「ちょっと聞いてるのヒュム男!」  
パカーン!  
非常に景気のいい音を立てて参考書の角がヒュム男の側頭部にめり込んだ。  
声を上げることも出来なかったのか彼は机の上で突っ伏して悶絶している。  
「一瞬、お花畑が見えたが・・・何の話だっけ、エル子」  
「数学のノート見せてって言ってるの!」  
見せてくれと頼んでいる立場なのにエル子は白い頬を膨らませている。  
エル子はヒュム男と幼馴染で、同い年なのだが小さい頃から姉と弟のような関係だった。  
「戦士学科の私にこんなの判る訳ないじゃない!そこで魔法学科のヒュム男の出番よ」  
「お前な・・っと、予鈴だ。授業が始まるぞ。また後でな」  
「え、ちょっ・・・」  
予鈴が鳴り生徒たちが席に着き終わる頃、静かに教室のドアが開いた。  
そこから入ってきたのは白い天使・・と形容しても差し支えない、パーネ先生だった。  
コッ、コッと細いヒールの音が響き、教壇に名簿を広げると、柔らかな笑顔で挨拶をする。  
「おはようございます、皆さん。必修科目数学の時間です。頑張りましょうね」  
その笑顔に大半の男子生徒は魅了され、だらけた顔になる。  
エル子の隣に座っているヒュム男もその大半の中に入っていた。特に最近重症で、顔をにやけさせるくらいなら  
まだいいが、熱の篭った特別な視線でパーネ先生を見ているようなのだ。  
それが腹立たしくて、思わず鉛筆の尻を噛み潰したエル子は容赦のない踏み付けをヒュム男のつま先に見舞った。  
理不尽な激痛に声を我慢して悶絶するヒュム男にふん!とそっぽを向く。  
と、こそっ、とペンダントにしている指輪を胸元から取り出す。  
(これの事忘れちゃったのかなぁ・・・)  
それはどう見てもオモチャで出来た指輪だった。露店などで売られているようなモノである。  
だが、エル子にとっては特別なものだった。  
小さい頃の話だが、二人だけで祭りに出かけたことがあった。その時この指輪を物欲しそうにしてるエル子に、  
ヒュム男はなけなしの小遣いをはたいてプレゼントしたのだ。  
・・・・思えば、この時からだった。ヒュム男を意識し始めたのは。  
「・・・ル子さん?エル子さん?」  
はっ!と思い出から戻ると、クラスの視線が集まっていた。意識がどこか行ってしまってる間に  
指されたのだ。赤面すると同時に極度に焦り、必死に教科書をめくる。が、何のために指されたのかさえ判らない。  
涙目になりかけた所に、隣のヒュム男がトントン、と自分のノートをペンで指し示した。  
しどろもどろになりながら答えるエル子。  
解に至るまでの式などわからなかったが今はそれどころではなかった。  
「ふふ、その通りですね。今回はそれでよしとしてあげます。では、そこから導き出される解を使って・・」  
くす、と微笑みながらエル子のズルを見逃すパーネ。流麗な字で黒板に解説を書いていく。  
「ヒュム男君、その次の発展形の問題、判りますか?」  
「はい!それはですね、問1を応用して・・」  
難を逃れホッとしていたエル子だったが、答えるヒュム男を見て神経を逆撫でされてしまった。  
エル子は自分が人より嫉妬しやすい性格だと判っている。  
努めて冷静でいようとするが、ヒュム男の姿勢、熱意、どれを取っても自分には向けられない物だった。  
必死に解説をして、パーネから気に入られようとしている。これには嫉妬を抑えることが出来なかった。  
・・・・気に入らない。何処がいいのよ、あんなの。  
知らないうちに、めき、と鉛筆にヒビが入っていた。  
「はい、そうですね、完璧な答えです。よくできました、ヒュム男君」  
パーネが満面の笑みを浮かべ、また黒板に解説を書いていく。  
一方のヒュム男は顔を綻ばせ、パーネの後姿に見入っていた。  
「なぁエル子見たか、パーネ先生に褒められた・・ぜ・・・・?」  
ここに来てようやくエル子の態度が先ほどとは違う事に気がついた。  
机の上にエル子の手の中から細かい木片がぱらぱらと落ちてきている。  
「そう・・・よかったね」  
あからさまに拒絶する、絶対零度の声色。この時間、ヒュム男はエル子に怯えながら過ごした。  
 
カラーン、カラーン。終業の鐘がクロスティーニ学園に響き渡った。強い西日が差し込んでいた。  
その日一日かけてエル子は少しずつ機嫌を直すようにした。とても面白くなかったが、  
ずっとつっけんどんにしていてもヒュム男に嫌われるだけである。  
最後の授業の時間にはまたヒュム男と冗談を言い合えるようになっていた。  
「はぁ、今日もよく勉強したぁ・・・・。ヒュム男、明日戦術カリキュラムの課題写させて!」  
「お前・・・・。まぁ、いつもの事だしな。でもきちんと自分でも勉強しろよ?」  
はいはい、わかってるって。エル子はいつも通りの笑みで答え、いつも通りの笑みで言った。  
「ヒュム男、一緒帰ろっか。帰りに買い物に付き合っ・・・」  
「あ、悪ぃ・・・・。この後パーネ先生に勉強を見てもらう予定なんだ」  
 
ぐらっ、ときた。  
 
パーネ。パーネ。またパーネなのか。  
どす黒い感情が渦を巻くのが判った。黒い、墨を流したような。西日で出来る自分の濃く黒い影はその写し身に見えた。  
ずっと好きなのに。貴女よりずっと彼の事を知っているのに。私から奪うつもりなのか。生徒と教師の恋愛なんて許されない。  
でも、もし、もし・・・・。  
さまざまな思いや感情が混ざり合い、エル子の思考を乱していく。  
その時カラーン、とまた鐘が鳴った。  
「うお、これじゃ遅れちまう。またなエル子!」  
そう言うとヒュム男はカバンを掴んで校舎の奥に消えていった。  
西日の中立ち尽くすエル子。どんどんと影が伸びていく。  
エル子の周りで他の生徒達が次々と下校していくが、立ったままのエル子は目立ったが誰も声をかけようとはしなかった。  
触れれば切られる。そんな雰囲気だった。  
・・・どれくらい経っただろうか。もう日が沈もうかという頃に突然動きを止めていたエル子は動き出した。  
(ダメダメ、動かなきゃ・・・!動かないと始まらない、ヒュム男は私のこと見てくれない・・・!)  
(パーネ先生なんか、いなきゃいいのよ・・・!あの人がいなければ・・!)  
感情も定まらぬまま、走り出した。己の内に内包するのが恋慕、嫉妬、あるいは殺意であると気づかずに。  
 
 
日の当らぬ東校舎。薄暗い部屋に、ぬちゃぬちゃと粘着質な水音が響く。  
絶えず何かを堪える低い声と、それを嘲笑うかのような澄んだ声もする。  
部屋には数人の生徒と、美しい白い天使がいた。  
使われなくなった机に天使が座り、そこに傅くように生徒が床に座っていた。  
「ふふ、今日はよく頑張ってましたねヒュム男君。どうです、久々に順番が回ってきた気分は?」  
よく手入れされているであろうきれいな足の親指がヒュム男の肉棒の裏筋をなぞりあげる。  
そのまま鈴口をこちょこちょとくすぐり、また裏筋をなぞる。甘美な刺激にヒュム男の口から声が漏れる。  
「くふ、あぁっ・・・最高です、パーネ様ぁっ・・・」  
「このご褒美ペットたちに大人気なんですよ・・・・同じペットのヒュム男君にも気に入ってもらえると思いました」  
足の親指と人差し指の間に肉棒を挟みこみ、ずちゅずちゅとしごきあげる。だらだらと溢れて止まらない  
粘り気のある我慢汁がパーネの造形美ともいえる足を汚していた。美しい天使の足を自分の体液で  
汚していることにヒュム男は興奮を覚えた。  
「ほら、飼い主にお礼も言えない駄犬は捨ててしまいますよ・・・?」  
座っているヒュム男を見下しながら空いていたもう片方の足でヒュム男の袋にこりこり・・と力をかける。  
絶妙な力加減、一歩間違えば・・・という緊張感がヒュム男のモノを大きくし、ぶるりと身震いさせた。  
「あ、うあぁ・・・も、申し訳ございません・・・!ありがとうございますパーネ様っ・・!」  
「くすくす、こんな事をされて喜ぶのですね・・・・とんだ変態ペットを拾ったものですね・・・」  
そのまま笑みを絶やすことなく、机に座ったまま両の足でヒュム男のモノを弄ぶ。  
きれいに整った足の十本指で肉棒を包み込んだかと思うと上下させ刺激を与え、カリに指を擦りつける。  
汁を溢れさせ続ける鈴口を執拗に親指で撫で回すともう片方の足の親指と人差し指で肉棒を挟み込み、ずりゅずりゅと  
いじり倒す。ヒュム男の肉棒はパーネの両足に好きなようにされていた。  
しかし散々いじり倒された肉棒はそれでもビクビクと脈打っている。射精感に耐え、歯を食いしばる様を見てパーネが心底おかしいという風に笑う。  
くっくっ、という低い笑いで、邪な笑いだった。  
 
パーネの「遊び」はまだ続いていた。  
隙のある生徒を見つけては肉欲に堕落させ、魂の欠片を抜き取り虜にする。  
クラスや学科を問わず、多くの生徒がパーネに魅了されていた。この部屋に集まっているのは、全て彼女の「下僕(ペット)」。  
毎晩のようにこの部屋に集め、パーネの暇を潰すために犯され、より深く魂を抜き取られる。  
そうやって生気のない操り人形が何人も出来上がっていた。  
 
「ああ、ヒュム男君。お願いしていた例の件、どうなりました?」  
にこり、と天使の笑みでヒュム男に優しく問いかけるパーネ。  
その顔を見る限りでは、とても今足元で男のモノを足蹴にしている人物とは思えない。  
笑みだけは、教師パーネの笑みだった。  
「も、申し訳ありません、調査がはかどら・・・ぎぃぃぃいぃっ!」  
悲痛なヒュム男の声が響き渡った。パーネが足の指を使い、ヒュム男の袋を掴んだのだ。  
力いっぱい、ごりごりと握りつけた。笑みを微塵も崩さぬまま。  
「ヒュム男君・・・それは、先週も聞きましたよ?」  
ごりごり、ぐぢゅぐぢゅ。  
袋を握ったまま、暴発しそうな肉棒を容赦なく扱きあげる。苦痛と快感の同時責めにヒュム男の意識が  
明滅する。白いパーネの足はヒュム男のカウパーでべとべとに汚れていたが構わずヒュム男を攻め立てる。  
「やはりあなたは駄犬だったようですね・・・?」  
ごりごりっ、ぎりぎりっ。  
袋を掴んだ足はそのままに、根元を親指と人差し指で挟み込み締め上げる。臨界点に来た射精感と  
潰されるのではないかという恐怖にヒュム男の身体がガクガクと震え始める。  
「このまま去勢してさしあげましょうか・・・」  
ぐぐっ、とパーネが足に力を込めた。  
バンッ!  
その瞬間、部屋のドアが乱暴に開け放たれた。  
 
 
「な、なん、なのよ、コレ・・・っ」  
部屋に転がり込んできた人物は、開口一番この部屋の異様さに驚いていた。  
部屋の左右に十名ほどの生徒が並んでいる。学科はさまざまで統一感はないが、皆首輪を嵌め、  
目には生気がない。そして部屋の中央では・・・下半身を剥かれたヒュム男のモノを、パーネが足蹴にしていたのだ。  
そう口にする以外なかった。  
戸惑い状況を飲み込めないエル子だったがこの部屋の主はいつもと変わらぬ顔で闖入者を迎え入れた。  
「あら・・・エル子さんいらっしゃい」  
「これは・・・何・・!?それに、ヒュム男・・・」  
部屋に飛び込んだ時の勢いはどこへやら、呆然と下半身を剥きだしにしたヒュム男を見ている。  
初めて見るヒュム男の物に驚きもしたが、それ以上にこの状況が理解を超えていた。  
くすくす、と笑みを浮かべながらエル子に語りかけるパーネ。  
「すごいでしょう?この子たち、皆先生のペットなのよ?」  
「ぺ、ペッ・・ト・・?な、何言ってるか判らない・・・!おかしいわよこんなの・・・!」  
びちゃ、びちゃと濡れた足音を立てながらエル子に近づくパーネ。それに反して、少しずつ後ずさるエル子。  
笑顔を浮かべた、このセレスティアがとてつもなく恐ろしいモノに見えてきた。  
実際、恐ろしい。理解を超えたこの状況で変わらぬ笑みを浮かべるこのパーネが、恐ろしい。  
ガクガクと足が震え動悸が激しい。エル子の第六感は全力で逃げろと言っていた。  
だが、そのスキを突かれた。  
刹那、後ろから取り押さえられ床に叩きつけられる。パーネの言う「ペット」が彼女を取り押さえたのだ。  
その拍子に唇を切ったが、それがエル子にせめてもの気力を与えた。  
「この・・・ッ!魔女!悪魔ッ!人でなし!ヒュム男を・・・ヒュム男を返せっ!」  
ボキャブラリーは豊富な方ではなかったが、ありったけの殺意と侮蔑の念を込めてパーネに言い放った。  
こいつ!と取り押さえたペットたちが更に押さえつけるが、パーネは変わらぬ笑みでそれを制した。  
エル子のそばにしゃがみこむと、エル子の頬にそっと触れた。  
あまりに労わるような・・・・場違いともいえる触り方で一瞬エル子は目を丸くするが、それはただの錯覚だとすぐに思い知った。  
バシン!  
身体に電流を流された、と感じた。手足に痺れがあった。それどころか、呂律も回らない。  
(な、何・・・!?私、どうしちゃったの・・)  
 
パーネは手だけでペットたちを所定の位置に戻らせると、エル子の上半身を抱きかかえひざの上に乗せた。  
ちょうど膝枕をされている状態だ。  
「今日は特別にゲストのエル子さんのために魔術カリキュラム応用編をここで行いますね」  
くす、とパーネはエル子に微笑んだ。しかしその笑みは暗く、冷たく、エル子の気力をねじ伏せ恐怖させた。  
柔らかい笑みだったが、その眼を覗き込んだとたん震えが止まらなかった。何処までも深い闇を覗き込んだかのようだった。  
逆らえば死ぬ。本能が抵抗をやめさせた。  
怯えるエル子をよそに、服を丁寧な手つきでパーネは脱がせていく。  
するする、とスカートを脱がされ、足首までずり下ろされ、ピンクのショーツが露になる。  
タイも解かれ、制服の前を肌蹴させられてしまった。ショーツとおそろいのピンクの可愛いブラジャーに包まれた小ぶりな大きさの胸が現れた。  
(やめて!これ以上は・・!)  
恐ろしくもあったが、まだ誰にも見せたことのない自分の下着姿を見られるのが恥ずかしかった。  
その時、憔悴した顔でこちらを見ていたヒュム男と眼が合った。エル子の長い耳までかぁ、と赤く染まる。  
間違いなく今から自分は辱めを受けるのだろう。それをヒュム男に見られると思うと、もう死んでしまいたかった。  
「エル子さんにかけた魔法はパラライズです。人形遣い学科の方にはお馴染みの魔法ですね」  
柔らかな手つきで、パーネはエル子のすべすべした腹を撫で回した。細い美しい指がエル子の腹を這い回る。  
その指にビクッ!と強い反応をエル子は示した。身体を駆け抜ける感覚。  
エル子自身がそれを何かと認識する前に、パーネの指がエル子の腹の上を再び滑りだした。  
そのまま何度もパーネの指に翻弄され、意識を持っていかれる。  
パーネのひざの上でエル子は顔を真っ赤にしながら何度も小刻みに震えた。  
(私・・・どうしちゃったの・・!?)  
戸惑うエル子自身とは対照的に、股間にむず痒さに似た感覚を覚え、僅かに動く足でつい内股を擦り合わせる。  
「本来は相手の感覚器官をすべて麻痺させる魔法ですが・・・応用すればこんな事もできるんです」  
そう言うとパーネはブラジャーの中に手を入れ、くにゅ、と優しい手つきでエル子の乳房を揉みしだいた。  
(ひやぁっ!)  
瞬間、エル子の意識がどこかに飛ばされた。意識を何かがさらっていく。  
なおも容赦なくパーネの指はエル子の乳房をもみつづける。時に卵を掴むように優しく、時に絞るように乳首を強く摘んだ。  
緩急のついた責めにエル子の意識ががくがくと揺さぶられ思考も乱していく。その間にもまた股間が疼き、  
ショーツを濡らした。パーネの手ひとつにエル子は翻弄される。  
触れられるたびにビクビクと反応するのはまるで玩具のようだった。  
歯を食いしばり耐えようとするが、声が漏れるのを抑えることは出来なかった。  
「脳に直接働きかけるよう呪文を組み立てると・・・生娘のエル子さんもこんなに感度がよくなってしまうんですよ?」  
手におさめた乳房、その乳首をパーネはぺろり、と舐めた。  
「きゃ、ああっ!」  
抑えることも出来ずエル子は声を漏らしていた。びくん、と身体を強張らせ視界がぐるぐる回る。  
頭の中はチカチカと明滅して正気を保てない。しかしパーネはその手・・・舌を緩めず、なおも攻め立てる。  
ピンク色の綺麗な、しかし容赦ない責めで硬くしこってしまった乳首をパーネの舌が嘗め回した。  
舌先がちとちろと焦らすようにくすぐる。そのまま乳輪をなぞったかと思うと、口をすぼめてちゅう、と吸いたてられた。  
「あ、ああぁー!ん、ひぃうっ!あぁっ!」  
せめて手で口を覆えれば、とエル子は千々に乱された意識の中で思った。声が、抑えられない。  
異様に高められてしまった感度に、パーネの舌技に身体が快感を拒否できない。  
パーネが舌を這わせるたびに快感が全身を蝕み、甘い喘ぎ声を発する。痺れの残る身体で、快感が  
走り抜けるたび僅かに身をよじらせた。ショーツがぐしょぐしょに濡れてふとももまで垂れているのを知りながら、止める術はなかった。  
乳首を舌でいいように弄ばれながら、パーネの細い指がショーツに潜り込み、直に割れ目を擦る。  
深すぎず浅すぎず。絶妙な指使いで秘裂を撫で、エル子を追い込んでいく。  
「それはそうとエル子さん、関心しませんよ?」  
「ひ、いやぁっ!やめ、あ、や、ああっ!」  
「先生に向かってあんな事言うなんて・・・エル子さん快活だけどいい子だと思ってたのに残念です」  
「そこ、あ、や、だめ、あぁ!やめてへぇぇ・・!」  
涙目になり、許しを請うエル子を責め立て強制的に感じさせるパーネ。  
エル子はパーネのテクニックの前にとろとろに蕩かされていた。  
 
大好きなヒュム男ではなく、同じ女、それもパーネに弄ばれていることがエル子の羞恥心を余計に煽った。  
自らの膝の上で悶えるエルフを見るパーネの顔には酷薄な笑みが張り付いている。  
「先生にそんな事を言う人には厳しいお仕置きが必要ですね」  
不意に割れ目をなぞる指を止め、クリトリスを摘みあげる。  
一瞬にしてエル子の世界は反転した。  
「ぎっ・・・!?」  
途端にガクン、と身体を持ち上げ身体を弓なりに緊張させ、エル子がぶるぶると震える。  
思考は彼方に飛ばされ、視界がぼやけ快感の渦に飲まれる。  
強すぎる快感に自分を蕩かされ、快感を無理やり混ぜ合わされて自身を見失う。  
「どんなお仕置きがいいかしら・・・エル子さん、お望みのお仕置きはありますか?」  
「あ゛、あ゛ぁーっ!あ、うああっ!!」  
柔らかく問いかけるパーネ。だが責めの手は休めるどころかより激しくエル子の敏感な部分を責めたてる。  
時に強く、時に優しく。絶頂を迎えさせず手前で止め絶望に陥れるパーネの仕打ちにエル子の正気がだんだんと  
削られていく。動物的な喘ぎを絶え間なく漏らしながら快楽の海に浮き沈みする。  
ココロが、溶かされる。カラダが、何かに飲まれていく。  
エル子の精神が、快楽に蝕まれカタチをなくしていった。  
 
 
どのくらいそうしていたのか、不意にパーネが手を止めた。何時間も続いていたのか、実は数分のことだったのか。  
時間の感覚を失うほどエル子は消耗していた。何度も寸止めされているうちに顔は汗に涙、唾液で汚れきっていた。  
呼吸を乱し、パーネの膝の上で息も絶え絶えになっている。  
「そうだわ、いいことを思いつきました。エル子さん、ちょっとここに座ってね」  
パーネがエル子を机の上に座らせるが、もはやエル子に抵抗するだけの気力も体力もなかった。  
生殺し状態のまま何度も責められ、どちらとも既に摩滅していたのだ。  
「エル子さん、ヒュム男君と仲がいいんですよね。幼馴染・・・かな」  
その言葉に、はっ、と我に返る。そうだ、自分は何をしに来たのか。  
動けるだけの体力はないけど、諦めたら終わりなのだ。何も始まらない。エル子は僅かな力をぐっと  
手に込めた。  
「じゃあ、ヒュム男君に選んでもらいましょう。エル子さんと私、どっちがいいのか」  
「え・・・?」  
動かすのも気だるい首をなんとか上げると、正面にはヒュム男が立たされていた。  
下半身は裸のままだったが、今のエル子の痴態を見ていたのか股間のモノは大きく反り返っていた。  
と、パーネがエル子が座っている机とは別の机に腰掛け、長いローブを捲くった。  
露になる、しなやかな白い脚とパーネの秘部。自分とは違う「女」の匂いがエル子の鼻腔をくすぐった。  
「さぁ、ヒュム男君はどっちのおまんこに入れたいのかしら」  
くすくす、と心底楽しそうにパーネが笑った。  
この人、おかしい。狂ってる---。  
エル子はパーネの笑顔を見ながら生気のない声でそうつぶやいた。  
この人はおかしい。狂って、狂って、狂うだけ狂って---「狂ったままマトモに戻ってきた人」。  
絶望の思考がエル子を支配する。こんな、常識も何も通用しない相手に、私は----。  
その時ようやくゆら、ゆらと幽鬼のような足取りでヒュム男が動き出す。  
しかし気力を振り絞り、ヒュム男に必死に語りかける。  
「ねぇヒュム男、思い出してよ・・・。小さい頃、あなたに買ってもらった・・・指輪ね・・・私まだ大事にしてるんだよ・・・・」  
泣きそうな顔で、ヒュム男に語りかける。  
もう彼女に出来ることはこれくらいしかなかった。  
 
でも、その時エル子には判ってしまった。その眼は、何も見えていない。虚ろな眼には、何も----。  
いや、「パーネ以外何も見えていない」。  
-----ああ、そっか  
よたよたとした足取りのヒュム男が二人に近づく。  
傍から見れば、どちらを選ぶか判らない。だが、当の三人は結果を知っている。  
とんだ出来レースだ。  
-----何も始まらない、じゃないんだ  
おぼつかない足取りのヒュム男はエル子に見向きもせず・・・パーネに抱きついた。  
母親に甘える子供のように力いっぱい抱きつく。  
「パーネ様、パーネ様っ・・・!」  
「ふふ、よく私を選んでくれましたねヒュム男君。ご褒美です、そこに寝転がって」  
ヒュム男を机の上に寝転がるよう指示すると、寝転んだヒュム男の身体をパーネがまたいだ。  
屹立した肉棒がずぷずぷとパーネの中に飲まれていく。熟れた果実はヒュム男を飲み込み、天上の快楽を与えた。  
その快楽にヒュム男の顔は綻び、至福の笑みを浮かべた。  
-----もう、何もかも、終わってたんだ。何もかも、遅すぎたんだ・・・。  
エル子の口からはは、は、と乾いた笑いが零れる。焦点の定まらぬ瞳から滂沱に涙が溢れた。  
「パーネ様、くあっ・・!すぐに搾り取られそうです・・・!」  
「ふふ、前より大きく感じますよ、ヒュム男君?」  
エル子の目の前で、パーネとヒュム男が交わる。肉の悦びに蕩けた顔で腰を打ち付けあう。ぱんぱんと肉のぶつかりあう音。  
一突きするたびに極上の肉壷に飲まれていく。一突きする度に膣内を凶悪な肉棒が抉り進む。  
ごつごつとヒュム男の肉棒の先端はパーネの子宮を小突く。  
「く、ふぅっ・・!ふふ、こんな大きなモノだったなんて・・・やっぱり私のペットでいさせてあげますね」  
「あ、ありがとうございますパーネ様ぁ!」  
悦びに打ち震え、腰を滅茶苦茶に振るヒュム男。激しい肉の打ち付けあう音がする。  
と、そこでパーネは他のペットたちの事を思い出した。飼い主たるもの、ペットはなるべく平等に扱わなくては。  
「ああ、ペットの皆さん・・・・。そこにいるエル子さんを好きにしていいですよ。もう壊れてしまっているかもしれませんけどね・・」  
くつくつと心底愉快そうにパーネが笑った。その言葉を聴くとペット達はエル子を机に押し倒し、  
自身のモノをエル子に突きつけた。だが、反応はない。虚ろな目で、乾いた声を出すのみだ。  
軽い舌打ちをしつつペットの一人---バハムーンがその巨根をエル子に突き立てた。  
勢いのまま、ぷちぷち、と何かを突き破る。  
「き、ひぁっ・・・。ふああっ・・・」  
途端、エル子の口から声が漏れた。結合部にどろり、と赤いモノが滲む。  
反応があったことに気をよくしたバハムーンはそのままエル子の中をかき回し始めた。暫くするとエル子の声が変わり始めた。  
「あ、はぁっ。あはあぁっ・・すごい・・・・きもちひぃ・・・っ」  
眼は相変わらず虚ろだったが顔は快楽の悦びに変わった。尚もつき入れ、かき回すと自ら腰を振り  
足まで絡めてきた。  
「ん、ひっ!きもち、ひ、あっ!もっとしてっ!」  
声を隠そうともせず、足をしっかりと絡ませ、僅かな快楽も漏らすまいとする。  
快楽のまま腰を動かす。壊れた人形のように。  
「ふふ、完全に壊れちゃったようですね・・・ヒュム男君?」  
壊れたエル子を見つめながら、満足そうにパーネが呟いた。  
「はぁ、あ、パーネ様っ・・!?な、何か仰いましたか・・?」  
「いいえ、何も・・・。さぁ、私を気持ちよくさせてくださいね?」  
パーネが腰の動きを早め、絶頂へと上りつめようとする。エル子もまた腕まで絡め、バハムーンを逃すまいとした。  
「ん、あっ、あっ、ああっ!きちゃう、何かきちゃうっ!」  
「そうそう、上手ですよヒュム男君・・んっ・・・。私の腰の動きに合わせて・・・」  
「だめ、イく、イっちゃぅ・・・!ようやくイくのっ!」  
「ん、あっ、く・・・。さぁ、私の中で果てなさい・・・」  
示し合わせたかのように、二人とも極限まで上り詰め・・・  
「イくっ!ああああっ!」  
「んっ・・・!は、ああっ・・・!」  
びゅるびゅる、と膣内に白濁が注ぎ込まれていく。膣内が汚されていく。  
しかしそれで終わりではない。パーネはなおもヒュム男を攻めたて、エル子もまた次のペットのモノを迎え入れた。  
その壊れた眼は絶望と狂気で光を一切映してはいなかった。  
待ちきれないほかのペットたちがエル子を裸に剥き、床に押さえつけた。その時一緒に何か「大事なもの」を取られてしまった  
気がしたが、もうどうでもよくなっていた。  
(ばいばい、ヒュム男・・・・)  
膣内に、口内に肉棒を捻じ込まれる。頭の中が快楽で埋め尽くされた。  
エル子が意識を保っていられたのはここまでが限界だった。  
 
 
こつ、こつと暗い校舎にヒールの音が響いた。  
白銀の髪をさらりとかきあげ、涼しげな顔で校舎を後にしようとした。  
「・・・・・・また『食った』のか」  
「あら、ダンテ先生こんばんは。いい月夜ですね」  
振り返ると、ダンテが鬼の形相でパーネを睨み付けていた。しかしパーネは至って涼しい笑顔で  
返した。僅かな静寂。  
しかし耳を澄ませば、風に乗って未だ肉の宴に浸り続けるエル子の声が微かに聞こえた。  
「食べるなんで人聞きが悪いですよ。私はただ生徒たちと『遊んでいた』だけですもの」  
「・・・・・」  
「ああ・・・。そういえばエル子さんはあなたのクラスでしたわね。ふふふ」  
月の光にパーネの笑顔が照らし出される。  
この世のものとは思えない、美しく神秘的な笑み。だが、見てはいけない、触れてはいけない。  
その笑みは、すなわちこの月光(ルナティック)。猛毒の狂った光。  
一度魅せられれば猛毒で爛れ死に至る。  
「では、また明日。ごきげんよう、ダンテ先生」  
いつも通りに笑うと楽しそうにパーネはダンテの前から去っていった。  
 
 
がばっ、とベッドから勢いよく身を起こした。  
とても静かな朝。小鳥がさえずり、柔らかな光が窓から差し込んだ。  
ぼやける意識で背伸びをするとベッドから降り、ブラシで髪を梳かし---何でだろう、ひどく髪がごわごわする--ながら、  
よろよろと---昨日そんなに疲れてたかな---した足取りで姿見の前まで歩いていく。  
そこで姿見に映った自分の姿に驚いた。服も何も着ていなかった。  
(おかしいなぁ。昨日何があったか思い出せない)  
そこで自分の汗のにおいとそれに混じって何か別の匂いがすることに気がついた。  
(やだ、臭い・・・学校に行く前にお風呂入らないと・・)  
その時だった。それに気づいたのは。  
胸元に、何か大事なモノがない。何かは思い出せないけど。  
正体不明の、大きな喪失感を覚えた。  
ふっ、と自分のあまりのおかしさに彼女はふきだしてしまった。  
だって、髪もごわごわ、足取りは疲れきって、理由もわからずに裸のまま。  
しかも何か大事な物を「無くした」らしいなんて----。  
「あれ…?」  
ぽた、と手の甲に暖かいものが落ちた。  
ぽた、ぽた。何度も手の甲を濡らした。  
「・・・何で?」  
エル子は姿見に映る自分を見ながらそう口にした。  
理由もないのに。とても、悲しい。涙が止まらない。  
理由がない筈なのに、必死に胸を触る。もう何もないのに。  
-------もう全て失ってしまったのに。何を失ったかも思い出せないのに。  
「・・・ホント、おかしいわ・・・」  
エル子は鏡の中の泣き続ける自分をいつまでも見ていた。いつまでも----。  
 
 
 

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