クロスティーニ学園。
パルタクスなどがある世界とは一つ裏側の世界の冒険者養成学校の一つである。
校舎の豪華さや制服の素材が上質である事からエリートや上流階級の学校と勘違いされやすいが決してそういう事は無く多くの生徒に門戸を開いている。
この物語はそんなクロスティーニ学園から始まる。
クロスティーニ学園のすぐ近くにはじめの森という迷宮が存在する。
いや、それは迷宮とは呼べないほどの単なる森なのだが、入学したばかりの一年生達が迷宮内のセオリーを学ぶのに適している事から授業にも使われる。
一人前に罠まで設置されているから侮れない。
そのはじめの森の中を、三人組のパーティが進んでいた。
「……本当にマルガリータ先生の授業難し過ぎるんだよなぁー……アンがいてくれなきゃオイラ絶対落第してるよ」
先頭で教師の悪口を言っている戦士学科のドワーフの少年の名前はコッパ。
このパーティのリーダーを勤めているがバカである事が欠点である。
「ありがとう、コッパ君………でも、マルガリータ先生の授業、プリントを読めば解りやすいよ?」
「……オイラ、初級学校にいた頃から難しい字読めないんだよ……」
パーティの真ん中、コッパの後ろでお礼を言いつつコッパを嗜めているのは魔法使い学科のエルフの少女で、名前はアン。特待生故に成績は抜群であり、バカすぎるコッパの補習も平然とやってのけてしまう。
「おいおいコッパよー、ヒーローがそれでいいのか? 俺がクロスティーニのヒーローになる日は近いようだ」
そう言って笑うパーティの最後尾は普通科のディアボロスの少年、ビネガーである。
背中にライフルを背負っている辺り、得意武器は恐らく銃なのだろう。
「なんだとビネガー! オイラの方がぜってー先になるからな!」
「その時を楽しみにしてるぜおバカ毛玉」
「毛玉言うな! この牛野郎!」
「なんだとぉ!?」
「ふ、二人とも喧嘩しないでー……」
ドワーフとディアボロスの仲裁に入るエルフというのもおかしな話だが、アンの言葉にコッパとビネガーは慌てて止めた。
「それにしてもよー、ダンテ先生厳し過ぎるぜ。パーネ先生の所は羨ましいよ」
「いや、パーネ先生も怖い時は怖いぜ? 俺はダンテ先生の方がまだ親しみやすいかもな」
「そうか?」
コッパの言葉に、ビネガーは頷く。
「姉貴の担任がダンテ先生だったからな。姉貴がすっげぇ尊敬してるっつーか……今はお前の担任だけどな、ダンテ先生」
ビネガーは頭を掻きつつそう言って笑った。兄弟がいると先生の印象もまた違うのだろう。
コッパがそう思った時、ふと気付いた。
「お?」
前方に、誰かが倒れている。行き倒れだろうか。
「行き倒れみたいだな」
「ああ……行ってみるか?」
「ヒーローたるもの、人助けが基本!」
「……よしきた、行こう」
コッパとビネガー、そしてアンの三人はその人影まで近づいた。
「……冒険者養成学校の生徒、かな? でも、見た事無い制服だよなー」
コッパが呟きつつ、丁寧に調べる。
そのセレスティアの青年は恐らく上級生なのか、体格は大きめだった。
「ちょっと失礼……お。まだ生きてる」
コッパが脈を調べ、まだ生きてる事に気付くと顔が見えるように一旦ひっくり返した。
「……ってぇ……」
青年の口が小さく動く。どうやらまだ意識はあるらしいが、はっきりしてはいないようだ。
「保健室まで運ぶか。とにかく」
「そうだな……立てますか? 立てそうにないなら、掴まって下さい」
ビネガーが青年を背負い、コッパが後ろを支えて落ちないようにする。
意外と重い。何を持っているのやら、とビネガーは思った。
「……主に疲労と外傷…、ですね。意外とひどいですがこの怪我でも生きているとは大した生命力ですよ。新薬の実験台に……キシシシ」
保険医、ガレノス先生はそう言って笑った後、呆れた顔のビネガー達に「おっとそうだ」と思い出したように生徒手帳を突き出した。
「一応、生徒手帳が出て来たので名前ぐらいは覚えておきなさい」
「はーい……パルタクス学園六年……聞いた事無いな、パルタクスって」
ビネガーの呟きにコッパが頷きつつ言葉を続ける。
「ギル……ガメ、シュ? ギルガメシュか………すげぇ名前だなぁ、オイラと天地の差だぜ」
「確かにな」
ビネガーとコッパはそう言って笑った後、コッパがふと呟く。
「それにしてもなぁ……この人どっかで見た事があるようなないような……」
「おいおいコッパ、何を言い出すんだ?」
「んー……気になっただけ。まぁ、いいや!」
コッパはすぐに気分を変え、アンと一緒に保健室を出て行った。
ビネガーも慌ててその後を追うが、実はその時。ベッドの上では。
「…………」
そのギルガメシュが意識を取り戻し、コッパ達の背中を見送っていたのだった。
その翌日。ガレノス先生から彼が意識を取り戻したと聞いたコッパ達は見舞いに行く事にした。
見ず知らずの学校の先輩を見舞うというのも不思議な話ではあるが。
「こんにちはーっス! ご機嫌いかがですか?」
「ビネガー、それなんかおかしくね? こんにちは」
「二人とも保健室では静かに……あの、こんにちは」
ビネガーとコッパが花束を抱えて顔を出し、その後に続いてアンが姿を現す。
「………? ああ、オメェらか、俺を助けてくれたっての」
既にベッドの上で起きていたギルガメシュが視線をちらりと向けた後、そう口を開く。
セレスティアにしてはぶっきらぼうで、珍しいな、とビネガー達は思う。
「具合はどうですか?」
「まだ本調子じゃねぇがだいぶマシにはなった……ちったぁリハビリさせてくれたらいいんだが」
「あ、そうだ。ギルガメシュ先輩、荷物、持って来たんですけど」
ビネガーは昨日彼が倒れていた場所に散らばっていた荷物を持てるだけ集めて持って来ていた。中にはレアなアイテムもあって少し驚いたが。
放課後すぐに行って来たとはいえ、いくらか無くなっていないかが心配だが。
「ああ、ありがとな………ん、剣も拾ってくれたのか。悪ぃな」
「いえ……それより、デュランダル二本って凄いですね」
「まぁな」
ビネガーの言葉にギルガメシュは少しだけ自慢げに鼻を鳴らした。
デュランダル二本を振り回しているだけあって、実力は高いのだろう。
「………先輩!」
「……あ?」
「オイラ達を弟子にしてください!」
コッパが突如として口を開く。その突然の一言にギルガメシュだけじゃなく、ビネガーとアンも固まった。
「お、オイラ達、もっと強くなりたいんです! 先輩が相当な強さだって事、今ので解りました! お願いです、オイラ達を……」
「強く、か」
ギルガメシュは小さく息を吐く。
「テメェがそれを望むなら、教えられるだけ教えてやる。ついてこれないならついてこれないと必ず言え。無茶だけはするな」
「ありがとうございます! ほら、ビネガーも!」
「は、はい! よろしくお願いします!」
「お前もかよ!? まぁ、いいけどな…」
「すいません、私も!」
「お前も!? つーか、俺は魔法そこまで得意じゃねーぞ?」
ギルガメシュは三人の特訓に付き合わされる羽目になった。
口では嫌がっているが認めてしまったものはしょうがない。諦めてやるしかないようだ。
「の、前に俺はリハビリがしてぇよ」
「リハビリですか? いい所知ってますよ!」
ギルガメシュの言葉に、アンが声をあげる。
今までわりかし静かなアンが口を開いたのには驚いた。
「ガレノス先生、先輩を少し」
「あまり推奨しませんが、まぁいいでしょう。彼も身体を動かしたがってるようですし…無茶は禁物ですが」
「ありがとうございます、ガレノス先生!」
その時はアンだけでなく、コッパもビネガーも同時に頭を下げた。
「で、場所はどこにあるんだ?」
ギルガメシュの問いに、アン達は「こっちです」と頷き、彼の手を引いて歩き出した。
そして、彼ら4人が保健室を出るとき、ちょうど入り口の所で。
「ガレノス先生、すまないが…ん? ああ、お前らか」
背中に大剣を背負ったディアボロスが姿を現した。
「あ、ダンテ先生。こんにちは」
「…コッパ。お前の後ろにいるセレスティアは誰だ? 見掛けない顔だが」
「昨日、はじめの森で倒れてる所を助けまして。で、これからアン達と一緒にこの先輩のリハビリを手伝うんです」
コッパが胸を張ってそう返答すると、ダンテ先生は「いや、そうじゃなくてだな…」とため息をついた、が、その時にギルガメシュの視線を見て、少し驚いた。
「なるほど、なかなかできるようだな」
「そういう、お前も」
「せ、先輩。ダンテ先生は、オイラの担任で、めちゃくちゃ強い先生です」
「そうか」
ギルガメシュの方はそれを聴くと興味無さげに視線を前に向けたが、ダンテの方はそれが気になった。
「……で、どこでリハビリをするんだ?」
「え? は、はい。ロッシ先生の所に…」
「オレも行く」
アンの返答にダンテは即答するなり、即座にロッシ先生の道場へと向かいだした。
数分後、ロッシ先生の道場に一行が到着した時、ロッシ先生は不在で、代わりに弟子のスフォリアがいた。
「おろ、珍しいネ」
「こんにちはスフォリア先輩。ロッシ先生は……」
アンの問いにスフォリアは「校長の所アル」と答える。どうやらロッシ先生、なんか問題でも起こしたか。
「ところで、ダンテ先生はともかく、後ろにいるセレスティアの人、凄く怖いアル…誰?」
「ギルガメシュだ。パルタクス学園の…副生徒会長をやってる。ちょい、事情があって拾われた」
ギルガメシュはスフォリアにそう答えた後「で」と言葉を続ける。
「おい。…俺のリハビリって誰がすんだ?」
「ロッシ先生に頼もうかと思ったんですけど……」
アンは困った顔で答える。そう、その相手であるロッシ先生がいない。
コッパとビネガーはアンに近寄り、声を潜める。
「おいおい、先輩怒ってるかも知れないぞ? セレスティアにしては気が短そうだし」
「だな。誰か適当に先生引っ張ってくるか?」
「ダンテ先生には……」
アンがそう言いかけたとき、ダンテは興味深げにギルガメシュを見ており、ギルガメシュはそれを不快そうにしていた。
ダンテがそんな顔をするのは珍しいが、あまり仲良くなれそうではないようだ。
そして何もわからないスフォリアが「どうしたネ?」と首をかしげたとき、道場の扉がガラガラと開いた。
「ロッシせんせ…あ、コッパ君、ビネガー君、ここにいたのか!」
扉を開いて入ってきたセレスティアの青年はコッパとビネガーにつかつかと近寄ると口を開いた。
「二人とも。この前の補習プリントはどうしたんだい?」
「ま、マルガリータ先生…いや、その…」
「ぷ、プリントは…その…」
今年赴任してきたばかりの新人教師マルガリータは新人故にまだお固い部分がある事で知られている。
一生懸命なのはいいが、コッパとビネガーの二人にとってはうるさいものである。
「で? どうしたんだい、プリントは?」
「おい、マルガリータ。そのへんにしといてやれ。ちょうどいい時にきたな」
珍しいことに、本当に珍しい事にダンテがマルガリータの前へと入って追及を止めた。
「ああ、ダンテ先生……ちょうどいい時って?」
「ああ。紹介しよう、昨日そこの二人とアンが拾ってきた、ギルガメシュだ。六年らしい。腕も立ちそうだ」
突如ダンテはマルガリータにギルガメシュを紹介した後「で」と言葉を続ける。
「戦術科教師としてお前も経験を積むべきだろうしな。こいつのリハビリに付き合ってやれ」
「……わかりました、ダンテ先生が言うなら」
マルガリータはため息をつくと、ゆっくりと剣を抜いた。
一般的なロングソードだ。ギルガメシュはそれを見ると、さすがにデュランダルで相手をするのもと思い、剣を収めて壁にかかっていた日本刀を勝手に取る。
ロッシ先生のコレクションの筈だが、この際気にしないでおこう。
「さて、ギルガメシュ君、でいいかな? 生憎と手加減しないつもりだ。そのつもりで来て欲しい」
「ああ。…頼むぜ」
ギルガメシュもそれに答え、じりじりと距離を取る。
そして、ダンテがそれを見て興味深げに目を見開いた次の瞬間――――勝負は決まっていた。
たった一瞬。
コッパも、ビネガーも、そしてアンも。
いや、マルガリータも認識できなかった。ギルガメシュはたった一瞬で距離をつめ、刀の峰で一撃を浴びせた。
コッパ達が認識できたのは、道場の壁に叩きつけられるマルガリータの姿だけだった。
「……大した運動にもならネェか」
「…マルガリータ先生!? 大丈夫ですか?」
「あ、ああ…なんとかね」
マルガリータは文字通り半分震えながら立ち上がり、そのまま壁によりかかった。
苦しそうに胸を抑えているのは、胸に峰の一撃を食らったからだろう。
「どうだった?」
ダンテがマルガリータにそう問いかけるが、マルガリータは首を横に振る。
「その…私が彼に教えるべきことは何も無いです」
「だろうな。まだまだ勉強が足りないぞ、マルガリータ」
ダンテはそう答えた後、アンに視線を向ける。
「アン。こいつの治療を。それとギルガメシュ」
ダンテは背中の大剣を抜き放つ。直後、ギルガメシュも日本刀を壁に戻してデュランダルを一本だけ抜いた。
後は言葉をかわさなくてもわかる。
「お前ほど強い奴とやりあうのは、久しぶりだ」
「……あんた、強いな」
ギルガメシュはダンテの言葉にそう返すしか無い。まだ本調子ならどうにかなりそうだが、勝てるかどうか解らない。
ギルガメシュは、先日の敗北のダメージからまだ立ち直ってない、いわば手負いだ。
だが、本調子になったとしても、この男を倒せるかどうか解らない。
だが、とギルガメシュは思う。
この男の腕前を見てみたい、とも思う自分がいた。
「行くぜ!」
先に仕掛けたのはギルガメシュだった。
デュランダルを片手で振り上げ、一気に距離を詰めながら力任せの荒削りな連撃。
ギルガメシュはセレスティアらしからぬ力強さと攻撃速度で相手を圧倒する、それが彼の基本にして最強の戦いだった。
「荒削りだな!」
ダンテはデュランダルの二倍ぐらいの重量はあるであろう大剣を、文字通り軽々と扱い、その連撃を捌ききる。
「!」
「今度はこちらから行くぞ!」
ダンテは大剣を横薙ぎに大きく振るう。その風圧で、ギルガメシュは少しだけ仰け反るハメになった。
そこに隙が出来る。
強烈な踏み込み。道場全体が揺れたと錯覚しそうな踏み込みとともに振り下ろされる大剣。
だが、ギルガメシュとて、それで倒れるものではない。
右手でデュランダルを握っていた、だが仰け反った今では防御には使えない。ならば――――空いている左手を防御に使った。
左手だけで、大剣を受け止めていた。
「なっ…!」
ダンテが思わず動きを止める。そこへ、ギルガメシュは右手を再び動かし、デュランダルを振りかぶった。
しかしダンテもその頃には思考を戻し、咄嗟に大剣を戻す。
剣撃がぶつかりあう。
そのままつばぜり合いなって数秒後、ギルガメシュは距離を取ろうと盛大に床を蹴って後ろに飛び、そして着地して床を蹴り、距離を詰めようとした時だった。
「っ!?」
彼を、激痛が襲った。
傷が開いた、と思った直後にギルガメシュの身体は床へと叩きつけられた。
「勝負ありだ」
「……ああ」
ギルガメシュは首だけを上にあげながらそう返した。
そう、彼の負けだった。
「あの時なぜ動きを止めた」
「…あ?」
「今のだ」
「……傷が疼いただけだ」
ギルガメシュの返答に、ダンテは冷たく返す。
「それでそんな反応をしていたら、生き残れないぞ。今がただのリハビリで良かったな」
「………ああ、そうだろうな」
「邪魔したな」
ダンテが立ち去った直後、ギルガメシュに手を差し出す人物がいた。
マルガリータだった。
「戦術科主任のダンテ先生にあそこまで切り合えるなんて、君は大したものだよ」
「……けど、負けは負けだ」
ギルガメシュはそう返すと身体を起こした。
ふと視線を向けると、コッパ達三人はギルガメシュに畏怖と尊敬が混じったまなざしを向けていた。
それもその筈だ。なにせ、コッパ達は新学期初日にクラス全員ダンテ先生一人に大敗したのだから。
だが、今のギルガメシュはそんな彼と平然と戦っていた。だからこそ、だ。
「……みっともねぇ所見せたな…傷が治ったら、いくらでも教えてやる」
ギルガメシュはそう答えると、どうにか立ち上がる。どうやらこの学校でも退屈せずにすみそうだ。
ダンテは道場を出た後、職員室へと戻ってきた。
職員室にいるのは同僚のパーネ先生だけ。他の教師も生徒もいない。だから、ダンテはいつもとは違い、昔のように声をかけた。
「パーネ先輩」
「どうしました、ダンテ?」
生徒や他の教師の前では呼び捨てにし、ぞんざいに扱っているが二人だけの時はそうもいかない。
「……あっち側の世界の生徒が、一人来ている」
懐かしそうに、ダンテにしては珍しく笑みを浮かべながらそう答えるとパーネも面白そうに笑った。
「そう、で、今は?」
「なかなか強い。帝国の連中とマトモにやり合う事ぐらいは出来るだろうさ」
「……ならば結構。その生徒が帝国の眼を惹きつけておいてくれれば、私たちも動きやすいですし」
パーネがそう答えた時、職員室の扉が開いて魔術科のジョルジオ先生が入ってきた。
二人は即座にいつもの二人に戻った。
「パーネ、いくらなんでもそれは無理な相談だ。勘弁してくれ」
「ダメです。なにがなんでもなんとかしてください」
「しかし」
「しかしもなにもありません。あなたが担任だったではありませんか?」
傍から見ればパーネがダンテを説教中である。いつもの日常だ。
「あら、お二人ともどうしたの?」
「ジョルジオ先生、いい所に来てくれた。実はその…」
ダンテが口を開くより先にパーネが口を開いた。
「ダンテ先生が前に担当していた生徒がダンテ先生に戦術の補習を頼みに来たんです。しかしダンテ先生はさすがにそれはまずいと」
「…その生徒の戦術の成績は?」
「三年生の中ではトップクラスだ。俺個人として教えるものはもう散々教えている」
ジョルジオの問にダンテが首を横に振った時、ジョルジオはダンテの両肩をつかんだ!
「ダメよ! 恋する乙女は愛しい人に一秒でも長くいたいもの! そして何よりダンテ先生の強さは古今無双、その全てを教えるにはまだまだ時間が足りないわ!」
「ほら、ダンテ先生。私の言った通りでしょう。諦めて補習をしなさい」
「ジョルジオ先生に相談したら全部乙女のなんちゃらで片付けられそうな…痛っ! ちょ、ジョルジオ先生、そのステッキ冗談抜きで痛いからやめあだぁっ!」
そんないつものクロスティーニ学園の日常。
しかし、それでも時として変化は訪れつつある。
例えば、行き倒れはギルガメシュ以外にも、出てきたとか。