「イペリオーン!!」
グラニータ雪原に、元気な声が響き渡る。直後、雪原の一ヶ所に巨大な光が現れ、続いて強い衝撃が辺りを襲う。
「えっへへー!楽勝楽勝!さーあ、次次ー!」
降りしきる雪をものともせず、元気に飛び回る一人のフェアリー。一見薄着ながらも全く寒そうにしていない辺り、恐らくは賢者らしく、
魔法で寒さを防いでいるのだろう。
「お、今度はいっぱい出たなぁー!それじゃあ……イグニスー!!」
モンスターの群れを見つけては、彼女は得意の魔法で次々に葬っていく。種族特有の素早さと、強力な古代魔法の前では、
雪原に住むモンスターなど敵ではなかった。
「ふーっ、結構倒したなあ。少しは強くなれたよねー。これでヒュマも、惚れ直してくれるかな〜……えへへ!」
フェアリーが一人でここにいることを、仲間は知らない。彼女は手っ取り早く力を得るため、たった一人でここに来たのだ。
「とと、ちょっと調子乗っちゃった……テレポルもバックドアルもできないやー。とりあえず……マプル!」
僅かに残った魔力を使い、現在地を確認する。出口までは少し遠いが、問題のある距離でもない。フェアリーは方角を確認すると、
さっさと出口に向かって飛び始めた。移動している間に魔力も多少は回復するため、彼女は事態をさほど重く見てはいなかった。
そろそろ出口が見えるという時だった。突然、足に何かが引っ掛かり、フェアリーの動きが止まった。
「きゃっ!?……もー、何?なんで飛んでるのに引っかか…」
何が引っ掛かったのか確認しようと首を巡らせた瞬間、フェアリーは思わず固まってしまった。
足に、緑の蔓が巻きついていた。蔓を辿って視線を下げると、その根元には巨大な唇の付いた植物があった。
「……う、うわわわわ!?気持ち悪い!!ちょ、ちょっと!放してよ!!」
慌てて足をぶんぶん振るも、蔓はしっかり巻きついて離れない。それどころか、蔓は少しずつ、しかし思った以上に強い力でフェアリーを
引っ張り始めた。
「わーっ、わーっ!!やめてよちょっと!ふざけないで、このキモ植物!!やめないと…!」
半分パニックに陥りつつも、フェアリーは僅かに回復した魔力を使って詠唱を始める。
「燃えちゃえ!!ファイア!!」
叫ぶと同時に火の玉が発生し、植物のモンスター、チューリップを包み込んだ。だがすぐに、フェアリーは自分が間違いを犯したことに
気付いた。
「あ……あれれ?き、効いてない…!?」
植物だから火が効くと思ったのが間違いだった。このモンスターは植物でありながら、火の属性を持っていたのだ。
もはや魔力は全く残っていない。ならばと太陽の杖を振り回そうとした瞬間、チューリップの蔓が唸りをあげた。
「い、痛ぁい!!」
パシィン!と乾いた音が響き、フェアリーの腕に真っ赤な線が浮かぶ。その痛みに、フェアリーは武器を取り落としてしまった。
「や、やめてよ!!ちょっと、やだ!!やめて!!いやだよぉ!!待って、待ってぇ!!」
フェアリーは必死に哀願するも、聞き入れられるわけもない。チューリップは全く感情を感じさせない動きで、再び蔓を振りかざす。
「きゃああぁぁ!!」
再び乾いた音が響き、フェアリーの制服の一部が破れる。そしてその下の肌に、真っ赤な線が浮かび上がる。
「痛い!!痛いよぉ!!やめて!!お願いもうしないから!!だからやめ……痛いぃ!!」
容赦なく、何度も何度も鞭のような蔓が振り下ろされる。それはフェアリーの腕といわず腹といわず、ところ構わず振り下ろされ、
その度に制服が破け、彼女の肌に真っ赤な痕を残す。
「やだ!!もうやだぁ!!このっ……放せぇー!!」
心を折られそうになりつつも、フェアリーはいっぱしの冒険者である。彼女は最後の望みをかけて、足に巻き付いた蔓に噛みついた。
その合間にも、蔓は容赦なくフェアリーの体を打つ。
「んぐぅぅ!!うぅ〜……ぐっ……ふぐ、ううぅぅ!!」
何度も体を打たれつつ、それでもなお噛み続ける。やがて、僅かに歯が貫通し、そこから少しずつ繊維を噛み切り、とうとうフェアリーは
蔓を噛み切った。
「きゃっ!!」
だが、既に体力がなかった。飛ぼうにも羽がうまく動かず、立ちあがろうにも体に力が入らない。
それでも、フェアリーは何とかチューリップに背を向け、無理矢理飛び上がろうとした。
しかし、遅かった。フェアリーの行動は、相手を怒らせるのに十分すぎるものだった。
新たに二本の蔓が伸び、ようやく飛び上がったフェアリーの右腕と左足を捕えた。
「あっ!?や、やだ!!やっと逃げたのに……い、いや!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさ…!」
勢いを増した蔓が、フェアリーの背中へしたたかに打ちつけられる。
「いっっ…!!」
もはや悲鳴すら上がらず、フェアリーは体を仰け反らせ、痛みに震える。そんな彼女に構わず、再び蔓が唸りを上げ、今度は彼女の
小さな尻を激しく打ちすえた。
「いぎっっ!!し、死ぬ…!!死んじゃうから、やめっ……がっっ!!や……ああぁぁやめてやめてやめてええぇぇ!!!」
自由な方の腕と足をばたつかせ、フェアリーは必死に逃げようともがく。しかしその行為がさらに相手を刺激し、蔓は容赦なく
フェアリーの体を打ちすえる。
「ひぐっ!!ぎっ!!あがぁっ!!」
制服が破れ、スカートが破れ、その下のショーツまでも破れてしまい、フェアリーの着ていた物はただのぼろきれへと変えられていく。
「痛……ぁ…!!し、死ぬ……ヒュマ、助け……あぐっ!!!」
背中も尻も真っ赤に腫れあがり、フェアリーは目にいっぱいの涙を溜めて、声も届かぬ仲間に助けを求める。そんな彼女にとどめを
刺すが如く、チューリップは一際勢いを付けた蔓を、フェアリーに思い切り叩きつけた。
「いぎゃああぁぁぁっ!!!」
凄まじい悲鳴が上がり、同時にしゃあぁ、と小さな音が響く。フェアリーの下の雪が、黄色みを帯びて溶けていく。
その時、不意にチューリップの動きが止まった。一瞬の間を置き、手足に巻き付いた蔓が引っ張られ、フェアリーはその巨大な唇の前に
運ばれる。
「うあ……ぁ……食べ……ない、でぇ…」
もはや抵抗する気力もなく、フェアリーはぐったりしたまま呟くように哀願する。事実、その姿はまるで、食虫植物に捕食される虫を
連想させた。
唇がゆっくりと開かれる。とうとう食われるかと思った瞬間、その中から巨大な舌が伸び、フェアリーの秘所をベロンと舐めた。
「ひゃあっ!?ななな、何!?何!?やめてよぉ!!そんなところ舐めないでぇ!!味見ならせめて違うところに……ひゃう!!」
驚きと恥ずかしさから、フェアリーは動く手足を何とか動かし、舌から逃れようとする。だがチューリップはそんな抵抗を意に介さず、
小さな割れ目を、背中を、太股を、尻を、じっくりと舐め回す。
「いや、ぁ…!き、気持ち悪いよぉ…!誰かぁ……ヒュマ、ヒュマ……助けてぇ…!」
唾液とは違う、妙にぬめり気のある粘液に塗れ、フェアリーは涙を流す。すると、チューリップは蔓を器用に動かし、フェアリーの向きを
変えると、今度は顔や胸を舐め始めた。
「うぶっ!!や、やだっ……ぶぇ!!こ、こんなのが初めてのキスなんて……んあ!」
柔らかい舌で舐め回されるその感覚は、フェアリーにとてつもない嫌悪感をもたらす。必死に首を振り、唾を吐き、空いた手で舌を
追い払うも、その全てが徒労に終わる。
やがて満足したのか、不意に舌が引っ込められる。その頃には、フェアリーの全身にはべっとりと粘液が付いており、服だった物が
僅かに肌に張り付いているだけだった。
チューリップが蔓を伸ばす。また叩かれるのかと、フェアリーは思わず身構えたが、その蔓はフェアリーの空いていた手と足をしっかり
絡め取っただけだった。
「あうっ!」
両手足を引っ張られ、フェアリーの体は大の字に固定される。ほぼ裸の状態で足を開かされ、恥ずかしさに足を閉じようとするも、それも
叶わない。
そんな彼女の前に、一本の蔓が伸びてきた。それはゆっくりと動き、彼女の腹に当たると、そこからすうっと下へ動いていく。
やがて、小さな割れ目に触れた瞬間。動きが止まった。
「ま、まさか…!い、嫌だぁ!!やめっ…!」
その意図を察し、抵抗しようとした瞬間。蔓が勢い良く伸び、フェアリーの秘部から体内へと侵入した。
「い、痛ああぁぁ!!!やだぁ!!こんなのやだああぁぁ!!!痛い!!痛いよおぉー!!!」
モンスターに犯された。その事実が絶望的な響きを持って、フェアリーに襲いかかる。フェアリーは泣きじゃくりながら必死に体を
動かそうとするが、非力な彼女には蔓を引きちぎることもできない。
「痛い!!痛いぃ!!だ、ダメぇ!!それ以上入んない!!入んないよおぉぉ!!やっ……ああぁぁ!!」
体内の奥まで無理矢理ねじ込まれ、激しい痛みが襲う。チューリップはそれ以上の侵入が不可能と見ると、やおらその蔓を
激しく動かし始めた。
「あぐぅっ!!や、やめっ……痛ぁ!!ダメダメやめてやめてやめてぇぇ!!痛いよ!!死んじゃうよおぉー!!」
蔓が激しく出入りを繰り返し、奥深くでうねるように暴れ、その度にフェアリーは耐え難い苦痛に身を捩る。これなら全身を
打たれていた方がよほどマシだったと、絶望的な思いで考えた瞬間、不意に蔓が体内で動きを止めた。
「ふえ…?やめ……て……くれ、た…?」
僅かな希望を込め、むしろそうであるように祈るが如く呟く。しかし、それもすぐに絶望へ変わる。
蔓の根元が、僅かに膨らんでいた。その膨らみは徐々に移動し、少しずつこちらへと向かってきている。
「な……何、それ…?ね、ねえちょっと、何するの!?それ、どうするのぉ!?いやあ!!やめて!!抜いてっ、もう抜いてよぉ!!」
腰を浮かそうとするが、そうしたところで奥深くまで入り込んだ蔓が抜けるわけもない。膨らみは目の前まで迫り、やがて秘裂へと
差しかかる。
「あうっ!い、痛ぁ…!む、無理だよぅ……は、入らないっ……入らないってっ……ひぎゃあっ!!」
ずるんと、膨らみが一気に体内へ入り込む。それはどんどんと奥へ入り込み、やがて蔓の先端部分から何かが飛び出すのを感じた。
「痛っ!?な、何!?チクって……い、痛い痛い!!や、やめて!!もうこれ出してぇー!!」
用事が済んだと見たのか、蔓がずるずると抜けていく。しかし、体内に残る痛い物体はそのままである。
「何、これぇ…!?うう……まさか、た、種…?」
だとすると、自分はこのモンスターの苗床にされたということになる。それに気付いた瞬間、フェアリーの顔が恐怖に引きつる。
「や……やだ、そんなのっ!でも……う、うぅ……出さ……ないと…!」
一度深呼吸をし、軽くいきんでみる。しかし、どうやらオナモミのような棘が生えているらしく、あまりの痛みにフェアリーはすぐ
力を抜いてしまう。
「痛いよぉ…!でも、種なんか……ヒュマ、ヒュマぁ、助けてよぉ…!」
叶わないと知りつつ、愛する者に助けを乞い、その姿を思い浮かべて勇気に変え、再び強くいきむ。
「あぐっ!!ぐうぅぅ〜〜〜…!!痛いっ……けど……負けないんだからぁ…!!」
幸い、棘自体はさほど鋭いものではない。少しずつ種は動いていき、それと共に襲う体内を引っ掻かれる痛みに耐える。やがて秘裂が
押し広げられる痛みが加わり、思わず力が緩んだ。
途端に、種は再び体内に入り込んだ。どうやら棘は、反対側には立たないように生えているらしい。
「うああっ!?くっ……負け……ない……からぁ…!!」
まるで出産でもするかのように、フェアリーは全身に脂汗を浮かべ、再び強くいきむ。棘だらけの種の先端が現れ、やがて半分ほどが
姿を現し、そしてずるりと抜け出て、雪の上に落ちる。
「っっっはぁ!!はぁっ……はぁっ……や、やったぁ…!」
疲れきった顔に笑顔を浮かべ、フェアリーはホッと息をついた。
直後、再び蔓が伸びた。
「え……う、嘘だよね…!?も、もうやだ!!もうやだぁ!!」
恐怖に青ざめ、必死に首を振る彼女をいたぶるかのように、蔓がゆっくりと割れ目に近づいていく。
「やだやだやだやだぁーーー!!!もうやだ!!!あんなのもうやだぁー!!!お願いだからやめて!!やめてぇー!!!」
必死の哀願も空しく、蔓は再びフェアリーの体内に入り込んだ。
「あぐっ!い……いや、だぁ…!もう、やだぁ〜…!」
絶望の表情を浮かべ、フェアリーはぼろぼろと涙を流す。そして、蔓の根元が膨らみ、動き始める。しかし、今度は様子が違った。
「え…?な、何それ…?う、嘘でしょ!?また膨らんでっ……ま、またっ……や、やだぁーーー!!!!」
蔓を通って、いくつもの種がフェアリーの中へ移動を始める。秘裂を押し広げ、一つが入り、すぐに二つ目が入り込み、三つ目が入る。
そうしていくつもの種がフェアリーの体内に植え付けられ、フェアリーの腹が大きく膨らんでいく。
「あがっ……かはっ!!く、苦、しっ……も、もう入らないぃぃ…!!お、おね、が……やめ、てぇ…!!」
元々小さなフェアリーの体に、いくつもの種が入り込む。体内の蔓は少しずつ抜け出ていきながら種を植え付けていたが、
やがて一つの種が入りきらず、ぼとりと雪の上に落ちる。フェアリーの腹は妊婦のように膨らみ、秘裂からは僅かに種の先端が覗く。
「うあぁ……おなか……いたいよぉ…!ヒュマぁ……みんなぁ……たすけて…」
涙で滲んだ視界の中、さらに多くの蔓が伸びるのが見える。そのうちの一本が、既に限界まで種を詰め込まれた秘裂へと伸びた。
「うあ、ぁ…!い、痛……あぁ…!!」
僅かな隙間を縫い、蔓が体内に入り込む。その蔓はある程度まで入り込むと、中を無理矢理広げようとするかのように、体内で滅茶苦茶に
暴れ始めた。
「ああっ……ああぁぁ!!!やめ……てっ…!!がはっ!!苦しっ……痛いぃ…!!」
だが、今度はそれだけでは済まなかった。その痛みに気を取られている間に、もう一本の蔓が後ろの穴に押し当てられた。
「え…?な、何考えてっ…!?そ、そこは嫌ぁ!!やだやだやだ!!そんなところ入れちゃダメぇぇ!!」
フェアリーの言葉など意に介さず、蔓がずぶりと腸内にめり込んだ。
「いぎっ……おなかっ……がぁ…!めちゃくちゃ……にっ…!いっ、ひぎいいぃぃ!!」
膣内のみならず、その腸内に入り込んだ蔓までもが暴れ出し、フェアリーは想像を絶する激痛にただただ悲鳴を上げる。
激しく出入りし、うねり、腸を破らんばかりに暴れ狂う蔓。その苦痛のさなか、フェアリーは新たな苦痛が加わるのを感じた。
「い……いやっ…!お、おしり……に、もぉ…!?いたぁっ……かはっ!くるしっ……やだ……もう、もうやだああぁぁ!!!」
膣内と違い、遥かに奥行きのある腸内には、際限なく種が送り込まれていく。その間も蔓は暴れ続け、その度に棘が当たり、腸内に強い
痛みが走る。そして無理矢理押し広げられた腸内を、種が満たしていく。
「お、おしり……おなか……やぶ、れ…!うあ…?まだ、つる……う、おえぇ…!」
もはや悲鳴すら上げられなくなった頃、口の中へ新たな蔓が入り込んできた。さすがに種を送り込むことはなかったが、それは喉の奥まで
挿入され、辛うじて呼吸はできるものの、それ以外の行動は全て封じられた。
もう、魔法を詠唱することもできない。助けを呼ぶこともできない。動くこともできず、フェアリーはこの膣内と腸内に詰め込まれた
種が芽吹くまで、こうして生かされるだけの運命なのだ。もっとも、その種が芽吹いた後の解放というものが、生きての話とも
限らないのだが。
―――こんなモンスターの……ヒュマ、ごめんね…。
彼女自身、そうした自身の運命を悟っており、頬には苦痛と絶望の涙が伝う。
助けが来ることもない。仮に助けが来たとしても、仲間にこんな姿を見られたくはなかった。
彼女の精神は、その絶望に耐えきれるほどに、強くはなかった。
―――この種が芽吹いたら……やっぱり、ママは私なのかな…?
そんな場違いな思考を最後に、フェアリーの意識は暗い闇の中へと消えていった。後にはただ、植物の苗床と化した哀れな妖精が一人、
呻き声をあげ続けていた。