人はみんな、私達を変わってると言う。
私も、それは否定しない。変わってる。ずいぶん変わってる。おかしいと言われても、否定はしない。
私には付き合ってる子がいる。私は女で、付き合ってる相手も女の子。この時点で、おかしいなんてことは最初からわかってる。
「ヒュマちゃーん!元気ー!?」
「うん、元気」
「そっかぁ、それならいいんだ!ねえねえ、今日は何しよっか!?」
「フェアリーのしたいことでいいよ」
いっつも元気な、フェアリーの女の子。馴れ初めなんて、覚えてない。まあ、パーティ組んでるんだから、それが縁だったはず。
好きだって言われた。私も嫌いじゃなかった。取り立てて好きってわけでもないけど、いい子だとは思ってた。だから、付き合って
欲しいって言われたとき、私は二つ返事で承諾した。
「じゃあさじゃあさ!まず学食行こうよ!それでおいしい物食べてさ!図書館で本でも読んで…!」
「前、うるさいって叩き出されたでしょ」
「あ、そっか!それじゃ図書館はやめてさ!軽く地下道探索なんていうのどうかな!浅場だけだったらさ、私達だけでもいけるし!」
「うん、そうだね。それもいいね」
暗いって、よく言われる。別に暗いんじゃなくて、必要ないときに笑いたくないだけなんだけどね。必要最低限のことしか喋らないし、
だからみんな、私にはあまり近寄らない。
フェアリーだから、なんだとは思う。彼女にしてみれば、ヒューマンだったら何でもよかったんだと思う。それでも、私は好きだって
言われたとき……ちょっと、嬉しかった。
彼女は、私と全然違う。いっつも元気で、うるさくて、騒がしくて、やかましくて、だけど笑顔を振りまいてて、周りのみんなも笑顔に
するような、そんな存在。それが、私なんかと付き合ってるのは、やっぱり誰が見ても変わってる。でも、彼女はそれを疑問に思わない。
頼りになる子でもある。魔術師で、かなり熟練してて、戦士の私なんかが動き出す前に、敵が全滅してることも少なくない。おまけに、
以前は超術士学科も習ってて、僧侶学科もちょっとだけかじっている。だから、彼女一人いれば、ほぼ全部のことができてしまう。
だけど、彼女は言う。
「えへへー!勝てたよ!ヒュマちゃんのおかげだねっ!」
「私、何もしてないよ」
「そんなことないよー!」
「剣抜いただけだし」
「でも、見ててくれたでしょ!?」
「うん、すごいなーって思ってた」
「えへへ〜、そうやって褒めてくれるから、私、頑張れるんだよっ!」
と、いうことらしい。正直言って、私には理解できない感覚。別に他人が褒めてくれるからって、何かいい事があるわけでもないのに。
それに、私は褒めてるわけじゃなくって、率直な感想を述べただけ。でも、褒められたって本人が思えば、きっとそうなんだろうと思う。
学食に行って、ご飯を食べて、地下道を歩いて、アイテムを拾って、強くなって、また学食に行って、寮に戻る。それが、私達の毎日。
ああ、でもそれだけとは言えない。もう一つ、日常とは少し言いにくいけど、私達に欠かせないものがある。
「ねえねえ、ヒュマちゃん!これ食べたらさ、部屋行っていい!?」
「うん、いいよ」
「やったぁ!えへへ、またヒュマちゃんとぉ〜…!」
「ご飯こぼしてるよ」
「あ、ごめんごめん!でもさ、やっぱりさ……えへ〜…!」
「涎垂れてるよ」
付き合ってる以上、当然肉体関係も持ってる。女同士だけど、恋人同士って考えれば、普通なことだけどね。
二人で部屋に入って、鍵をかけると、すぐにフェアリーが飛びついてくる。
「えへへ〜、またできるねっ!」
「うん」
「ん〜、むにむに。触ってる私も気持ちい〜」
「ん……もう、いつもいきなりすぎ」
「あはっ、ごめんごめん!それじゃ、チューから初めよっか!」
全然サイズがあってないけど、とにもかくにも、私達はキスから始める。ただし、舌なんか入れようとしたらフェアリーを窒息させて
しまうので、恋人らしくない、軽いキスしか出来ないけど。
フェアリーは積極的。キスの合間にも、いつの間にか私の胸をまさぐり、弱いところを徹底的に責めてくる。
「んっ……うっ…!」
「んふふ〜、どうヒュマちゃん?気持ちいい?」
「ん……うん…」
「今日も、いっぱい、い〜っぱい気持ちよくさせてあげるね!」
体が小さいからなのか、彼女はとても器用だ。彼女に胸を弄られると、自分でするときの数倍は気持ちいい。乳首を手全体で包み込み、
捏ねるように揉まれると、指でするのとは全然違う感覚が襲ってくる。
「んあぅっ……あっ…!」
「ふふー、ヒュマちゃんって胸弱いよねー!ほ〜ら、もう腰砕け!」
私はわからないけど、たぶんそうなんだろう。実際、そうやって胸を弄られただけで、私は立っていられないほどになってしまう。
そんな私をベッドに押し倒してから、フェアリーはいつもの笑顔で私を見つめる。
「もうちょっと、してあげるね!」
「う、うん」
小さな手が、私の胸をまさぐる。指先でくすぐられ、時にはちゅうっと吸い付かれ、舌でちろちろと転がすように舐められる。その度、
私は押さえきれない声を上げ、フェアリーを喜ばせる。
「ん……ん、う……痛っ!」
たまに、フェアリーは私の乳首に噛みつく。でも、その痛みがまた、刺激の単調さを壊し、ちょうどいいスパイスになってくる。
「あは、立ってきた立ってきた!」
嬉しそうなフェアリー。こうなってくると、彼女の手は本当によく動く。その立ってきた乳首を押し潰してみたり、揉んでみたり、
時には男の人のを扱くように撫でられることもある。爪を立てられることもあるけど、それはやはり苦痛ではなく、快感の一つの形として
受け入れてしまう。
そうやって胸を刺激されるうち、ごく自然に濡れてきてしまう。前は、このパンツが肌に張り付く感じが、気持ち悪くてたまらなかった
けど、今はその感覚が、これから味わう刺激の予兆みたいになってしまって、この感覚があると胸が高鳴る。
フェアリーは胸を触るのが大好きだった。サイズが違うのをいい事に、舐めたり揉んだりするのはもちろん、体全体で私の胸を
揉んでくる。というより、フェアリー自身が、私の胸に埋もれるのが好きらしい。
「うう〜ん……むにむにぃ……気持ちいい〜…!」
「……私も」
なんか『気持ちいい』の意味が違う気がするけど、気持ちいいって部分は同じだから、あまり深く考えない。
「ん、ヒュマちゃん濡れてきたね〜。それじゃ、責める場所変更〜!」
胸とそこを一緒に責めてもらえないのだけが、ちょっとした不満でもある。でも、フェアリーにしてもらうとすごく気持ちいいから、
あまり大した問題でもない。
もう、私のそこはとめどなく透明な液を溢れさせ、スカートにまで黒い染みを作っていた。
「わぁ、もうびっしょびしょ!早く言ってくれれば良かったのにー!」
「……ごめん…」
「そうじゃなくって、気持ち悪くなかった?言ってくれたら、脱がせてあげたのに」
「……胸が、気持ち……よかったから。やめて……ほしく、なくて…」
「そう?そう?えへへへ〜!」
満面のにやけ顔を浮かべながら、彼女は私のスカートとパンツを脱がしてくれる。いつもいつも、この瞬間が一番ドキドキする。
「お、クリちゃんもこ〜んなに大っきくなっちゃって!ほんと、ヒュマちゃんのって大っきいよね〜!」
そう言われても、他の子のなんて見たことないからわからない。
「フェアリーは……見たこと、あるの?」
「あるよー、何人か!ヒュマちゃんも、お風呂なんかで見ない〜?」
「私……は…」
「普通は見ないか、えへへ!でもね、ほんとにヒュマちゃんの大っきいんだよ!だから、すっごく責め甲斐あって、大好き!」
少し、悲しくなった。やっぱり、フェアリーにとっては、私は数いるヒューマンのうちの一人。きっとこうして、何人もの子と
付き合ってきたんだろうと思う。
「あ、なんか暗くなっちゃった?でもね、すぐまた気持ちよくさせてあげるからねっ!」
小さな手が、私の大事なところに触れる。
「んっ…!」
「んふふ〜、今日も可愛い声、聞かせてね!」
小さな口が、その人より大きいと評された突起を吸う。途端に、痺れるような快感が体中を走り抜けた。
「うああぁっ!あっ!」
「ほらほら!まだ序の口だよ!」
言いながら、フェアリーは全体を撫で、襞を引っ張り、口ではずっと突起を責めてくる。先端を舐められ、吸われ、その度に私の意識と
関係なく、体が弾かれたように跳ね上がる。
「ああっ……うっ、あっ!」
にやりと、フェアリーが笑った。同時に、その敏感な部分にちくりと痛みが走る。
「やっ……噛んじゃ、ダメ…!」
「ほぉ〜ら、ここも好きだよね〜!?」
「だ、ダメぇ!そこは…!」
フェアリーの指が、普通なら絶対に入らない穴に入り込んだ。突き抜けるような痛みが走り、同時にそれが快感に変わる。
「いやっ!そ……そこは、おしっこのぉ…!」
「ほらほら、もっと激しくしちゃうよー!」
「い、痛ぁっ!ダメ、激しくしないでぇ!」
痛い。本当に痛い。指を出し入れされるたび、鋭い痛みが走る。おまけに、フェアリーは敏感な部分に歯を立て、襞に爪を立て、
徹底的に痛みを与えてくる。
だけど、きっとフェアリーのせいだけど、私にはそれが快感としか受け取れなくなっている。体をよじるのも、シーツを握り締めるのも、
痛いからじゃなくって、気持ちよさに耐えるため。
「もっ……やめっ…!い、痛いのは、もうやだっ…!」
「え〜、気持ちよさそうなのになあ。でも、いいよ!それじゃ、もっと好きなのやってあげるね!」
一度、フェアリーは私から離れた。可愛い笑顔を浮かべ、手をぎゅっと握る。それを見ると、私の体の奥がジンと疼く。
「それじゃ、いっくよぉ〜!力、抜いててね!」
拳が、少しずつ私の中に入ってくる。その圧迫感に、全身から嫌な汗が噴き出す。
「あぐっ……き、きつ、いっ…!」
「ああ……ヒュマちゃんの中、温かいよぉ〜…!」
どんどん、拳が体の奥に入ってくる。体の中を無理矢理押し広げられ、肺の空気を押し出されるような感覚。でも、それがたまらなく、
気持ちいい。苦しいのに、その苦しささえも気持ちいい。
拳自体は、そんなに大きくない。たぶん、男の人のあれと大差ないぐらいの太さ。だけど、私の中に、肩まで腕を突っ込むフェアリーを
見ると、その異常な光景に恥ずかしくなって、胸がどうしようもないほど騒いで、そして、体が熱くなる。
「あはは、こんなに濡れてるから、もう肩まで入っちゃったよ!ほらほら、ここが一番奥かな〜?」
「あくっ!だ、ダメ…!お腹の中、叩かないでっ…!」
「そんなこと言っちゃって〜!ほんとは大好きなんでしょ〜!?」
お腹の中を殴りつけるように、フェアリーは何度も何度も拳を突き入れてくる。その度に、体の奥にずしんと鈍い衝撃があって、
疼くような痛みがあって、どうしようもないほど気持ちよくなる。
グチャッ、グチャッとすごい音を立てて、何回もお腹の奥を殴られる。突き入れるときは、押し出された液が飛び散り、引き抜くときは
一緒に引き出された液がどろりと零れる。フェアリーは、そうして私の体液に塗れて、すごくいやらしい笑顔を見せる。
「うあっ……かはぁっ!ダメっ……手ぇ広げないでぇっ…!」
「どう?もうイッちゃいそう?」
「く、苦しっ……あんまり……激しいのはぁっ…!」
「まだ余裕あるかな〜?それじゃ、もっと強く行くよ〜!」
体の奥を殴りつけられる。透明な液が飛び散る。敏感な突起を舐められ、跳ね上がった体を体内から押さえつけられる。周りの音が
一瞬にして聞こえなくなり、叫びだしたいほどの快感がまとめて襲い掛かってくる。頭の中が一気に白くなり、体が浮くような感覚が
襲ってきたところで、不意にフェアリーは腕を止めた。
「はぁっ……はぁっ……はぁ…」
急に音が戻ってくる。自分の呼吸と、トクトク鳴ってる心臓の音がうるさい。
「ふー、危なかったぁ!ヒュマちゃん、イッちゃいそうだったでしょ!?」
「……うん…」
「うふふ、イク時は一緒!それじゃ、いよいよヒュマちゃんとぉ〜…」
ズルズルと、体の中から腕が抜け出ていく。その感覚に、私はまた跳ね上がる。
「うああぁっ!!も、もっとゆっくりぃっ!!」
「この方が気持ちいいでしょ!?でも、イかせてはあげないからね〜、うひひ!」
言葉通り、すごく気持ちいい。なのに、絶妙なところで刺激が足りない。もうちょっとでイけそうだったのに、その頃にはもう、
腕が抜け切ってしまった。
「うふふ、か〜わいい!そういう、放心したようなポーッとした表情、すっごくかわいいよ!」
そうなんだろうか。私はだらしないだけだと思うんだけど、きっとフェアリーが言うから、そうなんだろう。
彼女は、今まで私の中に入っていた腕を、愛しそうに舐めている。私の液でドロドロになった腕を、丁寧に、陶然とした顔で舐めている。
「ヒュマちゃんの、おいしい…!ふふ、もっともっと、気持ちよくさせてあげちゃうんだから!」
視界の端で、フェアリーが服を脱ぐのが見える。小っちゃくて、可愛い体。これから、一つになる体。
仰向けに転がる私の上に、フェアリーが馬乗りになる。その顔は、これからの行為の期待に紅潮し、呼吸もすごく荒くなっている。
きっと、今の私も、彼女と同じ顔をしてるんだろう。
「ヒュマちゃん……一緒に、気持ちよくなろっ!」
フェアリーは私の敏感な突起に手を沿え、そこに自分の大事な部分を押し当てる。既にとろとろと透明な液を滴らせるそこは、
早く入れて欲しいといわんばかりに、ヒクヒクと蠢いている。
「あっ…!」
「それじゃ、いくよ?」
彼女の中に、頭の部分が入り込む。それにつれて、全体を包んでいた皮が剥かれ、敏感な部分がむき出しになっていく。
「うああ!!うあああぁぁっ!!!」
「やっ!ヒュマちゃん、ダメぇっ!!あんまり、腰跳ねさせないでぇっ!!」
「だ、だって、無理ぃっ!!き、気持ちよすぎてっ!!あ、頭、おかしくなるぅっ!!!」
皮を剥かれ、敏感になったそこが、フェアリーの粘膜に包まれていく。本当に、例えなんかじゃない、気が狂いそうなほどの快感に、
私は叫ぶことしか出来ない。
「もうっ……せめて、クリちゃん全部入れるまで、待ってぇっ…!」
「は、早くしてぇぇ!!おかしくなっちゃうよぉぉ!!!」
柔らかくて、暖かい粘膜がくちくちと擦れ、ねっとりした感じが全体を包み込んでくる。その上、中はとろとろなのに、すごくきつく
締め付けられて、無意識のうちに腰が跳ね上がる。
「も、もうちょっと……んぁ……あっ……入っ……たぁっ!!」
フェアリーが、可愛く顔をしかめながら、私の腰に座っている。女の子同士なのに、今、私はフェアリーを犯している。
そう考えるだけで、もう我慢できない。たまらない快感が全身を駆け抜け、もう抑えは利かない。
「フェ、フェアリー!動くよ!動かすよぉ!」
「あっ、ま、まだ待ってぇ!きゃんっ!!あっ、あっ!!は、激しすぎいぃぃっ!!!」
私の敏感な部分が、フェアリーの体内で擦られる。今度はフェアリーの溢れさせる液が、私の体を汚していく。突き上げるごとに、
フェアリーの体が揺れて、涙と唾液が零れる。しまりのなくなった彼女の顔は、すごく可愛い。
彼女のお腹の中を、ぐちゃぐちゃに掻き回して、私は欲望のためだけに腰を突き上げる。フェアリーはフェアリーで、その乱暴な動きを
楽しんで、私のをぎゅうっと締め付けてくる。
「ああっ!!ヒュマちゃ……あうぅっ!!ふああっ!!!」
「フェアリー!!フェアリー!!!もっと、もっと気持ちよくしてぇ!!!」
もっと締め付けて欲しい。もっと擦られたい。もっとぐちゃぐちゃにしてあげたい。もっと可愛い顔を見たい。
何度も何度も突き上げて、私自身も昂ぶっていく。女の子同士なのに、フェアリーを犯して、気持ちよくなっている。
気持ちよさがどんどん強くなってきて、わけのわからない、叫びたいような衝動が来て、すごくすごく、体が浮くような感覚になって、
頭が白くなって、もうわけがわかんなくなる。
「フェアリー!!!イこう!!一緒にイこ!!!フェアリー!!フェアリィーーー!!!」
「あああぁぁ!!ヒュマちゃん!!もっと突いてぇ!!いっぱい突いてぇ!!お腹突き破ってもいいからぁ!!ヒュマちゃんんん!!!」
繋がってる部分から気持ちいいのが広がって、全身それしかなくなって、頭の中までふわっとなって、私達は滅茶苦茶に叫ぶ。
「イグゥ!!!イッちゃううぅぅ!!!ああああああ!!!フェアリーイクううぅぅぅ!!!!」
「気持ちいいのおぉ!!!ヒュマちゃんの、すごいのおぉぉ!!!ダメ!!!もうダメ!!!私もうダメえええぇぇ!!!」
ガクンと腰が跳ね上がって、フェアリーの体の一番奥まで突き入れて、私もフェアリーも、同時に叫んで、動けなくなった。
私もそうだけど、フェアリーも体が思いっきりのけぞっちゃってて、一瞬死んじゃったかと思うぐらい動かなかった。
だんだん、気持ちいいのが薄れてきて、頭も少しだけ動くようになって、体にすごい倦怠感が出てきて、私もフェアリーも、ぐったりと
全身の力が抜けた。私はそのまま仰向けに寝て、フェアリーは私の上でうつぶせになる。
「……ヒュマちゃん、大丈夫?」
ちょっと間延びした、優しい声。いつも彼女は、こうして私に声をかけてくれる。それが、いつもちょっと嬉しい。
「……うん…」
「すごく、気持ちよかったよ。ヒュマちゃん、今日も可愛かったぁ」
くちゅっと小さな音を立てて、フェアリーが私のを引き抜く。それもすごく気持ちよかったけど、もうしばらく気持ちいいのはいらない。
私の胸元まで来ると、彼女は優しいキスをしてくれた。
「ねね、そのうちお尻の方も試してみる?」
「そ、そこまでは、ちょっと……その…」
「そっかぁ。うん、確かに今でも結構ハードだもんね!あはは!」
ちょっと笑ってから、フェアリーは私の顔をじっと見つめてきた。
「ヒュマちゃん、大好きだよ」
「……私も、だよ。フェアリー」
フェアリーは、嬉しそうに笑った。でも、こんな時になんだけど、やっぱり聞いてみたい。
「でも、さ」
「うん?」
「フェアリーは……私じゃなくても、他にもいい人、いっぱいいるでしょ?」
すると、フェアリーは丸い目をしばたかせ、不思議そうに首を傾げた。
「いきなりどうしたの?……あ、わかった。他の子のクリちゃん見たことあるって言ったから、やきもちやいてるんでしょ?」
合ってるような、合ってないような。
「ん〜、確かにさ。他の子と付き合ったことはあるんだ。まあ、最初の子は長続きしなかったし、次の子は結構続いたけど、やっぱ男に
走っちゃったし、その次の子は…」
わかってはいたことだけど、フェアリーのそういう恋愛遍歴を聞いていると、何だか悲しくなってしまった。やっぱり、私はその中の
一人でしかないんだ。
「それで、その次の子は…」
「もう、やめてよ。そんなの、聞きたくない」
「え、あっ、ごめんね!そうだよね、無神経だったよね!」
目を逸らした私に、フェアリーは本当に申し訳なさそうな顔をした。……この顔も、結構可愛い。
「あの、それで、私が言いたかったのはね、確かにそうやって色んな子と付き合ったけど、ヒュマちゃんだけは違うの!」
「……どうせ、みんなにそう言ってたんでしょ…?」
「違うの!これだけは違うの!ほんとだよ!私、女の子には嘘つかないもん!」
「……男の子には?」
「つきまくり」
何だか、逆に信じられるような気がしてきた。
「あのね、信じてくれないかもしれないけど、私、初めてヒュマちゃん見た時にピーンときたの!『ああ、この子だ!』って!」
「一目惚れ?」
「ん〜、たぶんそれ。でね、ヒュマちゃんとこうしてるとさ、ほんとに、今までのことなんか全部忘れちゃうぐらい、幸せなんだよ!
その……ヒュマちゃんには、なんか色々、申し訳ないことしちゃってる気がするけど、その……とにかく!ヒュマちゃんはヒュマちゃん
じゃないと、ダメなの!他の子じゃ、代わりになんてなれないのっ!」
私をしっかりと見据える、小さい目。でも、その目には力強い光があって、嘘には見えなかった。
「……嘘でも、信じるね」
「もぉ〜、嘘じゃないってばぁ!でも、そこまで信じてくれるのは嬉しいなっ!」
嬉しそうに言って、私の体にしがみつくフェアリー。私も、その体を片手で抱き締める。
変わってたっていい。おかしくたっていい。他の人から何と言われようと構わない。いっそ、フェアリーの言葉が、全部嘘だって構わない。
私はずっと、この子と恋人でいよう。
そう、しっかり心に刻んで、目を瞑る。体に感じる、小さな恋人の暖かみを感じながら、私は幸せな眠りへと落ちていった。