「いっけぇええええええ!!」  
フェアリーの放ったぱちんこの弾が一直線にヒューマンめがけて飛んでくる。  
「オイオイオイ…本気かよ」  
ひらっとそれをかわしつつ反撃を叩き込もうとしたその時…  
ガツン!!という鈍い音とともに頭上から大きな岩が飛んできてヒューマンの頭を直撃した。  
「隙あり!KOいっただき〜☆」  
暗くなる意識の向こう側で妙に癪に障るフェアリーの甲高い声を聞いた気がした。  
 
 
実戦形式の午後の訓練が終わり、ディアボロス、エルフ、ヒューマンの3人は男子用更衣室に備えられたシャワールームで汗を流していた。  
「いてて…ちっくしょ、フェアリーのヤツまじでオレに何の恨みがあるんだよ…」  
頭にできた大きなタンコブをさすりながらヒューマンははぁとため息を漏らす。  
「…彼女はお前がスキなんじゃないか?ほら、好きなヤツほどいじめたいとか、言うだろう」  
タオルで髪を乾かしつつディアボロスが言う。  
「…ソレ どんなガキだよ… オレはロリコンじゃねーし。もっとこう、ナイスバディなかわいこちゃんが良いの!  
 …バハムーンとか」  
バハムーンという単語にぴくっと反応しディアボロスがヒューマンを睨みつける。  
「バハムーンに手、出したら……判るな?」  
「怖ぇ… 大丈夫だって、ダチの女に興味はねーし! …でさ、エルフはどうなん?好きなコとか、好みのタイプとか、どうなのさ?」  
自分に向けられた殺気をさらっと流しながら、ヒューマンは向かいで制服に着替えていたエルフに話を振った。  
エルフは顔を上げるとしばしうーん、と考え込む。  
「僕は…そうだな、エルフとか、セレスティアとか…女性らしい、おしとやかな子が好み、かな?」  
「ま、普通そうだよな…ウンウン」  
自分に言い聞かせるようにうなずきながら、3人は年頃の男子学生らしく女の子の話で盛り上がりながら更衣室を後にした。  
 
その夜、夕食を終えたヒューマンは珍しく屋上で一人剣の素振りをしていた。  
今日フェアリーに負けたことがよほど悔しかったのだろうか。  
「あ いたいた!ヒューマン!」  
「…うぇ なんだよ」  
黙々と素振りをしてたヒューマンの耳に聞きなれたフェアリーの声が飛び込んで来る。  
「別に用事はないんだけど…なんとなく」  
「んだよソレ…邪魔すんなよな」  
少しイライラした口調でヒューマンは言うと、フェアリーの方に目をくれることもなく素振りを続ける。  
フェアリーもむっとはしたが、そこは一応ガマンして少し離れた縁のところに腰掛けてじっとその様子を見つめていた。  
しばしの後、ヒューマンは一旦剣を納めるとフェアリーの方に向き直る。  
「用事がないなら帰れよ。明日もあんだろ、寝て魔力回復しといた方がいいんじゃねーのか」  
「ヒューマンは寝ないの?」  
「オレは大丈夫だ」  
「じゃああたしも起きてる」  
ワケの判らない理屈を言い出しフェアリーはぴょん、と縁から飛び降りるとヒューマンの側までふわふわと飛んできた。  
「…コドモは寝る時間だろ」  
肩をすくめてヒューマンは帰りなさい、とでも言うように階下に繋がるドアを指差した。  
『コドモ』という単語がフェアリーの胸にぐさりと突き刺さる。  
いつもは中々素直になれないけど、今日ばかりは素直になって午後の訓練でのことを謝ろうと決意してきたのに。  
コドモ扱いされているという事実と、自分の計画があっという間に崩壊された悔しさと。  
フェアリーは唇をかみ締めうつむくとぽろぽろ涙をこぼし始める。  
「おい 何泣いてんだよ」  
「コドモじゃないもん!!」  
 
フェアリーはわんわんと泣きながら勢い余ってヒューマンに抱きつく。  
だが二人の間には相当な身長差があるので、フェアリーはヒューマンの腰にぶら下がるような格好になってしまう。  
「ちょ 何してんだよ!」  
「あんたがいけないの!!!」  
ほとほと困り果てた様子でヒューマンはとりあえず落ち着け、とフェアリーを引き剥がすと屋上の床に座らせる。  
「ひっく、えっぐ…コドモじゃない…もん…うあああああん」  
「判った、それは謝る。…とりあえず、なんか取って来るから、待ってろ」  
ヒューマンは小走りに駆けていくと自分の荷物の中からコップを2つと、水筒、それにお菓子の包み紙を持って戻ってきた。  
「ほら、これでもやるから泣きやめよ」  
コップを渡して水筒の中のコーヒーを注ぎ、チョコレートらしきお菓子をフェアリーに手渡す。  
本人はわかっていないようだが、その子供扱いがますますフェアリーの逆鱗に触れたらしくフェアリーは手にしたチョコレートをぺしっとヒューマンに投げつけた。  
 
どれぐらい経っただろうか。  
突然、それまでヒューマンに背を向けて座っていたフェアリーがヒューマンの方に向き直る。  
「…スキなの」  
ずびび、とタオルで鼻水を拭きながらぐしゃぐしゃになった顔でフェアリーが言う。  
「……は?」  
一瞬何を言われたのか理解できなかったヒューマンはぽかん、と口を開けたまま固まってしまった。  
「ヒューマンが、好きなのっ!!」  
ぽろりと、ヒューマンの手からコップが床に落ちる。  
勢いよく流れるコーヒーなど見向きもせずヒューマンはまじまじとフェアリーを見つめた。  
「子供じゃないから…えっちだってできるもん!」  
「いやいやいや、ちょっと待てって。 オレはヒューマンで、お前は、フェアリー…だぞ?」  
「だからどーしたのよっ」  
「冗談じゃねーよ 抱ける訳ねーだろ!!!」  
声を荒げるヒューマンにフェアリーはずいっと近寄る。  
「どうして?」  
「どうしてもこーしてもねぇって…お前、自分のサイズ判って言ってんのか?……どこに入るんだよ!」  
「入るもん!!」  
「むちゃくちゃ言うなって!」  
「そんなのやってみなきゃ判んないじゃん!」  
思わずフェアリーはヒューマンの膝の上に詰め寄ると、制服の胸元をがしっと掴む。  
フェアリーを見下ろすヒューマンは無表情で、何も口にしようとはしない。  
フェアリーは怒りなのか恥ずかしさなのか、顔を真っ赤に染めたままキッとヒューマンをにらみつけると  
そのまま背伸びをしてヒューマンの唇に口付けた。  
とても、上手とはいえないつたないキス。フェアリーは一生懸命舌を伸ばしてヒューマンの唇を舐める。  
舌を探そうと頑張るが上手くいかず、苦しくなってフェアリーはぷはぁ、と口を離した。  
なみだ目でそっとヒューマンの表情を見上げたそのとき、それまでされるがままだったヒューマンが動いた。  
強い力でぐっとフェアリーを抱き寄せ、唇を重ねる。噛み付くような、激しいキス。  
抜けるくらいに舌を強く吸われ、フェアリーは思わず声をこぼした。  
唇が解放されたと思う間もなく、ヒューマンは細いフェアリーの肩を掴んで地面に押し倒す。  
ボタンが弾けるのではないかと思うほど強い力で制服の前をはだけられ、あっというまに上半身はキャミソール一枚の姿にさせられる。  
「……泣いても赦してやらねーぞ」  
聞いた事のないほど低い声でヒューマンはささやいた。  
 
急くようにヒューマンは制服の上着を脱ぎ捨て、シャツの前を乱暴に開ける。  
バハムーンやディアボロスほどではないが、その鍛えられた身体はフェアリーに男を意識させるには十分すぎるものだった。  
ヒューマンの首にぎゅっと両腕を回して抱きつき、フェアリーは目を閉じる。  
「…んっ、んぁ……っ」  
弄ばれ、吸われて立ち上がった白い胸の小さな乳首は、ヒューマンの指先が触れるだけでフェアリーに痺れるような快感を与える。  
「……かぼちゃパンツ、ねぇ」  
フェアリーのスカートの中に手を突っ込んで中を確認していたヒューマンがため息まじりの声で呟いた。  
「ちょっ…と、そんなマジマジと見ないで…ってば」  
「すぐに脱がせるから別にイイけど」  
そう言って遠慮の欠片もなくヒューマンはフェアリーのかぼちゃパンツをずり下ろすと、その先の秘所に手を伸ばした。  
柔らかい毛の感触と、指先に感じるぐちゃっとした濡れた感触。  
思わず逃げ腰になるフェアリーをがっしりと押さえ込むと、ぐいとその指先を既に潤ったフェアリーの割れ目に押し付けた。  
「〜〜〜〜〜ッ!!」  
「ふぅん、やっぱりココが弱いのか」  
ヒューマンは少し笑うとフェアリーの敏感な突起を弄りはじめた。  
指先でこね回し、ぎゅっと強く挟んで、軽くつめを立ててみる。  
「…ひゃっ、やっ、…あ、んぁうっ」  
その強烈すぎるほどの刺激に、フェアリーはあっという間に意識を手放した。  
 
「お前、さ …実はこういうコトしたこと、ないだろ?」  
ぐちゃぐちゃとフェアリーの中を指でかき回しながらイタズラっぽくヒューマンが問う。  
「そ そんなの…関係ない……じゃん…… んんぅっ」  
「見栄っ張りっつーか何つーか…まぁ、お前らしいけど」  
ひょいとフェアリーをひざの上に抱え上げ、大きく脚を開かせる。  
フェアリーからも良く見えるように、少し前屈みになるとヒューマンはフェアリーの耳元に顔を寄せた。  
「フェアリー、お前すげーぐちゃぐちゃ」  
後ろから耳元で囁かれ、フェアリーは恥ずかしさで顔を真っ赤に染める。  
「や… やめ… やだぁっ」  
「身体はイヤって言ってないけど?」  
これでもかという程中をかき回され、ひくひくとフェアリーの小さな身体が痙攣を始める。  
その、快感の一番大きな波がくる直前、ヒューマンはすっとフェアリーから手を離した。  
「え……や やめちゃヤダ…」  
「さっきのいやだ、と言ってることが違うじゃん」  
くすくすと笑いながらヒューマンはフェアリーの腰を強く抑えつけた。  
制服のズボンの前を開いて晒されるヒューマンのモノ。  
フェアリーはその大きさに一瞬びくりと身体をこわばらせたが、言い出したのは自分だと言い聞かせ大きく息を吸い込む。  
ぴたり、と熱い器官がフェアリーの小さな秘裂に押し当てられる。  
 
「…い゛や゛ああああああああああっ!!!イタ、いた…ぃ…いたあああああいっ!!!」  
耳をつんざく程の、フェアリーの悲鳴。  
「おま…聞こえちまうだろ…っ…ぐぁ…」  
余りの痛さに全く動くことが出来ず、フェアリーは固まったままただ唇をかみ締める。  
ヒューマンはヒューマンで、フェアリーの中のキツさに別の意味で動くことができず大きく息を吐き出した。  
「……だから…無理っつったじゃねーか……」  
少し呆れたような声でヒューマンがぼそぼそと呟く。  
フェアリーの痛がり具合を見て流石に無理と思ったのか、ヒューマンはフェアリーから身体を離そうと上体を持ち上げる。  
そんなヒューマンの様子に気付いたのか、フェアリーは痛みを堪えて必死に彼にすがりついた。  
「やだよ……やめないで」  
「痛いんだろ、無理すんなって」  
「…や…いやなの…」  
ぷるぷると首を横に振り、フェアリーは涙を流しながら言葉を吐き出す。  
今、このまま離れてしまったら、もう彼は二度と自分をきちんと見てくれない気がした。  
いつものように顔を合わせる度に出てくる激しい罵り合い、それすら、無くなってしまいそうで。  
「なんなんだよ…」  
「ヒューマンが好きだから……やだ、離さないで…」  
「…ほんっとガキだな 壊れてもしらねーぞ」  
半ばあきらめたような口調でヒューマンは呟いた。  
おさえつけるように片手でフェアリーの頭をかき抱くと、ヒューマンは激しく動き始める。  
身体の中をえぐられるような激しい痛みにフェアリーは思わず悲鳴を上げそうになるが、ヒューマンの胸に顔をうずめてそれを押し殺した。  
痛みなのか、快楽なのか、それすらも判らず、体中の感覚がなくなってくる。  
ただただ、ヒューマンの熱だけが身体を通じてはっきりと感じ取れた。  
「…ヒューマ…ン…… だいすき…」  
薄れゆく意識の向こうで、ほんの少し、ヒューマンが笑ったような気がした。  
 
「ううっ……痛いよお……死んじゃう…」  
「…自業自得って言葉をしらねーのか、お前は…」  
起き上がることすら出来ないフェアリーをひょいと抱え上げると、ヒューマンはゆっくりと歩き出す。  
「今のうちになんか上手い言い訳考えとけよ」  
誰もいない学生寮の廊下を歩きながらヒューマンは小さく笑った。  
「う゛ーーー…あたしが…こんなっ…いたたたた…」  
「ほれ、部屋ついたぞ。立てるか?」  
フェアリーの部屋の前までたどり着き、ヒューマンはよっと抱っこしていたフェアリーを降ろした。  
「じゃ、オレは戻る。 あんま遅くなるとアイツに何か突っ込まれるしな」  
フェアリーに背を向け、ひらひらと頭の上で手を振るヒューマン。  
「ま 待って!!」  
「ん?」  
振り返ったヒューマンの表情は、さらっとした、つかみ所のないいつもの物に戻っていた。  
「その……えっと……あ …ありがと」  
顔を赤くしながら消え入りそうなほど小さな声でフェアリーは呟いた。  
「おー、お前にお礼言われるとはびっくりだ。こりゃー明日は槍でも降るか?」  
けらけらと笑いながらヒューマンは身体をかがめ、フェアリーの頭に手を置いて耳元に顔を寄せる。  
「…可愛かったよ」  
「!!!」  
一瞬にして耳の先まで赤くなるフェアリーをにやにやと笑って見つめたあと、ヒューマンは背を向けて歩き出した。  
「あ そうそう オレきっとお前のこと好きになるよ。そんな気がする。 じゃーな、オヤスミ!」  
 
 
「おかえり」  
「うおっ びびった…おま、電気くらい点けろよな」  
ヒューマンが自室に戻るとそこには既にルームメイトのディアボロスが帰っていた。  
「…明るいところより、暗いところのほうが、落ち着く」  
「…そ そうか、そりゃ悪かった」  
相変わらず変わったやつだと心の中で呟きながら椅子に腰掛け、だらんと全身の力を抜く。  
「…フェアリー、大丈夫か?」  
「ん…なっ ななななななっ!!!!」  
あまりのことに動揺し、ヒューマンはがたんと椅子から転げ落ちた。  
そんなヒューマンを見てディアボロスは思わず笑みを浮かべる。  
「図星、か」  
「て…てめっ…」  
「オレはロリコンじゃないとか何とか言ってた割りには…くっくっ」  
面白そうにディアボロスは喉の奥で笑う。  
「…性格ワリーぞお前」  
「それはお互い様だと思うが」  
ヒューマンは勢いよくベッドに倒れこみ、天井を見上げながらふぅと息を吐き出す。  
「…明日どんな顔して会えばいいのか良くわかんねー…」  
「普通で、いいだろ しおらしいお前達とか想像するだけで鳥肌ものだ」  
「…そりゃそうだ オレも気持ちわりぃ」  
笑いながらヒューマンは目を閉じる。  
また、いつもの学園生活が明日から始まる。  
あの甲高い声でドヤされないとそれはそれで面白くない、と、そんな事を思い浮かべながらヒューマンは深い眠りに落ちて行った。  
 

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