初めて出会った相手を判断するとき、まずは種族が重視される。次いで性格、見た目と続いていき、こまごまとした要素を積み重ねた上で  
評価を下す。そのため、いかに人間的に優れていようと、種族や性格で損をする者も多い。  
彼はそんな種族の代表格、ディアボロスであった。おまけに性格も悪く、学科は忍者である。戦闘力も高く、有用な魔法を覚え、  
盗賊技能までもを併せ持つこの学科は非常に需要と人気が高いが、その技術は主に暗殺のためであり、顔色一つ変えずに  
敵を殺すこの学科を、快く思う者は少ない。あくまで冒険に有用だという理由で人気が高いのであり、人間的には大いに問題がある、  
というのが、大方の意見である。  
彼自身も、それはよくわかっていた。種族でまず嫌われ、性格でさらに敬遠され、おまけに学科でも人を遠ざけているため、パーティの  
仲間とも必要最低限の関わりしか持とうとしなかった。また、慣れ合えば甘さが出る。そういったものを極端に嫌う学科でもあるため、  
彼自身はその境遇に十分満足していた。  
が、変わった人物というのはどこにでもいる。  
この時も、彼は体育館へ向かって歩いていた。一人で鍛錬をしようと思っていたのだが、その背中に元気いっぱいの声がかかった。  
「あ〜!見つけたー!」  
その声に、ディアボロスはうんざりした溜め息をつく。その顔は不快を通り越し、『嫌な奴に見つかった』という、一種悲壮な表情が  
浮かんでいた。  
「……帰れ」  
「帰るかー!今日こそは絶対勝ってやるんだからぁー!」  
尻尾をぶんぶん振り回し、とてとてと走ってくる小さなドワーフの女の子。  
「さあー、勝負勝負―!」  
「……帰ってくれ」  
「やだー!勝負、しょうぶ、しょーぶー!」  
『また始まった』という顔で、ディアボロスはさっきよりも深い溜め息をついた。  
彼女は格闘家である。素手での戦いを習い、武器や防具に頼らない戦闘を得意としている学科だが、忍者もそれとよく似た技術を  
持っている。それに対抗意識を燃やしているらしく、事あるごとにこうして勝負を挑んでくるのだ。正直なところ、彼としてはこの  
ドワーフが大の苦手である。  
「手加減できるような技量はない。頼むから……本当に頼むから帰ってくれ」  
「逃げる気かー!絶対逃がさないぞー!」  
そう言うと、ドワーフはがっしりと腕を絡めてきた。  
「……抜け毛と臭いがつくから放せ。そして帰れ」  
「じゃ、勝負する!?じゃないと放さないぞー!」  
彼女は何事にも本気で、言葉には少しの嘘も含まれていない。つまり、彼女が放さないと言ったら、絶対に放さないのだ。  
強引に振りほどこうにも、そもそも腕を動かすことができないほど、彼女の腕力は強い。  
「わかった、わかったから放せ。勝負してやる。してやるから終わったら帰れ。帰ってください」  
「やったぁー!じゃ、早く行こ!絶対勝ってやるんだからー!」  
言いながら、ドワーフはディアボロスを引っ張って体育館へ向かう。一度隙を見て逃げ出したことがあるからか、ドワーフは絶対に  
腕を放そうとしない。  
体育館に着き、その一角を確保すると、ドワーフはようやく腕を放した。ここまでくると、さすがにもう逃げ場はない。  
「じゃ、一発勝負ね!お互い言い訳はなしだからね!」  
 
本当に、ディアボロスはこのドワーフが苦手だった。  
パーティ結成当初こそ、大多数の者と同じく彼を避けていたが、彼が素手での戦いを見せた瞬間から、あっという間に今のような関係に  
なってしまった。彼の心中などお構いなしに、土足というよりは裸足で踏み込んでくる彼女は、色々な意味で慣れない相手である。  
「さ、いくよ!絶対勝つんだからー!」  
ドワーフは勢いよく、制服を脱ぎ捨てた。ディアボロスも同じく制服を脱ぎ捨て、二人とも最低限の衣類を身につけただけの状態になる。  
「準備いい!?」  
「……来い」  
「いざ、勝負ー!」  
二人は同時に踏み込むと、同時に拳を繰り出した。  
お互い一歩も引かず、激しく打ち合う。至近距離での乱打戦ではあるが、ドワーフはディアボロスの攻撃を主に腕で受け、ディアボロスは  
ドワーフの攻撃を捌くか避けるかである。お互いの突きも蹴りも、どれ一つとして相手を捉えない。  
だが、正面からの戦いは、決着が早い。そして、彼がドワーフを苦手とする所以が、もう一つある。  
突如、ドワーフは回し蹴りの勢いのまま背中を向けた。そして頭を下げ、グッとお尻を突き出す。  
何事かと思った瞬間、顔面に何かが被さってきた。  
「ぶあっ!?ぐっ…!」  
ふんわりとした感触。ふかふかの肌触り。そして獣臭く、目に毛が入り、口の中にまで抜け毛が侵入する。ドワーフは尻尾を使い、  
目潰しを仕掛けてきたのだ。完全に体勢を崩したところへ、ドワーフが走った。  
「とりゃあー!」  
元気な掛け声。ドワーフが跳んだと思った瞬間、ディアボロスの目の前で思いっきり足が開かれた。  
ばふっと、顔面に股間が押し付けられる。スパッツ越しに、獣の臭いと蒸れた汗の匂い、そして柔らかい感触が感じられた。  
ドワーフは足を閉じ、ディアボロスの顔を挟み込むと、思い切り体重をかけた。同時に、ディアボロスはぐらりとよろめき、  
そのまま後ろに倒された。  
「ぐ…!」  
後頭部を強打した音が響き、ドワーフの足の間からくぐもった悲鳴が漏れる。そんな彼の上で、ドワーフはパタパタと尻尾を振る。  
「えっへへへ!マウントポジション取ったから、私の勝ちだよね!」  
その言葉に、ディアボロスはしばらく答えられなかった。  
「……お前の勝ちでいいから、どけ。いつまで乗ってるつもりだ」  
「やったぁー!勝ったぁー!久しぶりに勝てたよぉー!」  
いっそう激しく尻尾を振り始めるドワーフ。胸のあたりを羽根箒で掃かれるようなこそばゆさを感じながら、ディアボロスは顔に  
座られたまま、黙って横たわっていた。  
 
ディアボロスは彼女が苦手である。それは読めない動きをするからというわけではない。  
どうやら、彼女は自分が女であることを意識していないらしく、先の戦闘のような行動を平気でしてくるのだ。  
色仕掛けなら、引っかからない自信はある。だが、彼女の無邪気な行動は、狙っていないが故に、こちらとしても対処できないのだ。  
もちろん、最初の頃は気にもならなかった。しかし、ある程度の付き合いになれば、話は変わってくる。一戦ごとに心を掻き乱されるのは、  
忍者としては非常に不快なものである。ドワーフの方は、彼を純粋にライバルと見ているだけらしく、それ以外の用事で話しかけることは  
ほとんどない。そうやって、一方的に心を掻き乱されているだけというのも、ディアボロスが不快に感じる要因の一つである。  
「えへへ〜、今日は勝てた勝てたー!体動かした後のご飯っておいしいよね!」  
「………」  
ドワーフは相当に機嫌がいいらしく、組み手の後はなぜか二人で食事をする羽目になってしまった。ディアボロスは帰りたかったのだが、  
やはりドワーフに腕を取られ、強引に連れてこられたのだ。  
「あれ〜?おいしくない?」  
「……負けた後の飯がうまい奴が、どこにいる」  
「ご飯はご飯だよー。勝っても負けても、体動かした後はすっごくおいしいよ」  
「………」  
色んな意味で、こいつと自分とは種族が違うと、ディアボロスは思っていた。彼女にとっては、格闘は即ち殺しではなく、ある種の  
スポーツマンシップを持って行うものなのだろう。  
「……お前がなぜ俺にまとわりつくのか、理解できん」  
思わずそう漏らすと、ドワーフは目をパチクリとさせた。  
「なんでって、仲間だし、格闘のライバルだもん」  
「俺のは殺しの技だ。お前の拳とは違う」  
「拳は一緒だよー。力は私の方があるけどね!」  
「……調子の狂う奴だ」  
彼の目下の悩みは、このドワーフがどうしたら自分に付きまとわないようにできるか、である。最近は、いっそ組み手の最中に、本当に  
殺してやろうかとすら考え始めている。  
その時、ドワーフがふと口を開いた。  
「あ、ねえねえ!私、そろそろクリティカル教えてもらえるんだけどさ、それ教えてもらったら、また勝負してくれる!?」  
「お前は俺を殺す気か」  
「君だって無刀流免許皆伝持ってるでしょー!それは私習わないけど、クリティカル教えてもらったら結構対等になるじゃない!?  
だから勝負しよ!ね、約束だよ!」  
「おい、俺は約束した覚えなんか…」  
「ごちそーさま!それじゃ、またやろうねー!」  
一方的に言って、ドワーフは食器を下げに行ってしまった。残されたディアボロスは深い溜め息をつき、しかしこれは利用できるかも  
しれないと、一人ほくそ笑んでいた。  
 
それからしばらくして、ドワーフは晴れてクリティカルの技術を習得した。さあいつ来るかと待ち構えていると、昼食を終えて  
学食を出た瞬間、いつもの声がかかった。  
「あ〜っ、いたいたー!さー、約束通り勝負ー!」  
真っ白な息を吐きながらこちらに走ってくる毛玉。ここ最近、特に寒い日が続いたため、ドワーフの体毛はすっかり冬毛になっている。  
「やるのは構わない。だが、ただで受けると思うなよ」  
「んー?」  
真ん丸な目を瞬かせ、ドワーフは首を傾げた。  
「今までは、無刀流免許皆伝を持つ俺の方が有利だからこそ、お前の組み手にただで付き合った。だが、対等になった以上は、  
ただで付き合うつもりはない。どうしてもやれというなら、それに見合ったものを賭けてもらおう」  
「……あー、負けた方が勝った方に何かあげればいいんだ?」  
「いや、お前が頼む方なんだから、俺は…」  
「じゃ、私が勝ったらでっかいケーキと七面鳥!あとご飯いっぱい!おごってもらうからね!」  
「俺の話…」  
「私はそれでいいや!で、君は何賭ければいいの!?」  
どうにも言いたいことが曲解されているようだったが、全体としてみれば予定通りの流れである。ディアボロスは軽く息をつくと、  
はっきりと言った。  
「じゃあ、お前には体を賭けてもらおうか」  
さすがに、いくらドワーフとてこの申し出は断るだろう。相手が断れば、自分も受ける義務はないと逃げられる。仮に受けたら受けたで、  
こちらにも不都合は全くない。  
「ん?体?」  
だが、ドワーフは意味がわかっていないようで、やはり首を傾げている。  
「体?って?抜け毛でもいる?」  
「……抱かせろ、とか、やらせろって言えば通じるか?」  
「……あっ!」  
途端に、ドワーフの体毛がぶわっと膨らんだ。もはや露出している部分は、元の形が完全に消え失せている。  
「そ、それ本気、で言ってる?えーと、それでいいの?」  
「嫌ならやめていいぞ。ただし、その場合は組み手の話は断る」  
十中八九、ドワーフは断るだろうと踏んでいたのだが、意外にもドワーフは首を振った。  
「ううん、いいよ!負けなきゃいいんだもん!それに、それぐらいの方が気合入るもんねー!絶対負けないぞー!」  
「……受けるのかよ」  
「じゃ、体育館行こ!よーし、絶対おごってもらうんだからー!」  
こうなっては仕方がない。二人はいつものように体育館へ行き、その一角を確保すると服を脱ぎ捨てた。  
「いつでも来い。負けはしない」  
「私だって負けないからねー!さあ、いっくぞー!」  
いつもより遥かに気合の入った声で言うと、ドワーフは地を蹴った。それに対し、ディアボロスは防御の構えを取る。  
次々に襲いかかる攻撃を、ディアボロスは落ち着いてかわしていく。自分からは決して攻撃せず、せいぜい相手の隙にカウンターを  
放つ程度である。防御に徹している彼に対し、ドワーフは構わず攻撃を仕掛ける。  
あまりの猛攻に、いくつか避けきれない攻撃もあった。それを腕で防ぐと、以前より遥かに強い衝撃が襲ってくる。それでも、直撃さえ  
避ければ何とかなる。ディアボロスはじっと機会を窺い、やがてその時が来た。  
 
いくら体力のあるドワーフとはいえ、攻撃の手を休めなければさすがに疲労する。動きが鈍り、やや大振りの攻撃が出た瞬間、  
ディアボロスは走った。  
腕の下をすり抜け、さらに姿勢を低くして床を滑る。そのままドワーフの足の間を抜け、すぐさま立ち上がる。  
「え?あれ!?」  
標的が消え、ドワーフは慌てて辺りを見回そうとした。その直前、ディアボロスは足音もなく駆け寄ると、後ろからドワーフの膝を蹴り、  
体勢を崩した彼女の首を締めあげた。  
「あうっ…!」  
「……俺の勝ちだ」  
耳元で冷たく言うと、ドワーフの体がビクッと震える。  
「う〜……や、やっぱり本気……なんだよね…?」  
「どうしても嫌なら、代案がないわけでもないがな」  
「な……何?何すればいいの?」  
一筋の光明を見出したように、ドワーフは身を乗り出して尋ねる。やはり乗ってきたと、ディアボロスはほくそ笑んだ。  
「二度と俺に付きまとわないなら…」  
「やだ。それなら、その……い、いいもん。約束、守るもん」  
「……なんでだよ…」  
「いいの!約束は約束だもん!か、か、覚悟はできてるもん!」  
意地になって叫ぶ彼女に、ディアボロスは内心頭を抱えていた。予想では、ここまでの流れで自分に付きまとわないようにできると  
思っていたのだが、彼女は予想に反して体を許す方を選んでしまった。こうなっては、ディアボロスも覚悟を決めるしかなかった。  
半ば自棄気味に、どうとでもなれと思いつつ、ドワーフと一緒に部屋へ向かう。  
「あ、あの、まだお昼だけど…?」  
「構うか。さっさと脱げ。そもそも、お互いの体なんかいつも見てるだろ」  
「う、うん……けど、なんか、その、そういう目で見られるって思うと、恥ずかしいな…」  
それでも脱がないわけにいかず、ドワーフはおずおずと服を脱ぎ始める。その恥ずかしげな表情と、少しずつ全身が露わに  
なっていく姿自体はなかなかにそそるものがあったが、ディアボロスは体毛を肌と同列に見られるほどには、悟りを開けていない。  
 
やがて、ドワーフは上着を脱ぐと、恥ずかしそうに胸を隠した。  
「こ、これでいい?」  
「隠すなよ」  
「う…」  
ドワーフは恥ずかしげに、胸を隠していた手を下した。しかし、ただでさえ冬毛になったドワーフの体は、ふわふわした体毛以外  
何も見えない。  
ディアボロスはおもむろに、ドワーフの胸へ手を伸ばした。  
「あっ!?やっ…!」  
「邪魔するな」  
「……う〜」  
触ってみると、ドワーフの胸元の毛にふんわりと手が埋まる。さらに強く押すと、硬い大胸筋に触れた。ほとんど筋肉ばかりで、  
胸らしい胸は存在していないらしい。それでも、一応は女の子の胸だということで、ディアボロスはその平坦な胸を撫でてみる。  
指先に、僅かな突起を感じた。途端に、ドワーフの体がピクッと跳ねる。  
「あうっ…!」  
直後、ドワーフは自身の口を覆った。そして耳を垂らし、上目遣いにディアボロスを見つめる。その姿が妙に可愛らしく、ディアボロスは  
執拗に胸を責める。  
「うあっ……んっ、あく…!あ、あんまり触んないでよぅ…」  
「反抗するな」  
「う〜…」  
手を押さえることもできず、かといって逃げることもできず、ドワーフは体をくねくねと捩らせつつ、何とかその刺激に耐える。  
ディアボロスはドワーフを後ろから抱くようにして胸を撫でていたが、やがてその目は落ち着きなく振られる尻尾へと向けられた。  
左手を放し、尻尾の裏側を撫でる。  
「ひゃあっ!?」  
ビクリと体を震わせ、ドワーフが甲高い叫びをあげる。逃げようとする尻尾を捕まえ、さらにじっくりと撫でる。  
「うあぁっ……やっ、尻尾は、やめっ…!」  
「うるさい。何をしようと、俺の勝手だ」  
尻尾を撫でられる度に、ドワーフは高い声を上げ、体を快感に震わせる。どうやら尻尾が弱いようで、さらに根元が敏感だと気付くと、  
ディアボロスは執拗にそこを刺激する。  
毛を撫でつけ、時に逆立てる。裏側を指でくすぐり、さらに右手では、変わらず胸を撫でている。  
「んっ……うあぅ…!んうっ……はぅ…!」  
最初はその刺激から逃れようとしていたドワーフだが、その動きがだんだんと弱まり、声も少しずつ小さくなり始める。  
やがて、スパッツに黒い染みがじんわりと広がる。それに気付くと、ディアボロスは手を止めた。  
「……もう、準備はいいみたいだな」  
「ふぇ……じゅんび…?あうっ!」  
ディアボロスはドワーフを抱き上げると、ベッドに放り投げた。そして自身も服を脱ぎ、ドワーフのスパッツに手をかける。  
が、脱がせると体のラインが見えなくなることに気付く。スパッツ越しに形のいい臀部が見え、僅かな膨らみも見える現状を確認すると、  
最終的にラインがはっきり見えている方がいいと判断し、ディアボロスはスパッツの中央部分を引き裂いた。  
「あーっ、お気に入りなのにぃ…!」  
「錬成して直せばいいだろ。ほら、足開け」  
 
足を開かせ、その間に体を割り込ませる。そしてスパッツの裂け目に見える秘部に触れると、ドワーフは不安そうに耳を動かす。  
「あ、あのっ…!」  
「なんだ」  
「こ……こういうの、初めてだから……優しくして……くれる…?」  
いつも元気いっぱいのドワーフの、怯えたような声。さすがのディアボロスも、そんな声を聞いては強引にしようという気は起こらない。  
「……なるべくな」  
割れ目を開かせ、そこに自身のモノを押し当てる。ドワーフはいよいよ不安げにそれを見ていたが。やがて観念したように目を瞑った。  
ゆっくりと腰を突き出す。先端が硬い肉を押し分け、彼女の中に入り込んでいく。  
「ぐ、う……うあ、あ…!うぅ〜〜…!」  
ドワーフは固く目を瞑り、歯を食いしばってその痛みに耐える。ディアボロスがさらに腰を押し付けると、意外とすんなり根元まで  
入ってしまった。とはいえ、ドワーフが辛そうなことに変わりはない。  
「んあぅ…!くぅぅ…!」  
「……その、大丈夫か?」  
ディアボロスが尋ねると、ドワーフは弱々しく笑った。  
「だ……だい、じょぶ…。そ、そんなに大きくないから……へーき…」  
直後、ディアボロスは思い切り腰を突き上げ始めた。  
「いっ、痛い痛い痛ぁーい!!!痛いよぉー!!うあーん、動かないでよぉー!!!」  
必死に痛みを堪えていたドワーフだったが、突然の激しい痛みに、とうとう泣き出してしまった。相当に痛かったらしく、ドワーフは  
ディアボロスにしっかりと抱きつき、その動きを強引に封じた。  
「なんでぇ…?なんでいきなり……ぐすっ……そんなひどいこと…」  
「……あんなひどいことを言われれば、男は怒るか凹むかしか選択肢はない…!」  
ディアボロスは前者を選択したらしく、その顔は怒りと悲しみの入り混じった複雑な表情が浮かんでいる。  
「……大っきくない方がいいのにぃ…」  
「もう大きさは言うな。頼むから」  
鼻をグスグス鳴らしつつ、ドワーフはこくんと頷いた。やがて、その手から少しずつ力が抜けていく。  
一瞬、ディアボロスの脳裏に、このままドワーフを滅茶苦茶に犯してやろうかという考えがよぎる。そうすれば、恐らく今後、彼女に  
付きまとわれることはなくなるだろう。  
 
だが、目にいっぱいの涙を浮かべ、こちらを不安げに見上げる彼女を見ていると、どうしてもあと一歩が踏み出せなかった。  
「……動いていいか?」  
「……うん…」  
ゆっくりと腰を動かす。途端に、ドワーフの中がぎゅっと収縮し、ディアボロスのモノを強く締め付けてくる。  
「うああっ!あっ!あ、あっついよぉ…!」  
突き入れれば熱い体温が伝わり、同時に全体をぬめった肉壁が締め付けてくる。  
引き抜くときには、中が引き留めるかのように収縮し、腰と腰の間に溢れた粘液が糸を引く。  
パン、パンと腰を打ち付ける音が響き、それに合わせてベッドが軋む。その合間に、ディアボロスの荒い吐息と、ドワーフの悲鳴とも  
嬌声ともつかない声が響く。  
「くぅ、あっ!も、もっとゆっくりぃ…!」  
「うあっ……中が、締め付けて…!」  
少しずつ、ディアボロスの動きが強く、大きくなっていく。汗が頬を伝い、顎からドワーフの体に滴り落ちる。ドワーフ自身も、既に  
体毛がぺったりと体に張り付いている。  
いつしか、ディアボロスはドワーフの体を強く抱き締めていた。そしてドワーフも、ディアボロスを強く抱き返す。  
「くっ……もう限界だ…!出る…!」  
切羽詰まった声を出すと、ディアボロスはドワーフの体の奥まで突き入れた。それと同時に、彼のモノがビクンと跳ねる。  
「ああっ、あっ!中で……動いてる、よぉ…!なんか、出てるぅ…!」  
自分の体内で動くモノの存在を感じながら、ドワーフが茫然とした声で呟く。  
全てをドワーフの体内に注ぎ込んでも、ディアボロスはしばらく彼女の中に留まっていた。そして射精後特有の気だるさと、  
激しい運動後の倦怠感と、感じたこともない快感の余韻が心地よかった。  
「終わっ……た…?」  
その時、ドワーフが息も絶え絶えといった声を出した。慌てて彼女を見ると、相当に消耗したらしく、ドワーフはぐったりとしている。  
「あ……悪いな、大丈夫か?」  
言いながら、ゆっくりと彼女の中から引き抜く。そのすべてが抜けると、ドワーフはピクンと体を震わせ、同時に力尽きたように  
目を閉じた。  
「おい、ドワ…」  
不安になり声をかけようとしたが、ドワーフは静かな寝息を立て始めていた。  
「………」  
相当に疲れていたのだろう。よくよく考えれば、ここに来る前は組み手をやっているのだ。ディアボロスも、かなりの疲労感がある。  
「……悪かったな」  
そう声をかけ、全身を軽く拭き、ついでにドワーフの体も拭いてやると、隣に寝転がる。そして彼女に腕枕をしてやり目を瞑ると、  
彼もいつのまにか寝息を立て始めていた。  
 
目を覚ますと、時計はちょうど0時を指したところだった。思ったよりもずっと長く寝ていたらしい。  
隣で動く気配に気づいたのか、ドワーフがもそもそと動き始める。  
「ドワーフ、起きたか」  
「んん…?ふえ…?今何時ぃ…?」  
「ちょうど日付が変わったところだ」  
「ひづけ……えええぇぇ!?」  
ディアボロスも驚くほどの大声を上げ、ドワーフは文字通り跳び起きた。そして辺りを見回し、窓の外が真っ暗なことに気付くと、  
大袈裟に溜め息をついた。  
「あ〜ん!ケーキと七面鳥食べ損ねちゃったよぉー!!」  
「またそれか。お前、ケーキと七面鳥に何のこだわりが…」  
言いかけて、ディアボロスはふと今日の日付を思い出した。  
「……ああ、そうか。今日はクリスマスイブだったのか」  
「しちめんちょお〜……今気付いたの?」  
「完全に忘れてた」  
溜め息をつき、ディアボロスはポリポリと頭を掻く。  
「……随分とまあ、おかしなイブを過ごしたもんだ。組み手をやって一発ヤッて、昼寝したまま日付が変わる、なんてな」  
「……あ、でもさでもさ!」  
何を思いついたのか、ドワーフの顔がいつもの明るい笑顔になる。  
「恋人と過ごすクリスマスって考えたら、それっぽいかも!?」  
「……お前と恋人になった気はないがな」  
「む〜。じゃ、男の子と過ごすクリスマス。これなら間違ってないよね?」  
「まあな」  
「私、こんなの初めてだよー!」  
「俺もだ」  
「クリスマスイブに初体験しちゃったんだねー!ロマンチックでいいかも!」  
「よかったな」  
この調子だと、彼女に嫌われた様子はない。悉く読みが外れ、ディアボロスは大きな大きな溜め息をついた。  
しかし同時に、これも悪くないかとどこかで思い始めていた。慣れ合いは自身の成長を止めるとしても、仲間でありライバルである  
彼女なら、一緒にいたところで成長を止める余裕はないだろう。受け入れてしまえば、ひたむきに張り合ってくる彼女は何とも  
可愛らしく見えてくる。  
「でも……うぅ、ケーキと七面鳥…」  
「……そんなに食いたいなら、明日食えばいいだろ。イブを外したとはいえ、一応はクリスマスだ」  
「お金ないもんー」  
「じゃあ、おごってやる」  
ディアボロスが言うと、ドワーフは一瞬キョトンとし、次の瞬間、まぶしいほどに目を輝かせた。  
「いいのー!?ほんとにいいのー!?」  
「それぐらい構わん」  
「わぁーい!!大好き―!!」  
無邪気に抱きついてくるドワーフ。ふかふかとした体毛と、彼女の体温を感じていると、何だか心が安らぐような気がした。  
聖なる夜など、自分には関係ないと思ってきた。しかし、今日ぐらいはその奇跡を信じるのもいいなと、ディアボロスは思うのだった。  
 

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