
俺がルリの所に金髪を抱きかかえていくと、ルリは横たわり、俺達を見て微笑むように眼を閉じた。それが最期だった。  
後で銀に聞いた話だとルリはその時の俺の姿を見て、お前への気持ちを感じ取ったらしい。あいつは必死で能力を使わせまいと止める銀達にこう言った。  
私はチェルシーがいたから生きてこれた。笑うことを覚えた。  
留美奈さんも同じ。同じくらい大切な人。  
どちらも失いたくない、大事な人たちだから。  
チェルシーが私を思ってくれているのと同様に私もチェルシーを思っている。  
私がチェルシーで、チェルシーが私だから。  
だから・・・幸せになってほしい。  
私として、幸せに生きていってほしい。  
 
金髪は俺の話を最後まで黙って聞いていた。  
「ルリを殺したのはお前じゃない。俺だ」  
俺は金髪の髪に顔を埋めて呟いた。髪はいい匂いがした。  
「アンタの・・・・せいじゃない。やっぱり・・・私が」  
「違う。俺は、あの時、お前の事しか頭になかった。ルリの事なんて考えもしなかった。結果的には俺が悪いんだ。  
お前が・・・ずっと思い悩んでたのに・・・本当のことが言えなかった。ごめんな」  
金髪はじっと俺の顔を見上げていた。不意に俺の視界が遮られた。金髪が俺の唇を塞いだ。金髪の唇はちょっとしょっぱかった。  
「・・・・もう・・・いいのよ・・・」  
金髪は俺から口を離していった。  
「私はバカだったわ・・・せっかくルリ様が命を私に下さったのに・・・・」  
そういうと深呼吸する。  
「・・・好きな人とずっと一緒にいられるようにしてくださったのにね」  
「金髪・・・」  
金髪が微笑んだ。瞳が涙で濡れていた。  
「ずっと・・・ずっと・・・アンタには申し訳ない気持ちで一杯だった。・・・ルリ様を奪ってしまったような気がして・・・・私に対する優しさも同情心からだとばかり・・・」  
やっぱりこいつは誤解していた。銀の言うとおり早く言うべきだったかも。  
「同情で抱かせろなんていうはずがねーだろ?その・・・・やっぱり・・・好きな女だから・・・・さ・・・・やりたいんじゃねーか」  
俺は照れ隠しにポリポリ頬を掻いた。金髪が軽く俺を睨んだ。  
「相変わらず・・・言う事がエッチねえ〜」  
「言葉をしらねーんだよ。悪いか?」  
金髪はクスッと笑った。可愛い笑顔だった。  
「ルリはお前の幸せを望んでんだぜ?いつまでもめそめそしてたらルリが困って化けて出てくるぜ?」  
「それはそれで嬉しいかも。ルリ様に逢えるし」  
「あのなあ」  
俺たちは顔を見合わせて噴出した。  
 
「ねえ、私たちって馬鹿よね?素直になればこんなに近くにいるのに・・・ねえ?お互い変な誤解しちゃってて・・・ルリ様は私たちの幸せを祈って下さってたのに」  
「本当だな」  
気が付くと俺たちは自然に近づいていた。俺は金髪を抱き寄せるとそのまま唇を重ねた。  
「・・・・・ん」  
しばらくキスした後、俺はゆっくりと唇を離した。  
「俺は・・・・お前が好きだ・・・これからも・・・ずっと一緒にいてくれ」  
金髪は涙で濡れた顔で嬉しそうに笑った。  
「それから・・・・あの・・・」  
俺は真っ赤になって視線を外した。  
「何?」  
「さっきの・・・続き・・・・したい・・・」  
「・・・・さっき・・・・?」  
金髪はキョトンとしている。どうやらすっかり忘れちまってるようだった。  
「あー!何でてめーはそう、忘れっぽいんだ!?お前が抱きたいんだって!セックスしたいんだって!」  
俺は思わず金髪の肩を掴んで叫んだ。金髪がみるみる赤くなる。  
「馬鹿っ!そんな露骨に・・・」  
「・・・・嫌かよ?」  
俺はちらっと拗ねるように金髪を見た。  
「だって・・・・」  
そういうと金髪は視線を下に落とした。俺の股間を恥ずかしそうに見ている。  
「あ・・・・あれは・・・・」  
どうやら萎えた事を自分のせいだと勘違いしているらしい。  
 
「お、男にはなあ・・・その・・・・いろいろあって・・・だな・・・つまり・・・だな・・・えーっと・・・その・・・ずっと好きだった女と・・・・初めて・・・・するときに  
・・・・た・・・・起たないことも・・・・・あ・・・・あるんだよ・・・・き・・・・緊張しちまって・・・・」  
俺はしどろもどろに言った。  
「お・・・・お前の事・・・・ずっと・・・欲しかったから・・・・さ」  
「・・・・そうなの・・・?」  
金髪が赤くなって俺をじっと見た。  
「・・・嘘じゃねーって・・・・ほら・・・・」  
俺は金髪の手を取ると自分の股間に軽く触らせた。  
「なっ!?ちょっと・・・・!」  
金髪はびっくりして俺の顔を見たが、股間の膨らみに気が付いて真っ赤になった。  
「・・・大丈夫・・・だろ?今度はちゃんと・・・出来るからな・・・」  
「・・・・う、うん・・・」  
金髪はおろおろしながら手を引っ込めた。  
「・・・・・」  
「・・・・いいわよ・・・・しても・・・」  
しばらくの沈黙の後、金髪が口を開いた。  
「・・・・本当に・・・?その・・・」  
俺はごくりと唾を飲み込んだ。  
「・・・私・・・アンタが・・・・ずっと好きだった・・・・だから・・・・」  
金髪は恥ずかしそうに下を向いた。  
「・・・私を・・・・抱いて・・・・下さい・・・・」  
「金髪・・・・」  
俺は嬉しくなって、そのまま金髪の唇を塞いだ。  
その体勢のまま、金髪を床に押し倒した。ベッドまで行くのが我慢できなかった。  
「ちょ・・・・!?こんなとこで・・・・するの?」  
「もう我慢できねえ・・・・駄目か?嫌なら部屋に・・・・・」  
俺の首に金髪が両腕を回し、より一層深く口づけした。  
「ううん・・・ここでいい・・・」  
 
俺はちょっと緊張で手を震わせながら金髪の服を一枚一枚脱がしていった。金髪も恥ずかしそうに横を向いて、俺が脱がせやすいように身体を動かした。  
震える手でブラジャーのホックとショーツを脱がせる。金髪の白い身体が露になった。  
「うぉ・・・・」  
俺は思わず声を上げた。金髪が顔を真っ赤にして俺を軽く睨んだ。  
「な・・・・何よ?」  
「え・・・あ・・・いや・・・」  
白くてすべすべした綺麗な肌。形のいい胸。小さなピンク色の乳首。引き締まったなだらかな腰。淡い髪と同じ色の陰毛。  
長い髪が肌に絡みついて何とも言えないほど色っぽかった。昔、一度見たことがあったがこんなに間近で見るともっと綺麗だと思った。  
「・・・恥ずかしいから電気を消して」  
金髪が小さな声で俺に哀願した。居間にいるので金髪の白い身体が電光に照らされて浮かび上がる。  
「駄目。お前の身体見たいんだ・・・・はぁ・・・すげえ・・・」  
「も・・・・もう・・・」  
俺は胸に両手を伸ばし、その柔らかい感覚に酔いしれた。手の中からちょっと出るくらいの大きさだった。揉み解し、上下に優しく揉む。  
その度に金髪は何とも言えないほどの可愛い喘ぎ声を上げて俺の手の動きに反応した。  
「・・・痛く・・・ないか・・・?」  
「・・・ううん・・・大丈夫・・・」  
金髪が頬を赤らめて微笑んだ。その顔に俺はカアッと赤くなった。手に力を込め、より一層強くマッサージする。  
「あ・・・・!ああっ・・・・!」  
金髪が身体をよじらせて喘ぎまくる。俺はますます興奮した。そのまま胸の突起を口に含む。  
「あ・・・・!ああ・・・ん!」  
ピンク色の乳首を舌先でチロチロと舐め、口に含んで軽く歯を立てる。金髪は耳朶まで赤くなりながらのけぞって俺の愛撫に耐えている。  
俺は乳首を音を立てながら吸った。  
「あ・・・・ヤダ・・・・・・・・ァ・・・・・そんなに強く吸っちゃ・・・・」  
「すごく美味いよ・・・・金髪・・・」  
「バ・・・・バカッ・・・・」  
俺は胸からゆっくりと身体に舌を這わした。身体中を嘗め回す。金髪は小さく身体を震わせながら吐息を漏らしていく。  
白い肌が次第に熱を帯びてきて、うっすらピンク色に染まっていく。金髪は可愛い顔に涙を溜めて快感に震えている。  
(金髪・・・・可愛いなあ・・・)  
 
俺は内心、そんな事を思いながら尚も金髪の身体を舌先で舐める。脇の下や首筋、そして秘部へと這わせていく。  
そこにたどり着くと金髪は小さくあっと声を上げて、ビクンと仰け反った。俺はそこに軽く口を触れると指でそっと花弁を押し広げた。  
ピンク色のヒダが蜜でぐっしょりと濡れており、奥から湧き出てくる蜜が俺の指先を濡らしていく。蜜は太ももを伝って床に零れ落ちている。  
甘い女性器の蜜の匂いが俺の鼻腔をくすぐった。俺はゆっくりと舌を中へと進入させ、クチュクチュと掻き混ぜた。  
「あっ!あっ!いや・・・!駄目・・・そこっ・・・!」  
金髪はより身体を仰け反らせて喘ぐ。荒い息遣いが聞こえてきた。  
「駄目!駄目・・・・!ハ・・・・恥ずかしいから・・・・止めてっ・・・!!!」  
金髪は喘ぎ声で懇願した。俺の頭を必死になって引き離そうとする。俺はわざと金髪に聞こえるようにぴちゃぴちゃと音を立ててそこを嘗め回した。  
「そんなとこ・・・・舐めちゃ・・・いや・・・・!」  
金髪の言葉とは裏腹にそこからは蜜が溢れ出している。  
「・・・お前のあそこ、すげーいやらしいな・・・まるで俺を誘ってるみたいだな。どんどん濡れてくるぜ?」  
「そんなこと・・・言わないで・・・」  
金髪が恥ずかしそうに下を向く。どうやら本気で恥ずかしがっているようだ。  
「お前の・・・すごく美味い・・・・全部舐めとってやるよ・・・・」  
金髪は切ない喘ぎ声を出して、俺の顔を見つめる。その声と表情がより一層俺を狂わせた。  
俺は舌で金髪の蜜を味わいながら指先で花弁をもっと押し広げ、小さなクリトリスを掘り出した。  
指先でそっと弄ぶ。同時に敏感なところを二つも責められて、金髪は声にならない声を上げ、身体をプルプルと震わせる。  
舌をクリトリスに這わせる。ゆっくりと突き、舌で舐めまわす。軽く歯をたてて吸い付く。金髪の秘部はもう壊れた水道みたいに濡れまくっていた。  
「・・・・気持ちいいか?金髪・・・・」  
 
「な・・・・なんで・・・・そんな事・・・ああっ・・・・聞くの・・・・?」  
「だって・・・・お前に・・・気持ち良くなって欲しいから・・・・それに・・・・あの・・・・俺・・・・こういうの・・・初めてだから・・・・へ・・・・下手糞だし・・・・」  
金髪はその言葉に伏せ眼がちに上気した顔で微笑んだ。  
「あんたにこんな・・・・こんなことされて・・・恥ずかしいけど・・・・・・ああああっ!?・・・・・気持ち・・・・良いの・・・・」  
「そ・・・そっか・・・・?」  
「すごく・・・上手・・・・留美奈・・・・気持ち・・・良い・・・」  
俺はその言葉に気持ちが高ぶった。ますます音を立てて金髪の秘所を責める。  
「ああ・・・・!」  
金髪はハアハアと苦しそうに喘ぎながら俺の前栽に耐えている。  
「ああああああっ!?・・・・留美奈・・・・・あ・・・・・変・・・変なの・・・・身体・・・変になっちゃうの・・・・ダメダメ・・・・っ!!!!  
それ以上・・・・あふうっ!・・・・おかしくなっちゃう・・・・・!!!!」  
金髪は一際切ない声で喘ぐとビクンビクンと身体を震わせぐったりとした。  
「・・・き!?金髪!大丈夫か!?」  
俺は思わず慌ててそこから口を離して金髪を見た。金髪は荒い息遣いで俯いている。  
「平気・・・・・私・・・逝っちゃったみたい・・・・」  
金髪は恥ずかしそうに笑った。顔が上気して身体が汗だぐになっている。太ももからとろとろと蜜が溢れている。  
俺の口からも金髪の蜜が零れ落ちた。金髪は頬をピンク色に染め、うっとりとした表情を浮かべている。上気した身体に長い髪が纏わり付いている。  
「・・・・そういう顔・・・・可愛いな・・・金髪・・・・」  
「・・・・・スケベ・・・・・」  
金髪ははにかんで俺の方に向いた。身体を上半身起こして俺と向き合う。逝ったばかりで少し身体がふらふらしている。俺は金髪を抱きとめた。  
「・・・おい?・・・無理すんなって・・・・」  
「・・・私ばっかり・・・気持ち良い思いしてちゃ・・・・悪いでしょ?わ・・・・私も・・・してあげる・・・・」  
その言葉に俺は一瞬、意味が分からなかったが、直ぐにフェラのことだと気が付いて顔が赤くなった。  
 
「いいって・・・そんなの・・・・」  
「やってあげるっていってるんだから・・・素直に・・・・やってもらいなさい・・・・」  
金髪は姉貴っぽい声でいうと俺を立たせた。自分は中腰になり股間に顔がくる位の所で膝立ちになる。  
服をきたままの俺のジーンズを降ろし、トランクスを降ろした。金髪の姿にすでに股間にきていたので、肉棒は勢いよく立ち上がっていた。  
「・・・きゃ・・・!」  
モロに俺のモノを眼にした金髪は小さく声を上げて真っ赤になった。  
「そ・・・そんな声出すなよ・・・・悪かったなあ・・・・」  
「・・・・だって・・・すごく・・・・大きくなってて・・・・」  
「・・・金髪・・・・やっぱいいから・・・・俺・・・・・」  
俺は照れて金髪にやめさそうとした。だが金髪はチロチロと舌でそれを舐め始めた。  
「う・・・・」  
金髪は舌で一生懸命肉棒を舐め上げる。亀頭の先端に舌を這わせ両手でそっと俺を包み込みながら優しく奉仕してくれる。  
亀頭の先端からはすでに先走り汁が滲んでいた。金髪は軽く舌先でそこを突くと口に含んだ。  
一生懸命奥まで飲み込もうとするがあまりにも大きくなりすぎて上手くいかないらしくこほこほと咳をして俺のモノを吐き出した。  
「ほら!やっぱ無理すんなって・・・・」  
「・・・これぐらい平気よ・・・・」  
そういうともう一度それを口に含む。ちょっと歯が当たって痛かったが俺はぐっと堪えた。  
(・・・・つ!ちょっとぐらい我慢しなきゃな)  
もう一度苦しそうに奥まで飲み込む。それからゆっくりと俺をしゃぶり始めた。  
「・・・これでいい?気持ちいい・・・?」  
金髪は可愛い顔を上気させて涙眼で俺を見上げた。俺を喜ばせようと懸命になっているみたいだった。  
「うん・・・・気持ちいいよ・・・苦しくなったらすぐにやめろよ・・・・金髪」  
お世辞にも上手いとは言えなかったが、俺は嘘を吐いた。  
金髪は一生懸命舌と口で肉棒に刺激を与えてくれた。何度も繰り返すうちにだんだんと俺も高められていった。  
「うおっ!?・・・・すごく・・・・いい・・・・」  
俺は荒い息をしながら金髪の顔を両手で包み込んだ。金髪が嬉しそうに奉仕しながら俺を見上げた。やがて射精の衝動が先端に走った。頭に血が上った。  
 
「う!あ・・・!あ・・・!出るっ!やべっ!金髪!顔、離せ!」  
「・・・・んんんっ!」  
金髪は首を振ってより一層俺を力強く咥え込んだ。そのまま出せと言うそぶりを見せる。  
「ば・・・!?馬鹿!やめ・・・・!うあ・・・!」  
俺は金髪の口に思い切り出してしまった。金髪は苦しそうに顔をしかめるとそれをごくんと飲み込んだ。大量に出たので口の端からも少し精子が滴り落ちる。  
「ハア・・・ハア・・・ったく・・・何やってんだよ・・・・ばかたれ・・・・何で放さないんだよ・・・・苦かったろ?・・・・・ごめん・・・」  
金髪は手の甲で精子を拭うと指についたそれを口に含んだ。  
「・・・だって・・・留美奈も私の飲んでくれたから・・・私も・・・・」  
「・・・お前・・・・」  
俺は金髪を抱き寄せるとそのままキスした。舌を中に入れ絡み合わせる。  
「・・・さっき・・・アンタの飲んじゃったのに・・・・」  
「俺だって・・・お前の舐めまわしたんだぜ・・・・」  
俺はキスしながら金髪の胸を両手で揉んだ。金髪が身体をよじらせ吐息を吐く。  
「今度は・・・・ちゃんとひとつになろうな?」  
「・・・うん」  
金髪が微笑んだ。  
俺は金髪の上になり、再びいきり立った肉棒を金髪の秘部に押し当てる。金髪はギュッと眼を瞑ってちょっと緊張しているように見えた。  
濡れまくった金髪の花弁に俺の肉棒が飲み込まれるように先端まで入ったとたん  
「・・・・・!あああっ!い・・・痛っ!!!」  
金髪が激しく痛がった。  
「なっ!?お前・・・大丈夫か!?」  
「・・・・・痺れるみたいに・・・・痛い・・・・」  
金髪はちょっと涙ぐんだ。俺は思わずぎょっとした。  
「お前・・・・・まさか・・・初めて・・・?」  
「・・・・・」  
金髪は真っ赤になってそっぽを向いた。俺は唖然とし、それから噴出してしまった。  
「・・・何よ?」  
金髪が怒ったように俺を見る。からかわれてムッとしたようだった。  
 
「・・・いや・・・お前・・・・あんな事するから・・・てっきり経験あるのかと・・・年上だしな・・・・あ・・・・いや・・・わりィ・・・・でも・・・・初めてであんな・・・・」  
俺はおかしくなって笑いが止まらなかった。もし、あの時そのまましてたらどうなってただろう?きっと金髪はあまりの痛さに飛び上がってたに違いない。  
あんまり濡れてなかったし。たっぷりの愛撫をした今ですらこんなに痛がっているのに。  
「・・・・もう!笑わないでよ」  
金髪が子供みたいに頬を膨らませる。そのしぐさがすごく可愛い。  
「・・・・悪い・・・・ほら・・・・機嫌直せよ」  
俺はそういうと金髪の頬を軽く抓った。  
「・・・ごめんな・・・・痛かったか?」  
ちょっと真剣な眼で金髪に向き合う。  
「・・・ちょっと・・・ね。でも・・・平気よ」  
「じゃあ・・・・続けてもいいか・・・?」  
「・・・・ん」  
金髪はこくんと頷いた。  
俺は再び金髪に覆いかぶさり、足を拡げてゆっくりと慎重に肉棒を挿入する。肉棒が呑み込まれ始めると金髪は少し顔をしかめて背を浮かせた。  
「・・・大丈夫か・・・・痛くないか?痛かったら言えよ」  
俺は金髪を見つめながらゆっくりと奥へと進んでいく。  
「うっ!くっ!・・・だ・・・大丈夫・・・・もっと・・・来て」  
金髪は荒い息を吐きながら痛さに耐えている。俺のは半端じゃないくらい大きくなってたのではじめての金髪にはかなりきついようだった。  
「・・・・い・・・・っ!あ・・・あううっ・・・・も・・・・もっと・・・遠慮・・・・しないで・・・・・・あ・・・・・あふうっ・・・・!」  
「・・・ごめんな・・・・金髪・・・・・痛いか?・・・・・我慢してくれよ・・・」  
俺はなるべく金髪が痛がらないように優しく突いていく。俺も初めて経験する女の子の中のあまりの暖かい気持ちよさに、どうかすると勢いづいて思いきり突きそうな気分になった。  
「あっ!あっ!」  
しばらくすると何だか生暖かい感覚に突き当たった。薄い膜のようなものに遮られてそれ以上先に進む事が出来ない。少し力を入れればそのまま破れそうだ。  
「こ・・・・これ?・・・・処女・・・膜?か?」  
金髪がカアッと顔を赤くする。  
 
「・・・ばかあ・・・そんな事言わないでよ・・・・大体・・・・エッチなビデオ見すぎなのっ!何で知ってるのよ?」  
繋がってるのにも関わらず、俺の頭をぽかぽか殴る。  
「・・・あ!?あああっ!ん!」  
「・・・馬鹿!!・・・動いたら・・・もっと進んじまうだろーが!」  
俺は金髪を抱きしめ、そっと力を込めた。  
「・・・・痛いと思うけど・・・・我慢できるか?」  
「・・・・ん・・・・ここまできて・・・・やめる方が酷いわよ・・・・」  
金髪は俺にしっかり抱きついた。  
「・・・アンタに・・・・破ってほしい・・・」  
「・・・・金髪・・・・」  
俺は金髪を見た。金髪も俺を見て優しく微笑む。俺は金髪の唇に軽く口を重ねた。  
「・・・・力・・・・抜いてろよ」  
「・・・・うん・・・」  
俺は僅かに破弓の緊張に震える金髪の身体にぐっと突き入れた。  
「あ!?・・・・ああああああああ−―−っ!!!」  
金髪は激しく喘いで背を弓なりに反らせた。俺の肉棒が金髪の膣の一番奥に到達した。繋がっているところから蜜と一緒に血が流れでてきた。  
「・・・・あ・・・・ああ・・・・・!」  
金髪は身体を震わせながら貫通の痛みに耐えている。  
「・・・・金髪!大丈夫か・・・?」  
「・・・・うん・・・留美奈のだから平気よ・・・・」  
俺はゆっくりと腰を降り始めた。奥まで入れるとゆっくりと入り口まで引き抜く。ぴちゃぴちゃと淫靡な性器の出し入れする水音が部屋に木霊し始めた。  
金髪は顔を赤く染め、俺の動きに合わせて小さく喘ぐ。その声がだんだんと高くなる。痛さがやがて快感に変わってきたのか金髪が恍惚とした表情を浮かべた。  
それは何とも言えないほど綺麗で、淫らだった。俺は溜まらない気持ちになった。  
(・・・やべえ・・・金髪すげえ可愛い・・・可愛すぎて・・・もう!!!)  
すでに金髪の膣一杯だった肉棒がますます膨れ上がる。  
 
「ああ・・・?んっ・・・・あ・・・・すごい・・・」  
金髪がそれを感じて喘ぐ。俺は腰の動きを激しくした。もう、限界に近づいてきた。  
「あっ!あっ!あっ!留美奈!そんなっ!はげし・・・!」  
金髪は未知の快感に身体を震わせながら俺の腰に手を廻す。突き入れるたびに金髪が仰け反り、切ない喘ぎ声を漏らす。  
長い金髪が汗だくの身体に絡みつく。それは言葉にならないほど綺麗だった。  
(・・・うっ!くっ!・・・まるで・・・天使を犯してるみたいだぜ!・・・・)  
「・・・金髪・・・・金髪・・・・すげえ・・・・綺麗だよ・・・」  
「・・・い・・や!・・・・はあんっ!・・・そんな事・・・・」  
俺は腰を動かしながら乳房にむしゃぶりついた。  
「あっ・・・・あ・・・・はあんんっ・・・・それ・・・・駄目え・・・・!!」  
口と片手で乳首を責めながら、片方の手を繋がっている部分へと持っていく。クリトリスへと這わすと指でこねくり回した。  
もうそこは金髪と俺の精液でぐっしょりと茂みを濡らしていた。挿入と乳首、クリトリスと敏感な部分を責められて金髪は息絶え絶えに喘ぐ。  
「・・・んんっあっ!あっ!・・・ま・・・また・・・変になっちゃう・・・!」  
「はっ・・・う・・・うっ!・・・気持ち・・・いいか?金髪?・・・・」  
「いい・・・・あんっ!・・・気持ち・・・いい・・・!留美奈あ・・・・!」  
「・・・ん!くっ!・・・お・・・俺も・・・・もう!」  
肉棒から精液が滲み出す。金髪はそれを感じ取って潤んだ眼で俺を見た。  
「・・・ああ・・・・」  
「・・・お前の・・・・中に・・・出したい・・・・!」  
金髪は眼を大きく見開いた。  
 
「・・・・駄目・・・駄目よ・・・・赤ちゃんできちゃう・・・!!」  
「・・・出来てもいいぜ・・・お前と俺の子供なら・・・むしろ欲しいくらいだし・・・」  
「・・・馬鹿っ!・・・あ!駄目・・・・っ!そんなこと!・・・簡単に・・・はあん!」  
俺は真剣な眼で金髪を見つめる。  
「・・・俺の子供・・・孕んでくれ・・・・本気だ・・・金髪・・・親父になる覚悟は出来てるぜ・・・」  
「・・・・留美奈・・・・いいの?・・・本当に・・・?」  
金髪は肩で息をしながら俺の眼をじっと見つめた。  
「・・・・当たり前だろーが・・・・お前以外・・・誰がいるんだよ・・・?」  
俺は金髪に微笑んだ。金髪は嬉しそうに口を綻ばせた。  
「・・・一緒に逝こうな?・・・ちゃんと全部受け止めろよ・・・・」  
「・・・ん・・・」  
俺は激しく腰を打ちつけた。金髪の喘ぎが切なく響く。俺の心の中は金髪への愛しい想いで一杯になった。  
(金髪・・・・!俺の金髪!もう絶対はなさねえ!!!)  
その瞬間、俺は金髪を抱きしめた。両手を重ね合わせ、唇を塞ぐ。  
「―――――――んんん!!!!」  
全部、金髪と一つになる。肉棒が震え、金髪の中に大量の俺の液体が放たれたその時。  
(又、逢える)  
ルリの声と笑顔が不意に俺の脳裏に浮かんで消えた。  
「あ―−−−−−−―!!!!」  
金髪は声を上げると身体を仰け反らせた。  
不思議だったが俺はその時、確実に金髪が俺の子供を身篭った事を感じ取った。何故だか嬉しさが込み上げてくる。  
繋がっているところから精液と愛液が混ざってどろどろと零れ落ちた。俺と金髪は同時に逝ってしまった。  
「・・・大丈夫か?」  
俺は身体を起こして金髪の顔を覗き込んだ。金髪は泣いていた。小さく嗚咽を上げながらすすり泣いていた。  
「・・?お前・・・どうしたんだよ?・・・・そんなに痛かったか・・・?ごめんな・・・」  
「・・・違う・・・・」  
金髪はふるふると首をふった。  
 
「・・・・嬉しい・・・・何か・・・すごく嬉しくて・・・・留美奈が・・・・・私の中に・・・・」  
「・・・・金髪・・・・俺も・・・嬉しい・・・・」  
俺は金髪をもう一度ぎゅっと抱きしめた。何度も何度も口づけした。  
 
俺たちは関係を持った後も変わらなかった。ささいなことで喧嘩したり、仲直りしたりした。  
ただ、喧嘩をしてもその後すぐにお互いを求める気持ちが強くなり、俺たちは毎晩のようにセックスした。身体を重ねないときでもどちらかの部屋で手をつないだり、抱き合って眠った。  
一線を越えると不思議に金髪とのつながりがますます強まったような気がした。  
金髪と繋がっていると俺は(自分はこいつとずっと一緒にいたいから、放っておけないからアンダーグラウンドに行ったんだろうな)と思う。多分、その通りだったんだろう。  
金髪と俺の身体はパズルみたいにぴったりと相性が良かった。金髪の身体は俺のために、俺の身体は金髪のためにあるみたいだった。  
関係を持った事で俺はもっと金髪を愛しく想うようになった。俺はまず銀に身体の関係が出来たことを打ち明け、次に爺に話した。二人ともよかったなといってくれた。  
しばらくして金髪のお腹に俺の小さな命が宿った。桜が散り始める頃だった。関係が出来て1ヵ月後の事だった。俺は金髪にそう告げられると思わず金髪を抱っこして喜んだ。  
ただただすごく嬉しかった。金髪も俺のそんな様子を見て嬉しそうだった。  
 
日曜日、俺は爺に無理やり寺の屋根の修理をやらされていた。一通り雨漏りしないくらいに瓦を打って直すと、足を投げ出して腕枕をして屋根の上で寛いだ。  
屋根に上ったのは久しぶりだった。ぽかぽか陽気が気持ちいい。このままここで昼寝してもいいかなあ・・・なんて思いながらうとうとしていると金髪が中庭で洗濯物を干しているのが眼に入った。  
金髪は何だか楽しそうだ。鼻歌でも歌ってるみたいにタオルをパンパンと叩いて竿に掛けている。庭の桜はほとんど散っていたが僅かに残った花びらがちらちらと金髪の顔の横で踊っている。  
(本当に暴れなきゃ可愛い顔なんだよな)  
俺は金髪を見つめて苦笑いした。しばらくすると干し終わったのか、金髪はパタパタ音をさせながら家に入っていった。  
(ん?終わったのか?)  
するとガタンと大きな音がして、園芸用の脚立が屋根の端に掛かった。  
 
「え!?」  
驚いて下を覗くと金髪がこっちに上がってくるのが見えた。  
「馬鹿っ!降りろって!流産したらどーすんだ!!!」  
「大丈夫、大丈夫。この子丈夫そうだから」  
そういって笑う。俺は必死になって阻止しようとしたが、結局金髪は上ってきてしまった。俺は思わずハラハラした。  
「留美奈、はい」  
金髪はまるで引き上げろと言う風に俺に手を伸ばす。  
「ったく・・・しょうがねーな」  
俺は溜息を吐いて金髪の手を引く。お腹を庇うように抱き上げるみたいに上に上げてやった。金髪は屋根の上に俺と並んで腰掛けた。  
「屋根に上ったの、久しぶりー。ルリ様とよく上ったわ。あの頃はピヨンピヨン飛び移って上れたのに、妊娠するとさすがに出来ないわね」  
「当たり前だろーが!馬鹿!」  
金髪はうーんと気持ち良さそうに伸びをした。  
「お前と一緒にこうしてるの、アンダーグラウンドに行く前の晩以来だな」  
「そうね」  
金髪はにっこり笑った。俺たちはしばらく黙って屋根から町並みをみつめた。そしてどちらからともなく近寄っていった。  
俺の肩に金髪がちょんと頭を預けた。甘くて嗅ぎなれたシャンプーの匂いがした。俺も金髪の頭を自然に抱き寄せていた。意識したのではなく二人とも自然に・・・だった。  
「・・・・腹出てくる前に式、上げなきゃな?」  
「・・・うん」  
暖かい風が吹いた。俺たちはちらちら舞っている桜の花びらを眼で追った。  
 
「・・・・ねえ・・・この子のことなんだけど・・・」  
金髪は腹に眼をやった。  
「ん?」  
「・・・・何となく・・・・女の子のような気がするの・・・・」  
金髪は俺をじっと見つめた。  
「・・・・あの時・・・・初めてアンタと関係したとき・・・赤ちゃんが出来たって分かったの」  
「・・・お前もか?」  
金髪は首を傾げて俺を見る。  
「俺もそんな気がしてた・・・・あの時・・・俺も腹の子供が女のような気がしてる」  
俺は金髪を見て、笑いかけた。  
「・・・・多分、考えてる事一緒だろ?・・・お前が考えた名前は?」  
「・・・そっちは?何て名前考えたの?」  
「多分同じ名前。じゃ、一緒に言うか?」  
俺たちは向かい合った。  
「せーのー」  
「・・・・・ルリ!」  
同時にハモって俺たちは吹き出した。  
「・・・・考える事は同じね」  
「お前は相変わらずルリのことが気になってるんだな」  
金髪は愛しそうに腹を撫でた。まだ腹は出てきてないが、そこにはもう一人俺たちの分身がいる。  
「やっぱり・・・この子はルリ様の生まれ変わりなのかな?ずっとそんな気がしてる」  
「・・・どうだろうな・・・でも、俺たちの子供には変わりないぜ。こいつは《浅葱ルリ》だ。生命の巫女も何も無い、普通の子供だ」  
「そうね・・・もうすぐ、又、逢えるのね・・・人間の、私たちの子供のルリ様に・・・」  
俺たちは寄り添ったまま、桜の舞う青い空を見つめていた。  
 
 

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