「何勝手にくつろいでんのよ!!」
一連の騒動に片がつき、近くの居酒屋で祝杯をあげた後、春香を送り届けた雅
人はちゃっかりと部屋まで上がりこんでいた。数ヶ月前には座ることすら拒否
されたソファーに深く腰掛け、まるで自分の家のようにくつろいでいる。同居
している望美は、幼馴染じみとデートをしているらしく、まだ家には帰ってき
ていない。
「送ってきてやったんだからこれくらいの役得はあってもいいと思うけど?」
「偉っそうに!手狭な女性の自宅にちゃっちゃとあがりこんで・・・。望美が留
守だって知ってて来たんでしょ?!あ〜いやらしい!」
照れ隠しなのか大げさにポーズをつけながら大股で部屋を横切る春香を、雅人
はいとおしげに見つめた。
(晴れて恋人同士に戻れたというのに、素直じゃないなぁ。・・・まぁそこが可
愛いんだけど。)
ちょっかいを出そうと近寄ってきた春香の腕を急に掴んで引っ張り込むと、大
きく広げた自分の足の間に座らせ、抱きしめた。ふいをつかれた春香が悔しそ
うにもがいている。
「お望みならしてもいいけど?いやらしいこと。」
「望んでないわよ。」
「あ、ソファーは座っていいんだっけ?」
「座ってから言うな!!」
一つ一つ言い返してくる春香が可愛くて、雅人はそっと唇をふさいだ。
当然殴りかかってくるだろうと覚悟していたが、春香は抵抗せず、雅人の腕の
中にすっぽりと収まっていた。