恋愛に必要なのは、何をおいても相手を想う事。
後は知恵と勇気と決断力。それにお金とユーモアがあれば最高かな。
行動力はお任せします。くれぐれも、ムードや好感度に注意して。
「ハーッハッハァ!もっと歌え、踊れぇ!」
「ウマウマ〜!って俺の肉取るなYO!」
「ジュース足りないよ!もっと持って来て〜!」
御馳走を食い漁り、大瓶のジュースをラッパ飲みする少年少女。
暴走気味な彼等の正体は、パルタスクの生徒達である。
特級カリキュラム合格の打ち上げと称して、宿屋に押し入っての大騒動。
本来ならば教師が止めに入るべき状態なのだが、
「うをしゃー!もっと食え食えガキ共ー!」
「先生、ちょっと飲み過ぎでは」
「あぁ〜ん?何も聞こへんぬぁ〜」
「・・・ああそうですか」
当の担任がこれではどうしようもない。
事実、宿を貸し切った(乗っ取った)のも、この酒乱教師である。
他にも教師の方々は見られるが、誰しも後先構わず飲んだくれていた。
「はは・・・こりゃ明日には廃墟かな?」
優等生の彼で無くとも、その結論に辿り着く。
今更ながらに呟いたフェルパーの少年は、コップのジュースを飲み干した。
「あれ?こいつ寝てる?」
テーブルの上を眺めると、顔を伏せて眼を瞑るヒューマンの少女が映る。
寝息を立てて熟睡しているらしく、この喧騒にも微動だにしない。
いつから落ちていたのだろう、飲みかけのジュースを握ったままだ。
「もしかして疲れたのか?よくまあこの馬鹿騒ぎの中で寝てられるな・・・」
「ん〜?この娘寝ちゃってるよ〜?しゃーないなぁ。君、二階まで連れてって」
「え?だってこいつ女子でしょ?一応オレ男子ですよ?」
「気ぃにしない気にしなぁい!しぇんしぇいの命令を聞くぅ!」
すでにろれつが回っていない。
何故か「指示」では無く「命令」と言っている辺り、最早理性は皆無だろう。
「あー・・・ハイハイ解りましたよ。しっかり寝かせてあげましょうか」
「あぁ〜、ついでに襲っちゃえばぁ?」
何か聞こえた気がしたが、無視して彼女を抱き上げる。
ちゃっかりお姫様抱っこで、彼は二階へと上って行った。
「よっ、と・・・これでよし」
宿舎の布団に彼女を寝かせ、彼は軽く肩を回す。
下の階では、未だに喧しい宴会組の騒ぎ声が響いていた。
「しかし・・・何だな」
もっとも、今の彼にとっては、そんな事はどうでもよかった。
「改めて見てると、こう・・・普通の、可愛い女の子だな・・・」
目の前に仰向けで横たわる彼女が、頭の中を占拠していた。
彼女の学科は錬金術士。剣と魔法を使い分け、道具鑑定までお茶の子さいさい。
実践でもそれなりで、迷宮でも頼りになり、はっきり言ってこの子は強い。
そんな優等生の彼女だが、今は目下に無防備な寝顔を晒している。
先刻の教師の無茶苦茶な言葉が、ぐるぐると頭をループする。
「・・・いや、だめだろ。いくら何でも、襲うってのは・・・」
正直な話、彼女はちょっと気に掛けていた。
明るくて社交的で、友達も多く、見た目も悪くない。
その上強くて頭脳明晰。錬金術士は財布も温かい。
種族柄の相性もあってか、ひそかに恋い焦がれていたのだ。
「はあ・・・さっさと戻って続きしよ・・・」
これ以上寝顔を見ながらもやもやしていると本当に襲いかねない。
後頭部を掻きながら、背を向けて歩き出す。
「ん・・・う〜ん」
なのに彼女は絶妙なタイミングで眼を覚ます。
「あれ?如何して布団の上?」
「よお、起きたか」
「ひょっとして私、寝ちゃってた?」
「ああ。下じゃまだ大宴会だ」
そこまで喋ってから、彼は回れ右で振り向く。
眠気眼を向ける彼女は、さらに可愛らしく映った。
「あっと・・・じゃ、オレ戻るから」
「あ、ねえ、行っちゃうの?」
「ん?」
「えと・・・一人じゃ寂しいの」
「・・・・・・え?」
彼女が上目使いで訴えれば、彼に逆らう意思は生まれない。
か弱い印象を与える女の子らしい仕草は、充分に彼を引きとめた。
引きとめられてはいたものの、彼は間が持たなかった。
彼女の隣に腰を下ろすが、如何して良いものか解らない。
お互いに何も話せず、ただ時間だけが流れ行く。
「皆、まだ騒いでるね」
「ああ。まだまだ終わらないだろ」
「ほんと・・・よくお腹に入るよね」
「まったくだ。モンスター並だな」
他愛も無い会話でさえも、目線すら合わせられない。
「あのね、私・・・ずっと、あなたに言いたかったコトがあるの」
「え?・・・君が、オレに?」
先に沈黙を破ったのは、彼女の方からだった。
彼は少々困惑しながらも、やっと彼女に向き直る。
「私ね、その、あなたのコト・・・ずっと、片思いだったの」
頬を桜色に染めて、彼女が放った言の葉は、彼の思考回路をショートさせた。
「ほら、私って錬金術士でしょ?あなたと違って、撃たれ弱くて・・・」
違う。前線で活躍すれば、普通は相手の的になるだろう。
「けど、あなたは何時も綺麗に戦ってて、それに、侍ってかっこいいから・・・」
違う。逃げ脚が速いだけだ。侍のイメージも思い込みだ。
「だから、ずっとあなたのコト・・・勝手に、好きになってたの・・・」
勝手に?まさか。大間違いだ。
恋なんてそんなもので、ましてや一目惚れ何て名前も付いている。
いや、そんなのどうだって良い。オレだって、君の事――。
「なあ、あのさ」
「な、何?」
「その・・・先に謝っとく」
「え?何言って・・・んんっ!」
ふと気が付いた時には、彼は彼女を押し倒す。
手加減せずに押さえつけ、強引に唇を奪っていた。
「んふっ、んむ、うんっ・・・」
衝動的としか言い表せない、攻撃にも似た力加減。
唇を押し潰す勢いで、頭を押さえてキスを強いる。
「んん、ん〜・・・」
「ん・・・はぁ」
息苦しくなり顔を離す。彼女は不意打ちに驚き眼をパチクリさせている。
ここまでやったら、流石に引き下がれない。
意識する感覚も無く、彼女の身体に手を伸ばす。
「ま、待って、聞いて!」
悲鳴じみた彼女の声で、彼はようやく我に帰る。
襲い来る罪悪感と、気が狂いそうな失望感に、彼は潰されそうになる。
「わ、悪い・・・でも、オレだって君の事・・・」
「そうじゃなくて・・・・・・私は、いいよ」
「え?」
「あなたがそう望むなら、私の身体・・・あなたにあげる」
優しげなその言葉が、麻薬のごとく耳に染み付く。
「だから・・・乱暴にしないで・・・」
赤面した表情と、僅かに潤んだ山吹の瞳。
この上なく愛おしい彼女を、彼は目にした事が無かった。
「そうか・・・さっきは、ごめんな」
「うん・・・優しくして」
穏やかな顔つきで心ばかりの謝罪を述べ、もう一度口付ける。
壊さない様ゆっくりと、いたわる様に唇を重ねた。
「んふっ、ふぅ・・・はむっ、くちゅ・・・」
少しずつ舌を絡ませ、彼女の咥内を愛撫する。
最初はされるがままだった彼女も、次第に舌を絡ませて来る。
甘い吐息と唾液の音が、部屋中に響き渡った。
「ふぅん、っは、んぅ・・・」
甘美な声が緩い間隔で耳に届く。
接吻しながら器用にリボンを外し、上の服を脱がしにかかる。
「んはあっ、やぁ・・・」
「んく・・・ふぅ」
抵抗とも取れる肢体の動きを見せるが、構わず腰から上を裸にする。
控え目と言うには大きめの整った膨らみが露わになった。
それに合わせて舌を引き抜くと、混ざり合った唾液が糸を引く。
「へえ、結構イイ身体してるじゃん」
「もうっ、茶化さないで・・・ひぁ!?」
すでに硬くなり始めている果実の突起を軽くつまむ。
やや強い刺激を受け、甲高い声が唐突に喉を突く。
おそらく初めてと思われる感覚に、彼女の身体が少しだけ跳ねた。
「敏感だな。ココ、良いんだろ?」
「やん、えっちぃ・・・はあん、あはあっ」
「はっ、可愛いな。気持ち良くしてやる」
指先で捏ね繰り回すと、良好な反応を示す。
もっと喘ぎを聞きたくなり、片方の先端を咥える。
「んあっ、はんっ、やだ、上手・・・っ」
「そりゃ猫だからな。舐めるのは得意だぜ」
ざらざらした猫の舌は、肉の凹凸が荒い攻めを生む。
桃色の周辺をなぞり、時々吸い付いてみたりする。
もう片方は掌で揉みしだき、触り心地と変形を楽しんだ。
「あん、はうん、ふぁ、やぁん」
彼女のうわごとにも熱が入り、猫の本能を興奮させる。
色白で清潔な肌は、微かに石鹸の香りがした。
「ひゃん!凄い・・・そこ、だめぇ・・・」
下着の上から彼女の秘所に指を当てると、そんな声で返して来た。
もう充分に潤っているそこは、触れただけで指を濡らす。
「感度いいね。いじったことある?」
「だ、だって、好きな人がいたら、その人想ってしたくなるでしょ?」
さっきの告白からすると、彼の事を想像してやるのか。
どうりで感度が良い訳である。彼の方が紅くなる。
彼女は一層と紅潮した頬で、眼元もとろみを帯びていた。
「そうか。じゃあ、良くしてやるからな」
そう言って彼は指を這わせる。
筋に沿ってゆっくりと撫でるだけでも、彼女はしっかりと感じていた。
「はあん、んんっ、はふっ、ふぁん」
しばらくは擦るだけだったが、その内に手を差し込み指をうずめる。
「ひゃん!それ凄い!凄くイイのお!」
指一本でも敏感な動きと、窮屈な襞の熱気を覚える。
熱い液がとめどなく溢れ出し、更なる興奮が沸き上がる。
二本目の指を入れた時には、より大きく身体が飛び上がった。
「あふっ、はあんっ!イイよぉ、感じちゃう・・・」
穴の中をかき回せば、より淫靡な声が聞こえる。
彼女の顔を見てみると、快楽に酔っていやらしく、はしたなくなっていた。
「はは、感じやすいんだな。ほら、指がべとべとだぜ?」
「やぁ・・・言わないでぇ・・・」
引き抜いた指を見せて羞恥心を挑発すると、予想どうりの返答があった。
もっと乱れた姿が見たい。これはもうオスの性だろう。
下にさがって下着を脱がせ、脚の間に顔を寄せる。
割れ目から漏れる淫らな汁は、太ももを伝って足先に垂れていた。
「もうこんなになってるな。そんなにオレが良かったか?」
「言わないでってば。恥ずかしいよぉ・・・」
「恥ずかしいんじゃない。可愛らしいんだ」
「何言って・・・ひゃあ!ふぁん!」
秘裂を舌で舐め上げると、さっきより高い声を響かせた。
溢れる蜜をすくい上げながら、猫の舌を侵入させる。
指の動きを受けたそこは、良い具合に解れている様だ。
「ひゃあん!凄い!これ気持ちイイっ!」
聞いた事の無い声で喘ぐ彼女は、快感に溺れているのだろうか。
何時の間にか両手で彼の頭を押さえつけ、小刻みに痙攣していた。
「ちゅぴ、ちゅぷ、ちょぷ、ぴちゃ・・・」
「やあ、音立てないで、いやらしいからぁ・・・」
もちろん、これは故意にやっている。
わざと音が出る様に吸い上げ、零れる愛液で口を湿らせる。
「ふぁっ、ダメぇ!来るっ、きちゃう!あぁーっ!」
やがて彼女は絶頂を迎え、秘部からは甘露が湧き出す。
彼が想いを寄せていた彼女が、彼の指と舌で果てた。
彼女も想い人に快楽を尽くされ、やがて力無く布団に倒れる。
「はあ、はあ、ふぁ、はう・・・」
「ふー・・・派手にイったな」
「だって、あなた意外に上手・・・こんなに凄いなんて、知らなかったよ?」
「そうだろうな。オレだって君の事、自分でするほど想ってたから」
そう言ってズボンを下ろすと、彼の性器が露わになった。
「きゃ!」
「オレもそろそろ欲しくなってさ・・・駄目か?」
ここでダメだと言われても、彼はそれを拒否するだろう。
あくまでも形式だけの許可を求めた彼は、良い返事を期待していた。
「・・・いいよ・・・奪って」
眼を閉じて首に手を回し、そっと抱きついて彼女はのたまう。
それがもう耐えがたいほど、淫靡で、妖艶で、魅力的で。
オスの本能がゾクゾクうずくのが、怖いくらい理解出来た。
「解った・・・挿入るぞ」
小言になってしまったが、それでも彼女は相槌を打つ。
そっと自信を陰部にあてがい、一息に打ち付けた。
「んあっ、きゃああぁっ!」
悲痛な乙女の叫び声は、耳を殴打する感触に似ていた。
「はあ、あうっ、んんっ、くはぁ・・・っ」
攻め立てて湿らせた筈だったが、流石にこの痛みには耐えきれないらしい。
辛そうに顔をしかめ、彼女は必死にしがみ付く。
「う、動いても、良いよ・・・」
「バカ言うな」
「何でぇ?どうして・・・」
「こんなに辛そうな面見せといて、無視してよがってられるかよ」
詰まる所そう言う訳である。
お互いに高まってこそ、満足してしかりの行為なのだ。
片方だけ求めたところで、暴行と何ら変わらない。
「だいたい、こんなにきついなんて、オレにも解らな・・・っあ?!」
「はふ・・・ちろっ・・・れろれろ・・・ぺろり・・・」
顔を交差させる格好の彼に、予期せぬ快楽が襲い掛かった。
猫耳を熱い何かが、舐める様に這い回る。
「くっ、よせ、そこは、うあぁ・・・っ!」
「うふふ、可愛い・・・尻尾が嬉しそう」
彼女の舌使いは予想以上。彼の動きより艶めかしく感じる。
気づいてみれば、確かに尻尾がせわしなく動いている。
脳髄を溶かす甘い耳打ちに、彼はいつしか魅了されていた。
「このっ、悔しいけどメチャメチャ上手い・・・」
「あははっ、やっと子猫になったね」
「はあ、ったく小悪魔め・・・」
「ねえ・・・そろそろ、来てぇ・・・」
より艶っぽい誘惑に、今度は彼も耐えきれない。
確認変わりに額を口付け、慎重に腰を落とす。
「ん・・・はあっ!イイよお、好きな様にずぽずぽして・・・」
「これも凄いな。あんまり持たないかも、な」
予測を遥かに上回る快感。彼は短時間の勝負に賭けた。
「ああんっ!はあっ!凄い、気持ちイイっ!」
「はあ、はあっ、オレも最高だっ!」
「あはぁ!イイ!あなたのホンモノぉ!」
媚声を響かせて欲望のままに快楽を貪る二人。
あれほどの抵抗感も失せ、彼女の子宮は彼そのものを楽しんでいた。
「あふっ、ひゃあん!あなたのモノ、おっきくて熱いいっ!」
「君のアソコも、濡れ濡れで熱々だぞ?」
「はあんっ、もっと、もっと愛して!今夜はイッパイ可愛がってぇ!」
「言われなくても、そうするさ!」
本当に、今回ほど彼女を愛おしく思った事も無い。
全身を持って可愛がって、全霊を持って快感に堕ちる。
猫特有の甘える本能が、彼をより掻き立てる。
「あはあ!ダメえっ!来る、また来ちゃうぅ!」
「くうっ、オレも・・・そろそろ、出る・・・っ」
性的な彼女の喘ぎは、彼の絶頂に拍車をかけた。
「ああっ!イク!あなたのでイッちゃう!」
「うう、オレっ・・・くあっ、イク!出る!」
最後にひと際激しく突き上げて、彼は快楽の頂点に達した。
同時に大量の白濁を彼女の中へドクドクと注ぎ込む。
「ひあぁん!イクっ!いっくぅーーっ!」
彼女も力の限りしがみ付き、一番大きく身体を反らす。
お互い強烈な快感に見舞われ、びくびくと痙攣を起こした。
しばらくして余韻も治まり、脱力した彼の身体がくたりと彼女に倒れこむ。
「うあっ、はあっ!オレ出し過ぎ・・・っ」
「良いじゃない。私は最高だよ?」
「はあ、そうか?なら良いんだけどよ」
「まだ抜いちゃダメ。もう少しこうしていさせて」
「ああ。オレも同感だ」
熱い吐息を肌に感じて、果てた二人は緩く抱き合う。
階段の向こうには、なおも宴の騒ぎが響いた。
後日、彼は迷宮の帰りに、彼女を個別に呼び出した。
体育館の裏、なんて色気の無い場所だったのは、もうこの際置いておく。
「ねえ、話って何のコト?」
「ん・・・これ、やるよ」
指で弾くと金属音、彼が投げ渡した物は――、
「これって・・・婚約指輪?」
「おう。一応そう言われてるな」
迷宮に時折落ちている、給料三ヶ月分だった。
銀のリングに輝く宝石は、夕日のおかげだろうか、やけに煌めいて見える。
「えっと・・・何で、私に?」
「だから、その、これからも・・・ずっと、オレの女でいろ」
さり気無く髪を触る指には、銀と宝石の指輪が一つ。
ちょっとたじろいではいたものの、これは彼なりのプロポーズだろう。
彼女の顔がほころぶのに、僅かな時間もかからなかった。
「うん!もちろん!大好きだよっ!」
大手を振って抱き付かれると、彼は物凄く赤面していた。
彼は彼女に憧れて、彼女も彼に一目惚れ。
命がけの冒険者、恋人くらいはいてもイイよね。
どっちもまだまだウブだけど、夜と子猫と恋愛モノ。