地下道に戦いの音が響き渡る。モンスターの群れが囲むのは、たった二人の冒険者。  
「ぐあっ!」  
「バハ君、大丈夫!?」  
「くっ……俺のことより、自分を心配していろ!」  
一瞬気を抜いたクラッズ目掛け、死霊の戦士が槍を繰り出す。直前に気付いたものの、クラッズはその攻撃を避けきれず、  
脇腹に槍が突き刺さった。  
「あぐっ……ぁ…!」  
「ちっ、これだから下等な種族は…!」  
バハムーンが駆け寄り、その槍を蹴り折る。間髪入れず、死霊の戦士にも拳を叩きこみ、急所への一撃で葬り去る。  
しかし、バハムーンも決して余裕ではない。既に全身ひどく傷ついており、左目は額からの流血により開けられなくなっている。  
「ごめん……私、足引っ張ってる…!」  
「今更何を言う。そんなこと、初めからわかっていたことだ」  
続いて襲いかかる闘牛の頭の攻撃をかわし、カウンターの貫き手を喉に放つ。  
「それより、すぐ治療を…」  
「も、もういいよ!このぐらいならまだ戦えるし、バハ君にこれ以上迷惑かけられないよ!」  
傷を押さえ、クラッズは何とか立ちあがった。  
「もう、8回もヒーリング使ってもらってる!このままじゃ、バハ君がやられちゃうよ!だからお願い、自分の傷を治して!」  
その言葉を、バハムーンはつまらなそうに聞いていた。やがて、その顔に不敵な笑みが浮かんだかと思うと、クラッズに手を向けた。  
直後、クラッズの傷が見る間に塞がっていった。一瞬何が起こったのかわからなかったが、クラッズはすぐに気付いた。  
「バ、バハ君!?どうして私なの!?このままじゃ、バハ君が…!」  
「貴様のような下等な種族に心配されるほど、俺は落ちぶれていない。それに…」  
次々に襲いかかる敵をカウンターで片づけつつ、バハムーンは言葉を続ける。  
「これだけ傷ついていれば、モンスターはひ弱な貴様ではなく、俺を狙う。こっちにとっても好都合だ」  
「だからって、そんな…!」  
「俺は、あいつに貴様を任された。貴様を守るのが、今の俺の為すべきことだ。あいつの信頼に、俺は応える義務がある」  
強い口調で言い切るバハムーンに、クラッズは言葉を失った。  
「そして、あいつが今ひどい目に遭っているのなら、俺はあいつを助ける義務がある。それらを放り出して、あいつの恋人が務まるか!」  
最後のモンスターを打ち倒し、バハムーンは血に染まった唾を吐き捨てた。  
「バハ君…!」  
「……だが、もしあいつに何かあったら、貴様も容赦しないぞ…!」  
「う……わ、わかってる。と、とにかく早く二人探そ!」  
「言われるまでもない!」  
戦闘を終えた二人は、戦利品を拾うのもそこそこに、すぐ探索を再開する。ダークゾーンの多いこのフロアは厄介ではあるが、  
小部屋によって分けられているため、思ったよりも探索は容易い。  
やがて、隅の方にある小部屋の前まで来た時だった。  
「嫌だぁ!やめろぉ!それだけは嫌だぁー!!」  
中から響く悲鳴。それは明らかにドワーフの声だった。  
「ここかぁ!!!」  
即座に、バハムーンは扉を蹴破った。直後、二人の目の前に信じられない光景が飛び込んできた。  
「バハちゃん!?」  
「あ、クラちゃん…!」  
ドワーフを押さえつけ、秘裂に指を入れようとしているバハムーンの女の子。ドワーフはもう抵抗する気力もないのか、ぐったりと  
して見える。  
 
「ドワーフ…!」  
彼の声に、ドワーフは顔を上げた。  
「バハムーン……お、オレ、こいつに……う、うええぇぇん…!」  
大粒の涙をこぼし始めるドワーフ。その状況から、バハムーンはドワーフの身に何が起こったのかを悟った。  
直後、彼の気配が一変した。  
「貴様……覚悟はできてるだろうな…!?」  
その目はまるでダークドラゴンのような威圧感を放ち、隣にいるクラッズはおろか、同種族であるはずの彼女でさえも怯えさせた。  
「こ、来ないで…!それ以上近寄ったら…!」  
咄嗟に、彼女はドワーフを抱きあげ、秘裂に尻尾を押し当てた。  
「……ほう、そう来るか」  
「ちょっとちょっと、バハちゃん!?何考えて…!」  
「だがそれは、俺も同じ真似ができるとわかっての行動か?」  
「え……きゃああぁぁ!?」  
言うなり、隣のクラッズを抱き上げ、同じように尻尾を押し当てて見せる。  
「クラちゃん…!」  
「嫌ああぁぁ!ちょっとちょっと、バハちゃん!お願いだからやめてよぉ!!」  
「ついでに言うと、俺にあるのは尻尾だけじゃない。こいつの腹が裂けてもいいのか?」  
「やっ……無理無理無理ぃ!!お尻とか絶対無理ぃ!!」  
「クラちゃん!」  
ドワーフを抱き上げたまま、彼女はギリッと歯を鳴らした。  
「……ひ、卑怯者!」  
「それはお前だ!」  
「お前がだろ!」  
「先にやったのはバハちゃんでしょ!」  
「……あ」  
三人同時の突っ込みを受け、彼女はようやくその事実に気付いた。  
「え、えっと……で、でも、私はただ、気持ちよくさせてあげただけ…!」  
「じゃあどうして、そいつは泣いているんだ?そして、そいつは俺の彼氏だ」  
「彼氏…?でも、女の子…」  
「体はな。だが、そいつは紛れもなく男だ。それを女として扱った貴様は、そいつを苦しめただけだ」  
再び濃くなった殺気に、彼女はどんどん委縮してしまう。  
「で……でも、その、私…」  
「……は〜…」  
その時、クラッズが溜め息をついた。そして、なおも言い訳しようとする彼女をキッと睨みつける。  
「バ〜ハ〜ちゃ〜ん〜!」  
「ひっ…!?」  
途端に、様子が変わった。その目は完全に怯え、まるで母親に叱られる子供のような顔になっている。  
「あのさあ、バハちゃん。状況わかってる?それと自分が何したかわかってる?ねえ、わかってんの?」  
「あ、あ、あのっ……あの、えっと…!」  
狼狽する彼女を見つめ、クラッズは一瞬、自分を抱えるバハムーンに視線を送った。  
 
「バハ君、もう大丈夫。ちょっと放して」  
「……ああ、わかった」  
彼の腕から解放されると、クラッズはずんずん彼女に近づいていく。彼女は彼女で、どんどん後ろに下がっていく。  
「あ、あの、ごめんなさい…!この子、放すからぁ…!」  
「そんなの、当たり前でしょっ!!」  
「ひぅっ!」  
ドワーフが解放されても、クラッズはなお詰め寄る。もはや彼女はバハムーンと思えないほどに縮こまっており、その前に仁王立ちする  
クラッズの方が大きく見えるほどである。  
「一人で勝手にこんなとこまで来て、助けてくれたドワちゃんと…!」  
「……『ちゃん』とか言うな…」  
ドワーフが、ぼそりと呟いた。  
「あ、う……ごめん、ドワ君。とにかくドワ君にも、バハ君にも迷惑かけて、おまけに何、さっきの?バハちゃん、自分が何したか、  
ちゃんとわかってる?」  
「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!も、もうしないよぉ……謝るからぁ…!」  
「謝って済む問題じゃないでしょ!!!」  
「……貴様等の力関係は、どうにもわからんな…」  
後ろで、バハムーンがぼそりと呟いた。  
「ごめんなさい……ごめんなさいぃ…!クラちゃん、許してぇ…!」  
「……許されると思ってるの?」  
吐き捨てるかのような冷たい言葉。クラッズはドワーフを抱き起こすと、彼女を睨みつけた。  
「クラちゃんん…!」  
すがるように声をかけるが、クラッズは怒りに満ちた目で彼女を睨み返す。  
「私だけだったらまだしも、他の人にまで迷惑かけて……バハちゃんがそんな子だったなんて、私思わなかった」  
「クラちゃん……お願いだから、許し…」  
「バハちゃんなんか、大っ嫌い!」  
途端に、彼女は雷に打たれたように立ち竦んだ。やがて、その目には大粒の涙が溢れ、たちまち頬を伝って流れ落ちる。  
「う……うええぇぇーん!!」  
子供のように泣き出す彼女から視線を逸らし、クラッズは帰還札を取り出した。  
「帰ろ、ドワちゃ……ドワ君」  
「あ、おい…」  
ドワーフが止める間もなく、クラッズは帰還札を使ってしまった。後には、バハムーンの二人組が取り残される。  
「あのアマ……俺を忘れて行きやがった…」  
もはや怒る気も失せたらしく、呆れたように呟く。そして、今だ泣き続ける彼女に視線を向けた。  
「まあ、いい。それより貴様、覚悟はできてるだろうな」  
低く、威圧感のある声に、彼女は涙に濡れた顔を上げた。だが、そこに逃げたり抵抗したりしようという意思は感じられない。  
「……クラちゃんが……ひっく……あんなに怒ってるの、初めて見た……私、すごく悪い事した…」  
まだ涙をこぼしつつ、彼女は続ける。  
「ごめんなさい……ぐすっ……君にも、悪い事した……ごめんなさい…!罰は、ちゃんと受ける……ごめんなさい…!」  
彼が目の前に迫っても、彼女は動かない。そして、静かに手を振りかざした時、さすがに怖いのか、ギュッと目を瞑った。  
 
だが、来るはずの痛みが来ない。恐る恐る目を開けると、拳が目の前で止まっていた。  
「……殴る気も失せた。貴様をここで殺したところで、何が変わるわけでもない」  
拳を引くと、彼は軽く息をついた。  
「それに、貴様にはまだ謝っていない相手がいるだろう?俺や、貴様の連れには素直に謝れたんだ。あいつに謝れないなんてことは  
ないだろう」  
その言葉に、彼女は黙って頷く。  
「貴様とて、俺と同じバハムーンだ。種族の恥を晒すような真似をしないと、信じている」  
何だか狐につままれたような顔の彼女に、彼は手を差し出した。  
「帰るぞ。そんな所にへばりついていても、何ができるわけでもない」  
彼女はしばらく躊躇っていたが、やがておずおずとその手を掴む。  
彼女を引き起こすと、彼は汚いものでも触ったかのように、手をズボンで丁寧に拭った。  
「帰還札は持っているか?」  
「あ、うん、持ってる……じゃあ、使うね」  
光に包まれ、消える二つの影。彼は気づかなかったが、帰還札を使う直前、彼女は隣の彼を、どこかうっとりした目で見つめていた。  
 
中継地点でクラッズとドワーフを探してみたが、二人は既にランツレートまで戻っているらしく、バハムーンの二人組もその後を追う。  
寮の入口で彼女と別れ、部屋に戻ってみると、ドアの鍵は開いているようだった。  
「ドワーフ、いるか?」  
「……ん」  
消え入りそうな、小さな声。中に入ってみると、ドワーフはベッドの上に膝を抱えて座り込んでいた。  
「……大丈夫か?」  
「ん……って、お前こそ大丈夫かよ…?」  
言いながら、ドワーフはバハムーンにヒールを使う。普段ならメタヒールを使うところなのだが、今は精神を集中できないのだろう。  
隣に座ると、バハムーンは優しくドワーフの肩を抱いた。  
「すまなかった。お前を一人にするべきではなかった」  
「いいよ……オレが言ったんだから…。お前のせいじゃねえって…」  
ドワーフは弱々しくも、何とか笑顔を見せた。だが、その笑顔が余計にバハムーンの胸を痛める。  
「……ところで、あの女はどこに行った?俺を置いて帰りやがって」  
「あ、ごめん。それ、オレもあの子も交易所で気づいたんだけど、追いつかれたら殺されるって泣いちゃったから、つい…」  
「……どうせ、ここに帰れば結果は同じだというのにな。あいつは部屋にいるんだな?今からでも遅くは…」  
そう言って立ち上がろうとしたバハムーンの服の裾を、ドワーフがギュッと掴む。  
「……行かないでくれよ……お願いだから、一緒にいて…」  
普段からは想像もつかないほどに、か細い声。その目には涙が溜まり、今にも零れ落ちそうだった。  
「ドワーフ…」  
「思い出しちまうんだよ……オレ……女の方で、イかされて…!オレ……オレ…!」  
「わかった、もう黙れ。そんなこと、もう口に出す必要もない」  
バハムーンはドワーフを抱き寄せると、零れた涙を舐め取るようにキスをする。  
「バハムーン…!」  
「そんな記憶など、すぐに忘れさせてやる。今は、俺だけを感じていろ」  
言うなり、バハムーンは強くドワーフを抱き寄せ、その唇を奪った。さすがに一瞬驚いたものの、ドワーフはそれに抗うこともなく、  
無遠慮に侵入する舌へ、甘えるように舌を絡める。  
 
ドワーフの平たく長い舌の感触を楽しみつつ、バハムーンはその服に手を掛けた。片腕はドワーフを強く抱き寄せたまま、もう片方の  
手で器用にボタンを外していく。やがて、全てのボタンが外されると、ドワーフは袖から腕を抜き、脱がせるバハムーンを手伝う。  
舌を絡ませ、不意に唇を離す。ドワーフが追い縋るように舌を突き出すと、バハムーンはそれを舐めるように舌で触れ、再び唇を重ねる。  
いつもより、ずっと長いキス。時に焦らし、時に欲望のままに、二人はその感覚を貪るように味わう。  
バハムーンが、ズボンに手を掛ける。ベルトを外し、止め具を外すと、ドワーフは脱がせやすいように尻尾を垂らす。  
ズボンを丸めてベッドの下に放ると、バハムーンはすぐに下着へ手を掛ける。それも同じようにして脱がせた時、ドワーフが不意に  
胸を押した。それに気付き、バハムーンは唇を離す。  
「ん、どうかしたのか?」  
「……あ、あのさ…」  
ドワーフは一度視線を逸らし、どこか言い辛そうに口を開く。  
「前も、似たようなことあっただろ…?あん時も、オレ、初めてだからって狙われて……今回も、初めてだってわかったら狙われて…」  
「おい、ドワーフ…」  
「だ、だからっ!」  
叫ぶように言うと、ドワーフは怯えたような目でバハムーンを見つめる。そして、震える手を伸ばし、自分から秘部を広げて見せた。  
「し、知らない奴に、奪われるくらいなら……お、お前に、その、こっちの初めても、もらってほしい…」  
そんなドワーフを、バハムーンは何とも言えない表情で見つめる。やがて溜め息をつくと、ドワーフの頭にそっと手を置いた。  
「……俺は、女とヤるつもりはないぞ」  
その一言に、ドワーフはビクッと耳を垂らした。  
「そ、そんな言い方しなくたってっ……だって、だって……オレ…!」  
今にも泣きそうな顔になるドワーフの頭を、バハムーンは優しく撫でた。  
「お前は、男だろう?」  
「え…?」  
「聞こえなかったわけではあるまい?お前は、男だろう?」  
「……そ、そうだけど、でもっ…」  
「体は女でも、お前は男だろう?」  
「……うん」  
ようやく頷いたドワーフに、バハムーンは微笑みかける。  
「だから、俺はお前と付き合っているんだ。俺は女とヤる趣味はない。……だがな」  
ドワーフの頭を優しく撫でつつ、バハムーンは続ける。  
「もし、お前が本気でそう望むなら、俺はそれに応えよう。しかし俺とて、いきなりそんなことを言われても覚悟が決まらん。  
だから、しばらく待て」  
「しばらくって……どれくらいだよ…?」  
「そうだな、ひと月もあれば十分か。それでもし、ひと月後もお前が今と同じように望むのなら……その時は、俺も覚悟を決める」  
少し不服そうではあったが、ドワーフはその言葉に黙って頷いた。  
改めて、バハムーンはドワーフを抱き寄せる。そして服を脱ぎ、自身のモノに唾を付けると、ドワーフの耳元に囁く。  
「悪いが、少し我慢しろ」  
聞き返す間もなく、ドワーフの後ろの穴にバハムーンのモノが押し当てられる。次の瞬間、バハムーンは思い切り腰を突き出した。  
「んぐ、あっ…!うあ、あああぁぁっ!!」  
抱き締められ、身動きの取れないままに、ドワーフが悲鳴を上げる。いつもならば、ドワーフの愛液を絡めて入れているのだが、  
バハムーンはそこに触れようともしない。  
 
「い、痛いっ……痛てえよ、バハムーンっ…!」  
「ドワーフ……すまん、我慢してくれ」  
「あぐっ!うっ!バハ……んむぅ…!」  
ドワーフの口を自身の唇で塞ぎ、バハムーンは腸内を激しく突き上げる。バハムーンが動く度に、滑りの悪い結合部に痛みが走る。  
だが、体内を突き上げられる度、鈍い痛みと快感が走り抜ける。そして、重ねられた唇と、絡まり合う舌の感触が、痛みを和らげる。  
「ふ、ぁ…!んっ……むぅ…!」  
痛みから逃れるように、ドワーフは積極的に舌を絡め、バハムーンの体にしがみつく。それに応えるように、バハムーンもドワーフを  
強く抱き締める。全身で感じるお互いの温もりが、二人の快感をさらに強めていく。  
快感が高まるにつれ、痛みが消えていく。最初はバハムーンのモノを拒むようにきつく締め付けていたドワーフも、徐々に彼のモノを  
優しく受け入れるようになっていく。  
「くっ……ドワーフ、もうっ…!」  
「んあぁ…!いいよ……お前の、オレの中にっ…!」  
ドワーフはバハムーンに全身で抱きつき、彼のモノを強く締め付けた。同時に、バハムーンが低く呻いた。  
ビクンと、体の中で彼のモノが跳ねるのを感じる。それを感じる度に、ドワーフの中にえもいわれぬ快感が湧きあがる。  
強く腰を押し付けていたバハムーンが、ゆっくりと腰を引く。だが、そのまま引き抜くのかと思っていると、彼は再び強く  
突き上げてきた。完全に油断していたドワーフは、予想外の快感に悲鳴を上げる。  
「うああっ!?お、お前っ……あぐっ!お、終わったんじゃ…!?」  
「生憎と、一度ぐらいで治まりはしないんでな。それに、お前だって足りないだろう?」  
「オ、オレはっ……あうっ!バハムーン、もうやめっ……んあっ!!」  
出されたばかりの精液が、腸内で激しく掻き混ぜられる。溢れた精液が結合部を伝い、それが潤滑剤となってドワーフの痛みを消し去る。  
それによって、ただでさえ強くなっていたドワーフの快感は、一気に跳ね上がった。  
「バハムーンっ……ま、待って!!オレ、もうっ……あぐぅ…!い、イっちまうよぉ!!」  
だが、彼は動きを止めるどころか、ますます強く突き上げる。ドワーフはベッドのシーツをぎゅっと掴み、必死に耐えていたが、  
それもすぐに限界が来た。  
「も、もうダメっ……ああっ、ああああぁぁぁ!!!」  
ドワーフの体が反り返り、ガクガクと震える。だが、バハムーンは動きを止めたりなどせず、なお激しくドワーフの腸内を突き上げる。  
「ああっ!!あっ!!バハっ……ま、待てぇ!!オレ、今イってっ……う、動くなぁぁ!!!」  
途切れることのない快感。ただでさえ敏感になっているところをさらに犯され、ドワーフの快感は限界以上に跳ね上がる。  
「うあああぁぁ!!!やめっ……ぐぅ、あああぁぁぁ!!!」  
再び、ドワーフの叫び声が響く。細かく何度も達してるらしく、ドワーフの体は反り返り、足はピンと伸びてぶるぶる震えている。  
腸内はバハムーンのモノをさらに引き込むかのように蠢動し、唯一尻尾だけが、それ以上の動きをやめさせようとするかの如く、  
結合部を隠すように閉じられる。  
「くっ……ドワーフ、また出すぞ!」  
「あぐぅぅ!!も、もうやめっ……これ以上っ……これ以上、イけねえよぉ!!バハ……あああぁぁぁ!!!」  
ドワーフが叫ぶと同時に、腸内がギュッとバハムーンのモノを締め付ける。それに促されるように、バハムーンは再びドワーフの体内に  
精液を注ぎ込む。  
モノが跳ねるのに合わせ、バハムーンはドワーフの奥深くを突き上げる。その度に、大量の精液と空気が腸内で掻き混ぜられ、  
ガボガボと大きな音が響く。その音までもが、激しく犯されている事実を認識させ、ドワーフに強すぎるほどの快感を与える。  
 
「はあっ……はあっ……うああぁ、あ…!」  
もはや何度目かわからない絶頂を迎えるドワーフ。しかし、さすがにもう叫ぶ元気もないのか、今までと違って力なく呻くだけである。  
汗だくになった体からは徐々に力が抜けていき、目は今にも閉じられそうになっている。  
「バハムーン……オレ……もぉ……無理ぃ…」  
力ない声で言うと、とうとうドワーフの全身から力が抜けていった。バハムーンが突き上げる度に、その口から小さな呻き声が漏れるが、  
もう今までのように叫び声をあげたりはしない。呼吸もすっかり浅くなっており、意識は既になくなっているらしかった。  
「はぁ……はぁ……ドワーフ…!」  
そんなドワーフの体内に、バハムーンは三度目の精を注ぎ込む。さすがにバハムーンも疲れており、これ以上しようという気は  
起こらない。  
ゆっくりと、ドワーフの中から引き抜く。  
「う……ぁ…」  
無意識に反応するのか、ドワーフの体がピクンと震える。それとともに、あまりに激しく犯されて、すぐには閉じなくなった肛門から、  
精液がどろりと溢れ出た。  
それを軽く拭き取ってやると、バハムーンはドワーフの体を抱きしめた。  
「……もし、お前の望みが変わらなかったとしても…」  
聞こえていないと知りつつ、意識のないドワーフの耳元で、そっと囁く。  
「俺はお前を、放しはしない」  
そう言い、バハムーンはドワーフをさらに強く抱きしめた。体毛が肌をくすぐり、汗ばんだ体からはいつもより強く匂いが感じられる。  
そうして目を瞑っているうち、いつしかバハムーンも眠りに落ちていた。  
 
一方、クラッズの部屋では夜が更けてからも、クラッズの叱責の声が響いていた。  
「ほんっと、信じられないよ!どうしてドワちゃんにまで手ぇ出すわけ!?しかも、あの二人は恩人だよ!?」  
「ごめんなさいぃ……クラちゃん、もう許してぇ…!」  
「そもそも、ドワちゃんにちゃんと謝ったの!?それもしないで、許してとか言ってるんじゃないよね!?」  
未だに怒り心頭のクラッズに、泣きそうな顔で謝り続けるバハムーン。  
「あ、謝ろうとしたけど……バハ君に、来るなって言われたんだもん〜…!」  
「だからって、さっさと引き下がるの!?」  
「だ、だって……すっごく怖い顔で言われたんだよぉ…」  
「……う〜……それは、まあ、じゃあしょうがないけど……あとで、ちゃんと謝るんだよね?」  
若干、クラッズの口調が和らぐ。それを聞いた瞬間、バハムーンの顔にホッとした表情が浮かんだ。  
「う、うん。ちゃんと謝る……だから……ゆ、許して、くれる…?」  
「……謝ったらね」  
溜め息混じりに言うと、クラッズはもう一度彼女を睨んだ。  
「ああ、それからちゃんと謝るまで、エッチ禁止ね」  
「え……そ、そんなぁ〜…!」  
「何?文句があるの?」  
和らいだと思った表情が、再び鬼のような形相になっていく。元の目つきが悪いだけに、その迫力も凄まじい。  
「ドワちゃんに好き勝手しておいて、色んな人に迷惑かけておいて、許してもらわないうちからやりたいことやるんだバハちゃんは!?」  
「ご、ごめんなさいごめんなさい!!わかったよぉ!!言うこと聞くから怒らないでぇ!!ふええぇぇ…!」  
泣き出すバハムーンに、再びボルテージを上げていくクラッズ。二人が眠れるのは、まだまだずっと先のことのようだった。  
 
一ヶ月後、ドワーフとバハムーンはいつものように朝食を取っていた。相変わらずハニートーストやアップルパイなど、甘い物中心の  
メニューである。  
「ふー、ごちそうさまっと」  
「速いな。朝食ぐらい、もっとゆっくり食えばいいものを」  
「いいだろー別に。それに、これぐらい普通だって」  
「……前は俺より遅かったと思うんだがな?早食いは太るぞ?」  
「お前はどうなんだお前は。俺は三つだけだけど、お前それで八個目じゃねえかよ。大食いは太るぞ」  
「俺はゆっくり食ってるからいいんだ」  
「よくねえよ」  
いつも通りの会話。いつも通りの日常。いつもと変わらない、当たり前の風景である。  
だが、ここ最近は、それにも少しだけ変化が訪れていた。  
食事を終えたドワーフは制服を着ると、鍵を持ってドアへと向かう。  
「さてと、それじゃあオレ、行ってくるなー」  
「また、あの女のところか?お前も飽きないな」  
「いいだろー。だって、お前以外ではようやく、初めてできたまともな友達なんだから」  
「ま、そうだろうな。別に俺とて、止める気はない。ゆっくり遊んでくるといい」  
「安心しろって、ちゃんと夜までには帰るからさ。へへっ」  
そう言ってドアに手を掛けるドワーフの背中に、バハムーンが声をかける。  
「……夜と言えば、あれからちょうどひと月だな」  
「うっ…」  
ドワーフの体毛が、ぶわっと逆立つ。  
「確か今日の夜には、お前のもう一つの初物がもらえるという話だったが…」  
「ううう、うるせえー!!その話はなしだっ!!もう言うなっ!!あああ、あん時は頭ん中ぐちゃぐちゃで、どうかしてたんだよ!!」  
全身ぼさぼさにして叫ぶドワーフを、バハムーンはニヤニヤしながら見つめる。  
「そうか、それは残念だな。二度目の初物をもらえるというのは、なかなか魅力的だったんだが」  
「嘘つけぇー!!お、お前だってそんなん嫌だろ!?だからもう、その話はなしっ!!もう言うな!!いいな!?」  
「はっはっは、わかったわかった。今回は諦めておいてやろう」  
「次回はもうねえよ!!」  
乱暴にドアノブを掴み、捻じ切らんばかりの勢いで回す。そこでふと、ドワーフの動きが止まった。  
「……けど、ありがとな。あん時、あのままやっちゃってたら……オレ、きっと一生後悔してた」  
「俺は、お前の彼氏だからな。お前のことは、理解しているつもりだ」  
そう言うバハムーンに、ドワーフは恥ずかしそうな、それでいて嬉しそうな笑顔を向けた。  
「へへっ、お前のそういうとこ……オレ、大好きだぜ!」  
返事も待たず、ドワーフはそのままドアをすり抜け、出て行ってしまった。だがその直前、尻尾がぼさぼさになっていたのを、  
バハムーンは見逃さなかった。  
「……意外と恥ずかしがりなのも、変わらんな」  
小さく笑い、九個目のハニートーストを取った瞬間、部屋のドアがノックされる。ドワーフかとも思ったが、それならばわざわざ  
ノックする必要がない。  
 
「誰だ」  
尋ねるも、返事はない。バハムーンは忌々しげにハニートーストを置くと、勢いよくドアを開けた。  
「……おはよう」  
そこにいたのは、あのクラッズと一緒にいるバハムーンだった。  
「帰れ」  
冷たく言い放ち、ドアを閉めようとする。しかし彼女は隙間に足を突っ込み、さらにドアに手を掛けて抵抗する。  
「か・え・れ!」  
「待って……いきなり、ひどい…!」  
怪力の二人に掴まれ、ドアがメリメリと悲鳴を上げる。  
「そもそも貴様、俺に何の用だ。いや、何があろうと俺は貴様に用はない。帰れ!」  
「待ってってばっ……せ、戦闘訓練……付き合ってほしいなって…!」  
それを聞いた瞬間、彼はいきなりドアから手を放した。突然抵抗がなくなり、彼女は勢い余って倒れそうになる。  
「なんだ、そういうことか。貴様を叩きのめせるというなら歓迎だ。行くか」  
「……負けないもん」  
そして、二人は連れ立って体育館へ向かう。その光景を見た者は、とうとう彼が女にまで手を出すようになったと勘違いし、結果として  
彼等の行く先は、海を割った聖人の奇跡の如く、人波が避けていくのだった。  
 
体育館に、激しく床を踏み鳴らす音が響く。それに加えて、荒い息遣いと武器のぶつかり合う音。  
ガツンと一際大きな音が響き、木剣が床を転がる。直後、これまたゴツンと鈍い音が響いた。  
「い……痛い…!」  
「ふん、その程度か?手加減してやってるんだ、少しぐらいは手応えがないとつまらんな」  
ど真ん中を占拠するバハムーンの二人組。彼女の方は頭を押さえてうずくまっており、彼の方は物干し竿をくるくると回している。  
「そんなに長いの使ってるのに、手加減とか…」  
「なんだ?素手でやれというのか?やっても構わんが、俺は素手の方が得意だぞ」  
とは言いつつ、長大な物干し竿をまるで体の一部のように操る姿は、決して手加減をしているように見えない。  
「……君が素手なら、私の方が強いよ…!」  
「ほ〜う?貴様、俺を舐めるなよ」  
彼女が木剣を拾うと同時に、彼は物干し竿を投げ捨てた。  
「素手より武器を持った方が有利だというのは、戦士や侍の…」  
「隙あり!」  
突然、彼女は不意打ちで木剣を振り下ろした。その速度は、常人なら目で追えないほどに速い。  
が、彼はそれを平手で打ち払うと、彼女の腹に蹴りを叩きこんだ。  
「ぐっ…!」  
たまらず体を折った瞬間、彼は上から彼女の腰を掴み、その巨体を逆向きに軽々と持ち上げた。そして一瞬の間を置き、その体を  
思い切り床に叩きつける。止めとばかりに、彼はぐったりした彼女の尻尾を掴むと、片手で放り投げた。  
 
「うぅ……げほっ…!」  
「不意打ちしておいてそれか?情けない奴だ」  
「……く、悔しいよ…!私だって、自信あったのに…!」  
必死に涙を堪える彼女に、彼は溜め息をついた。  
「貴様の剣は、確かに速い。だが、攻撃が雑すぎる。その大振りばかりで、今まで生き残ってきた腕は認めるがな」  
「……どうすればいいの…?」  
「それは自分で考えろ。一言言うなら、牽制ぐらいは覚えておけ」  
何だかんだ言いつつ、質問にも答えてくれる彼に、彼女はどこか嬉しそうな目を向ける。  
「……君って、優しいし、強いし、すごいよね…」  
「褒めても何も出ないぞ」  
「私、今まで友達、クラちゃんしかいなかったから……君みたいに、強い人と友達になれて、嬉しいな」  
「おい、待て。俺がいつ貴様と友達になった?やめろ、俺は女と付き合う趣味はない」  
「大丈夫、私も男の子と付き合う趣味ないから…」  
「……その割に、貴様、ドワーフには好き勝手してくれたな」  
その言葉に、彼女は首を傾げる。  
「だって、あの子って女の子…」  
「よし、貴様いい度胸だ。今日は死の淵に辿りつくまで、存分に戦闘訓練をしようじゃないか」  
「え、え…?だって、ほんとにあの子……ま、待って待って!!わ、私そういうつもりじゃっ……ゆ、許してぇー!!!」  
どちらかというと、彼女に付きまとわれて迷惑そうな彼。とはいえ、彼としても彼女のような存在は珍しく、また同種族でもある。  
彼女を心の底から嫌っているわけでは、決してない。  
それ故か、本気で逃げ回る彼女を追いかけ回す彼の姿は、どこか楽しげにも見えるのだった。  
 
その頃、ドワーフは寮の屋上でクラッズとお喋りを楽しんでいた。元々、種族的な相性も良かっただけに、二人はもはや無二の親友とも  
言える存在になっていた。  
「あはは。でも、ちょっと困ることもあってさ…」  
「んお?何かあったのか?」  
「ん〜〜〜……君と、バハ君と仲良くなってからさ、私の数少ない友達がすごい勢いで逃げてったんだよね…」  
「あ〜……それは、なんか、悪りいね。でも、その程度で離れちまう奴なんて、最初っから友達になんてしない方が賢明だよ」  
「……なんか、ちょっと納得しかけた。でも、うん、その考えもありかなあ…」  
「ま、あいつの受け売りなんだけどさ」  
二人は大きな声で笑い、一頻り笑ってから同時に溜め息をついた。  
「……バハちゃんも、問題児だからなぁ…。いい子なんだけど……って、そうそう。ドワちゃ……くん、あれからバハちゃんと話した?」  
クラッズが尋ねると、ドワーフは不機嫌そうに顔をしかめた。  
「……するかよ、話なんて」  
「でも、その、ね?バハちゃん、あれはあれで気にしてるんだよ。ドワ……君に謝ろうとしてるけど、いっつも話聞いてもらえないって、  
嘆いてるんだよ」  
「君には悪いけど、オレ、あいつだけは絶対に許せねえよ」  
「許してあげて、なんて言わないし、言えないよ。でも、せめて謝るのを聞いてあげるだけでも、ダメかな…?」  
そう言い、クラッズは不安げにドワーフを見上げる。そうされると、さすがのドワーフも少し心が揺らいだ。  
 
「そ、そんな目で見るなよ……オレが悪者みたいじゃねえか…」  
「ご、ごめん。そんなつもりはないんだ。でも…」  
「……わかったよ。今度会ったら、話ぐらいは聞いてやる。それでいいか?」  
「ほんとに!?ドワちゃ……ドワ君、ありがとう!」  
何の衒いもない、満面の笑み。その顔を見ると、ドワーフの胸は自然と高鳴った。そして、前から思っていたことを、  
ついに尋ねてみようという決心がついた。  
「……なあ、ちょっと聞いていいか?」  
「あ、うん?なあに?」  
「あのさ、もし君が、あいつと会ってなくて……オレも、あいつと会ってなかったとして、もし最初にオレと君が会ってたら……その…」  
「……うん、それで?」  
言葉に詰まってしまったドワーフに、クラッズは優しい声で問いかける。  
「あの……もし、オレと君だけで会ってたらさ、オレと付き合って……くれた、かな…?」  
「……ん〜…」  
その質問に、クラッズは難しい顔をして考え込んでしまった。そしてたっぷり一分ほど悩み、重い口を開く。  
「……私、今でこそバハちゃんと、その、付き合ってるっぽくなってるけど、ほんとはそういう気なかったし……だから、ね、ドワ君が、  
体の方は女の子だってわかったら……たぶん、付き合ってなかったと思うな……君には、悪いけど」  
今度はドワーフが黙りこむ。だが、こちらは比較的すぐに笑顔を浮かべた。  
「そっか……そうだよなー。いや、ありがとな。はっきり言ってもらえて、すっきりした。君って優しいよな」  
「ドワ君だって、似たようなものじゃない?ていうか、私達って意外と似てる?」  
「言われてみれば、そうかもな。性格も似てるっちゃあ似てるし、その気がなかったのに同じ性別の奴と付き合う羽目になったりな」  
二人はまた大きな声で笑い、そしてまた大きな溜め息をついた。  
「……な〜んで、こうなったんだろうな…」  
「お互い、運がないんだよ……ああ、でもその相手がすっごく強いし、冒険者としての運はあるのかなあ?」  
「まあ……それはそうかも。それに、オレは君と会えただけでも、結構運あると思うけどな、へへ」  
恥ずかしげに笑うドワーフを、クラッズは笑顔で見つめた。そして、耳にそっと唇を寄せる。  
「ね?付き合うのは無理だけど、これぐらいならしてもいいよ」  
「へ?」  
振り向いたドワーフの首を掻き抱き、唇を重ねる。驚くドワーフの唇を吸い、ちゅっと可愛らしい音を立てて唇を離す。  
 
「……これぐらいなら、浮気にはならないよね?それに、前のお礼してなかったし、君ってその辺の男の子より、  
ずっとかっこいいからさ」  
そう言い、いたずらっぽく笑うクラッズ。ようやく状況を理解したドワーフは、全身の毛を逆立てつつ尻尾をぶんぶん振り始める。  
「い、いきなりそういうことするなよなー!びっくりするじゃねえかよ!」  
「えへへ、ごめんごめん。でも、ほら。『体が女の子だってわかったら』付き合わなかったってだけで、それ以外は百点満点なんだよ?」  
「……くぅ〜っ、逆にそれ、すっげえ悔しいぞー。でも、ま……いいけどな!」  
すっかり上機嫌のドワーフと、ちょっと恥ずかしげに笑うクラッズ。だが、そんなひと時の恋人気分も、一瞬で打ち破られる。  
「わぁーん!!やだってばあ!!もうやめてよぉー!!」  
「待て貴様ぁ!!言いだしたのは貴様の方だぞ、責任は取れぇ!!」  
階下の叫び声に、二人は飛び上がらんばかりに驚いた。慌てて下を見ると、体育館からバハムーン二人組が飛び出してきたところだった。  
「バハちゃん!?ちょっ……追い回されてる!?」  
「うわっ、あの野郎、素手じゃねえか!?おいこら、バハムーン!!よせって!!殺す気かてめえはー!?」  
だが、屋上からの声は届いていないようで、二人はそのまま走っていく。それを見て、ドワーフとクラッズは顔を見合わせた。  
「……助けに行くか」  
「そうしよ!バハ君の方、お願いね!」  
「わかってる!」  
そして、二人は大急ぎで階段を駆け下りていく。  
「待てぇ!!貴様も戦士なら逃げるなぁ!!」  
「うわぁーん!!クラちゃん、助けてぇー!!」  
「おいバハムーン、待てってばぁー!!」  
「バハちゃん、こっちこっちー!!そっちに逃げないでー!!」  
 
奇縁によって繋がった者同士。普通なら決して繋がることのなかった彼等は、更なる奇縁によって繋がりを持った。  
それが幸運なのか、不運なのか、傍目からは判断できない。多少の波風が起こった点に関しては、不運とも言えるだろう。しかし、  
新たな仲間となれたことを考えれば、幸運とも言える。周りからすれば、問題児が合流したことで、もはや悪運の領域だろう。  
だが、鬱陶しくも、実力のある仲間。可愛らしく、守りたくなる相手。初めて出会った、尊敬できる力を持つ仲間。限りなく理想に近い、  
一緒にいたいと思う相手。  
そんな、普通ならば探すことすら難しい仲間と、出会うことのできた彼等。多少の不運はあれど、彼等はやはり、幸運なのかもしれない。  
 

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