「あと一ヶ月でクリスマスだね、ディアボロス」
「そうだな」
「ディアボロスはクリスマスどうするの?」
「そうだな..」
「錬金術科のノームは、剣士科のフェルパーと一緒に食堂でマジックショー
やるんだって。面白そうだよね」
「そうだな」
「エルフは教会で賛美歌歌って過ごすって言ってた。そういえばあの子
アイドル科だもんね」
「そうだな」
「でもセレスティアは堕天使科の仲間と黒ミサだって。こわーいw」
「そうだな」
「バハムーンとドワーフは大晦日の格闘競技会に向けて寒稽古の真っ最中とか」
「そうなんだ」
「で、ディアボロスはどうするの?」
「そうだな..」
「うにゅう..じゃ、これあげる。もし暇だったら遊びに来て。じゃね」
部屋に帰ったあと、クラッズから手渡された封筒を開けてみると紙切れが一片
入っていた。
「ご招待
-人形使い科クリスマス公演"飛ぶ教室"他-
於体育館特設会場 18:00開演」
死霊使い科のディアボロスにとって、クリスマスは自分には縁のない物だと思っていた。
食堂でクリスマス限定の定食を食べ、部屋で死霊と戯れるか、魔法書でも読んで
独り静かに過ごすつもりであった。
が、
「そうだな..」
せっかくの仲間のお誘いを無碍にする事も無いだろう。そう思い、顔面を覆う呪布から
わずかに覗く真紅の瞳を細めて小さくつぶやくディアボロスであった。