実践主義の冒険者養成学校とはいえ、当然授業が実技ばかりで構成されているわけではない。魔法を使うにはその基礎を理解する必要が  
あり、罠の種類に関しても同様である。武器の扱いにしても、まずは座学によって基本的な扱いを学び、その上で実技を行い、その知識を  
確かなものとする必要があるのだ。そんなわけで、この学校でも筆記試験があり、勉強嫌いの学生はその時期になると大変な思いを  
することになる。  
そんな地獄の中間試験も終わり、生徒達の注目は、先の試験の成績上位者が貼り出された表に集まっていた。  
「今回の聖術試験、異様に難しかったよな」  
「平均50以下だっけ?つーか、『聖術を使用するにあたっての精神構築と詠唱技術の関係』とか、誰が答えられるんだよ」  
「でも、あんな人もいるみたいだよ、ほら…」  
軒並み低い点数の上位者達の中で、三桁の点数が二つ。そこには、セレスティアとバハムーンの名前が書かれていた。  
「お前もか、まあ当然だな」  
「………」  
上位にある名前を、セレスティアは黙って見つめている。  
「君達、よくあの試験で満点なんか……僕だって必死に勉強して、あの点数だったのにさ」  
そう言うフェアリーも、78点という今回ではかなり高めの点数を取り、6位の成績となっていた。  
「勉強と理解が足りなかっただけの話だろう」  
「きついね、君は…」  
「俺としてはそれより、こいつの方が気になる」  
バハムーンはトントンと、下の方にある名前を指で叩いた。それは上から50位という、成績上位者の中では最下位に位置する位なのだが、  
そこにははっきりとフェルパーの名前が書かれていた。  
「フェルパー……勉強できる方なんだね」  
「睡眠学習、という奴か、これは?」  
そんな話をする三人を、他の生徒はやや距離を置いた感じで見つめていた。  
「あ〜、トップってあの人かあ」  
「なんかさ、あの人達だと普通って感じするよねー」  
「ねー。あの人達じゃしょうがないかー」  
「お、お前17位じゃん!すげえなー!」  
「だろ!?今回はちょっと頑張ったからなー、ははは!」  
周囲の会話を背に、セレスティアは黙って成績表を見つめ、やがて不意に踵を返した。立ち去る彼女に目をくれる者はおらず、  
まるで彼女など最初からいなかったかのように、喧騒はずっと変わることがなかった。  
 
「うう〜、また補習だよぉ〜…」  
「うわぁー!俺も補習だぁー!なんでフェルパーはあんな点取ってるんだよぉー!」  
「くぅ〜…」  
その日の学食は、非常に騒がしかった。ひどく沈んだ顔のドワーフに、悲痛な表情ながらも落ち込むどころか、いつも以上に騒がしい  
ヒューマン。その騒がしさの中、フェルパーは黙々と食事を進め、食べ終わると早々に昼寝を開始している。  
「君達……何、赤点?」  
「うぅ……23点…」  
「俺なんか14点だもんねー!へーんだっ!くそぉー!あんなのわかるわけねえだろぉー!」  
「ま、まあヒューマンはともかく、ドワーフ、君、聖術は得意中の得意じゃないのかい?今回難しかったけど、聖術の使用法の基礎とか、  
赤点回避用のサービス問題多かっただろ?」  
 
「でも、『神様に怪我を治してくれるようにお祈りする』って書いたら、三角だったよぉ?」  
「ああ……なるほどね」  
ドワーフは理論で魔法を使っているわけではなく、異常とも言える信仰心によって直感的に魔法を使っているだけなのだ。なので、  
彼女にとって魔法を使うということは、神に祈るということと同義なのだろう。  
「まったくお前等は……少しは我流だけでなく、体系的に物事を学習しようとは思わねえのか」  
「うるっせえー!そう言うお前だって、フェアリーとかドワーフより聖術苦手だろー!?何点だったんだよ!?」  
「満点だが」  
「え……嘘だろー!?お前のヒールなんか、あんまり回復しねえじゃねえかよー!?」  
「聖術向きではないからな。だがそれでも、知識として理解して、体系的に学習すれば、あれだけ使えるということだ」  
「何言ってんだかよくわかんねえよ!わかるように言えよなー!」  
「聖術は苦手だが、勉強すればあれぐらいはできる。お前のように勉強もしねえ、魔法自体苦手という奴では真似もできねえだろう」  
「くっそー!好き勝手言いやがってー!絶対絶対、ぜぇ〜ったい格闘では勝ってやるからなー!」  
いつもの調子で喧嘩を始めた二人をよそに、ドワーフはいつの間にかいたセレスティアに話しかける。  
「セレスティアちゃん。セレスティアちゃんは何点だったぁ?」  
「……100」  
「あ、満点取れたんだぁー。セレスティアちゃん、すごいねぇ」  
まるで自分のことのように、嬉しげに目を細めるドワーフ。そんな彼女をしばらく見つめ、セレスティアは黙って目を逸らした。  
 
補習が確定したドワーフとヒューマンがあまりに落ち込んでいたため、フェアリーは一度別の学校でも行き、そこの授業を  
受けてみようと提案した。プリシアナに居続けるよりは、多少なりとも気分転換になり、また何かしら身になる授業が受けられるかも  
しれないという、彼なりの気遣いである。  
結果、行先はドラッケン学園に決まった。というのも、ドワーフは以前ここでシスター学科に転科していたからだ。最初、  
彼女は光術師だったのだが、パーティを組んで比較的すぐにこの学園へ来た時、即座に転科手続きを済ませてしまっていた。  
また、バハムーンもここでドクター学科やパティシエ学科を齧っており、何より文化の違いすぎるタカチホよりは、ここの方が  
過ごしやすいだろうという判断もあってのことだった。  
彼等の入学前に、大陸全土を巻き込む大きな事件があり、今では中央の大陸にモーディアル学園という学校もできている。そこにも  
興味はあったのだが、そこに行くには相応の実力が必要であり、彼等にはまだ少し荷が重い。三つの学校のいずれかを卒業し、あるいは  
卒業見込みのある者の幾人かはモーディアルに通うようになっており、その者達は周囲からの畏敬と羨望の眼差しで見られている。  
彼等もいつかはそうなりたいと思うが、焦るわけにはいかない。とにかく今は、目前に迫る補習と、それまでの気晴らしと勉強が  
大切である。  
「それでですねー、宝箱の罠は大きく分けて、物理的な罠と魔法的な罠の二種類があるんですよー」  
彼等は今、揃って盗術の授業を受けていた。セレスティアが堕天使学科であることもあり、また普段誰も受けない授業なので、珍しいので  
受けてみようという話になったのだ。  
リコリス先生と違い、正真正銘の子供先生であるシュピール先生は、その小さな体をいっぱいに使って授業を進めている。  
「たとえばですねー、石つぶてなんかは物理で、悪魔の呪いなんかが魔法なんですよー。それで、物理的な罠は、蓋を開けるときに  
引っかかるような感じがあるんですねー。それでですねー、具体的にどういう感じかというとー…」  
 
盗術の授業を終え、一行は揃って昼食を食べていた。しかし、バハムーンとフェルパー以外の表情は暗い。もっとも、セレスティアは  
明るい表情を浮かべていることはほとんどないが。  
「……ヒューマン、さっきの授業、わかったかい…?」  
「わかるわけねえだろー……何言ってんだか全然…」  
「実技も難しかったよねぇ。全然ダメだったぁ」  
「確かにあれは、ちょっと難しかったな」  
珍しく同調するバハムーンだが、その彼にヒューマンが食ってかかった。  
「あれのどこがちょっとなんだよー!?お前、あの授業内容全部言えるのかよー!?わかったのかよー!?」  
「当たり前だ。現に俺は、三回とも解除成功しただろう?」  
「じゃあ覚えてんなら言ってみろよー!適当言うなよー!?」  
やれやれといった風に溜め息をつくと、バハムーンは静かに口を開いた。  
「石つぶての場合はむぅ〜っとした感じがあって、ガスの時はくーっと、きゅーっとした感じで、ボムの場合はぐぅぅっと…」  
「……ぐ〜っと」  
ぼそりと、セレスティアが呟いた。  
「ん、そうだったか。俺はどっちかというと、ぐぅぅっとした感じと解釈したんだが……言われてみれば、ぐ〜っとした、だったか」  
「むしろ、石つぶてはむーっとした感じ。ちょっと掴むのに苦労した」  
「そうか?石つぶては聞いたままだったな、俺は」  
会話を始めてしまった二人を、他の仲間は呆然と見つめている。  
「……あの授業内容を覚えて、しかも理解できるって…」  
「くそ〜、悔しいけどほんとに覚えてやがるなあいつー……なんで覚えられるんだよー!?」  
「あの二人はもう、僕達とは頭の作り違うんだよ」  
「二人とも、すごいねぇ」  
ドワーフの言葉に、セレスティアが振り向く。その目からは、何の感情も読み取れない。  
「……どうしたのぉ?」  
思わずそう尋ねるが、バハムーンがそれを遮るかのように口を開いた。  
「おい、セレスティア。罠の解除はともかく、奇襲の方はどうなんだ?隠れ方も習っただろう」  
「……わたくしはフェアリーじゃない」  
セレスティアはドワーフから視線を外しつつ、ぼそりと呟いた。  
「ああ……ついでに幼女でもないな。あの教師の技術は、使えそうにないか」  
残っていたオイルサーモンを食べようとし、いつの間にかそれが皿から消え、代わりにフェルパーが何か咀嚼しているのを確認すると、  
バハムーンは軽く息をついた。  
「俺のサーモン……まあとにかく、ここには堕天使の教師もいるんだ。そっちの授業も受けてみてはどうだ」  
「そうね」  
あとはもう、セレスティアは口を開かなかった。その後、彼等はそれぞれの学科の授業を受け、飛竜召喚札を使ってその日のうちに  
プリシアナへと帰って行った。  
 
食事や探索の時以外では、一行はそれぞれ自由に過ごしていることが多い。  
フェアリーは探索の物資調達をしていることが多く、ヒューマンは格闘訓練に余念がない。バハムーンはフェルパーの面倒を見ているか、  
あるいはヒューマンの組み手に付き合わされ、ドワーフはバハムーンに負けるヒューマンの治療か、そうでなければ大聖堂や寮の自室で  
聖書を読んでいたり、祈りを捧げていることが多い。ただし、彼女に聖書の内容を聞いても『難しくてよくわからない』という、  
シスターにあるまじき答えが返ってくるのだが。  
そんな中、セレスティアはドワーフと一緒にいる時以外、何をしているのかほとんどわからない。一人でいるため、行動を把握できないと  
いうこともあるが、それ以上に彼女の行動自体がまったく読めないのだ。フェルパーとはまた違った気まぐれで行動し、その傾向も  
掴めない。図書館で本を読んでいたかと思えば、数分後には寮の屋上で羽を伸ばしていたり、かと思うとカフェでケーキを食べていたり、  
とかく好き勝手に動き回る。  
この時、彼女は校舎の中をぶらぶらと歩き回っていた。試験が終わった直後ということもあり、まだ掲示板に注目する生徒も多く、  
校舎内にいる生徒の会話もそれに関する話題が多い。  
それらに全く興味ないといった風に歩いていたセレスティアだが、ある一団の声に、ふとその足を止めた。  
「今回の聖術難しすぎだよー!あれで100点とかおかしいよー!」  
「あれはもう、平均越えで満足したよ俺は。勉強の成果は十分に出た」  
「別に満点じゃなくたって、問題はないですしね。取れる人だけ取ればいいんです、あれは」  
表情一つ変えず、セレスティアはその言葉を聞いていた。やがて、何事もなかったかのように再び校舎内を歩きだす。  
あちこち歩き回り、結局夕飯の時間まで歩き回った後、学食へと向かう。どうやら仲間達はだいぶ前に来ていたようで、ドワーフと  
ヒューマンが机に突っ伏し、その隣でフェアリーが頭を抱えている。  
「あ〜う〜……覚えきれないよぉ〜…」  
「詠唱とか……念じるとか……死にそうだー…」  
「基礎中の基礎なんだけどな、これ……聖術に限らない、魔法の基礎だから……頼むよ、ほんと…」  
「とりあえず、ごは……飯を食ってからにすればどうだ?」  
「今、ごはんって言いかけただろ?」  
「ああ、言いかけた。空きっ腹で勉強しても、頭に入らねえだろう」  
バハムーンはフライドチキンを摘んでおり、フェルパーは我関せずといった態度で黙々と食事をしている。  
セレスティアは特に声もかけず、黙ってドワーフの隣に座った。  
「あ、セレスティアちゃん。ご飯一緒に食べよぉ〜」  
「……ええ」  
「今ねぇ、フェアリー君に勉強教えてもらってたんだけどぉ、全然わかんなかったよぉ」  
言いながら、ドワーフは出しっぱなしだった白紙のノートを鞄にしまう。  
「いや、ドワーフ、少しぐらいわかってくれよ…」  
「セレスティアちゃん、あんなに難しいテストで百点満点だったんだよねぇ」  
感心するように、ほう、と息を吐き、ドワーフはセレスティアに純真な笑みを向けた。  
「やっぱり、セレスティアちゃんってすごいよねぇ」  
その瞬間、セレスティアは突然、椅子を蹴って立ち上がった。  
 
「え……え?」  
驚く仲間には目もくれず、セレスティアはドワーフの腕を乱暴に掴むと、大股で歩き出した。  
「セ、セレスティアちゃん何〜!?どうしたのぉ〜!?」  
引きずられながらも、ドワーフは辛うじてフライドチキンを一つ取り、それを口に放り込んだ。それだけ食べられれば満足だったのか、  
あとはセレスティアに腕を引かれつつ、覚束ない足取りでついていく。  
「……あいつ、どうしたんだー?」  
「さあ…?」  
わけがわからず、呆然としているヒューマンとフェアリー。一方のフェルパーは変わらず食事を続けていたが、バハムーンはその顔に  
不安げな表情を浮かべていた。  
「危ないか……いや、でもドワーフなら……あいつなら、あの猫女も何とか……信じるしかないな」  
「え、猫女?」  
「頼むぞ、ドワーフ」  
珍しく切迫した声で、バハムーンはそう呟いた。  
 
ドワーフを強引に引きずりながら、セレスティアは自分の部屋へと戻った。そしてドアを開けるなり、ドワーフを部屋の中へと文字通りに  
蹴り込んだ。  
「きゃっ!?」  
驚くドワーフに構わず、セレスティアは後ろ手に鍵を掛けると、立ち上がったドワーフをベッドへと突き飛ばす。  
「な……何?セレスティアちゃん、どうしたのぉ…?」  
いきなり乱暴な扱いを受け、ドワーフは怯えきった声で尋ねる。セレスティアはそんな彼女を見下ろし、口を開いた。  
「わたくしは、あなたの何!?」  
「え…?な、何って…?」  
まったく理解できない質問に、ドワーフはそう聞き返すしかなかった。すると、セレスティアはドワーフの胸倉を掴んだ。  
「正直に言いなさいよ!どうせあなたもそうなんでしょ!?口ではきれいごとばっかり吐いて、心の中じゃわたくしのことが  
気に入らないんでしょう!?嫌いでたまらないんでしょう!?」  
「そ、そんなこと思ってないよぅ…」  
「へえ、そう?」  
嘲るような口調で言うと、セレスティアは突然、ドワーフの顔を殴りつけた。  
「あぐっ!?い、痛い……セレスティアちゃん、何するのぉ…?」  
「これでも嫌いじゃないとか言う!?まだきれいごとを吐ける!?」  
「だ、だって……私、本当にセレスティアちゃんのこと、嫌いじゃ……ぐうっ!」  
鳩尾に、拳がめり込む。悲痛な呻き声をあげて体を折るドワーフの髪を掴み、セレスティアは無理矢理顔を上げさせた。  
「まだ言う?これでもまだ嫌いじゃないとか言うつもり?」  
頭の回転の鈍いドワーフは、なぜ自分がこんな目に遭うのか理解できなかった。また、セレスティアがなぜこんなことをするのかも、  
同じく理解できなかった。そして、彼女の求める答えも、どうすれば早くこの苦痛から逃れられるかも、わからなかった。  
唯一、ドワーフにわかったことは、セレスティアの目には怒りではなく、強い悲しみと恐怖が篭っていたことだった。  
「うぅ……げほっ……嫌いじゃ、ない…」  
「まだ…!」  
「私……セレスティアちゃんのこと、好き、だよ…」  
一瞬、セレスティアの顔に戸惑いが浮かんだ。しかしそれは、すぐに狂気じみた表情に塗り潰される。  
 
「へーえ。じゃあ、わたくしが初めてもらっても文句は言わないわね?好きなんでしょ?」  
「え?え?は、初めてって……やぁ!?」  
スパッツに手を掛けると、セレスティアは乱暴にそれを破り捨てた。思わず股間を隠そうとした手を押さえつけ、濡れてもいない  
秘裂へと指を這わせる。  
「何!?何するのぉ!?セレスティアちゃん、やだ!やめてぇ!!」  
ドワーフの抵抗も意に介さず、セレスティアはその中へ乱暴に指を突き入れた。  
「あっ、ぐ…!」  
途端に、ドワーフの動きが止まった。あまりの痛みに、悲鳴すら止められてしまう。  
そんな彼女を、セレスティアは獲物をいたぶる猛獣のような目で見つめている。  
「やだ……やだ…!セレスティアちゃん、そっちはぁ…!」  
「好きなんでしょ?じゃあ、文句はないはずよね?」  
「だめ……だめぇ…!お、お願い、それだけはぁ…!セレスティアちゃ…!」  
「何か文句でも、あるわけ!?」  
急に強い口調で言うと、セレスティアは二本目の指を突き入れた。途端に、ドワーフの体がビクッと震える。  
「いっ…!ぐ、うぅ…!」  
「居もしない神に忠誠を誓って、純潔を保って……その純潔は誰に捧げるわけ?神?馬鹿馬鹿しい!そんなのに捧げるぐらいなら、  
あなたの好きなわたくしがもらう方が、よっぽど有意義だと思わない?」  
「か……神様は、いるよぉ…!純潔は、守らなきゃ…」  
「そう……残念ね、守りきれなくて」  
残忍な笑みを浮かべ、セレスティアは揃えた指を思い切りドワーフの中へ突き入れた。膣内を限界以上に押し広げられ、同時に  
ぶつりと何かが切れたような感覚が伝わった。  
「いっ、痛いいいいぃぃぃ!!!!」  
ドワーフの悲鳴が部屋に響く。やがて、セレスティアの指に、つぅっと一筋の血が伝い落ちた。  
「あ……あ、ああぁぁ…」  
それを見つめ、ドワーフはぽろぽろと涙を流す。セレスティアはゆっくりと指を引き抜き、再びドワーフの胸倉を掴んだ。  
「どう?これで目が覚めた?寝言は言えなくなった?それとも、まだ嘘つき続ける?いい加減、嫌いになったでしょ?」  
「うぅぅ……ぐすっ、ひっく…!」  
あまりのショックに泣きながらも、ドワーフはセレスティアを見上げた。そこにはやはり、行為を楽しむセレスティアの顔はない。  
表情こそ笑みを浮かべているが、その目はむしろ、怯えの色が一層濃くなっていた。  
だが、もしそれがなかったとしても、ドワーフの言葉は変わらなかっただろう。  
「嘘じゃ……ないよぉ…。セレスティアちゃん……ひっく……セレスティアちゃんのこと、嫌いじゃ、ない……」  
セレスティアの顔から笑みが消え、代わりに恐怖と苛立ちの混じった表情が浮かぶ。  
直後、セレスティアはベッドの上に立ち上がり、同時に大鎌を振り上げていた。  
「ああそう!まだ言うのね!じゃあこれでも、嫌いじゃないって言える!?いい加減、嘘つくのはやめてよ!」  
「嘘なんか……言わないよぅ…」  
「嘘よ!じゃあ証拠を見せてよ!嘘つかないって証拠見せてよ!」  
彼女の言っていることは、明らかに滅茶苦茶だった。それでも、ドワーフはそれを非難するという普通の発想が出ないほど頭の回転が鈍く、  
それを受け入れてしまうほどに純真だった。  
「いいよ……ぐすっ……セレスティアちゃんが、信じてくれるなら……何されても、いいよ…」  
「……そう。じゃあ、右腕を斬り落としても文句はないわけね」  
 
さすがに、ドワーフの表情が強張った。しかし、ドワーフは怯えながらも拒否はしなかった。  
「いい、よ……そ、そうしたら……信じて、くれ、るん……だよ、ね…?」  
「……できもしないくせに。いいわ、どれぐらいでボロが出るか見てあげる。できも、しないくせに」  
ゆっくりと、鎌が肩口に添えられる。ドワーフは怯えきった表情ながらも、唇を真一文字に結んでじっとしている。  
グッと、鎌に力が加わる。鋭利な刃はたちまち皮を裂き、右腕に血が流れ落ちた。  
「ぐうっ……うぅっ……うあぁっ…!」  
ぼろぼろと涙を流し、歯をきつく食いしばり、ドワーフはその痛みに耐える。セレスティアは彼女をいたぶるように、ゆっくりと  
刃を進ませていく。  
皮を切り、肉を切り進み、出血はますますひどくなる。  
「ほら、どうしたの?早く抵抗しなさいよ」  
「……っ…!」  
ドワーフは答えられず、代わりに黙って首を振る。その間にも鎌は彼女の腕を斬り、そしてとうとう、刃が骨まで達した。  
「はっ、はっ……く、ぐっ…!」  
あと一息、セレスティアが力を込めれば、ドワーフの腕は根元から斬り落とされる。ドワーフは既に覚悟を決め、涙を流しつつも  
その瞬間を待っていた。そして、セレスティアの腕が動いた。  
「ああああああああ!!!!」  
大きな叫び声。同時に鎌が引き抜かれ、それは床へと放り投げられた。  
「え…?」  
驚く間もなく、セレスティアはドワーフの頭から水を浴びせた。それが肩に触れると、痛みは瞬時に消え、今まであった傷も一瞬にして  
消えてしまった。  
状況をまったく掴めないドワーフに、セレスティアが縋りついた。  
「なんで!?」  
「え?え?」  
「どうして!?なんでよ!?なんでっ……うっ、ううぅぅ…!」  
縋りついたまま、セレスティアは涙を流し始めた。ドワーフは訳も分からず、ただただ呆気に取られている。  
「なんでよ…?わけわかんない……なんでよぉ、なんでなのよぉ…!」  
「セレスティアちゃん…?」  
「なんで……なんで、他のみんなは頑張ったら褒めてもらえるのに……何かできたら、喜んでもらえるのに…」  
「あの、セレスティア、ちゃん…?」  
「どうしてわたくしは、できて当たり前なの…!?頑張っても、誰も褒めてくれない…!わたくしが何しても、それが普通って…!」  
まるで子供のような口調で、セレスティアは続ける。  
「わたくしだって、頑張ってるのに…!なのに、ねえ!どうして頑張ったらいけないの!?どうしてわたくしだけ普通なの!?  
友達だって言った人だって、わたくしが頑張ったら離れるばっかり!!前からそうだったし、ここに来てからもそうだった!!  
できるのがダメなの!?他の人はいいのに、わたくしはダメなの!?ねえっ……なんでよぉ…!」  
今まで見たこともない、子供のような表情で感情を吐き出すセレスティア。その言葉は、ずっと彼女の中で澱のように溜まり続けた、  
誰にも言えなかった本音なのだろう。  
戸惑いながらもそれを聞き終えると、ドワーフはおずおずと口を開いた。  
「あ、あの、ごめんね。セレスティアちゃん、何言ってるのかよくわかんないけど…」  
身も蓋もない前置きをしてから、ドワーフはそっとセレスティアの手を取った。  
 
「私は、その、一緒にいるよ。友達だよ」  
その言葉に、セレスティアは弾かれたように顔を上げた。しかしまだ、その顔には怯えが張り付いている。  
「嘘……嘘よ…!みんなそう言って、でもわたくしが頑張ったら、みんな掌返してっ…!」  
「嘘じゃないよ。セレスティアちゃんは、ずっと友達だよぉ」  
セレスティアの顔から、恐怖がなくなっていく。その代わりに、今度は大きな悲しみの表情が広がった。  
「やだ……嘘だって言ってよ…!わ、わたくし……あなたに、散々ひどいことして、傷つけて……あなたのこと、こんな…!」  
嘘であってほしかった。そうでなければ、セレスティアは自分を友人と思い、決して離れずにいてくれた大切な者を、疑い、傷つけ、  
取り返しのつかない暴力を振るったことになるのだ。  
しかしやはり、ドワーフはセレスティアのそんな心中を察することはできず、強い口調で否定した。  
「嘘じゃないよぉ!」  
言うなり、ドワーフはセレスティアをぎゅっと抱き寄せた。温かく力強い腕に包まれ、セレスティアはしばし呆然としていたが、  
やがて今にも泣きそうな顔になった。  
「うそ……うそよぉ…!だ、だって、あんなことしたのにっ……ひどいこと、いっぱい…!」  
「それは、うん……痛かったし、びっくりしたけど……でも、友達だよ。セレスティアちゃんは、すっごく大切な友達だよぉ」  
「ああ……ああぁぁ…!」  
ぽろぽろと、セレスティアの目から涙がこぼれ落ちる。直後、セレスティアはドワーフの胸に顔を埋め、子供のように泣きじゃくった。  
「ごめんなさい…!ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…!」  
泣きながら、セレスティアはずっとそう繰り返していた。そんな彼女を、ドワーフは優しく、強く、じっと抱き締めていた。  
 
十数分ほど泣き続け、セレスティアが少し落ち着いたところで、ドワーフは体を離し、セレスティアの顔を見つめた。  
「少し、すっきりした?」  
「ぐす……っく……うん…」  
「思いっきり泣くとさ、なんでかすっきりするよねぇ。もっと泣いてもいいよぉ?」  
「いえ……くすん……それより…」  
目元をごしごしと擦り、セレスティアは思いつめた顔でドワーフを見つめる。  
「ドワーフ……お願い、わたくしのこと、思いっきり殴って…」  
「え?」  
「だ、だって……わたくし、あなたに、あんなにひどいことしてっ……うう…!あ、あなたが友達だって言ってくれても、  
このっ……このままじゃ、そんな資格なんてない…!」  
再びセレスティアの目に涙が溢れ、その声は震え始める。ドワーフは一瞬言葉に詰まり、首を振った。  
「……ううん、そんなことしないよぉ」  
「そんなっ…!引っぱたいてもいいから、噛みついてもいいから、お願いだから、一回でいいからやり返して…!」  
「やだよぉ。私、セレスティアちゃん傷つけたくないよぉ」  
セレスティアの願いは切実だったが、その心境を理解できるほど、ドワーフは頭が回らない。  
「うぅ〜……お、お願い、だからぁ…!だって、だって、わたくしはあなたを傷つけたのに……罰せられることもないなんて、そんな…!」  
「えっと……なんでセレスティアちゃん怒ってたのか、よくわかんないけどぉ、セレスティアちゃん、ちゃんと謝ったよぉ?」  
「ただそれだけで、許されるなんて……そんなの……守ってきた純潔まで、台無しにしたのに…!」  
「う〜、それは、ちょっと、悲しかったけどぉ……で、でもねぇ、結婚するぐらい好きな人になら、あげてもいいんだって、  
聞いたことあるよぉ。その、セレスティアちゃんは、私…」  
恥ずかしそうに視線を逸らし、尻尾を落ち着きなく揺らしながら、ドワーフは恥ずかしげに言った。  
 
「そ、それぐらい、好きなんだよぉ。だから、そのぉ……えっとぉ……き、気にしないでいいよぉ」  
「……ふえぇ…!」  
ドワーフの言葉に、セレスティアはまた泣き出してしまった。自分をこれほどまで想ってくれる友人を、彼女は散々に傷つけたのだ。  
もはやセレスティアは、死んで詫びるしかないなどと思い始めていた。  
一方のドワーフは、元気を取り戻してくれるかと思ったセレスティアが再び泣き出してしまい、大慌てだって。一体なぜ泣きだしたのか、  
彼女はやはり理解できていない。  
どうしたものかと必死に考え、ドワーフはセレスティアの肩を抱いた。  
「ねえ、セレスティアちゃん」  
優しく呼びかけられ、顔を上げた瞬間、ドワーフは突然唇を重ねた。  
「んっ…!?」  
セレスティアが驚き、固まっていると、ドワーフは唇を離し、恥ずかしげに笑った。  
「えへへ。あのねぇ、セレスティアちゃんと、こう……え、エッチなことしてるときってね、すっごく幸せなんだぁ。悲しいこととか、  
辛いこととかあってもねぇ、セレスティアちゃんが気持ちよくしてくれると、全部忘れちゃうんだよぉ」  
そこで、セレスティアはドワーフが何を考えているのかを悟った。  
「あ、あの、ドワーフ…!」  
「だからねぇ、今日は私が、セレスティアちゃんにしてあげるねぇ」  
「いや、あの、そのっ…!」  
うろたえるセレスティアを、ドワーフは優しく押し倒した。鼻先にキスをし、次に頬にキスし、まだ戸惑う表情のセレスティアに  
唇を重ねる。まさかそれを押し返すこともできず、また意外な行動に固まってしまい、セレスティアはされるがままとなっている。  
「あれ……えっとぉ……ん〜しょっと…」  
キスをしながら、服を脱がせたかったのだろう。しかし、不器用な彼女にそんな真似ができるわけもなく、ドワーフは結局唇を離し、  
両手でセレスティアの服を脱がしにかかっている。  
それでも相応の時間を掛け、ようやく前をはだけると、ドワーフは固まるセレスティアに笑いかけた。  
「今日のセレスティアちゃん、かわいい」  
たちまち、セレスティアの顔が真っ赤に染まった。そんな彼女をますます愛らしく思いながら、ドワーフは大きな胸に手を掛ける。  
「んんっ…!」  
セレスティアの体がビクッと震え、ドワーフは驚いて思わず手を離す。しかしすぐに思い直し、撫でるような強さで、ゆっくりと  
捏ね始めた。  
「ドワーフ…!はうっ!んっ、う…!」  
ドワーフが手を動かす度、大きな胸は柔らかく形を崩し、同時にセレスティアが小さく喘ぐ。吐息は少しずつ熱を帯び始め、顔の赤みは  
全身へと広がっていく。  
「おっぱい、気持ちい〜い?」  
「あうぅ……う、うん…」  
尋ねられると、セレスティアは恥ずかしげに頷いた。今まで見たこともない姿に、ドワーフは何となく楽しくなり始めていた。  
ふと、セレスティアの顔から視線を逸らす。押し倒された際、セレスティアの手は軽く上げたような格好になっており、指を半ば  
開いている。だが、ドワーフが胸を刺激すると、その指は喘ぎ声と共にぎゅっと握られ、刺激が弱まると再び開いている。  
楽しげな笑顔を浮かべると、ドワーフは右手を胸から離し、セレスティアの左手に指を絡めた。  
「あ…?」  
「えへへ〜、にぎにぎ」  
言われて初めて、セレスティアは無意識に手を握っていたことを知る。普段とは真逆とも言える状態に、彼女は妙な気恥かしさを覚えた。  
 
「あ、でも手……あ、じゃあセレスティアちゃん、ちょっとごめんねぇ」  
何のことかと思っていると、ドワーフはセレスティアのブラジャーを強引に上へずらした。胸を直接見られ、恥ずかしいと思った瞬間、  
そこにドワーフの吐息がかかった。  
「え、何……ふああっ!?」  
空いた右手の分を埋めるように、ドワーフはセレスティアの乳首を口に含んだ。大きな舌で転がすように舐め、吸い、つつく。  
「あっ、あっ、あっ!ド、ドワーフっ!待っ……ああっ!」  
「んっ……ん、ふ…」  
自覚はなかったのだが、セレスティアは胸が非常に敏感だった。以前、戯れに胸を吸われたときでさえ、声を抑えるのに必死の努力を  
要したほどだった。それが今、ドワーフは手での愛撫の代わりに口を使っており、その動きは明らかに快感を与えるためのものである。  
「ああ、あっ!ドワーフ、待って、待ってっ…!はあぁっ!む、胸はっ……胸は、もうっ…!ああっ、ダメ…!も、もうダメっ…!」  
「んふ……はぁっ、ん…!」  
「やあっ…!ドワーフってばぁ…!」  
わざとではないのだろう。しかし、ドワーフは胸を吸うのが気に入ってしまったらしく、セレスティアの声が届いていない。  
快感を堪えようと、思わず手に力が入る。すると、それに反応してドワーフも強く手を握ってくれるのだが、それ以外に関しては  
まったく気付いてくれる気配がない。  
セレスティアの全身には玉のような汗が浮かび、呼吸は荒く乱れている。左手はドワーフの手に繋がれ、右手は強くシーツを握りしめる。  
「はっ、ぐっ…!うあぅ……ああ、あっ!やぁ!ドワ……くうううぅぅぅ!!」  
ビクンとセレスティアの体が仰け反り、大きな嬌声と共に手を強く握りしめる。あまりに強い力に、ドワーフは驚いて口を離した。  
「ふぇ!?あ、あれ?セレスティアちゃん……だ、大丈夫ぅ…?」  
「うぁ……むね、だめって言ってるのにぃ…」  
間延びした口調で、セレスティアは涙すら浮かべながら言う。  
「あ、ご、ごめんねぇ、聞こえなくって……じゃ、こっちの方してあげるねぇ」  
「こ、こっちって……あの、ドワーフ、ちょっと…!」  
止める間もなく、ドワーフはセレスティアのスカートを下ろし、ショーツを剥ぎ取った。少しは慣れたのか、今回は割と手早く済んでいる。  
「わぁ、セレスティアちゃんびしょびしょ〜。でも、これって気持ちよくなるとなるんだよねぇ?なんか、嬉しいなぁ〜」  
ぱたぱたと尻尾を振りつつ、ドワーフはセレスティアの股間に手を伸ばした。  
「あ、あの、ドワーフ!今、あの、わたくしっ…!うあっ!?」  
「えへへ〜、もっと気持ちよくしてあげるねぇ」  
割れ目に指を挟みこませ、前後に擦る。それだけでも十分に刺激となり、しかも体毛に包まれたドワーフの指は、ざりざりとした  
細かい刺激を与えてくる。  
「ああ、あっ!だっ、ちょっと、待っ…!か、体も洗ってないのにぃ…!くうっ!」  
「でも、今日は探索行ってないしぃ、大丈夫だよぉ」  
ずれた答えを返しつつ、ドワーフは休めることなく手を動かす。決して中に入れることはなく、入口を擦られるだけのもどかしい刺激。  
たまに最も敏感な突起に触れ、強い快感が走る。一度達してしまった体を焦らされ、不意打ちで強い刺激を受け、セレスティアの快感は  
再び跳ね上がっていく。  
「やっ……ドワー、フ…!こ、これ以上は……ほんと、ダメ…!」  
「ん?そぅお?じゃ、こっちするねぇ」  
「え…?ええ!?ちょ、ちょっとドワーフ!!待っ…!」  
指がそのまま後ろへとずれ、もう一つの穴に押し当てられる。慌てて止めようとした瞬間、ドワーフはグッと力を込めた。  
 
「ひっ…!!あぐっ!い……痛いっ……ドワーフ、痛いっ…!」  
愛液の絡んだ指が、少しずつ腸内へと侵入していく。だが、セレスティアはそこを弄ったことなどほとんどなく、おまけにドワーフの指は  
他の種族と比べ、遥かに太い。いくら滑りがいいとはいえ、急に限界近くまで広げられたセレスティアは、ほとんど痛みしか感じない。  
「あ、セレスティアちゃん、ここあんまり触らないんだよねぇ。もう少し、優しくするぅ?」  
「くっ……ぐっ…!うぅぅ……い、いい……そのまま、で、いい…!」  
しかし、その痛みはドワーフに与えた苦痛の報いだと、セレスティアは自身を納得させた。裂けそうなほどに痛んではいたが、それを  
黙って耐えようと心に決める。  
が、ドワーフはセレスティアがひどく痛がっているのを察知し、不意に指を引き抜いた。  
「あうっ……はぁ、はぁ……ドワーフ…?」  
「ん〜、指は痛かったんだね。ごめんねぇ。それじゃ、痛くないように、気持ちよくしてあげるぅ」  
「きゃっ!?」  
言うが早いか、ドワーフは体を離すと、セレスティアの腰を抱え上げた。そして、後ろの穴にぬらりとした感触が走る。  
一瞬、何が起こっているのか理解できなかった。だが、すぐに覚えがある感触だと思い出し、直後に何をされているのか悟った。  
「や、やああぁぁ!!ドワーフ、それはっ……それはダメぇ!やめっ……ふあぅぅ!」  
舐められている。汚いはずの部分を、丁寧に舐められている。  
驚きと、嫌悪感と、戸惑いが一気に襲い掛かる。セレスティアは悲鳴を上げ、体を捩り、何とかドワーフの腕から逃げ出そうとするが、  
さすがに種族柄、ドワーフの力は強く、何より力が入らない。  
「やぁ……くうっ!やなのっ……ドワ……はあぁっ!うっ、あっ!ああっ、やめ……んあああ!」  
ドワーフの舌が穴の周辺を這い回り、唾液をたっぷり絡め、先端で皺をなぞるように舐める。その動きは優しく、丁寧で、  
セレスティアの中に認めたくない感覚が湧きあがる。  
「あぁぁ、嘘……こんなの、嘘っ…!やだっ……おしり、でぇ……えっ!?やっ、何!?や……うあああぁぁ!!!」  
舌がぐりぐりと押し付けられ、窄まりを押し広げ、腸内へと侵入する。途端に、セレスティアの頭の中は何かが弾けたように真っ白になり、  
目の前がちかちかと点滅する。  
先に達していたからなのか、それともドワーフの動きのせいなのか、異常なところを舐められているという嫌悪感や戸惑いを、遥かに  
超える快感。腸内に押し込まれる舌の感触も、腸内で動き回る違和感も、すべてが快感となってセレスティアを襲う。さらに、時折  
秘部にかかる彼女の吐息が、それらをより強めていく。  
「だ、めっ…!ドワーフ、だめぇ!もうやめて!これいじょっ……ううぅぅ…!や、めぇ……あっ……ドワ……あああっ…!」  
声は切れ切れとなり、翼が意思と関係なくばさりと開く。両手はシーツを握りしめ、必死に快感の波を堪えようとするが、そんな抵抗は  
ほとんど意味を為さなかった。  
「それっ……あっ……だめっ…!も、もうっ……がっ……は、ぐっ!!っっっっっ!!!!!」  
もはや声さえ出せなくなり、無意識に体が仰け反る。頭の中は快感で埋め尽くされ、セレスティアの体はガクガクと痙攣する。  
「あ……セレスティアちゃん、大丈夫ぅ?」  
異常に気付き、ドワーフは舌を抜くと、セレスティアの腰をそっとベッドに下ろした。しかし、まだ快感の余韻で頭がうまく動かず、  
セレスティアは荒い息をつきながら横たわっている。  
「セレスティアちゃん、今きちゃってたんだねぇ。えへへ〜、私も気持ちよくしてあげられて、嬉しいなぁ〜」  
言いながら、ドワーフも隣に寝転び、セレスティアをぎゅっと抱き寄せる。いつもとは正反対の状況だったが、セレスティアはそれを  
不快とは思わなかった。むしろ、これはこれでとても安らげるものだと思っていた。  
しかし、引っかかるものは残っている。なぜ、自分はドワーフを傷つけたのに、彼女に気持ちよくされているのか。とても納得できるような  
ことではなかったが、ドワーフは決して自分を罰するようなことはないだろう。  
 
であれば、することは自然と絞られる。まだ乱れる呼吸を何とか鎮め、セレスティアはドワーフの体を軽く押し、その顔を見上げた。  
「ドワーフ…」  
「ん、なぁに?」  
「あなたのこと……いっぱい傷つけて、ごめんなさい…」  
その言葉に、ドワーフはきょとんとした表情を浮かべていた。既に散々、気にしなくていいと言っていたので、もう気にしなくなっていると  
思っていたのだ。  
だが、さすがのドワーフも、その言葉に込められたセレスティアの心情を、ほんの少しだけ理解した。  
「……うん、もういいよぉ。ちゃんと謝ったから、許してあげる〜」  
ドワーフが言うと、セレスティアの顔に笑顔が広がった。同時に、その目に涙が浮かぶ。  
「ありがとう…!」  
ぎゅっと、ドワーフに抱きつくセレスティア。そんな彼女を、ドワーフはあやすように撫でてやる。  
「このまま、寝ていいよぉ。きちゃうと、疲れるもんねぇ」  
「ん……ありがと、ドワーフ」  
「ふふ〜」  
急に嬉しそうな笑い声をあげ、尻尾を振り始めたドワーフに、セレスティアはきょとんとした顔を向ける。  
「セレスティアちゃん、今まで私のこと『あなた』ってしか呼んでくれなかったから、そう呼んでくれると、なんか嬉しいなぁ」  
「あ…」  
言われて初めて、セレスティアはその事実に気付いた。そしてもう一つ、とてつもなく大事な事実に気付く。  
「ド、ドワーフ!寝る前にちょっと、ちょっとだけ放して、お願い!」  
「え?あ、うん……どうしたのぉ?」  
ともかくも腕を離すと、セレスティアはハンカチを手に取り、思いっきり鼻をかんだ。それが済むと再び、ドワーフの胸に顔を埋める。  
「ありがとう……ドワーフ、ぎゅってして」  
「うふふ〜、今日のセレスティアちゃん、甘えんぼさんだぁ」  
言われたとおり、ドワーフはセレスティアを強く抱き締める。ふかふかの体毛に顔を埋め、セレスティアは大きく息を吸った。  
「すぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜…」  
「……な、なんか今、十秒くらい息吸ってたけど、大丈夫?」  
「………」  
セレスティアは答えない。代わりになぜか、その体がビクビクと、何度か震えた。  
「……ふぅ〜〜〜〜……大丈夫…。おやすみ、ドワーフ…」  
「う、うん…?おやすみぃ」  
いつもより遥かに強い、ドワーフの匂い。それに包まれながら、セレスティアは今までにないほど安らぎに満ちた心で眠りにつくのだった。  
 
「あんまり、そのまんま過ぎるだろう」  
「いや……だって、ねえ…?」  
その頃、学食ではバハムーンが、かつてないほどにげんなりした表情を浮かべていた。  
「あんまり、そのまんま過ぎるだろう」  
「いや……わかった、わかったよ、ごめん。そんな二回も言わなくったって…」  
「それよりよー、なんでセレスティアが猫女なんだよー?フェルパーじゃねえのかー?」  
「だから、あんまりそのまんま過ぎるだろうそれは。んな面白みのねえ言い方、俺がするかっ!」  
「面白みより、わかりやすさ重視してくれよ。で、君の話だけど…」  
「ああ……その前に、ヒューマン。お前はフェルパー連れてさっさと帰れ」  
バハムーンが言うと、ヒューマンは身を乗り出して反抗する。  
「なんでだよー!?なんでフェアリーはよくて俺はダメなんだよー!?」  
「お前は補習があるだろうが。確か、小テスト数枚やるんだろう?補習の補習を受けたくなきゃ、さっさと帰って勉強しろ」  
「うう……そ、それはそうだけどよぉ〜…!」  
「手合わせも、それが終わるまでお預けだ。余計な差をつけられたくなきゃ、詠唱法基礎ぐらい完璧にしておけ」  
「……くそー、勉強わかんねえんだよぉー……何書いていいかわかんねえのに、どうやって…」  
「どうしてもわからなきゃ、聞きに来い。フーセンボム並みの頭の中身のお前にもわかるように説明してやる」  
「……中身入ってねえって言いたいのかよー!?」  
「お、わかったか。思ったよりはマシな頭のようだな」  
「くそーっ!てめえ今度絶対こてんぱんにしてやるからなー!覚えてやがれー!」  
元気に騒ぎながら、ヒューマンはフェルパー入りの道具袋を担いで寮へと戻って行った。それを見送ると、バハムーンは大きく息をついた。  
「やれやれ、手のかかる奴だ」  
「案外、扱い慣れてる感じはあるけどね。で、セレスティアの話…」  
「ああ…」  
水を口に含み、時間を掛けて飲み下すと、バハムーンはフェアリーの目をまっすぐに見つめた。  
「一切の他意なく、公正な意味での言葉で、あいつは小物だ」  
「小物…?小物って、あいつがそんな…」  
「お前の解釈する『小物』は、相手を見下す意が入ってるな。そうじゃねえ。あいつは、能力は高いが、考え方が小物なんだ」  
「……わかりやすく頼む」  
「見下す意味を取り除けば、まあ大まかにはお前の考える小物と変わりない。誰かに認めてほしくて、褒められたくて、一人が嫌で、  
細かいことを気にする。そういう意味では、フェルパーは相当な大物だな」  
「なるほど。で、猫女ってのはどうして?」  
「焦るな。順を追って説明してるんだ。お前、あいつが試験でいい点を取ったり、習ったことを容易く習得するのは、普通だと思うか?」  
「普通……そう、だなあ。君とあの子は、それが普通だよね」  
はぁ、と、バハムーンは溜め息をついた。  
「だろうな。できる奴には、できねえ奴の気持ちはわからねえ。できねえ奴に、できる奴の気持ちはわからねえ。多寡や質の違いこそ  
あれど、あいつもヒューマンも、努力してることには変わりねえ。これでたとえば、ヒューマンが聖術試験で、平均点以上を叩きだせば  
どうだ?お前は、あいつを褒めちぎるだろう?」  
「そりゃそうだろうなあ」  
「隣で、満点を取ったセレスティアを差し置いて、な」  
「………」  
そう言われると、フェアリーは言葉に詰まった。  
 
「責めてるわけじゃねえ。それが普通だ。だが、あいつはそれが納得いかない。どうして自分は、こんなに頑張ったのに、誰も  
褒めてくれないんだって思うわけだ」  
「………」  
「少し話が戻るが、できる奴と、できねえ奴と、お互いわかり合うことはまず不可能だ。そして、ない物を持ってる相手を妬ましく思う。  
妬ましく思う気持ちが、そいつの目を曇らせる。あいつが褒めてもらいたくて全力を出せば、できねえ奴は馬鹿にされてると思う。  
そうして邪険に扱われたあいつは、どうして自分だけ誰も認めてくれないんだと思う。そして一層努力して……ま、悪循環だな」  
「ヒューマンがいなくてよかったよ。彼がいたら、ここまでの話を噛み砕くのに一日かかる」  
フェアリーの言葉に珍しく笑顔を返し、バハムーンは続ける。  
「なあ、わかるか。隣では頑張った奴が、結果はどうあれ評価され、同じく頑張った自分は、失敗すればいいと唾を吐かれる。  
この差はなんだ?あいつじゃなくとも、納得いかねえと思うだろう」  
「……なんか、鬱になってきた…」  
「あいつは鬱になるんじゃなくて、捻くれた。どうせ誰も自分を認めない。認めてくれる奴などいやしない。友情なんてのは上っ面の  
薄っぺらい言葉だけ。本気を見せただけで、自分から逃げて行く奴等ばっかりだってな」  
再び水を口に含み、バハムーンは一緒に入ってきた氷をがりがりと噛む。  
「そう信じてる奴が、だ。自分を無邪気に慕って、何の衒いもなく褒めてくれて、受け入れてくれる存在に会ったら、どうなると思う」  
「喜ぶんじゃ……ないかなあ?」  
「捻くれてなければな。いいか?あいつは友情も、ありのままの自分を認める奴も、受け入れる奴も『いないと信じて』るんだ。  
お前、どんな魔法も跳ね返すという鎧が目の前にあったら、どうする」  
「そうだなあ。まずは一発、ビッグバム辺りを…」  
言いかけて、フェアリーの言葉が止まった。そして、その顔は見る間に青ざめていく。  
「つまり、そういうことだ。こういうのは、猫が似た行動を取ることがある。主人が自分を怒らないと信じているからこそ、噛みついたり、  
引っ掻いたり、わざと怒られる行為をして見せる」  
「だから、猫女…?」  
「少し違う部分もあるがな。そんな奴はいないと信じて、でも心から求めた存在を信じたくて、試してみる。その試しが、破壊衝動に  
向くのは、まず確定的だろうから……危険だとは思う。だが、セレスティアが猫なら、ドワーフは犬だ」  
「見た目もそれっぽいしね」  
「まあな。見た目が可愛いってのは得なもんだ……それはともかく、あいつは頭もよくない。だから、セレスティアが無茶な要求を  
しようと、突っぱねることなくその要求を受け入れる。裏表もねえ性格だからな、あいつの心は、きっとセレスティアにも伝わる。  
少なくとも、俺はそう信じてる」  
言い終えると、バハムーンはコップに残っていた水を一気に飲み干した。  
「……君、そこまでわかってるなら、試験結果褒めてやりゃよかっただろ」  
「俺が言っても、傷の舐め合いにしか見えねえさ。できる奴は、できる奴の気持ちがわかる。それに、ああいう捻くれもんは、人の心の  
裏を読むのに長けてるもんだ。裏表のない奴にしか、どうしようもねえ」  
フェアリーは改めて、バハムーンの能力に舌を巻いた。ほとんど会話もないセレスティアの心情をここまで読み切り、なおかつ  
ドワーフの性格までしっかりと把握しているのだ。フェアリーとしては、セレスティアは無口で少し言葉がきつい相手だとしか思って  
いなかった。  
「ともかく、明日あいつらが来なければ、大惨事。揃って来れば、一皮剥けた仲間と出会えるだろうよ。じゃあ、俺は部屋に帰るぜ」  
食器を下げ、部屋へと戻るバハムーン。それを見送りながら、フェアリーは彼が自分に今の話をした理由を、ぼんやりと考えていた。  
 
それから数日。ドワーフとヒューマンの補習も無事に終わり、一行はいつもの雰囲気を取り戻しつつあった。  
しかし、そのいつもの雰囲気は、あれ以来少しだけ変わってきていた。  
「セレスティアちゃん、ほんとにありがとね〜。小テスト、46点も取れたの初めてだったよぉ〜」  
「……あなたがいつもしてることを、わかりやすく説明しただけ」  
ドワーフの言葉に、セレスティアは微笑を浮かべて答えた。  
「すげえなー。俺はギリギリ32点だったぞー。悔しいけど、お前のおかげなんだよなぁ〜…」  
「……基礎だけでも、覚える脳があって助かった。あれ以上時間を取られると、俺の睡眠時間が消える」  
まだバハムーンの目の下には、小さな隈が残っている。傍らにフェルパー入りの道具袋を置き、バハムーンは軽く息をついた。  
「それはそうと、お前等盗術は覚えてるか?」  
「う〜ん、シュピール先生の授業、全然わかんなかったからぁ…」  
「まあ、できなくても問題はねえだろうが、せっかく習ったんだ。記憶から消える前に復習だ。ドワーフ、ハンカチ貸せ」  
「ハンカチ?いいよぉ、はい」  
ドワーフは、真っ白な飾り気のないハンカチをバハムーンに渡す。すると、彼はどこかからシルクハットを取り出し、その中を見せる。  
「基礎中の基礎だからな、盗術に限らず使える技術でもある。しっかり覚えておけ」  
言いながら、バハムーンはハンカチをシルクハットに入れ、それをくるりと回して逆さに持った。  
「簡単な問題だ。今俺が預かった、ドワーフのハンカチがどれか当ててみろ」  
そのまま山の部分を掴み、つばを下にして左から右へと動かす。すると、シルクハットの中から一枚ずつハンカチが舞い落ち、机の上に  
三つの白いハンカチが並んだ。  
「君……この間のでトリックスター学科まで習ったのかい…」  
「面白そうでな。さあ、見るのも手に取るのも自由だ。当ててみろ」  
三枚のハンカチは、大きさや色はどれも同じようなもので、パッと見ただけでは判別がつかない。  
「俺これだと思うぞー!」  
「う〜ん……これ、かなぁ?」  
ヒューマンとドワーフは、それぞれ違うハンカチを指した。  
「根拠は?」  
「何となくこれっぽいからなー!」  
「洗ったばっかりできれいだから、これかなぁって」  
「………」  
そんな中、セレスティアが手を伸ばし、ハンカチを一枚手に取った。そして、それを鼻へと近づける。  
「………」  
一度匂いを嗅ぎ、それを戻す。続いてもう一枚を取り、同じように匂いを嗅ぎ、戻す。さらに三枚目を手に取り、息を吸うと、不意に  
その動きが止まった。  
「……すぅ〜〜〜〜〜…」  
長い呼吸音が響き、やがてそれが止まる。セレスティアはハンカチで鼻を覆うようにしながらしばらくじっとしていたが、やがてその体が  
ビクンと震えた。  
「ど、どうしたんだお前ー?」  
ヒューマンの言葉には答えず、セレスティアは何事もなかったかのようにそれを戻すと、軽く息をついた。  
「これ」  
「……そうか。フェアリー、お前はどれだ」  
「うーん、触ってもいいんだよね?じゃ、ちょっと失礼して…」  
 
摘んで擦るようにして三つのハンカチの感触を確かめると、フェアリーは額に手を当てた。  
「ん〜、一瞬だったから確証はないけど……確か、綿だった気がするんだよなあ。だから僕も、セレスティアと同じ」  
「答えは出揃ったな。セレスティア、フェアリー、正解だ」  
そう告げてから、バハムーンはヒューマンとドワーフに呆れた視線を向ける。  
「これは三枚とも、材質が違ってな。フェアリーの言った通り、預かったハンカチは綿。ヒューマン、お前が選んだのは麻で、ドワーフ、  
お前が選んだのは絹で、俺の私物だ。一番高いのを自分のにしようとするな」  
「あれぇ〜?洗ったばっかりだから、ぴかぴかのこれだとおもったんだけどぉ…」  
「手に取るのも自由、と言ったはずだ。見るばかりが鑑定法じゃねえ。使える感覚は全て使って、鑑定するんだ。そういう意味では、  
セレスティア、お前は変わった鑑定法だったな」  
「……あなたも、匂い嗅ぐのは得意でしょう?あなたなら間違わないはず」  
「あ、そっかぁー。セレスティアちゃん、頭いいねぇー」  
ドワーフが言うと、セレスティアは嬉しそうに目を細めた。  
「え〜?匂いでわかるかぁ〜?」  
「粗野なあなたには、向かない方法ね」  
ぼそりと、セレスティアが呟く。が、ヒューマンは首を傾げた。  
「そ、そや?」  
「下品で乱暴もんのお前には向かない、とさ」  
バハムーンが通訳すると、ヒューマンはムッとした表情を見せた。  
「何だよお前ー!喋るようになったら馬鹿にばっかしやがってー!くそー、バハムーンが二人になったみてえだー!」  
「セレスティアちゃん、ダメだよぉ、そんなこと言っちゃ〜。仲良くしなきゃダメだよぉ〜」  
そう言ってドワーフが服の裾を引っ張ると、セレスティアは表情を改めた。  
「……でも、本当のことだから」  
「怒らせるのダメー。もっと優しくしなきゃダメだよぉー」  
そんな一行を見つめながら、フェアリーは笑った。  
「どうなることかと思ったけど……みんな、本音をぶつけられるようになったなあ」  
以前より表情が明るく、また喋るようになったセレスティア。それを受け入れる仲間達。  
口では何だかんだ言いつつ、しっかりとヒューマンの面倒をみるバハムーン。誰が見ても仲良しのセレスティアとドワーフ。どんどん  
飼い猫化が進むフェルパーに、どんどん存在感の消える自分。だが、それでもいっそ構わないと、フェアリーは思っている。  
「ま、リーダーばっかり目立つようなパーティじゃ、しょうもないからな。これでいいよな……はは」  
半ば無理矢理、自分を納得させつつも、あながち偽りでもない。リーダーがまとめ続けなければ存続できないパーティなら、  
それは存在する価値がないと、彼は考えている。そういった意味では、このパーティは彼の理想形だとも言えた。  
かつて価値を否定された仲間達は、今日も仲良く迷宮探索を続けている。  
 
 

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