元々余り者同士で組まれたパーティ。しかし、今では同級生の誰よりも早くカリキュラムを終了させ、既に迷宮探索にまで到達していた。  
共に過ごし、戦い、笑いあい、助け合い、幾度となく訪れた危機を何度も乗り切った彼らのパーティは、既に学園一とも言われるほどの息の合ったパーティだった。  
が、息が合う、というのと馬が合う、というのは違うものである。誰がどう見ても、最高のパーティだと思われてはいたが。  
「だぁかぁらぁ、そういう考えが甘いってんだよね!わかる!?」  
迷宮入り口付近に、フェアリーの甲高い声が響き渡る。  
「相手に敵意がなかった!?だから逃がす!?冗談じゃない!あたし達だから怖がってただけで、他の奴等には十分な脅威でしょ!?」  
「ですが、こちらを恐れて逃げようとしている相手を倒すなんて、あまりに非道です!」  
フェアリーに負けず、セレスティアが激しく言い返す。  
「非道?はっ!たかがモンスター相手に、人道なんてあるの!?相手がそれを守らないのに、こっちが守ってやる義理がどこにあるってのよ!」  
「相手にそれがないからといって、こちらも非道な行いをしていいということはありません!普段の行動から、そういうことは正しくあるよう心がけるべきなんです!」  
「正しい!?じゃ、あたしの意見はどうなのさ!?あの逃がしてやったモンスターが、他の奴等襲ったら…!」  
「水掛け論ですね。あなた達の議論は、永遠に平行線だと思われます。」  
ノームが、さらに激しさを増す二人に向かって静かに声をかける。  
「ですが、僕もセレスティアさんの意見に賛成です。もっとも、その理由は違いますが。」  
「へ〜。じゃあ何?嫌いな奴が殺されたらいいなーって思ってるから賛成?それだったら頷けるなー。」  
一瞬、ノームの顔が曇ったように見えた。が、元々無表情なノームのこと。ふとしたときに暗く見えたり明るく見えたりするのはいつものことだった。  
「いえ。あの相手であれば、戦いを避けることによってこちらにも利益があります。こちらも無傷では済まないであろう相手であれば、無闇に戦いを仕掛け…」  
「はーいはいはい。御託はいいって。どうせあんただって善人思考なんだから、全面的にセレスティアと同じ意見だって、はっきり言ったらどう?」  
唯一、フェアリーの性格が悪かったのだ。特に、後衛であるノームとセレスティアの二人が善人であったため、その相性は最悪である。  
これでも、だいぶ打ち解けてはいるのだ。しかしだからといって、善の性格を持つ生徒と悪の性格を持つ生徒の溝を埋めることは出来ない。  
 
「もう、それぐらいにしとけよな。終わったことをいつまでもグダグダ言ったって、しょうがないだろ?」  
たまらず、ドワーフが口を挟む。が、それによってフェアリーのターゲットがそちらに向かう。  
「終わったことねえ?あの時殺してたら、それで終わりだっただろうけど。今頃あたし達が逃がしたモンスターが、他の奴等襲ってるかもしれないのに、終わったことって言えるの?」  
「私は…別に、そういう意味で言ったんじゃなくて…。」  
「だろうねー。どうせ考えの足りないドワーフの言うことだから、その程度だろうね。」  
「何だとぉ!?お前、いっつもいっつも…!」  
「もうよせって。その話題は、それで終わりにしとけよ。」  
フェアリーに殴りかかろうとするドワーフの肩を、フェルパーがしっかりと抑える。それをいいことに、フェアリーがドワーフに向かって舌を出すものだから、ドワーフは余計に暴れだす。  
「ああもう…!」  
「もー。フェアリー、ドワーフからかうのやめなってばあ。ボク達、もう学園でも結構上のパーティなんだしさ。みっともないよ。」  
クラッズが、その小さい体でフェアリーとドワーフの間に割って入る。  
「ふん。ま、確かに見た目気にするんなら、やめた方がいいかもね。」  
「それだけじゃなくってさ。後輩とかボク達のこと見て学ぶ人達だっているんだから。あまり変なことしてられないよ。」  
憎まれ口と悪態と皮肉の塊であるこのフェアリーも、盗賊仲間であるクラッズの言うことは比較的素直に聞いていた。  
フェルパーとも本来相性は悪くないのだが、恥ずかしがり屋のこの種族が、最近ドワーフといい感じになっているので、からかい甲斐のある相手という認識になってしまっている。そんなわけで、相性が本当に良いといえるのは中立的なクラッズただ一人であった。  
「まったく…あんたって、ほんとこのパーティにヒビ入れてるよね。」  
フェルパーに抑えられたドワーフが、精一杯の悪態を吐く。普段なら、それに対して皮肉の十や二十を返す彼女の表情が、グッと引きつった。  
「……え?」  
「………悪かったね、お邪魔虫でさっ!」  
吐き捨てるように言い、凄まじい勢いで飛び去るフェアリー。まさかそこまで気にすると思ってなかったドワーフは、唖然としてその後姿を見送る。  
「どうやら、彼女は彼女なりにそれを気にしていたようですね。あなたの発言で、相当に傷ついたと思われます。」  
ノームが、極めて無表情に追い討ちを入れる。  
「だって…私、別にそんなつもりじゃ………どうしよぉ…。」  
耳も尻尾も力なく垂らし、泣きそうな顔になるドワーフ。それをフェルパーが必死でなだめる。  
「クラッズさん、すみませんがフェアリーさんの様子を見てきてもらえませんか?本来ならわたくし達も行くべきなのでしょうけど、顔を合わせたらまた喧嘩になってしまいそうで…。」  
「いいっていいって。フェアリーはボクが何とかするから、そこのドワっ子何とかしてあげなよ。」  
 
困り顔のセレスティア達を残し、クラッズはフェアリーの後を追った。どうやら寮の自分の部屋に行ったようだが、ノックしても返事がない。  
「フェアリー、いる?ボクだよ、開けてくれない?」  
声をかけると、バンッ!と何かがドアに当たる音がした。たぶん、枕か何かをドアに投げつけたのだろう。クラッズは小さくため息をつき、もう一度ドアを叩く。  
「話、したいんだけど。ダメかなあ?」  
「………帰れ。あたしは話すことなんかない。」  
不機嫌そうな声。これはしばらくそっとしておいた方がいいと判断し、クラッズはドアの前を離れた。それでも離れきれず、もう一度ドアに向かって声をかける。  
「あのさ…ドワーフはああ言ったけど、弾みだからさ。許してあげてよ。」  
「………思ってなきゃ、出ないでしょ…。普段からさ…。」  
「でも、本気で思ってたら、もうこのパーティなくなってるって。ボクは、フェルパーもドワーフもノームもセレスティアも、もちろん君も、すごく大切だと思ってるよ。」  
「…………。」  
「それはみんなも同じだと思う。そりゃ、少しぐらい喧嘩だってあると思うよ。いくら仲のいい友達だって喧嘩するんだから。だけどさ…この程度で壊れちゃうようなパーティじゃないって、ボクは信じてるよ。」  
返事はない。  
「とりあえず、ボク達荷物の鑑定したあと、ご飯食べるからさ。君も気が向いたら来なよ。」  
それだけ言うと、クラッズはまた仲間の下へと戻った。  
 
荷物の鑑定を済ませ、学食で夕飯を食べているときも、フェアリーは姿を見せなかった。  
「私が、余計なこと言ったから…。」  
ドワーフはかなり気に病んでいるらしいが、テーブルに並ぶてんこ盛りのご飯の前では説得力に欠ける。  
「ドワーフさんだけのせいじゃないですよ。わたくしも、必要以上に言い争ってしまいましたし…。」  
「明日、会ったらちゃんと謝ればいいよ。あのフェアリーのことだから、また憎まれ口の一つもあるだろうけど。」  
フェルパーはそこまで重大に考えていないらしく、焼き魚を実においしそうに頬張っている。  
「でもさ、かな〜り気にしてるみたいだったから…逆に、あんまり触れないほうがいいかも。」  
「しかし、過ちは償わねばなりません。言ったことを取り消すことが出来ない以上、きちんと謝るのが筋だと思います。」  
相変わらず理論的なノーム。人形を依代としているため、唯一何も食べていない。が、気分の問題のため、一応水だけ置いてある。  
「とりあえずさ、今日のところはそっとしておいてあげようよ。あんまり刺激しても、いいことないと思うしさ。」  
「そうですね。明日の朝にでも、しっかり謝りましょう。ね、ドワーフさん。」  
「うん…。」  
「んじゃ、今日はさっさと飯食って、早く寝よう。鑑定結果聞いたら、きっとあいつだって元気になるだろうし。」  
その後、食事を終えた彼等はそれぞれの部屋に戻った。  
クラッズはどうしてもフェアリーのことが気になり、寝るわけでもなくベッドをゴロゴロしていた。  
 
ふと、何かの気配を感じて窓の外を見る。暗くて見えにくいが、誰かが校舎の方に歩いて…というより、飛んで行く。見間違いでなければ、どうもフェアリーのようだったが…。  
クラッズは何となく胸騒ぎを感じ、服を着替えるとすぐにその後を追った。校舎の中に入ると、その姿は見えない。しかし盗賊の勘を働かせ、その気配を探る。どうやら、校長室の方に向かっているらしい。校長室といえば、催眠術で…。  
「まさか…!」  
それに思い当たると、クラッズは大慌てで校長室に向かった。途中、ライナ先生に走るなといわれた気がするが、そんなの聞いてはいられない。  
校長室の前に着くと、中から話し声が聞こえてきた。  
「では、本当にいいのだね?」  
「いいって言ってるじゃないですか。早くやってください。」  
その声は、紛れもなくフェアリーのものだ。  
「ちょおっと待ったぁー!」  
クラッズはノックもせずに校長室に飛び込んだ。フェアリーは驚いたようにクラッズを見たが、ファインマン校長はまるでわかっていたかのように微動だにしなかった。  
「どうやら、お友達のようですね。」  
「クラッズ!?どうしてあんた…!」  
「あ、ファインマン先生。ノックもしないで入ったのはお詫びします。でも、その…」  
喋ろうとするクラッズを、ファインマン校長はそっと手で制した。  
「ただのお友達ではなく、パーティの仲間でしたね?パーティの方の承諾なしに、勝手に催眠術を使うわけにはいきません。フェアリーさん、今日のところはお引き取りください。」  
「ちょっ…だって、あたしは別にいいって…!」  
「よくないって!フェアリー、くノ一目指してるんでしょ!?性格変えちゃ、くノ一なれないんだよ!?」  
「………。」  
フェアリーは答えない。が、きゅっと結んだ口からは何を考えているか、容易にうかがい知れる。  
「とりあえず、ちゃんと話そ?ね?…校長先生、夜中に失礼しました。」  
「いいえ。何かあれば、いつでもいらっしゃい。」  
それっきり、貝みたいに黙り込んだフェアリーを連れて、クラッズは部屋に戻った。  
 
ベッドに座ったまま、お互い何も喋らない。というより、クラッズは何を話していいかわからない。かといって、何も喋らないのはあまりに気まずい。  
「えと…さ。ドワーフが言ったこと、そんなに気にしてたの?」  
「……なんで、性格変えさせてくれなかったの。」  
不貞腐れたような声。でも、その中に微かではあるが、嗚咽が混じっているようだった。  
「だって、くノ一になるって…」  
「あたしが性格変えれば、全部丸く収まるじゃない!セレスティアとかノームとあんなに衝突することだってないしさ!その方がずっとパーティ全体の利益になるでしょ!違う!?違わないでしょ!?」  
涙を浮かべながら叫ぶフェアリー。その姿に、クラッズの胸が痛む。いくら性格が悪いとはいえ、彼女は彼女でパーティのことは真剣に考えていたのだ。  
「…いや…違う、違うよ。」  
「何が違うの!?こんな性格悪い奴と一緒にいてさ、みんな楽しいわけないよ!だったら、いっそあたしが性格変えるか、抜けた方が…!」  
「そんなの、ボクは嫌だよ!!」  
突然の大声に、フェアリーはビクッとして言葉を止めた。  
「それに、そうじゃないんだよ!パーティって、みんなで作ってくものでしょ!?いくらパーティ全体がよくなるからって、君が無理矢理変えられちゃうとか、夢を諦めるとか、そんなの絶対やだよ!それに…ボクは、君がくノ一になるの、楽しみにしてるんだから!」  
フェアリーは拳を硬く握り締め、じっとうつむいている。  
「喧嘩だっていっぱいしたけど、ボク達うまくやってきたじゃない。だから…さ、そんなこと考えないでよ。君は君のままだから、いいんじゃない。」  
「………ふん…傷ついた女は落としやすいとか、誰かに聞いたの…?ずいぶん…あんたに似合わない、臭い台詞吐いてさ…。」  
いつもの憎まれ口。だが、その声は震えていた。  
「本心だよ。口に出すの、恥ずかしいけどさ。」  
「はっ…それが本心だっての?ずいぶんとまあ……お優…しい……えっく…。」  
フェアリーの目に、見る間に涙が溢れてくる。その涙を、クラッズはそっと拭ってやる。  
「無理しないでいいよ。みんなだって、君の事大切に思ってるよ。ドワーフなんて、あれからずっと落ち込んじゃってるぐらいだし。」  
「…ふん……いい気味…。」  
「そう言わないの。大切な仲間なんだから、ね?」  
「そう……だね…。」  
 
突然、フェアリーはクラッズに飛び掛った。予想だにしない行動に、クラッズはそのまま押し倒されてしまう。  
「な、何?何!?」  
「ふふん…あんた、いい奴だしさ。こんなに親身になってくれた奴、初めてだし。お礼でもしよっかなーってさ。」  
「お、押し倒すのがお礼!?どんなお礼だよ!?」  
「そうじゃなくって、こういうのを…ね。」  
フェアリーはクラッズに馬乗りになると、強引に唇を重ねた。小さい舌が、クラッズの固まった舌にそっと絡まる。そういうことにまったく無縁だったクラッズは、ついフェアリーの体を押し戻してしまう。  
「ぷはっ!フェ、フェアリー、まずいって!こんな…!」  
「どーせあんただって男なんだし、嫌じゃないでしょ?」  
「いや、それとこれとは…」  
「こんなのとか、どう?」  
フェアリーは素早くクラッズのズボンを脱がせると、パンツの上からクラッズのモノに自分の秘所をこすり合わせる。  
「あっ!フェアリー…んあっ!ダメだって…!」  
「ふっふ〜ん、可愛い声出すね〜。気に入ってもらえたかな〜?」  
さすがに若いだけあって、クラッズの反応は著しい。それまでまったく目立たなかったそれは、今やパンツの上からでもはっきりわかるぐらいに屹立している。  
だんだんクラッズの抵抗が弱まってくると、フェアリーはさらにパンツを脱がせた。小柄な種族のクラッズではあるが、それでもちゃんとそこは存在を主張している。  
「ふーん、やっぱ体がお子様サイズなら、こっちもお子様ってとこ?」  
「し、知らないよ…比べたことないし…。」  
「ま、使えりゃ別にいいけどねー。」  
喋りながら、そっとクラッズのものに手をかける。  
「あっ!」  
「へー、あんたって結構敏感なのね。じゃ、こうしたらどうなるかな?」  
フェアリーは小悪魔的な笑みを浮かべると、クラッズのそれに舌を這わせた。  
「うあっ!ちょっ…フェアリー、やめっ…あんっ!」  
「あんた、声高いし可愛い喘ぎ方だから、レズってる気分になるね。」  
言いながら、フェアリーはクラッズのものを丁寧に舐め上げる。フェアリーの舌が這うたびに、クラッズのそれはビクンと震える。  
その反応に気を良くし、先端部分を口に含み、全体を手でしごいてやると、クラッズの体が跳ね上がった。  
 
「やっ!フェアリー、もうやめっ…んああっ!これ以上したら…出ちゃうよ…!あんっ!」  
「ほうへるの?あんは、ほうおー?」  
「咥えたまま喋らないでっ!……も…放して…やばいって…!」  
シーツを掴むクラッズの手が、ブルブル震えている。本当に限界が近いらしい。が、フェアリーはそれを見ると楽しそうな笑顔を浮かべ、一瞬口を離すと自分の右手の指をペロッと舐めた。  
「やーだよ。」  
止めとばかりに、フェアリーはクラッズのそれを再び含み、舌で裏筋を舐め上げ、そのまま鈴口をほじるように舐め始める。  
「ああんっ!フェア…!」  
さらに、フェアリーはクラッズの無防備なお尻に指を押し当てた。  
「えっ!?ちょっと何して…!?うあああああ!!!」  
腰を引くと指が深く入り込み、かといって腰を浮かせるとフェアリーの口にモノを押し込む形になる。クラッズは身動きすら奪われ、ひたすらに耐えるしかなかった。  
が、きつく食いしばった歯の隙間から漏れる荒い息が、限界を物語っていた。  
「フェアリっ…ほんとっ……もっ、ダメっ!……うああ!!!」  
ビクンっ!とクラッズのモノが動き、その腰が跳ね上がる。同時に、フェアリーの口に熱いものが注ぎ込まれた。  
予想以上の勢いと臭いに若干たじろいだが、そんな様子はおくびにも出さず、フェアリーはただじっとクラッズの精液を口の中に受け止めた。  
やがて動きが小さくなり、何も出なくなると、フェアリーは軽くクラッズのモノを吸ってから口を離した。  
「う〜…べふに、おいひくにゃいね。ネワネワふるひ。」  
「ご…ごめん、フェアリー!えっと…これ、使って!」」  
ハンカチを差し出されたものの、フェアリーはその手をぐっと押し返す。そして、思いっきり顔をしかめながら、ぎゅっと目を瞑る。  
「ん……っく、はあ。いけた。」  
「え…飲んじゃったの?」  
「なぁに?あんたも飲みたかったとか?」  
「いや、それは遠慮するよ!そうじゃなくって…」  
「そうそう。これで終わりとか、思ってないよね〜?」  
 
体を起こそうとしたクラッズの体を突き飛ばし、再びベッドに寝かせる。そして、既に若干湿ったパンツを脱ぎ捨てる。  
「あんただけ気持ちよくなっておしまいとか、そんな都合のいい話あるわけないでしょ。」  
「き、君が無理矢理やってきたんじゃない!ボクは別に…って、フェアリーちょっと待った!」  
「なぁによ?せっかく盛り上がってきてるのに。」  
「盛り上がるのはいいけど、その、君、経験とかあるの?」  
いくら自分が小柄とはいえ、フェアリーの体格はそれをさらに下回る。見る限り、クラッズのそれがフェアリーに納まるとは到底思えない。  
「ないよ。」  
さらっと答えるフェアリー。  
「ちょっ…それ、やばいでしょ!?ボクなんかとじゃなくって…!」  
「他の男とやれって?」  
「あう…そういう意味じゃ…。」  
「いいの。それに、あんただからやりたいの。おわかり?」  
「いやでも…!」  
「ああもう!男だったら据え膳は黙って食う!それに女に恥をかかせない!」  
そこまで言われると、クラッズも黙らざるを得ない。それ以上口を開く気配がないのを見て取ると、フェアリーは再びクラッズに馬乗りになり、まだ元気なモノを自分の秘所にあてがった。  
「……やっぱ、ちょっと大きいかな…クラッズ、動かないでよ。」  
ちょっと、なんてレベルじゃない。どう見てもサイズが違いすぎる。クラッズのそれとフェアリーの腕がいい勝負といったところなのだ。  
「ねえ、フェアリー…やっぱり無理じゃ…。」  
「うるさいな。黙って寝ててよ。」  
フェアリー自身、少し不安そうな顔をしつつ、クラッズのモノに何度か秘所を擦り合わせる。  
クラッズとしては生殺しもいいところだが、無理はさせられないのでひたすらそれに耐える。  
やがて、ちょっとだけほぐれてきたらしく、フェアリーが体重をかけるとほんのわずかに侵入した。  
が、途端にフェアリーは顔をしかめ、腰を浮かす。  
「あっ…つつつ…!ふ…んっ…!」  
痛みが消えると、フェアリーはまたグッと体重をかける。  
今度はさっきより深く入り、同時にクラッズのモノに、肉を引き裂くような感触が伝わる。  
「フェアリー、無理しないで。もうやめていいってば。」  
「いいの…ここまでしてやめたら、あんたが…満足できない、でしょ?」  
そう言うと、フェアリーは軽く目を瞑り、ハッハッと大きく息を整えた。そして次の瞬間、一気に全体重をかけた。  
 
「うあっ!」  
「痛あぁい!!!……っく…うぁ〜…!」  
一気に半分ほども埋まったフェアリーの秘所から、ツツッと破瓜の血が流れ出す。しかし、どう見てもそれは破瓜だけが原因ではない。第一、その出血はかなりひどい。  
「フェア…」  
「う…うごくなぁ…しゃべるなぁ…!」  
フェアリーは歯を食いしばり、涙を流しながら何とかその痛みに耐えている。  
普段、小憎らしく感じることもある相手だが、その姿はなんともいじらしく、可愛らしく映る。それゆえに、クラッズの頭にちょっとだけいじめてやろうかという考えが浮かんだ。  
ほんの僅か。注意しなければわからないぐらいに腰を動かす。途端に、フェアリーはクラッズのお腹に手をついた。  
「いっ、痛っ…!うごくなってばあ…!」  
「ん〜、満足させてくれるんじゃなかったの?」  
「殺す気か、ばかぁ…!あとでちゃんとしてあげるから、うごかないでよぉ…。」  
涙を流し、鼻をグスグス鳴らしながら言うフェアリーに、クラッズはたまらないほどの愛おしさを感じる。クラッズは腰が動かないように、ゆっくりと体を起こした。  
「ごめんね。もう意地悪しないから。」  
そう言い、優しくフェアリーの頭を撫でるクラッズ。が、フェアリーは涙に濡れた目でキッと睨みつけた。  
「最初っからするなぁ!」  
思い切りクラッズを突き飛ばすフェアリー。勢いよく倒れるクラッズ。そして上半身が倒れた分、思い切り跳ね上がる下半身。  
「痛いぃ〜〜〜!!うう…あんたのせいだぁ…!」  
それは違う、と声を大にして言いたかったが、フェアリーに余裕がなさそうだったので黙っていた。  
「フェアリー、もう無理しないでいいってば。もう抜いた方が…」  
「痛いから抜くなぁ…。いいから、じっとしててよぉ…。」  
 
それから延々10分ほど、フェアリーはクラッズの上で荒い息をついていた。  
腰の動き自体はまったくなかったが、フェアリーの中はクラッズにとって痛いほどきつく、また幾度となくぎゅうっと締め付けてきた。  
また、自分のそれに伝わる血の軌跡、フェアリーの体温、そして膣内の感触すべてが激しい快感となっていたため、動くまでもなく発射寸前だった。  
「ん……少しずつ、動く…。あんたは寝てて…。」  
ズズッと、僅かにクラッズのモノが抜き出される。そしてまた僅かにフェアリーの中に沈みこむ。ほとんど動きらしい動きではないが、亀頭部分に感じるその感触だけで、もうクラッズは限界だった。  
「フェアリー、ごめん…!もう、出そう…!」  
「ええ!?せっかく慣れてきたのに……やっぱ早ろ…まあいいよ、さっさと…ん…出しちゃえ…!」  
口ではそう言いつつ、むしろホッとした表情を浮かべると、フェアリーはほんのちょっとだけペースを上げた。  
「あっ!んうっ!…くっ、フェアリっ!もう、出…!ああああ!!」  
甲高い声で叫ぶと、クラッズはフェアリーの中に思い切り精を放った。  
「熱っつ!うぅ…傷、沁みる…。」  
クラッズの精液が出切って、ずっと屹立していたものが小さくなってくると、フェアリーはクラッズの体にドサッと覆いかぶさった。  
「わわっ!フェアリー、大丈夫!?」  
荒い息をつき、まさに精も根も尽き果てた状態のフェアリー。もしかしたらこのまま死んでしまうのではないかという不安にとらわれる。  
「はぁ…はぁ…う〜、セックス気持ちよくないよ〜。」  
「ボクは、その…気持ち、よかったよ。」  
「………じゃ、いっか。」  
フェアリーは弱々しくも、何とか笑いかける。その顔に、クラッズの胸は再び高鳴る。  
「えっとさ…次は、ボクが君のこと、気持ちよくさせてあげるから……その…。」  
言いかけるクラッズに、フェアリーはいつものような小悪魔的笑顔を浮かべる。  
「へ〜、次もやるつもりなんだ?あたしがこんなんなってるのに?」  
「えっ!?いや…その〜…。」  
「嘘嘘。期待、してるよ。」  
チュッと、クラッズに軽いキスをするフェアリー。  
ついドギマギするクラッズだったが、フェアリーはクラッズに体を預けたまま眠ってしまった。  
最後まで振り回された感じはするが、それも不快ではない。クラッズはフェアリーの頭を優しく抱くと、そのまま一緒に眠りについた。  
 
 
「うあー、血の跡取れないよ〜。」  
翌朝、フェアリーとクラッズは事後処理をしなかったことを激しく後悔していた。  
シーツや布団についたそれはまだしも、体と服についた体液各種がすっかり乾いて固まってしまい、それを落とすのには大変な労力を要した。  
「もー。次からちゃんとしてよね、まったく。」  
「フェアリーだって、ボクの上で寝ちゃったじゃない。」  
「あんたは寝てただけだけど、あたしはあんたに怪我させられた上に色々やって疲れてたの。それぐらい大目にみろって。…う〜、まだ変な感じするよぅ…。」  
まだだいぶ効いているらしく、フェアリーはほとんど地面に降りない。降りたとしても、ひょこひょこと妙な歩き方になってしまう。  
「そーいやさ。」  
「ん、どしたの?」  
「あんたの楽しみとっちゃうかもしれないけど、あたしくノ一になるのやめよっかなーって思うんだ。」  
「ええ〜!?なんで!?気にしないでいいって言ったじゃない!?」  
「そりゃ、なりたいかなりたくないかって聞かれたらなりたいよ。でもね…今は、もっとなりたいのがあってさ。」  
「…もっとなりたいの?」  
「決めた。あたし、錬金術師になる。」  
フェアリー自体は、それなりに魔法も得意であるため、別に錬金術師になることに不思議はない。  
しかし、今までくノ一を目指し、盗賊を続けてきた彼女にしてはどういう心境の変化なのか。  
「錬金術師?…まあ、君には向いてると思うけど、どうして?」  
「…ど・う・し・て・ぇ?」  
バカにしたような口調で言うと、フェアリーはクラッズの胸元を掴み、顔を付き合わせた。  
「わわっ!な、何!?」  
「あのね、あんたこの学園卒業したら、どうするつもりよ?」  
「え?卒業…したら…?」  
「まさか、その後のこと考えてなかったとか言うんじゃないよね?」  
「あ…あはは…。」  
「い〜い?錬金術師は鑑定だってできるわけよ。だったら、あんたが宝箱を片っ端から開ける!あたしがそれを鑑定して、練成して売る!そしたらあたし達大儲け!いい考えでしょ?ベストだと思わない!?」  
「ま、まあねえ。確かにいい考えだけど…ん?」  
その時、ふとクラッズは気付いた。  
「てことは、何?君、卒業してもボクと一緒にいるつもり?」  
「なぁに?嫌なの?あたしの初めて奪っておいて、おまけに中出ししておいて、今更逃げるつもり?」  
「え…ええぇ〜〜!?そんな、あれは君から…!」  
「それでもヤッた事実は変わらないでしょ〜!とにかくそういうこと!いいよね!?」  
もう何と言っても無駄な気がする。クラッズは頷くしかなかった。  
「よーし決まり!それじゃ、これからもずっとよろしく!」  
何だか、もしかしたら最初から全部仕組まれてたんじゃないかとさえ思えてくる。でも、たぶんそういうわけではない。  
単に、この子は愛情表現が下手で、我が道を突き通すだけなんだ。しかも、他人を巻き込みつつ。  
何となく自分の未来像が見えた気がして、クラッズは小さくため息をついた。  
でも、それもまたいいかもしれないとも思う。少なくともクラッズ自身、フェアリーは嫌いじゃない。むしろ、今までよりずっと大切な相手だとも思い始めている。  
 
 
「おう、クラッズにフェアリー。おはよう。」  
寮のロビーには、既にみんな集まっていた。  
「おはよー。今日もいい天気だねー。」  
「おはよ…あの、さ…フェアリー、昨日は、ごめんな。」  
ドワーフが、もじもじしながら喋りだす。  
「お前に、ひどいこと言っちゃって…ほんと、ごめん!」  
「いやいや、あたしの方こそごめんね〜。」  
いきなりのフェアリーの言葉に、全員が呆気に取られた。が、クラッズだけはそこに含まれた皮肉の響きを感じ取っていた。  
「な…何が?」  
「だってさ〜、あんたにもそういう感情あったんだなってさ〜。どうせ獣なんだから、そういう感情と無縁だと思ってたわけよ〜。ほんとごめんね〜。」  
さっきまで暗かったドワーフの顔が、徐々に猛獣の顔つきになり始める。  
「……心配した私が馬鹿だった…!」  
「あー、ごめんね!知らない方が幸せだったのに、気付かせちゃったねー!ほんとごめ〜ん!」  
「こンのバッカ野郎ー!!!あんたなんか叩き潰してやるー!!」  
両手斧の一撃を、ひらりとかわすフェアリー。慌てて止めに入るフェルパーとクラッズ。いざという時のために魔法の詠唱準備をするセレスティアにノーム。  
いつも通りの光景。でも、気付かないぐらいに変わったこともある。  
仲間をからかうフェアリーの顔は、今までほど悪意に満ちたものじゃない。  
パーティの和を取り持つクラッズは、以前よりもっと親身になっている。  
そしてフェアリーとクラッズは、時々お互いに笑顔を向け合う。  
馬の合わない相手だっている。しかし、それすらも乗り越えて、共に過ごす仲間がいる。学園一のパーティとして、また一歩進んだ瞬間だった。  
 

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