一行が最後のモンスターにトドメを刺すと、フェアリーの少女が笑顔で小さな体を飛び跳ねさせた。
「ンーッ♪ なんだか前より戦いのコツがつかめた気がする!」
「レベルアップって感じだね♪」
同じく今回の交戦でなにかをつかめたらしいエルフの少女も、笑顔でぐっと拳を握ってみせる。
「あの子もそろそろレベルアップしたんじゃないかなあ」
「そうだね。いまのモンスターは多かったし……」
何気なく二人は後列のノームの少女へ振り向いた。
内心、いつも無表情かつ冷静なノームの少女は、強くなった喜びも顔には出さないだろうと思っていた。
しかし、そこには――。
「……あはっ」
自分の手のひらをじっと見つめ、なにかの手応えを得たことに頬を緩ませる無防備な少女の笑顔があった。
「あっ……」
しかしノームの少女は二人の視線に気付くと、途端にポーカーフェイスに戻る。
「マスターへ戦闘能力向上を報告。関節駆動、反射動作、論理回路の平均4.2369%の効率化に成功」
取り繕ったような感情のこもらない声に、エルフとフェアリーの少女は顔を見合わせる。
「いつものあの子のキャラって……?」
「演技だったのかな……?」