いやぁ、夏ですねぇ。開放的な季節。
花火や祭りに、海水浴、旅行やデートも乙ですね。
うんにゃ、これじゃあ学生の季節・・・かな?
「おっそいな〜・・・何やってんだろ?」
パルタスクの夏祭り、縁日の屋台が立ち並び、其処此処で学生の姿を見受ける。
その大多数は私服を身に着け、仲間や恋人を連れて年に一度の行事を楽しむ。
ここで人を待つクラッズも、さっさと出店を満喫したかった。なのに、待ち人が一向に現れない。
「う〜ん、まだかな、まだかな・・・」
「オ〜ッス!クラ坊〜!」
「あ、バハ姉・・・いっ!?」
ようやく駆け付けたバハムーンへ振り返るが、妙な声を出して固まる。
彼女は着物を身に付けていた。紅い布地に楓の模様が、頭髪の色と良く似合う。
問題なのはその着物が、必要以上に胸元が強調され、ちらちらと足が覗く事。
つまるところ非常にセクシーな、刺激の強い着物だったワケで。
「ん?何だよ」
「いや、その、派手なの着てるね・・・」
「ふっふ〜。イイだろう、コレ。ねぇねぇ、あたしって色っぽい?」
「え?ああ、うん。まあ・・・」
曖昧な返事しか出ない。それほど妖艶な美しさだった。
パーティーの中で最もグラマラス。時々他の女子からも尊敬の眼で見られる身体なのだ。
「なぁんだよ、照れちゃってさぁ〜。ホントは嬉しくてしょうがないくせにぃ!」
「わわっ!そのカッコで抱き付かないでっ!」
「イイじゃんかよ〜。お前だってカワイイ浴衣姿のくせして〜!」
確かにそうさ。僕だって浴衣だよ。
けどね、そんな華美なものじゃないね。いたって健全な蒼い浴衣さ。
でもバハ姉のその格好・・・どう見てもやらしいってば!
「キャプテーン!んじゃそう言う事で〜!」
そんな彼の心の声をよそに、彼女は明後日の方向へ手を振る。
視線の先を並んで歩いているのは、キャプテンことフェルパーと、それにくっついて歩く水色の浴衣のヒューマン。
「たまの休みだからな。しっかり楽しめよ!」
「バハ子〜!頑張ってね〜!」
あのヒューマンみたくもっと選びようがあるでしょ。なんて思っていたクラッズに、頑張るの真意が解る余地もなかった。
「あー!あれ欲しいなぁ〜。クラ坊、取ってくれないか?」
「取ってって・・・あのぬいぐるみ?」
彼女が指差したそれは射的の景品で、大きなくまの人形だった。
ぱち玉をぱちんこの先端に装填、狙いを定めて撃ち落とす。倒しただけでは景品は貰えず、後ろ側まで落とさねばならない。
こういう店には、いわゆる客引きの景品が少なくない。どうしてもとれないものは必ずあって、ぬいぐるみなどは筆頭候補だ。
大きさ、重さ、加えてスリングの貧弱さ。とても落とせる品には見えない。
「ん〜、ちょっと無理があるでしょ?」
「ええ〜?クラ坊じゃ取れないのか〜?」
「ハッハッハ。確かにこのボウズには、どう考えても無理かもなあ」
ついさっきまでは理屈っぽく乗り気になれなかったが、出店のオヤジが放った一言は、明確にカチンと来た。
ぱち玉は5発300G。懐から小銭を投げ出す。
「おっちゃん、僕にもやらせてよ」
「あいよ。せいを出してくれや」
「クラ坊・・・大丈夫か?」
「まあ見てなよ」
射的台に乗ってぱちんこを撃ち出す。くまの額に命中するも、倒れるだけで獲得はできない。
「駄目だなボウズ。これじゃあゲットできないぞ」
「・・・バハ姉、それから射的のおっちゃん」
だが、この一発で彼には解った。後3発もあれば落とせる。
片手に弾を握りしめ、1発を構えて静かに語る。
「ゼイフェア学園最強の狩人・・・竜殺しのクラッズをなめないでよ!」
気合を吐き出してぱち玉を撃つ。明確な狙いを込める。
1発。くまの肩に命中。絶妙な具合に重心を傾ける。
2発。反対の腕に的中。くるりと一回転する人形。
3発。顎に会心の一撃。棚の奥まで吹き飛ばす。
「あっ!」
「この野郎、やりやがった!」
「やったやった〜!へへん、どんなもんだい!」
得意気に勝ち名乗りを上げる。関心する射的のオヤジと、自分の事の様に喜び彼に抱き付くバハムーンがいた。
悪い感じはしなかった。ちょっとだけ恥ずかしかったけどね。
周りからも拍手喝采を受けて、バハ姉所望のぬいぐるみを勝ち取った。
手に入れたそれはかなり大きいぬいぐるみで、バハムーンが「部屋まで置きに行きたい」と言いだすほどの品だった。
学生寮まではあまり遠くない。しばらく歩いていると、戦友のディアボロスとノームの二人に鉢合せる。
「クラ坊にバハ子か。また随分でかい物を抱えているな」
「へへ〜、イイだろう。ついさっきクラ坊が射的で取ってくれたんだぜ」
「これを?だとしたら上等の戦利品ね」
「まあね。射的のおっちゃん、信じられないって顔と、してやられたって顔が半々だったから」
ディアボロスには浴衣が似合う。和服がしっくりくるのは偏見かも知れないが、それでも似合う。
対するノームも可愛らしい。花柄が合う空色と桜色、何となく清楚な印象がある。
やはり彼女が纏う着物は、どこか不自然に大人っぽすぎる。
「これから寮まで持って行くんだ。流石に持って歩けないだろ?」
「そうだな。文字通りのお荷物だ」
「早く戻って来ないと、貴重なひと時を無駄にするわよ?」
ノームが控え目にディアボロスの腕へしがみ付く。ちゃっかりしているのは昔から。
少々照れ臭いようだったが、ディアボロスはそっぽを向いて、ノームと共に人混みの中へ消えて行った。
そのまま寮までたどり着いたバハムーンは、人形を置いて来ると言ってクラッズを彼の部屋に待たせていた。
しばらくベッドに座って待っていると、ノックも無く扉が開く。
「あ、バハ姉。もう行ける?」
その時のバハムーンが普段と違う雰囲気だった事に、あるいは気付いた方が良かったのかも知れない。
「クラ坊・・・・・・抱いて」
両手で着物の肩を下ろし、バハムーンがクラッズ押し倒す。
ベッドの上に押さえ付けられる。その拍子に蒼い浴衣が若干はだけた。
「え、え、ちょ、バハ姉?」
「お前の好きにしていいから、あたしと交わってくれないか?」
「な、何言ってるのさっ!だって僕ら、まだ学生で!」
「クラ坊・・・あたしのコト、嫌いか?」
これが決定打となった。クラッズの理性が消え去って行く。
何だよ・・・嫌いなワケないじゃないか。
僕だって、バハ姉のコト――――。
「・・・・・・ああっ!もうどうにでもなれえっ!」
体制をひっくり返す形で、クラッズは覆い被さった。いや、正確には襲いかかった。
「きゃ!」
「バハ姉が、いけないんだからね!僕を誘惑したりしてっ!」
上に飛び乗ってからすぐに、クラッズは豊満な果実を乱暴に揉みしだいた。
力を入れるとたやすく変形する。そして、バハムーンが身をよじる。
「く、クラ坊・・・もっと、優しく・・・」
「嫌だねっ!僕のしたいようにするよ!」
「んあっ!先っぽ、弱いのぉ・・・」
そうは言ってみたものの、やはり彼にも情けがあったのか。
握り潰すのと変わらない加減を少し緩めて、指で穏やかに包み込む。
片方の先端を口に含む。もう一方の突起を摘む。コリコリといじってみる。
「はうっ、あんっ!どうだ、あたしのは・・・」
「ん・・・バハ姉のおっぱい、柔らかくてスベスベで・・・なんか、甘い匂いがする」
夢中になって乳房を貪る。張りのある見事な膨らみを、とりつかれたように味わう。
「はあっ、んっ・・・クラ坊」
クラッズの返事より速く、バハムーンは再び上乗りになった。
軋むベッドのバネが作用し、互いの身体が少しだけ跳ねあがる。
「わわっ!何すんのさ!」
「ん〜?クラ坊も、シテ欲しいだろ?」
慣れた手つきで浴衣を剥ぎ取られる。隠していたモノが表に出た。
「きゃあ〜!クラッズのくせに、おっきい〜!」
何と比べているのかも解らないが、露わになったそれは確かに大きい部類に属するはずだ。
これは家計の遺伝だと、だいぶ前に父から言われたことを思い出す。
「あたしの身体、そんなに興奮した?」
「だ、だってバハ姉がいやらしいから・・・」
「わ〜、ホントに半端じゃないわ・・・じゃ、気持ち良くしてやるからな」
そう言ったかと思うと、バハムーンは胸を寄せ始めた。
動くに動けないクラッズの男根を、立派な房で挟み込む。
さっきまで一心不乱に食い付いていた禁断の果実。反則級の猛烈な刺激だった。
「うああっ!凄っ、これ、ヤバい・・・っ」
「大丈夫か?あんまりすぐにイッたらダメだぞ?」
耐えられるほど簡単なレベルではない。初めての行為という事もあって、予想外の感覚は激しすぎた。
「ちょ、ちょっと待ってて。何とかするから・・・」
クラッズは口元を隠し、何やら眼を瞑りブツブツ唸り始める。
やがて薄い光に包まれる。それ自体は一瞬だが。
「な〜る。サイコプロトか」
「こういうのに使った事ないから、効くかどうか解らないけど・・・」
「充分だろ。さ〜て、可愛く喘げよ」
バハムーンが谷間に涎を垂らす。ちょうど亀頭の部分にそれが当たる。
魔法の補助効果が無いさっきまでのクラッズであれば、この瞬間には果てたに違いない。
とはいえ強烈な快楽。抑え切れずに声が漏れる。
「ああっ!バハ姉、それも凄い・・・」
「だろ?こんなのとか、耐えられるか?」
言うが早いか、はさんだままの胸部を大きく上下し始めた。
これまた電流のように激しく、快感が全身を駆け巡る。
「んんっ!うあっ!これ、気持ちイイよ・・・っ!」
「はっ、はあっ、また少しココが大きくなったな、クラ坊」
「バハ姉、ダメっ!もうこれ以上はっ!」
「あっ、あたしもダメだ、欲しくなってきたあっ」
うわごとのように呟いてバハムーンは胸を離すと、仰向けになって着物を開け広げ、下半身をクラッズに晒す。
「クラ坊、解るか?ここにお前のを挿入れて欲しいんだ」
「・・・これが、バハ姉の、アソコ・・・」
「もうたっぷり濡れてるだろ?軽くあてがったら一気に突き刺して・・・」
いきなり見せられた乙女の極部、そこから漏れ出る快楽の蜜、全てがクラッズの本能を誘い出す。
盛大に湿っている。愛液が湧き出る部分を舐め上げると、バハムーンの身体が敏感に反応した。
「ひゃうっ!焦らさないで、早くぅ・・・」
しおらしい彼女の声。見た事も無い淫乱な姿。さらには男を求める陰部。
もはや欲望しか生み出さない状況に、クラッズも覚悟を決めた。
先端で僅かに撫でつけ、自身を深く突き立てる。メスの清純を打ち破る確かな手応えがあった。
「っああぁあ!」
「バハ姉!大丈夫?」
「へ・・・平気だ」
「でも、でもココから血が・・・」
「てめぇバハムーンの生命力なめんな。そんなに心配ならキスの一つでもしやがれ・・・っ」
酷な様子で顔をしかめ、喋りが地に戻りかける。
本気で心配だったクラッズは、身体をかがめて唇を重ねた。
それを待っていたかのようにバハムーンが舌を絡める。脳がとろける淫靡な音が、お互いの耳に響き渡った。
「んちゅ、はむっ、んぷ、んむ・・・」
「んく、はあ・・・大丈夫だ、動いてイイぞ・・・」
名残惜しそうに煌めく糸で繋がった唇から、行為の再開が求められた。
ゆっくりと腰を落とす。驚くほど抵抗が緩む。
顔色を窺いつつ、一体になる快感に酔い痴れる。
「あっ、はあうっ、気持ち、イイ?」
「ん、あうっ、イイぞクラ坊。少しずつ速度を上げて・・・」
「うん・・・ちょっとずつ、ね」
あくまで彼女の方に合わせる。これが好きな相手でなかったら、未知の快楽に抑制が効かない。
全力で欲望を加減しつつ、だんだん速く、奥までしゃくりあげるよう腰を振る。
「ああっ、ひゃあん!イイ、気持ちイイっ!」
「ぼ、僕も、最高だよっ、バハ姉!」
「こんなに感じちゃうなんてっ!もっと、もっと激しく犯してぇ!」
はしたなくおねだりするバハムーン。着崩れたセクシーな着物に本能を愛撫され、クラッズも欲に任せ秘部を突く。
「あうっ、ダメぇ、僕もう出ちゃうう!」
「ひゃあん!あたしも、らめえぇっ!」
「うう、出る、イク!バハ姉ー!」
「ああん!イクぅ!あっはあぁーーーっ!」
派手に身体を反らすバハムーンに、大量の精液を吐き出す。
自分も大きく弓なりになって、絶頂の快感に浸る。
量も多く濃厚な子種が、なおも子宮に吸い上げられていった。
「あ、うう・・・はあっ」
「はっ、はっ、サイッコー・・・っ」
「バハ姉・・・あのさ」
「え?」
「気持ち良くなったら・・・僕、眠くなって来ちゃった・・・」
「そうか。後はいいから、このまま寝ろ」
「ん・・・ありが、とう・・・オヤスミ・・・・・・」
そのまま気が遠くなり、バハムーンに抱かれたままクラッズは眠りについた。
「・・・・・・ってとこまで覚えてるんだけどな・・・」
朝を迎えたクラッズは全裸で、同じく一糸纏わぬバハムーンに抱き抱えられてベッドの上にいた。
起き上がって下を眺めると、脱ぎ捨てられた服が落ちている。
「でも、まだ夢みたいだなぁ。バハ姉とエッチできたなんて・・・」
無防備に寝顔を晒すバハムーンの横顔を見る。ポニーテールもほどけているすっぴんの彼女は物凄く可愛らしい。
「ちょっとくらい、イイ・・・よね」
おずおずと顔を近づけ、寝ている彼女と口付けを図る。
ただ、この手の接吻は寸止めで終わるのがお約束。
直前で僅かに動いたせいで、クラッズは反射的に飛びのく。
「ん・・・クラ坊・・・愛してるぜ」
寝ぼけているのか寝言なのか、それとも起きていてわざとなのか、バハムーンの一言がこれだ。
クラッズも冷静になる。落ち着いて考えてみれば、別に寝込みを狙わなくてもいいじゃん。
もう一線越えちゃったから。そんな関係になっちゃったから。
でも、一応僕も男だし、姑息な手は使わない。
この女の子は、チームメイトで相棒で――僕の大事な人だから。
彼女は放してくれないだろうけど、そんなに悪くないだろうし・・・・・・ね。
「僕も・・・大好きだよ、バハ姉」