ハウラー地下道、そこはパルタクスからランツレートへの最短ルートだ。  
ランツレートを目指すパルタクスの学生ならば誰もが一度は通る道である。  
そんな場所を二人は歩いていた。  
 
「…おい、人間。さっきから何だジロジロ見て」  
「…貴方にはジロジロ見られる心当たりはないんですか?」  
「あるわけないだろう。私はいつもと変わらんぞ」  
ヒューマンは盛大にため息をついた。  
その様子にバハムーンはさらに苛立ちを募らせる。  
「だから、何なのだ!言いたいことがあるならはっきり言え!これだから人間は…」  
「…バハムーン、貴方は竜で尚且つ神子です」  
「それが何だというのだ」  
「それはつまり、貴方が多くの防具を装備できないことを意味します」  
「回りくどいぞ、さっさと結論を言え」  
「…だからと言って」  
ヒューマンはバハムーンを指差し突如大声を張り上げた。  
「だからと言ってその格好は何ですか!タンクトップに危ないパンツ!更に武器は皮の鞭!!どこの痴女ですか貴方は!?というかもうSM嬢でも通じますよそれ!!」  
「何を言うかと思えば…これはバハムーンの神子にとっての正装だぞ。それに鞭といえばオロチ厨などという単語が生まれるほど神子と相性がいい。今から鞭に慣れておいてなんら不都合などあるまい」  
「大体、この次はザスキアが待ってるんですよ!半裸で氷河に乗り込む気ですか!?」  
「何、問題はない」  
バハムーンはヒューマンが羽織っている毛皮のマントへと潜り込んだ。  
「幸い、私よりも大きい暖房器具がここにある。それに君主は神子を護るのが仕事だろう?」  
 

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