春香は、内股に触れさせている指をじりじりと秘所へと近付けていく。付け
根へと近づいていくほどに、望美の肌が汗ばんでいるように感じられた。ふと
下着に目をやると、秘所に当たっている部分だけ周りよりも色が濃くなってい
るのに気付く。
「……すご……」
それを見て、春香はぼそりと呟いた。望美の耳には届いていなかったらしく
、文句は飛んでこない。何も言われなかったのをいいことに、春香は前振りも
無く濡れたそこに指を押し付けた。布越しだというのにそこは熱く、すぐにじ
っとりと指先が湿る。軽く動かすと、それだけで指がぬるりと滑った。動かす
と、その度に望美が腰を逃がそうとするので、春香は空いた方の手で腰を掴ん
で固定した。
「や、だ……椿木さん、やめ、てぇ……あああっ!!」
快楽から逃げる術を失った望美は、本当に泣いているのではないかと思うよ
うな声で懇願する。だが、春香がそれを遮るかのように再び刺激を与えだすと
、また声をあげて体をよじった。
下着越しに、望美の敏感な部分が固く立ち上がっているのが分かる。春香が
あえてそこには触れず、指を立てて窪みを埋めるように突き始めると、望美は
腰をくねらせた。何度も、薄布が敗れそうなほどに強く突き入れる。その度に
、望美のそこからは液体が溢れ出て、春香の指だけでなく、シーツまでもを濡
らした。
「ねえ……ここ、すっごいどろどろなんだけど……そんなにいい?」
春香は、からかう様に囁きかける。ここ、と言うのと同時に起ちあがった肉
芽に触れると、今までよりひときわ大きく望美の体が跳ねた。望美は息も絶え
絶えに、ぼんやりとした目で春香を見つめている。
「もしかして……イった、の?」
そんな望美の様子を不思議に思った春香がそう尋ねると、望美は小さく頷い
た。少し放心状態になっているのか、視線はまだうつろなままだ。
春香は、余韻に震えている望美の手をゆっくりと撫でる。望みは大きく息を
吐きながら呼吸を整えていた。春香は望美を見ながらふと笑む。望美がよく分
からないというような顔をしたので、春香はなんでもない、と返しておいた。
春香は望美の下着に触れていた指をゆっくりと動かすと、緩やかに盛り上が
った丘の方へと移動させる。包み込むようにしてそこを揉むと、望美がため息
のような吐息を漏らした。布一枚を隔てて、陰毛のかさついた感触が伝わって
くる。春香が望美の太股の付け根から手を侵入させると、望美は反射的に足を
閉じようとした。
「何勝手に足閉じてんのよ」
春香は言いながら片手で足を止めると、更に割り開く。
「ちょっと、椿木さ……こんなの、やぁ……!」
望美が恥ずかしそうに声を上げるが、春香がもう片方の手でそろりと丘にな
った部分を撫でると、望美は黙り込んだ。
「いいじゃない。私しか見てないんだから」
望美の陰部を撫でながら、春香は囁く。僅かな優越感が湧き上がってきて、
また笑みを零した。丘の部分を撫でていた指をだんだん下ろしていくと、手の
甲に湿った布が触れる。望美の零した液体でじっとりと濡れたそれは、ぬるつ
いていた。
「……ここ、どうなってるか……見ていい?」
春香は欲求の赴くままに、思ったことを口にする。視線を上げると、望美が
目を閉じてかすかに首を振っているのが見えた。……横に。
「だっ……め、です……」
彼女の目尻に涙が滲んでいるような気がして、少しだけ罪悪感に駆られる。
しかし今更、行為を止めることなどできなかった。彼女のためにも、自分の欲
求のためにも。
「ごめんねー、あなたに拒否権ないのよ、今は……聞いておいて何だけど」
声に申し訳なさを僅かに滲ませて、春香は望美の足を閉じた。そして、下着
のウエストに指をかけてするりと足から引き抜く。引き抜いた下着をベッドの
外に放り投げると、春香は先刻とは逆の手順でまた望美の足を割り開いた。
「――つ、椿木さんの馬鹿ぁ……」
望美はとうとう顔を腕で覆い隠してしまった。その反応も予想済みだったの
で、春香はそれを気にせずに行為を続けていく。
割り開いたそこは、とろとろと滴を零しながら蠢いていた。陰毛から僅かに
見え隠れする秘肉が滴に濡れてひどくいやらしい、と春香は思う。自分ですら
見たことのない部分を人の目にさらすという行為が、どれほど恥ずかしいかな
ど想像もつかない。だが、こうしたことによって望美の秘所は更に濡れてきて
いる。――間違いなく、望美は感じていた。
「……さっきよりも濡れてるんだけど……なんで?」
望美の秘所に指を伸ばしながら、春香は分かりきったことを尋ねる。秘所に
触れた指はすぐに望美の零した液で濡れて、光を反射しながらてらてらと光っ
た。ぬるぬると滑る指先を擦り合わせると、粘ついた音と共に細い糸が引く。
「ねぇ……糸も引いちゃってさ……やらしー」
春香はくっくっと喉で笑うと、秘所の入り口を指で掻き回した。次から次へ
と液が溢れ出して、春香の指とシーツを濡らしていく。春香がわざと大きな水
音を立ててそこを引っ掻くと、望美が切なそうに息を漏らした。
(……気持ちいいの? それとも、足りない……?)
そんなことを考えながら、春香はどろどろに濡れた指で固く立ち上がった
肉芽に触れた。途端、望美の体が跳ね上がる。それと共に上がった甲高い望美
の声に、春香は驚いて秘所を直視してしまった。
「……ここ、そんなにいいの? 体、跳ねてたわよ」
春香の視線が恥ずかしい部分に向けられているのに気付いているのか、望美
は問いかけに答えない。恥ずかしそうに顔を腕で覆ったまま黙っている。時折
聞こえてくる息だけが、それに答えているようなものだった。
「……椿木さん」
ふと名前を呼ばれて、どうしたのかと春香は視線を望美の顔へと向ける。腕
のガードは固く、まだその表情を見ることはできない。
「ん、何?」
声を掛けてきてくれたのが何故か嬉しくて、春香はそれを悟られないように
そっけなく答える。今顔が崩れているのを見られなくて良かった、と思った。
「あたし、おかしくなっちゃったんですけど……」
望美の言っていることがよくわからない。少し考えて、何となく彼女の言い
たいことが分かった。
「……どうしてくれるんですか、って言いたいの?」
先回りして聞き返すと、望美はこくりと頷く。しおらしい望美の様子に、春
香は自分がどうしようもなく彼女に惹かれていくのを感じていた。
……どうしよう、可愛い。認めたくなかったはずなのだが、ここまでくると
自分の欲求に抗えるはずがない。
「……どうしてくれるも何も……そのままいっちゃえば? 天国にいけるかも
ねー」
春香はおどけたように言うと、今度は肉芽を擦った。指が滑るだけで自分で
は擦って刺激を与えている、という感覚はあまりない。それでも春香の思った
通り、望美は先刻と同じように高い声で喘いだ。
このままずっと続けていたら声が枯れてしまうのではないだろうか。春香が
そんな危惧さえ抱くほど、望美は大きな声をあげて善がっている。顔を覆って
いた腕はもう両脇に落ちて、ぴくぴくと痙攣するように動いていた。ようやく
見えた望美は快楽に蕩け切った女の顔をしていて、視線はうつろに宙を泳いで
いる。
「飛鳥さん……ほんと、やらしい……」
春香はそう呟くと、今まで肉芽を弄んでいた指を入り口にそっと宛がった。
ゆっくりと入り口を押し広げるように指を侵入させていくと、望美の反応が変
わっていくのが分かる。体中が緊張したかのように固くなって、ぴんと伸びて
いる。内壁を擦りながら奥へと進めると、望美の息遣いが小刻みに短くなって
いくように思えた。
望美の中は熱く、きつい。どろどろに溶けきったような、それでいて弾力の
ある内壁が指に絡みついてくる。指を軽く動かすだけで、また奥から熱い液体
が溢れ出した。まるで春香の細い指を逃がすまいとするように、液体までもが
指を包み込む。
「飛鳥さんの中、すごく熱い……それに、どろどろ……」
言いながら中を掻き回すと、先刻よりも締め付けがきつくなる。内壁が蠕動
して、指をゆるゆると刺激していく。男がここに性器を差し込んで気持ちよさ
そうにするのも当たり前か、とふと他人事のように思った。
される側の経験しかなく、差し込むことのできる性器も持たない自分にとっ
て、それは未知の感覚であり、これからも知ることのできない快感だ。望美の
中で指を動かしながら、春香はぼんやりとそんなことを考えるのだった。
望美の秘部から溢れ出した液体は、春香の手の甲にまで伝っている。手の平
にできた窪みに液体がたまって、春香の手が動くたびにそれが大きな水音を立
てて飛び散った。その水音が、望美の快感を煽っているだろうことは、想像に
難くない。春香は望美の中から指を引き抜くと、液体でてらてらと光っている
指を舐めた。
「……っ!? 椿木さん、何舐めて……止めてくださいよぉ」
望美が泣きそうな声で、春香の行為を止めさせようとする。だが、春香は止
めることはせず、逆に音を立てて指に絡みついた液体を舐めとった。口で望美
の乳房を愛撫していた時のような舌使いで、手首の方へと垂れていく彼女の零
した液体を舐めあげる。
「……んっ……どろどろになったから、綺麗にしてるだけ……じゃない……は
ぁ……なんで、だめなの……?」
わざと見せ付けるように自分の手を舐めながら、春香は望美に問い返す。
「……だって……汚い、じゃないですか……!」
望美は叫ぶように答えると、再び腕で顔を覆ってしまった。春香はつまらな
さそうに唇から手を離す。
「……汚いって思うんだったら、こんなことしないわよ? それに」
春香はその手を望美の秘所へと伸ばすと、溢れた液体を掬い取った。液体は
、春香の指の隙間からとろとろと零れ落ちていく。
「さっきよりも溢れてるじゃない……嫌だなんていいながら、濡れてるの自分
でわかってるでしょ?」
指でその液体を弄びながら、春香は楽しそうに囁いた。実際、こうして望美
をからかうのは楽しい。自分の言葉にいちいち反応して、赤くなったり、体を
震わせたりしている彼女を見ているのは、これまでになく楽しかった。この行
為を続けたいと思うのはもちろん、それだけの理由ではなかったが。
春香は指を止めると、腕を動かしていつの間にか閉じてきていた望美の足を
再び割り開いた。内股に触れた指が液体でぬるりと滑る。腰を押さえていた手
も同じように内股へと掛けると、春香は望美の秘所へ顔を近付けていった。
「――、あ!? 椿木さ、あたし、っ……!!」
舌先をどろどろになっている入り口へと触れさせると、望美は体を仰け反ら
せる。押さえた内股が小刻みに震えて、今にも逃げ出そうとしているのが分か
った。
「んっ……ふ、ちゅ……んむ……」
次から次へと溢れてくる液体を、春香は舐め、そして飲み干していく。口の
周りは、舐め切れずに溢れた液体ですぐに濡れた。
春香は舌を奥へと進めていくと、内壁をぐにぐにとねぶった。襞が舌先に吸
い付いてくるような錯覚を覚えて、荒々しく息を吐く。秘所から漂ってくる独
特な香りが鼻腔を埋め尽くして、息苦しい。再び息を吐くと、望美の陰毛がそ
よいで鼻先を突いた。
「あ、――っ、ひ、ああっ! やっ、あ!」
がくがくと体を震わせながら、望美が喘ぐ。春香が舌を奥へと進めていくた
びに、ぬるりとした内壁で締め付けられた。その刺激に、頭の奥がぼやけてく
る。自分の下腹部がじんじんと疼いているのがわかった。だが、あえてそれを
気にせずに行為を続けていく。自分の事よりも、望美をよくさせたいという思
いの方が強かった。
春香は一旦舌を引き抜くと、すぐ上で固く立ち上がっている肉芽に舌を絡め
る。途端、望美の体がこわばった。気持ちいいのだろうと解釈して、春香は何
度も何度も舐め上げていく。敏感すぎるそこは、春香の愛撫を受けてひくひく
と小刻みに震えた。春香は唾液を絡めて、そこをどろどろに汚していく。春香
の唾液で、一帯の陰毛は濡れ切っていた。
「……っ、あ、っや、だめ、も……っ!!」
望美が、途切れ途切れに絶頂が近いことを訴えてくる。それを聞いて、春香
は舌を動かすのをやめた。秘所から顔を離して、体を起こす。春香は大きく息
を吸って、呼吸を整えた。
「体、起こせる……?」
腕を望美の方に伸ばしながら、春香は尋ねる。すると望美が何も言わずに腕
を伸ばしてきたので、春香はその腕を掴んで支えて体を起こすのを手伝った。
「ちょっと無理してもらうけど、いい?」
そう聞くと、望美はよくわからないというような顔をしながらも小さく頷く
。春香は望美の返事を確認すると、彼女の腰に手を添えた。
「膝で立てる?」
春香の問い掛けに望美はさらに不思議そうな顔をしたが、言われるままに膝
を閉じて腰を浮かせる。彼女の足が微かに震えているのが目に入って、春香は
望美の手を掴んで自分の肩に乗せた。近くなった望美の顔が、ぼおっと赤くな
るのが手に取るようにわかる。春香はくすくすと笑って、そっと望美に口付け
た。
急なキスに望美は驚いたようだったが、今日何度目かのそれには慣れたらし
く、すぐに応じてくる。互いに押し付けあいながら、唇の弾力を確かめた。春
香はキスを続けながら望美の内股に手を這わせる。ぴくんと望美の体が震えて
、その唇から熱い息が吐き出された。春香は熱い、と思いながらも手を望美の
秘部へと伸ばす。途端、望美の意識が唇から逸れたのに気付いて、春香はやわ
りと彼女の下唇を食んだ。
「――んっ、ふ、はぁん! んん……っ」
無理やり彼女の意識を唇へと引き戻して、間もなく指をどろどろに濡れた望
美の中に差し入れる。望美の秘部は、二本に増えた指を貪欲に飲み込んでいっ
た。指を中に埋めた望美の腰が、小刻みに震え始める。
「っ、あ……ひっ、ああ……ん――っ!」
春香が指を根元まで押し込むと、望美の背中が仰け反って合わせていた唇が
離れた。春香が肩に乗せた彼女の手は、いつの間にかきつく自分の肩を握り締
めている。肩に走る僅かな痛みに顔をしかめながら、春香は差し入れた指をそ
っと動かした。
差し入れた指全体に、熱い内壁が絡み付いてくる。指を動かすのに少し力を
要するほどに、その締め付けはきつい。襞を指先でそっと撫でると、奥から液
体が溢れ出てきて、その度に指の動きがスムーズになっていった。