絶対的な善悪はあり得ないとよく言われる。  
心優しいディアボロスもいれば、腹黒いクラッズもいる。  
性格と見た目の違いは、時に凄まじい威力を放つ。  
・・・・・・事もある。  
 
「あー、今日の仕事はそりゃあもう大変なのね。皆倒れない程度に気合入れてね」  
『ハイッ!』  
学園祭翌日の保健室。室内には保険医のジョルーと、保健委員の面々が集まっている。  
当日の午後、学園の生徒と学院の生徒が乱闘騒ぎを起こし、保健室はてんやわんやだった。  
傷は魔法で簡単に治るが、消毒液はきっちり消費する。  
魔法は決して万能では無く、病原菌相手には薬の方が効果を示す。  
計数十人のケガ人を出した騒動で、薬品が素寒貧なのだった。  
「今日の仕事は薬運びと、出費の計算をやってもらうの。委員長、分担よろしくね」  
「はい先生。お任せ下さい!」  
意気込んで返事をするのは、保健委員長のセレスティアである。  
彼女は入学して以来、保健委員一筋の最上級生。  
容姿端麗な僧侶学科の優等生で、現在は司祭。  
しばしば男子の憧れになっていて、恋人にしたい人ランキングの上位に挙がるのも珍しくない。  
「じゃあ、ここからここまでの皆は薬を取って来て。後は会計をお願いします!」  
『ハイ!』  
決断力にも優れ、何かと世話焼き。図らずも男共の要所を良く捉えている。  
それ故、保健委員という退屈なイメージを我慢してまで、彼女に尽くす男子もいるのだ。  
「ちょっと君、そんなに抱えて大丈夫?」  
「あ、センパイ。こんなんどってこと無いッスよ。俺戦士学科だし、別に心配要らないッス!」  
彼女にそう言い返したバハムーンは、新入生の男子だった。  
委員会説明の時に登場した彼女に一目惚れし、勢いで保健委員に加入。  
当初は若干ながら後悔の念があったが、次第に仕事にも慣れ馴染んでいった。  
何より、彼女の励ましとねぎらいが一番の活力となり得るのである。  
「そう?無理しちゃダメよ?」  
「ウ〜ス!」  
こうして声をかけて貰える事が、彼の喜びに直結する。  
彼女がいる事こそ、彼の救いであり原動力だった。  
「っしゃあ!運搬終わりいっ!」  
そんな彼の頑張りもあってか、薬品運搬は早々に結着を見た。  
「あ、そう。それじゃお使いを頼みたいのね」  
「へ?何スか?」  
「買付けといた薬の中に、間違って学府に届いた物があるのね」  
「それって・・・まさか・・・」  
「取って来て貰おうかな、なんてね」  
「ま・・・マジすかー!」  
それでも、彼の労働は終わらない。  
遠くで少しだけ、彼女が笑った様な気がした。  
 
「お届け物ですよ、っと・・・だあー!疲れたー!」  
「はいはい。御苦労さんだったね」  
彼が使いを終えた時には、既に日が落ちた後だった。  
今宵の空は良く晴れていて、月や星が瞬いている。  
放課後の出発だったため、帰りに魔法球を頼らなければもっと遅くなっていただろう。  
「しばらくここで休んで行くと良いよ。鍵と戸締り、任せたからね」  
「へーい。少し寝てま〜す」  
ジョルーは机に鍵を置き去りにすると、晩酌用の酒瓶を手に部屋を出る。  
先生と入れ違いで、委員長のセレスティアがやって来た。  
「お帰りなさい。大丈夫?怪我とか無い?」  
「あーはい平気ッス。モンスターはダチに任せてあったッスから」  
「お疲れ様。これは奢りよ」  
「わあお!ゴチッス、センパイ!」  
疲労を癒す凛とした声と、手渡された瓶入りジュース。  
栓を抜くなり首を傾け、一気飲みの体制で喉の渇きを潤して行く。  
「フフ、良い飲みっぷりね」  
「あ、そッスか?」  
「ええ、男らしいわ」  
理想の女子から伝わった言葉は、彼の顔を瞬時に赤く染める。  
考えてみれば、学生の男女が夜の保健室に二人きり。  
これは何ともいやらしいと言うか、妙に狙ったようなシチュエーション。  
出来る事なら、あんなことこんなこと・・・。  
「・・・って何妄想してんだ俺はあー!」  
思わず叫び声を上げて正気を保つ。  
剣を振るより速く頭を左右させ、後頭部を掻きむしる。  
「ふ〜ん・・・成程ね」  
「うぇ?!」  
その次に彼の身体に触れたのは、背中に抱きついた彼女だった。  
肩甲骨の下辺りに、柔らかい感触が二つ。  
それは間違い無く彼女の胸部、色っぽく突き出た乳房であった。  
「ねえ・・・エッチなコト、しない?」  
「え・・・えぇーー!?」  
心臓が破裂しそうな程に、刺激の強い耳打ちだった。  
 
「ちょ、どういう事ッスかあ?」  
「どうも何も、言った通りの意味よ」  
聞き間違いでは無い事だけは、とりあえず理解出来た。  
しかし、余りに突発的且つ衝撃的な台詞のため、未だに脳が追い付かない。  
「いや、だから・・・ッ?!」  
彼の困惑に拍車をかける様に、彼女は顎を持ち上げキスを強いる。  
温かくて柔らかい、理性を崩す口付けの感触。  
さらに追加された混乱に、眼を見張って固まってしまう。  
「んんっ・・・むふ・・・っちゅ・・・」  
その内に彼女の舌が唇を越え、彼の咥内を舐め回して来る。  
当惑する彼の表情を覗き込む蒼い眼は、艶っぽく潤んでいた。  
「ん・・・んん・・・」  
「んむ・・・っはあ」  
やがて彼の方が息苦しくなった頃、ようやく彼女は口を離した。  
口元からは、舌が絡み合った時の唾液が糸を引いている。  
「せ・・・センパイ?」  
「フフ・・・こういうの、初めてでしょ?」  
「いや、て言うか・・・っあ!?」  
彼が反論するよりも早く、彼女の手が股へと伸びる。  
「へえ・・・バハムーンって、こんな声出すんだ」  
そんな事を言いながら、手際よく制服のズボンを下ろす。  
下着ごと着衣をずり下ろすと、既にいきり立ったモノが露出する。  
「わあ、おっきい・・・じゃあ、いただきまあす」  
「センパイ、待って・・・おああっ!」  
間髪入れずに、彼女はそのまま肉棒を咥え始めた。  
「んむ、ちゅぷっ、はむ、くぷっ」  
保健室中に淫靡な音を響かせて、彼女は口を上下させている。  
全身の神経が唾液に包まれたと錯覚させる程の強烈な快楽が伝わって行く。  
彼女が駆使する舌攻めは、とても長くは耐えられない。  
「うは、くあっ!センパイ、もう・・・っ」  
「んちゅ、っはあ、出してもいいわよ。我慢しないで私に頂戴・・・」  
「あ、で、出る!イクう!」  
呻き声が終わるより早くに、彼の精は飛び出していた。  
 
「ん〜、ちゅうぅ・・・ぷはっ、凄ぉい」  
「はあ、はあ、せ、センパイ・・・」  
溢れんばかりに吐き出された白濁を飲み込む彼女は、満面の笑みを浮かべていた。  
一方の彼はと言うと、絶頂の余韻に息を切らし、ベッドに倒れて消耗している。  
そのまま動けないでいると、服を外し、下着を脱いだ半裸の彼女が上乗りになって来た。  
「やあん、まだこんなにおっきい・・・自分でしたりしないの?」  
「え、いや、あんまり・・・」  
いつの間にか逆らえない流れが出来てしまっている。  
痺れる身体は抵抗も出来ず、ただ彼女にされるがままだ。  
「この様子じゃ、まだまだ出せそうね。今度はコレで私を良くして」  
「あの、いいんスか?その、イロイロ・・・」  
「バハムーンの精液って濃いのね。ダメな日にあんなの出されたら、もう絶対妊娠よ」  
彼女はそう言って空き瓶をどかすと、未だ勃起している彼の分身を自らの陰部にあてがう。  
「こういうコト、したかったんでしょ?今夜だけの秘密にしてあげる・・・」  
窓の外から差し込む月明かりに、妖しく陰るセレスティアの翼。  
惚れこむまでに憧れた、妖艶で美麗な女体。  
行為の舞台となった保健室に、彼は快楽の堕天使を見た。  
「んんっ・・・あはあっ!入ったぁ」  
「あ、ああっ!やべぇ、熔ける・・・っ」  
興奮で脈打つ巨根が、そのまま秘裂に吸い込まれて行く。  
すでに熱く濡れていた子宮。溢れる蜜に絡み付かれる。  
熔けるという表現の通り、このまま消滅しそうな程の熱と液に包まれていた。  
「あん。おっきいの、丸ごと中に入っちゃった」  
「センパイ、これ、凄すぎッス・・・」  
「どう?私の中、気持ちイイでしょ?またすぐにイカせてあげるからね」  
そう言ったかと思うと、彼女はいきなり腰を振り始める。  
身体が上下する度に、電撃並の刺激が襲い来る。  
「うあっ、くぅ、はあ、わあっ!」  
「あん!はあっ!凄い!凄いのお!」  
彼をリードしていた彼女の方も、いつしか巨大なモノに酔っていた。  
 
「あうっ!んはあっ!君のコレ、凄くイイよぉ!」  
「うはっ、センパイ最高ッス!」  
「ひゃあん!あふう!気持ちイイの、たまらないのお〜!」  
彼の股間に乗り上げて、思う存分に乱れる彼女。  
スカートを履いたままなので、見えない部分が情欲を掻き立てる。  
ピストンの度にはためく布地は、チラリズムを炊き付けた。  
「あはっ!イイっ!バハムーンがこんなに凄いなんてぇ!」  
完全に心酔している彼女は、最早目線が座っていない。  
もちろん種族柄もあるが、他にも大きな要因がある。  
あれほど追い求めた少女を、自分自身で狂わせている。  
理想のひとを姦通している現実が、彼の情欲を燃え上がらせていた。  
「センパイ。俺・・・俺っ!」  
「え、何・・・ひあっ!くはあっ!」  
ついには更なる高みを求め、下からの突き上げが始まる。  
「うは、これ最高・・・センパイのが吸い付いてくる・・・」  
「はうぅ!んはあ!もっと、もっと激しくぅ!」  
「うう、こうッスかセンパイ?」  
「ひゃうぅ!そうソコ凄い感じちゃう!もっと好きなようにしてイイよぉ!」  
もうとめどなく肉欲を貪り、お互いに他の事等は何も考えられない。  
保健室だけを切り取って、その空間に永遠が欲しいと願うほど求め合う。  
どんどん勢いを増す上下運動に合わせ、薄暗い空間に汗が光り出す。  
「はあ、ううっ!センパイ、俺もう・・・」  
「ああん!イイよぉ!たっぷり注いでえっ!」  
両者共に絶頂を予感し、一気に動きが加速した。  
 
「うっ、センパイ、俺もう・・・イクっ!」  
「ああん!来てっ!中にイッパイ濃いの出してえっ!」  
彼女も既に果てそうなのか、はしたない言葉を撒き散らして懇願する。  
己の限界を感じ取り、ひと際強く突き上げる。  
「あっ、ああ!出る、イク!」  
「ひゃあぁ!あはぁん!私も、らめぇ〜!」  
内部に大量を吐き出すと、彼女の身体も大きく反り返る。  
それでも精気を吸い尽くそうと、中で激しく吸引された。  
「ああ、うは・・・これ、吸われる・・・」  
感覚としては異常な規模で達した彼は、ベッドに肢体を投げ出している。  
上で跳ねていた彼女は、やがて彼の胸板に倒れこんだ。  
身長の割に軽く思える彼女は、間近で息を乱れさせていた。  
「ああ・・・こんなに・・・気持ちイイよぉ」  
「俺もメッチャ気持ち良かったッスよ、センパイ」  
「フフ・・・まだまだ物足りないなあ」  
瞬間、耳の故障を真剣に疑った。  
「え、え?ちょ、センパイ?」  
「だって、君のコレ、全然小さくならないよ?」  
「・・・マジすか」  
「それに私、もっと乱れたいの・・・ね、いいでしょ?」  
「あは、あはは・・・さ、流石にヤバくないスか?」  
「もう私ね、虜になっちゃったの。朝になるまで絞り取ってあげる・・・」  
「・・・・・・絶対、死ぬッス・・・」  
快感に飢えたセレスティアの眼は、バハムーンさえ恐怖を覚える。  
堕落した彼女の性欲は、絶倫と言う他無かった。  
 

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