「も〜〜〜〜!バハムーンってばそんなオクテな考えじゃいつまでたってもダメ!だよ〜〜」
初夏を迎えたクロスティーニ学園の学生寮。
夏の日差しが窓からいっぱいに降り注ぐ大きな食堂の片隅でキャッキャと甲高い声が響いた。
「ちょっと…フェアリー、声大きい!他の人に聞こえちゃうでしょ!」
丸いテーブルを囲むようにして座っているのはフェアリー、バハムーン、そしてノームの3人組の少女。
その中でも一際長身のバハムーンの少女が顔を赤らめ恥ずかしそうに周りを見回した。
「ダイジョブ、ダイジョブ!他の人の話してることなんか皆気にしないって!…で、バハムーンはやっぱディアボロスが好きなの?」
大きなくりくりと動く目を輝かせながらフェアリーがバハムーンに問う。
バハムーンは恥ずかしそうにトレイに乗っていた食後のケーキをフォークで一刺しすると「うん…」と頷く。
やっぱり〜とフェアリーとノームは互いに顔を見合わせ少しイタズラっぽく笑った。
「バハムーンちゃん、いっつもディアボロスさんの背中目で追ってるもの…」
「そ そそそそ そんな事…ないけど、な…」
「えー、だってアタシより絶対ディアボロスのことかばってる気がする!!!」
むん、とフェアリーは頬を膨らませバハムーンを覗き込む。
さすがにそれは言いすぎだとは思うが、確かに、探索中に彼の姿を目で追ってしまう事が多々あるのも事実だった。
竜騎士学科に所属する彼女は仲間を守る立場にある。
だが、要領の悪い彼女はなかなか上手く立ち回れず、仲間を危険に晒してしまうことも何度かあった。
それを助けてくれたのが、彼。
話のネタに上がっているディアボロスであった。
忍者学科に所属するディアボロスは普段はとても無口で表情も滅多に表に出さないが、何かとバハムーンのフォローをしてくれる。
「でもさー、ディアボロスもバハムーンのことは結構気にしてるッポイよね〜 私なんか一度も助けてもらった事ないのに!」
「そうかな…仲間、だからじゃない?ほら、私が倒れちゃったら皆の迷惑になるし」
ちょっと苦笑して頬をかきながら、トレイ片付けてくるね、とバハムーンは席を立つ。
その後姿を見つめながらフェアリーはのほほんとマイペースに微笑むノームに「ノームはどう思う?」と声をかけた。
「うーーーん、そうですねぇ…ワタシから見ても、ディアボロスさんも結構気があるとは思うんですけど…」
そうだ、とノームは腰につけた大きなカバンをごそごそと漁りはじめ、中から綺麗なガラスの小瓶を取り出した。
「ちょっとこの間実験室を借りて作ってみたんです…なんていうんでしょ、軽い媚薬?みたいなの」
「!!!」
何かを思いついたかのようにフェアリーはそれ貸して!とノームの手から小瓶をひったくる。
「これよこれ!!!も〜〜〜煮え切らない二人にはこれしかないっ!!!」
「あ、あんまり薬の効果は期待しちゃダメですよ……その、調合とか、間違っちゃったかも…ですし…」
ノームの忠告などまったく耳に入っていない様子で、フェアリーはフッフッフ、と一人野望に燃えていた…。
「つ、つつつ、疲れたぁあああああ〜〜〜〜…もーやだ!!!実習とか、キライキライダイッキライ!!!」
翌日は実習と言う名の迷宮探索であり、フェアリーたちは近くの迷宮へ出かけていた。
1日迷宮の中を足を使って探索し、魔物相手に戦闘を繰り広げ、流石に帰還した頃には疲労の色は隠せない。
「フェアリー、うるせぇ…余計につかれんだろ!」
大きな荷物を床に下ろしながらヒューマンが声を荒げる。
「アンタと違ってアタシはか弱いの!!!」
「か弱い?は?どの口がそんなこと言うんだよ」
またいつものが始まった、と残りのメンバーはさほど気にすることもなく片づけを始める。
「そう言えば明日は休みだね 皆は何をして過ごす予定だい?」
戦利品をお互いに交換しながらエルフが嬉しそうに声をかけた。
「ワタシは多分実験室に篭りますね…もう少しで完成しそうなレシピがあるんですよ」
「私は〜…久し振りに美味しいお菓子でも作ろうかな?」
「オレは寝る!!!とりあえずこのうるせーフェアリーと別ならどこでもいいぜ」
「なーーーんですってーーー!!!あたしこそアンタとなんか居たくないわよっ!」
あはは、と苦笑しながらエルフはさっきから黙々と一人で片付けを始めているディアボロスに視線をやった。
忍者学科だからなのか、彼は常に無表情で、必要なこと以外は滅多にしゃべらない。
「俺は……そうだな、特に何も決めていないが… 何か、必要なことがあれば、する…」
非常に絡みづらい返答にエルフは聞いた事を後悔して「そっか」と相槌を打った。
「ひゃー、食べた食べた!やっぱ疲れたあとのゴハンて美味しいよね〜」
遅い夕食を終え、学生寮の自室に戻ってきたフェアリーははい、とバハムーンにマグカップを手渡す。
クロスティーニの学生寮は基本的には2人の相部屋で、フェアリーはバハムーンと同じ部屋を使っていた。
「フェアリーちゃん特製ミルクティー!甘くて美味しいよ!」
「あ、ありがとう」
ルームメイトの好意を素直に受け取り、バハムーンはミルクティーに口をつける。
たしかにこの甘い紅茶とミルクの香りは身体の疲れを癒してくれる。
「あ、そうだ あたしちょっとブルスケッタまで行ってくるから、今日は後ヨロシクね♪」
明日は休日だし、何か用事でもあるのだろう。
妙に浮かれた声で外出するフェアリーをはいはいと見送り、バハムーンは扉を閉めて部屋に戻った。
初夏ではあるが日は既に落ちているしそんなに暑くないはずなのに、何故か身体が火照る。
制服の首元を緩めながらバハムーンはぽふっとベッドに沈みこんだ。
(…なんだろう、なんか、ヘンな…感じ)
例えようのないムズムズとした感触。
しばらくすれば収まるだろうと思ったが、身体の奥の熱さは収まるどころか逆にますます強くなるばかりだ。
「ひゃっ!」
なんとかしようとゴロゴロ寝返りを打った拍子に胸がシーツと擦れて甘い痺れるような感覚がバハムーンの身体を突き刺す。
思わず高い声を出してしまい、びっくりしたようにバハムーンは唇をかみ締めた。
(私…欲情…してる……?)
おそるおそる、自分で胸を触ってみると、やはりさっきと同じようにビリッとした電流が身体を走った。
久し振りの、感覚。
時折自分で身体を慰めることはあったが、このところは慣れない生活に全くそんな事をする余裕もなかった。
欲情はガマンするどころか、もっともっと溢れてきて止められそうにない。
「…ん…ッ…」
バハムーンはおずおずと欲望の赴くままに制服のスカートの中に自らの手を差し入れた。
そこはびっくりするほど熱く、そして下着はぐしゃぐしゃに濡れていた。
フェアリーは先ほどブルスケッタに出かけると言っていたから今日は帰ってこないのだろう。
その安心感からか開放的になったバハムーンは濡れそぼった下着を脱ぎ捨てると、ゆっくりとその秘められた部分を触り始めた。
バハムーンという種族に生まれたからには仕方がないのだが、およそ女性らしくないゴツゴツとした骨ばった手。
普段はそれを見られるのがイヤで常にグローブを装着していたが、それも剥ぎ取り無造作にベッドの脇に投げ捨てる。
割れ目に沿って指を滑らせると、ぞくぞくとすさまじい快感が背筋を駆け上っていく。
「ひゃっ…はふ…っ…」
普段の彼女からは想像もつかない甘い声で喘ぎながら必死で快楽を求める。
花芽は既にぷくりと膨れ上がり、指で触ると狂いそうなほどの快感を彼女に与えていた。
「はっ…あ、…ふぁ……っ」
目を閉じると思い浮かぶのは、ディアボロスの姿。
いつも無表情な彼がバハムーンのために微笑み、彼がしてくれるのを考えると、それだけで心が締め付けられた。
バハムーンは自らの指を中に沈め、ゆるゆると入り口付近をまさぐる。
男を知らない彼女にとって、自分の指でさえもそれ以上奥に入れるのは恐怖だった。
(バハムーン…気持ちいい?…もっと、欲しいのか?)
ディアボロスの低く心地良い声がバハムーンの頭の中でこだまする。
身体の芯まで蕩けてしまいそうだ。
「ん…あ…はっ、もっと…もっと…欲し…ディアボロ…ス…」
じわりじわりと昇りつめ、想像の中の彼の名を呼んだ―――…そのとき。
「…呼んだ、か?」
現実のバハムーンの耳に、聞きなれた彼の声が響いた。
一瞬幻でも見えたかと思ったが、バハムーンの聴力は人並み以上だ。聞き間違えるはずがない。
さぁっと全身の熱が一気に冷め、バハムーンの表情が凍りつく。
いつからそこに居たのだろうか。部屋の入り口、バハムーンのベッドが丸見えの位置にディアボロスが立っていた。
「……!!!!」
反射的に身体をシーツで隠し、逃げるようにディアボロスから視線を背ける。
何というところを見られてしまったのだろう。死んでしまいたいほど恥ずかしい。
「…フェアリーから バハムーンの具合が悪いと聞いて来たんだが…返答が、なくてな」
一旦言葉を切り、ふうっと息をつく音が聞こえる。
「その…覗くつもりでは、なかった……すまない」
いつもよりさらにトーンの落ちた低い声。
照明のない部屋でディアボロスの表情を確認するのは難しいが、やはり浅ましい女だと軽蔑されてしまったのだろうか。
恥ずかしさと、後悔の自責の念でかたかた震えるバハムーンの前にディアボロスが歩み寄る。
どうやらいつもの黒い忍装束のままらしく、ここまで近寄っても衣擦れの音すら聞こえない。
これではいくらバハムーンが人並み以上の聴力を持っていても気付かなくて当然だ。
「…み、見ないで……私…私っ……」
ぎゅっと目を瞑り、シーツを握り締める。
「…独りでして、満足できたのか?」
バハムーンが考えていたのとはまったく別の反応だった。
予想外の声にバハムーンはえっ、と顔を上げる。
「んっ!!」
それと同時に、ディアボロスの顔が降りてきてバハムーンの唇をふさぎ、バハムーンの身体は再びベッドに沈められていた。
「ち…違…っ… ディアボロス、ちがう…のっ!」
心のどこかで望んでいたこととはいえ、男性経験のないバハムーンは半ばパニック状態になってベッドの上でもがいた。
そんな彼女をよそにディアボロスはバハムーンの舌を自らの舌でからめとり、強く吸い上げる。
初めての経験なのに、頭の中がぼおっとする。
乱れた制服の前をはだけられ、バハムーンはいやいやと首を横に振った。
「やだ… 見ないで、おねが…い……」
涙目で見つめられてもまったく説得力がない。
ディアボロスはふうと息をつくとバハムーンの耳元に顔を寄せた。
「バハムーン、それ… 誘ってるようにしか、見えない」
ディアボロスはバハムーンの下着を器用に外すとぷるんとあらわになったバハムーンの白い胸をゆっくりとこね回し、
ツンと上を向いた乳首を吸い上げる。
バハムーンの皮膚はヒトより硬いと聞いてはいたが、胸などは全くそんなことはなく、寧ろ柔らかい。
大柄な身体にしては少し小さめではあったが、それでも、ディアボロスの手に余るほどの質量だ。
「ひゃうっ!」
強い力で与えられた快感に思わずバハムーンは身体を跳ねさせる。
その反応を見てディアボロスは少し嬉しそうに笑った。
「…気持ち、いいんだ」
そのままディアボロスは指先をバハムーンの秘所に這わすと、くちゃくちゃと濡れた割れ目を何度もなぞる。
「あ……っく…」
つぷっとディアボロスは指先だけをバハムーンの中に沈めた。
びっくりするほどそこは濡れていて、すぐに透明な粘液がディアボロスの指を伝い手のひらにまで落ちてくる。
空いたもう片方の手でバハムーンの花芽をくすぐり、唇と舌で乳首を強く優しく刺激する。
「や…ッ、も…… だめ… …あ…」
本人が気付いているかは判らないが、薬によって昂ぶった体の弱いところを同時に責められ、バハムーンはひくひくと身体を震わせた。
両の目尻からぽろぽろと大粒の涙がこぼれ、半分あいたままになった口からは言葉にならないあえぎ声ばかりが流れる。
「気持ちいい?……もっと、欲しいのか?」
バハムーンの想像の中と同じセリフでディアボロスが問う。
いつも、考えていた。夢見ていた。ずっと、彼を欲していた。
欲しかったものが、すぐ、目の前にある。
バハムーンの中で何かがさらさらと音を立てて崩れた。
「ディアボロス……欲し…い… いれて……欲しいの…」
蕩けそうなほど甘い声でバハムーンはねだる。
その声に思わずドキッとしてディアボロスは顔を赤らめた。
それを悟られないように身体ごとバハムーンに密着すると、入り口付近をじらすように動かしていた指を2本に増やすと一気に根元まで差し入れる。
「ひっ……ああああっ」
ディアボロスの長い指がバハムーンの中をこすり上げる。
2本の指で交互に中をかき回され、バハムーンは目の前が真っ白になる。
やがてこらえきれなくなったのか、小さく痙攣を繰り返し、一瞬彼女は意識を手放した…。
ディアボロスは無言で忍装束を脱ぎ捨てる。
ディアボロスという種族は皆大概抜けるように白い肌を持っており、バハムーンからするとある種病的なまでの白さだとも思えたが
彼もまた例外ではなく、陶器のように美しい白い肌をしていた。
だが、その抜けるような白い肌には不釣合いな、数々の生々しい傷跡。
ディアボロスが過去を語ることはなかったが、あまり良い環境ではなかったのだろうと容易に想像ができる。
「…全く、仲間は抱かないつもりだったんだが」
「…え?」
きょとんとした表情で聞き返すバハムーンに、ディアボロスはやれやれと肩をすくめる。
「あんなもの見せつけられて…あまつさえ俺の名前呼ばれて、ガマンできるわけないだろう」
今まで見たこともない、少し恥ずかしそうな顔でディアボロスは微笑み、汗で額に張り付いたバハムーンの髪をそっと払った。
「…誰かに情を抱くのが怖かった。 …それは、失うものができるという事だから」
赤い瞳を細め、ディアボロスは上を向く。
「俺は、失うものがなにもないからいつでも死ねる 誰にも、迷惑をかけずに、死ねると、そう …思ってた」
「ディアボロス!…そんな、そんなこと…」
「思ってた、って言ったろう 今は、…生きたいと思うよ」
こつんとディアボロスはバハムーンの額に自分の額を合わせ、その瞳を覗き込む。
「バハムーン…お前と生きたい 無様でもいい、生きていたい…」
「ディア…ボロス…」
両脚を大きく開かれ、上から強い力で押さえつけられる。
ベッドがきしりと音を立て、ディアボロスがバハムーンにのしかかった。
「…入れる、ぞ」
無言でバハムーンがこくんとうなずいたのを確認してから、ディアボロスはゆっくりとバハムーンの濡れた秘所に押し当てたモノを沈めていく。
「う…ッ…」
大柄なバハムーンの彼女といえども、ディアボロスのソレを納めるには少々苦痛が伴うようでバハムーンは眉をひそめてぎゅっと拳を握り締めた。
「…抱きついていい 思ってるより、丈夫にできてる」
彼女は自分が馬鹿力なのをひどく気にしていた。抱きつきたくても、抱きつけない、そんな心の内を見透かしたかのように優しく声をかけると
バハムーンは少しほっとしたような表情でディアボロスの背中に腕を回し、ぎゅっと抱きしめる。
「あ…ぅ…」
さらに奥に挿入され、バハムーンは苦しげに背を反らせた。ベッドに押し当てられた翼と尾が頼りなさげに震えている。
ディアボロスはひとつ息をつくとそぉっとバハムーンのしっぽを撫でる。
「!?」
種族の弱点なのか、普段は誰にも触られないように自らの太股に巻きつけている無防備な尾を触られ一瞬バハムーンの身体が緩む。
その隙にディアボロスはぐっと一気に最奥までバハムーンを貫いた。
「ディアボロ…ス…」
最奥まで収まったとき、ディアボロスの身体が快感でぶるっと震える。
想像以上に彼女の中は柔らかく、そして暖かく、きゅうきゅうとディアボロスを締め付けてくる。
「…くそ… すげ…気持ちいい…」
自然と、ディアボロスの腰が動いた。
「…あっ」
バハムーンの背中が弓なりに反る。身体と、白い胸がふるふると小刻みに震えた。
痛くないはずはないのだが、彼女は一言も「痛い」とは口にしなかった。
それは彼女なりの気遣いなのだろうか?
苦しげなその表情とは裏腹に、バハムーンの中はディアボロスを逃がすまいと奥まで咥え、呑みこんでいく。
痺れるような、眩暈にも似た感覚がディアボロスを襲い、ディアボロスは衝き動かされるままにバハムーンを責め立てた。
「はぁんっ!…あ、…ンふぅ…」
狭い部屋の中にバハムーンの嬌声が響く。
頬を紅潮させ、ほどけた髪を振り乱してバハムーンは喘いだ。
ディアボロスが腰を突き出すたびにぐちゅぐちゅと聞こえる水音が妙にいやらしく耳に残る。
「ひゃあ…っ!ああっ…んくっ…… あっ、あっ… ディアボロス…」
名を呼ばれ、ディアボロスはわずかに動きを止めてバハムーンを見下ろした。
熱を帯びた蒼い瞳がディアボロスを見つめる。その中にあるのは、痛みではない、快楽を求める女の顔だった。
「そんな顔するな… 抑えられない…」
「ひぁっ、い…ィ… きもち、いい…やぁっ」
激しくなるディアボロスの責めに、バハムーンは知らずと腰を自ら擦り付けていた。
「いいよ… イけよ…」
空を掴むバハムーンのごつごつとした手を掴んでおさえつけると、ディアボロスはぐっと身体ごと強く覆いかぶさってめちゃくちゃにバハムーンの奥を抉る。
それまでゆるゆるとディアボロスをしめつけていたバハムーンの中が短い間隔でひくついた。
「はぁあああん…あっ…イッ…いくっ……いっちゃ…う…」
「……ぐッ…そんな、しめつける…な…」
「いや……ぁ、あ…あああああああっ」
ディアボロスを呑みこんだままのバハムーンが不規則に痙攣し、それに釣られるようにディアボロスもまた
かすれた声でバハムーンの名を呼びながらその欲望をバハムーンの中に吐き出した。
「あ〜〜〜ん☆バハムーンとディアボロス上手くいったかな〜〜〜」
その頃、クロスティーニの食堂にはブルスケッタに行くといって出かけたはずのフェアリーとパーティメンバーでもあり
ディアボロスのルームメイトでもあるヒューマンが同じテーブルで夜食をつついていた。
満面の笑みを浮かべながらぱたぱたと羽根をはためかせるフェアリー。
そんな彼女の様子を見てやれやれとヒューマンは首をすくめた。
「お前ほんっっっと他人の恋愛に首つっこむのスキだよな。しかも今回はなんだ ノームの作った薬も使ってか?」
「何よ!あの二人にはちょっとキッカケがたりないだけだったの!文句でもあるの!」
強い口調で言われていえ、アリマセンとヒュームは半ば呆れ気味に首を横に振る。
「…で、当のお前自身はどうなんだ?」
逆襲とばかりにヒュームがにやっと笑って上からフェアリーを覗き込む。
フェアリー自身はちょっと、ヒュームのことが気になっているのだが彼女の性格が災いしてなかなか素直になれない。
ヒュームはフェアリーの反応を楽しむように頬杖をついて彼女の返答を待つ。
「あ、あたしはほらっ、引く手あまたの美少女だからっ!もー、あちこち大変なの!」
「へぇ 経験豊富ってわけか。 じゃあ今度オレもお相手してもらおうかな?」
イタズラっぽく笑うヒュームにフェアリーは珍しくかぁっと頬を赤らめてもじもじと下を向く。
「ま、冗談だ。お前なんかに手ぇ出したら児童ナンチャラ法でつかまっちまうしな」
フェアリーの気持ちを知ってか否かケタケタと笑いながらヒュームはフェアリーのほうに向き直った。
そこには怒りで顔を真っ赤にした少女の姿があったわけで…
「ちょッ!おまッッ…まてまてまて!冗談だっつーの!ソレはやべぇって…!!!」
フェアリーの殺気を悟ったのかヒューマンは慌てて席を立つ。
だが哀しいかな フェアリーの方が圧倒的に素早いという事実はどうにもならず…。
「いっぺん死んじゃえ!!!イペリオン!!!!」
「ソ、ソレ…むりっ ムリムリムリ!!! ぎゃあああああああああああああああああああああっ」
この世のものとは思えない断末魔の叫び声が、静かな夜の学生寮に響き渡った―――…