この話はGWに入って1日目の話
恋愛に疎いフェル男と恋するセレ子の話です。
GWに入ってに1日目の夜―。
フェル男のクラス全員がジェラートタウンにある宿を貸切での大騒動。
食い物を食べ尽くし、飲み物を飲み尽くし、挙句の果てには歌いだすものまでいる
「いよっしゃー!!俺の歌を聴けーー!!」
真っ先に歌いだすのはバハムーン男のバハ男(職業:アイドル)
「なにをーー!!僕だって負けないぞーー!!」
バハ男に負けず歌いだすフェアリー男のフェア男(職業:アイドル)
「いつもの事ですけどいつも以上に騒がしいですね、そう思いませんか?フェル子さん」
フェル子に話しかけているセレスティア男のセレ男(職業:魔法使い)
「そうでござるな…全く少しは落ち着かないものか…」
フェル男と同じ職業のフェルパーの女の子がまるで当たり前のように言う、名はフェル子(職業:剣士)
「これは、ここの主人は哀れになってくる気がするな…」
「せやな…こら明日は廃墟になる恐れがあるで…」
そういいながら、残っていたジュースを飲み干し、おかわりしようとすると…
「おい、大変だ!ディア男とディア子とドワ男とノム男が乱闘を始めたぞ!!」
ヒュム男がそう言って、外を見てみると確かに4人が乱闘している。しかし何故外でやる…
ドワ男の突撃に対してディアボロスの女の子のディア子(職業:人形遣い)の魔法壁で跳ね返される。
ディアボロスの男の子のディア男(職業:死霊使い)の死霊攻撃に対して、ノム男の軽いフットワークでかわす。
「近所迷惑で訴えられそうやな…わいら」
「そうならない事を祈ろう…」
そう言いつつ、さっきの場所まで戻ろうとすると
「あれ?セレ子はん…寝てはるな…」
「ヒュム子まで寝てるな」
セレ子とヒュム子のいるテーブルを見ると、寝息を立てて熟睡しているセレ子とヒュム子の姿があった
「2人とも疲れたんかいな…よー寝てられるわ」
「あれ?セレ子お姉ちゃん寝ちゃってるよ〜?」
「ヒュム子さんまで…2人ともちょうどよかったですわ」
「ん?なんや」「なんだ?」
「お二人を部屋まで運んでくださらないかしら?セレ子さんはフェル男さん、ヒュム子さんはエル男にお願いしますわ」
「わかった」
そういって、エル男はヒュム子を抱いて2階にある部屋に向かっていった
一方フェル男はまだ実行してなく…
「わいがセレ子はんをでっか!?」
「逆というわけにはいかないでしょう?」
「そらそやけど…はいはい、わかりやしたしっかり寝かせてあげへんとな…」
「ついでに襲っちゃえ〜!!」
「なんでそうなるんや!?」
この2人もバハ子やノム子のようにいうなぁと思いつつセレ子をお姫様抱っこの形で2階へと上がっていった。
「これでよし…っと」
宿屋の布団にセレ子を寝かせ、フェル男は肩を回す
下ではまだ宴会騒ぎ。特にバハ男とフェア男の歌声にアンコール!やブーブーが聞こえ
外ではまだ、4人の乱闘が続いている。
「しっかし、あん時はちゃんと見れへんかったけど…」
今のフェル男にとっては、この騒ぎはどうでもいい事だが…
「ちゃんと見ると…わいも春が来たんかなと思ってまうわ…」
そう彼は彼女はいない。これまではずっと一人身だったのだ。
あの事件以降のバレンタインで実は彼女は出来ていた。彼には自覚がないのだが…
しかしフェル男とセレ子の進展はフェル男の恋に関して疎いせいで、あまり進展なし。
あったとすればホワイトデーの彼女の見舞いぐらいか。
しかし、クラ子の先程…
(ついでに襲っちゃえ〜!!)
の無茶苦茶な言葉が、ぐるぐると頭をループする。
(襲うんか…?いやだめやろ…いくらなんでもいきなり襲うってのは…)
正直フェル男も少しセレ子を気になり始めていた。同じ戦士系のせいか?
しかし、フェル男とセレ子のパーティーは別々。別々というのが嘆かわしい。
「くだらん事考えてもた…続きやりますか…」
これ以上変な事考えてると本当にセレ子に襲いかねない…
襲いかねないように、一刻も外に出ようと歩き出そうとするが…
「ん・・・う〜ん」
なのに彼女は絶妙なタイミングで眼を覚ます。
「ん?」
「あれ?フェル男さん…?如何して私布団の上に…」
「よお、起きはったか」
「もしかして…私寝てました?」
「ああ。下じゃまだ宴会や」
そこまで喋ってから、彼は回れ右で振り向く。
眠気眼を向ける彼女は、さらに可愛らしく映った。
「あっと…じゃ、わい戻るから」
「あ、あの、行っちゃうんですか?」
「ん?」
「えと…一人じゃ寂しいんです…」
「……へ?」
引き止められたフェル男は、まだこの部屋にいたが
(えっと、わい…どないしたらええんやろ?)
恋愛に関して疎いフェル男にはどうしたらいいかわからない…
ホワイトデーの時は夕方で看病&バレンタインデーのお返しだったが
今はなにもなく、しかも夜もふけた深夜である。
(多分エル男やったら、ヒュム子を襲ってるんやろな…)
しかしエル男とヒュム子の声は聞こえない、その様子だとエル男もヒュム男と同じ状況だろう
「あの…」
「あ、ああ!なんや!?」
沈黙を破ったのはセレ子の方だった。
「さっき…フェル男さんは何を考えてたのですか…?」
「へ!?(まさか、わいがセレ子はんを襲おうとした事を聞かれてた!?)」
フェル男は一瞬驚きはしたものの
「い、いや何、くだらん事や…気にせんでええ…」
「そうですか…でもこの状況だと…男性は襲うとなんかの本に書いてあったので…」
「い!!??」
「襲われるのは嫌です…でも相手がフェル男さんなら、私襲われてもいいです…」
「い、いや…そんな事せーへんから…という保障はあらへんけど…」
「それじゃあ、私待ってます…いつかあなたに襲いに来る事を…」
「いやいやいやそれじゃあ、わいが変態みたいやで!?」
そういう会話しつつ、夜も更けていく…
フェル男とセレ子の恋まではまだまだ遠い…
一方、宴会場では…
「何も声がない…フェル男さん、失敗しましたね…」
「いやいや、恋はまだ始まったばかり、これからも見守っていこうじゃないか」
「いつのまに、ノム子さんまで加わってるの…?」
そう、今回の企みもノム子。エル子とクラ子まで混じっての計画。
「俺の歌を聴けーーー!!」
「うるさいですわ!!」
「ふごっ!?」
また、別の話…。