カレン:バハムーン(女)・戦士  
このSSの主人公格。小難しいことを考えるのが苦手で、考えるより先に動いてしまうタイプ。何故かパーティのリーダー格。キレるとブレスを吐く。  
ちなみに、きょぬー。  
 
ルルーシュ:ヒューマン(男)・レンジャー  
カレンの幼馴染み。一人称は「僕」。手先が不器用なのにレンジャーになった理由は謎。  
罠の解除や開錠はほぼ運任せである。そのため、パーティに入れるともれなくとばっちりが付いてきますww  
クロスティーニに入学してカレンと再会した。  
 
カオル:フェルパー(女)・剣士  
カレンとは昔なじみで、よくイタズラをしては二人で親に雷を落とされていた。  
戦闘では二刀流を駆使し、前衛で戦う。  
普通のフェルパーとは異なり、初対面の相手に対してはよくある『人見知り』ではなく、『警戒』をする。  
ちなみにひんぬーです  
 
リーオー:ドワーフ(男)・格闘家  
カレンのパーティー仲間のドワーフ。クロスティーニに入学するまではそれなりに知られたワルだった。そのため腕っ節も強く、喧嘩っ早い性格。戦闘スタイルも他の格闘家のような武術ではなく、喧嘩殺法なので傍目にも危なっかしい。  
後述のアクセルとはことある度に殴り合いの喧嘩となる。  
 
アクセル:エルフ(男)・精霊使い  
カレンのパーティー仲間のエルフ。一族の中では所謂落ちこぼれで、他者を見返す力を得るために入学した。戦闘では参謀格としての役割も持つ。  
先述のリーオーとは犬猿の仲であり、衝突するのは日常茶飯事。  
 
アテナ:セレスティア(女)・魔法使い  
カレンのパーティー仲間で、アクセルの姉弟子に当たる。  
精霊使いとなった彼とは異なり、魔術一辺倒のスタイルを取る。  
ポワポワした性格でいつも笑顔を絶やさないが、喜怒哀楽の哀をのぞいた三つの感情表現も笑顔のため、彼女と会話していると気付かぬうちに地雷を踏んでしまうことも・・・・・。  
 
アレディ:ヒューマン(男)・戦士  
かつて、世界を破滅から救ったとされる伝説のパーティ、『希望の六騎星』の一人。  
すでに故人で、カレンの故郷には彼の銅像が立っている。  
彼女を含めた全ての冒険者達のあこがれであり、目標でもある。  
 
 
 
 
 
 
かつて、古のガイノス大陸は悪の権化、『絶対者』によって危機にさらされ、誰もが未来を絶望していた。  
そんな中、立ち上がった六人の冒険者によって『絶対者』は封じられ、世界から絶望は消え去り、希望が戻って来た。  
いつしか人々は尊敬と畏怖の念を込め、彼らを『希望の六騎星』と呼び、各地に六つの銅像を立てた。  
そうして時は流れ、『六騎星』と『絶対者』の戦いがおとぎ話となって人々に語られるようになった頃、各地に冒険者を育てる場〜学園が作られるようになった。  
そして、今日も冒険者を志す若者が、学園の門を叩く・・・・・―  
 
 
 
第一章 〜持つべきモノは何じゃいな?  
 
 
「はぁあ・・・・退屈だわ・・・・・」  
その日、赤毛のバハムーンの少女―カレンはヒマを持て余していた。  
「『アイツ』がいなくなってそろそろ三年・・・・・。ったく。誰の許しがあって、引っ越しするのよ・・・・・」  
リンゴをかじりながら、窓の外を見るカレン。  
村の中央にある広場には、一体の銅像が立っている。  
両手剣を肩に担ぎ、鎧を身にまとったヒューマンの青年・・・・を象った。  
「『希望の六騎星』ね・・・・・。下等生物に世界が救えるなら、苦労はしないって・・・・」  
「ヤッホー、カレン。ヒマしてる?」  
突然、窓の外から少女がヒョッコリと顔を出してきた。  
月光のような銀髪と、透き通るような色白の肌が特徴的だ。  
だが、彼女の頭の上には一族―フェルパーたらしめるネコ耳が付いている。  
「っとわ、カオル!?驚かさないでよ・・・・。て言うか、ここ二階よ!?」  
「ふっふっふ。フェルパーにとって、二階は一階も同然♪」  
そのフェルパーの少女―カオルは持ち前の身のこなしで窓から中に入ると、イスに座った。  
「んで、今日もあこがれのダンナを視姦していたの?」  
「あ、あこがれって・・・・・あんな下等生物なんかに・・・・。まあ、冒険者としてはお手本にしたいけどさ・・・・・」  
「ほうほう」  
「あの両手剣、一度で良いからブン回して見たいわぁ・・・・」  
「ガクッ!」  
どうやら彼女、銅像の青年―ではなく彼のツヴァイハンダーに憧れていたようで。  
「ま、そこはそっちの親父さん譲りってことで」  
「ところでさ、カオル。アンタ、冒険者にはなりたいと思う?」  
ふと、カレンが質問する。  
「うーん・・・・・そうだねぇ・・・・・」  
カオルは少し顎に手を当てて考えた後、語り始めた。  
「そりゃぁさ、なりたいよ。去年だって、隣村のケイオスが学園に入学したし」  
「それは野郎だからでしょ?私らは村から出るのにも一苦労なのに」  
「「特に、『親父が』(『兄さんが』)・・・・・ねぇ?」」  
頭を抱える二人。それもそのはず、カレンは父親に、カオルは兄に溺愛されており、もはや過保護とも言える状態だからだ。  
「しゃぁない。今夜強硬手段を取るとしますか。ちょっと耳を貸して」  
「こう?」  
カレンに言われて耳を近づけるカオル。  
「それでさ、ごにょごにょ・・・・・。はっ、ブアックショイ!!」  
「みぎゃあ!?耳元でクシャミしないでよ!」  
毛を逆立てて怒るカオル。そりゃ、当然か。  
「ゴメンゴメン。じゃ、改めまして・・・・・コショコショ・・・・」  
再びカオルの耳元で話し始めるカレン。  
「えぇ!?大丈夫なの?」  
「大丈夫だって。置き手紙を残してくんだし。じゃ、今夜、OK?」  
「OK牧場〜」  
そう言ってカオルは窓から飛び降りると、猫のように着地して去っていった。  
「さてと、私も支度をするかな」  
カオルが去ったのを確認すると、カレンも支度を始めるべく行動を開始した。  
 
 
「えっと、地図におにぎり、あとは・・・・こんなもんかな?」  
秘密の作戦を決行すべく、カレンはズタ袋に思いつく限りの道具を詰め込んでいた。  
『オヤジが私の事を愛しているのは判るけど、それにだって限度って奴がある・・・・。私はもう子供じゃないんだから・・・・』  
カレンはふと、自室の壁を見る。  
そこには彼女が父親からプレゼントされたレイピアが立てかけてあった。  
「こいつも、持って行くかな」  
カレンはレイピアを腰のベルトに差すと、手紙を机の上に置き、窓から飛び降りた。  
《ドシンッ!!》  
しかし、カオルのようには行かず、盛大に尻餅をついてしまう。  
「痛ったぁぁ・・・・。カオルの奴、なんたってこんな所から着地出来るのよぉ」  
「答えは簡単。フェルパーだからです」  
彼女の目の前には銀髪のフェルパー、カオルが立っていた。今にも吹き出しそうなのを堪えながら。  
「何笑ってんのよ・・・・・」  
「別に〜。・・・・・ウヒヒヒヒ」  
「と、とにかく、行くわよ」  
「了解。あーっ、苦しっ」  
 
―――――  
 
村からでてすぐの山道を、二人はたいまつを片手に進む。  
「しっかし、昼にはよく通るけど夜はまた違った印象ね」  
「昼間は霧がかかってるけど、夜は視界良好なりや」  
「これで満月が出てればねー」  
二人は下らない談笑を交わしながら、夜の道を歩く。  
彼女たちにとっては初めての冒険だ。必然的にテンションも上がっていく。  
だが、  
「・・・・・・・・」  
「・・・・・・・・」  
二人の目の前に現れたのは、頭に剣の様な角が付いた魚型のモンスター―ささくれシャークだった。  
「「・・・・・・・・・」」  
「ギャオォオオ!!」  
「どしゃーーーー!!」  
「ギニャーーーー!!」  
襲いかかるささくれシャーク、全速力で逃げる二人。  
「ちょっとカオル!なんとかしなさいよ!!」  
「んなこと私に言われてもー!!」  
右へ左へ、縦横無尽に逃げ回り、ささくれシャークが追跡を諦めてもまだ走り続けた。  
 
―――  
 
「ど、どうにか・・・・撒いた・・・・みたいね・・・・」  
「つ・・・・疲れた・・・・。にしても、ここはどこ・・・・?」  
二人は肩で息をしながら周囲を見渡すが、見覚えのない地形だった。  
「こんな時の為の地図・・・・・なんだけど・・・・・」  
「?」  
カバンに手を入れて探っている内に、カレンは顔が真っ青になっていく。  
カオルはそれを怪訝そうに見ている。  
「地図・・・・落として来ちゃった・・・・・」  
「・・・・・どうする・・・・?」  
「どうしましょうかね・・・・・・」  
 
 
 
「はぁ・・・・・・」  
「はふぁ・・・・・」  
夜の山道を行く、二人の足取りは重い。  
今歩いている道も初めて通る道なのか、それとも一度通ったことがあるのか、地図のない今となっては判るはずもない。  
「ねぇ、帰ろうよ〜」  
「何でよ?」  
「やっぱりさ、夜に行こうなんて度代無茶だったのよ・・・・」  
「クヨクヨするヒマがあったら、歩く!それに、いまさら戻れないわよ」  
カオルの手前、口先では強がったカレンだが本心は彼女と同様だった。  
《とは言え、このままウロチョロしていてもどうしようもないし・・・・》  
すると、目の前に何かの影が現れた。先ほどのささくれシャークだ。  
「ちょっ・・・・・またぁ!?」  
「今度ばかしは逃げられそうにないね・・・・・。カオル、覚悟を決めるわよ!」  
そう言ってカレンは腰からレイピアを抜いて構えた。  
「ささくれシャークに!?大丈夫なの!?」  
「私の見立てが正しければ、アレは小物。さあ、行くわよ!!」  
カオルの心配を余所に、レイピアで斬りかかるカレン。  
「チェストォ!!」  
おおよそレイピアのそれからはかけ離れたモーションで斬りつけるが、ささくれシャークはそれをあっさりと回避して噛みつこうとしてくる。  
「当たらないわよ!」  
突っ込んでくるささくれシャークをカレンは横っ飛びに避け、背中をレイピアで斬りつけたが、分厚いサメ肌に弾かれてしまう。  
「ぬぅ、だったらこれで!!」  
大きく息を吸い込むカレン。その口から火の粉が滴った次の瞬間には、紅蓮の炎が吐き出された。  
『ブレス』。バハムーンとディアボロスの固有スキルだ。範囲は使用者の力量に依存するものの、一体程度なら充分だった。  
吐き出された炎はささくれシャークを包み込み、それなりのダメージを与えられたようだ。  
「これなら、いける!!」  
再びレイピアで斬りかかるカレン。しかし、ささくれシャークはこの瞬間を待ち望んでいた。レイピアの刀身に噛みつき、斬撃を止めてしまう。  
「あっ、この・・・・・」  
やってはいけないのに、カレンが力任せに引き抜こうとすると、乾いた音が鳴ってレイピアは折れてしまった。  
「・・・・・・うそん・・・・・・」  
「キシャァアアアア!!」  
再び突進してくるささくれシャーク。  
「くっ・・・・・きゃん!」  
下がろうとしたカレンだが、石につまずいて尻餅をついてしまう。  
「ガァアアアア!!」  
大顎を開いて飛びかかるささくれシャーク。思わず身構えるカレンだが、自身が餌食になることはなかった。  
「ゴベラッ!?」  
いきなり飛んできた石ころがささくれシャークの横顔を直撃し、ひるませた。  
「カレン、大丈夫!?」  
石ころの飛んできた方向にはフェルパーの少女―カオルがライトスリングを片手に立っていた。  
「ちょっ、カオル。アンタ今までどこに・・・・っていうか、そのスリングどっから?」  
「家から持ってきた。私が援護するわ!」  
カオルはライトスリングで再び石ころを投擲する。それはささくれシャークの鼻先に命中し、ささくれシャークは気絶した。  
「カレン、今よ!!」  
「よっしゃぁあ!!」  
カレンは気絶したささくれシャークに馬乗りになると、柔らかそうな腹部にパンチを連打した。  
技もヘッタクレもない素人の拳だが、バハムーンの馬鹿力で放たれるそれは威力だけならヒューマンの格闘家を上回るであろう。彼女は殴り続けた。気絶から覚めたささくれシャークがもがき初めてもまだ殴り続けた。  
《メキョッ》  
布に包まれた何かを踏みつぶすような音がしたかと思うと、ささくれシャークは白目を剥いて絶命した。  
「はぁっ・・・・はぁっ・・・・やったの・・・・・?」  
「みたい・・・・ね・・・・・」  
緊張の糸が切れてその場に倒れ込む二人。視線の先には無数にきらめく星空があった。  
「ぷっ・・・・フフフ」  
「ク〜・・・・はっはっは」  
初めて倒したモンスター。初めての冒険。『こんなに面白いのか』と思った二人は笑い出していた。  
 
結局、翌朝になってから村へと戻った二人は、カレンは父の癇癪玉、カオルは兄の抱擁とゲンコツで迎えられた。  
カレンの父曰く、  
『村中に頼んで探すのを手伝ってもらった』  
とのこと。  
そして二人はと言うと・・・・・  
「そこでさ、私はレイピアを捨てて、素手で勝負を挑んだ訳よ。迫るモンスターを千切っては投げ、千切っては投げ・・・・・」  
「いやぁ、十匹目までは数えてたんだけどさぁ・・・・・」  
村の子供達に昨日の武勇伝(いささか誇張されてはいるが)を語っていた。  
「すっご〜い」  
「カレンお姉ちゃんカッコイイ〜」  
「「いやぁ、それほどでも〜」」  
わざとらしく謙遜する二人。完全に声がハモっている。  
「ねぇねぇ、カレンお姉ちゃんと、カオルお姉ちゃんは、ぼーけんしゃになっちゃうの?」  
ふと、ヒューマンの子供が口にした言葉。  
それは2人との別れも意味する。  
「「・・・・・・・・」」  
よくよく考えてみたら、三年前に『アイツ』(カレンに言わせると)が引っ越してしまって以来、村の小さい子供たちの面倒を2人は見てきたのだ。  
もっぱら遊び相手でしかなかったが、子供たちにとってはカレンとカオルは友達であると同時に姉貴分でもあったのだ。  
「できるものなら、アンタたちと一緒にいたいわよ。でも、アンタたちが『希望の六騎星』の話を聞いてワクワクするように、私たちも憧れているのよ彼らに」  
カレンは内心では多少なりとも迷いはあった。  
冒険者はうまみも多いが、危険もそれ並みに多い。最悪故郷とは今生の別れとなってしまうこともあるからだ。  
「たまには里帰りもするからさ。だから姉ちゃんたちがいないからって、泣くんじゃないよ。ね?カオル」  
「そう言う風に受け取っとくわ」  
「と言うわけで、アル。アンタが今日からこいつらのリーダーだかんね。しっかりやらないと、姉ちゃんたちが許さないよ〜」  
カレンは目の前にいたドワーフの少年―アルの頭を頭を撫でた。  
「うん!・・・・・・隙あり!!」  
アルは元気よく返事をしたと同時に腕を振り上げた。  
《バサッ》という音とともにめくれ上がるカレンのスカート。今日の下着は縞パンでした。  
「こんのぉ、悪ガキャァー!!」  
「はぁ。ダメだこりゃ」  
もう何度も繰り返されたであろう、この追いかけっこも最後になると思うと、カオルは感慨を覚えずにはいられなかった。  
 
――――  
 
そして次の日の朝、カレンとカオルは再び村の入り口に立っていた。  
だが、今度はコッソリ抜け出すのではない。  
正々堂々、見送り付きでの出発だ。  
「カレン。どうやらお前は、こうやって巣立っていく運命にあったんだな・・・・。だから、父ちゃんのことは気にせず頑張ってこい!!」  
「応ともさ!!」  
カレンの父は快く送り出す一方で・・・・  
「カオル〜兄さんを置いて行かないでくれ〜」  
「ああ、もう!いい加減私離れしてよ・・・・」  
カオルの兄はまだ決心がつかず、抱きついて離れない。  
「じゃあ、行こうか?カオル」  
「ああ、ちょっと待ってよ。兄さん・・・離れてって・・・・」  
三人がかりでようやく兄を引き剥がしたカオルは小走りで先に歩き始めたカレンに追いつく。  
青く晴れ渡る空も、二人の少女を祝福しているように見えた。  
 
 

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