その頃、ヒューマンは部屋で一人ゴロゴロしていた。銃の手入れも終わり、明日の探索の準備も終わり、あとは寝るだけなのだが、  
寝るにはまだ少し早い。ノームの部屋にでも行こうかとは思ったものの、それも何だか面倒になり、結局一人で過ごしている。  
そんな彼の耳に、コンコンというノックの音が聞こえた。  
「ん?誰だ?」  
「私だけど、入っていい?」  
「ドワーフ!?あ、ああ。どうぞどうぞ」  
ベッドから飛び降り、すぐに鍵を開ける。ドワーフはヒューマンの顔を見ると、にっこりと微笑んだ。  
「急に来ちゃったけど、大丈夫?」  
「ああ、別に何もしてなかったし、大丈夫。とにかく入れよ」  
二人は部屋に入ると、椅子ではなくベッドに並んで腰かけた。ヒューマンはそのまま、ドワーフが何か言うのを待ったが、彼女は  
黙ったまま、何も言わない。微妙な居心地の悪さを感じつつ、彼女の顔を見ていると、ふと目元の毛が黒くなっているのに気付いた。  
「あれ、ドワーフ?お前、泣いてたりした?」  
「え?あ……うん、ちょっとね」  
寂しそうに笑い、ドワーフは頷いた。だが、それ以上のことを喋りはしない。  
「………」  
「ねえ、ヒューマン君」  
「ん?」  
「私、ね。今日は、言いたいことがあって、来たの」  
表情を見る限り、それはかなり大切なことらしい。ヒューマンは何も言わず、黙って耳を傾ける。  
「えっとね……昨日、ヒューマン君が、謝ってくれたの……嬉しかった。褒めてくれたのも、すっごく嬉しかった。それに、私のこと、  
信じてくれて、ひどい怪我してたのに、頑張って守ってくれて……すっごく、すっごく嬉しかった」  
そこで一旦言葉を切ると、ドワーフは大きく息を吸った。  
「私ね、それまで、ヒューマン君のこと、嫌いになろうとしてたの。でも……その、やっぱり……できないよ…。私……私…」  
「悪い、ドワーフ。俺に先に言わせてくれ」  
言いかけるドワーフの言葉を、ヒューマンが遮った。そして、彼女の顔をしっかりと見据える。  
「俺、お前のことが、好きだ」  
その言葉に、ビクッとドワーフの体が震える。  
「ずっと前から、好きだった。本当に、大好きだったんだ。でも…」  
ヒューマンは声を落とし、視線を落とした。  
「俺は、お前を好きになる資格なんか、ない。お前には、クラッズがいるし、あんなにお前を傷つけた俺が…」  
「……ねえ、ヒューマン君。それでも、私はここに来たよ?」  
どこか寂しげな笑顔で、ドワーフはヒューマンの顔を覗きこんだ。  
「ね、なんでだと思う?」  
「え……なんでって…」  
「……クラッズちゃんはね、ちゃんとこの事、知ってるよ。クラッズちゃんとは、もう…」  
たちまち溢れそうになった涙を、ドワーフは慌てて拭った。そしてすぐに、口を開く。  
「私ねっ、ヒューマン君のことが、好き!ヒューマン君がどう思ってても、私は大好き!資格とか何とか、そういうのって  
よくわからないけど、とにかく好きなの!」  
「うわっ!?」  
迷いを振り払うように叫ぶと、ドワーフはガバッとヒューマンに抱きついた。危うく押し倒されそうになりつつも何とか抱き止めると、  
彼女はヒューマンの腰の上に座りながら、震える声で尋ねる。  
「ねえ……好きなだけじゃ、ダメ?二人とも、好きだっていうだけじゃダメなんてこと、ないよね?」  
縋るような目つきで見上げるドワーフ。そんな彼女を見ていると、ヒューマンの中にあった迷いが消えていく。  
 
今まであった、彼女に対しての負い目、躊躇い、気恥ずかしさ。それらは全て、もう何の必要ないものだった。  
自分も、彼女も、気持ちは同じなのだから。ならば、もう迷うことはない。  
「……あるわけないだろ、そんなこと」  
優しく呟き、ドワーフを抱き締める。その行動は予想していなかったのか、ドワーフは尻尾を振りつつも、体を離そうとする。しかし、  
ヒューマンは彼女をしっかりと抱き締め、放さない。それでもしばらく、ドワーフは体を離そうとしていたが、やがて諦めたのか、  
自分からもぎゅっとヒューマンに抱きついた。  
しばらく、二人はそうして抱き合っていた。部屋の中には、ただパタパタと、尻尾がベッドに擦れる音が響く。ややあって、ドワーフが  
ふと体を離し、目を丸くして腰の辺りを見つめた。  
「……ん?何か当たる…?」  
「ちょっ、ちょっと悪い!!ちょっとどいてくれ!!」  
慌てて、ヒューマンがドワーフを押し返す。しかしそれによって、ドワーフは彼の異変に気付いてしまった。  
「わっ…」  
「い、いや、その……これは…」  
ヒューマンのズボンが、内側から押し上げられている。それが、ドワーフの腰に当たっていたのだ。  
「お、お前、俺の上に座って尻尾振るから……腰が動いて……グリグリされて…」  
「え……あっ……わっ、私、そんなつもりなかったんだけど…!」  
それ以上何を言えばいいかもわからず、二人は黙り込んでしまった。僅か数十秒前の雰囲気など、一瞬にして消えてしまい、代わりに  
とてつもなく気まずい沈黙が訪れる。  
その沈黙を先に破ったのは、ドワーフだった。  
「……あの、さ。やっぱり、その……ヒューマン君、も、私とそういうの、したいと、思う……の?」  
「えっ!?あ……ま、まあ……その…………うん…」  
「その、ね。クラッズちゃんも、さ。私と……私のこと、好きだって……それで、したくなるんだって…」  
そこまで言って、ドワーフは一旦言葉を切った。  
「……私、クラッズちゃんとも、そういうこと、したんだよ?それでも……ほんとに、いいの…?」  
ドワーフはだいぶ混乱しているようで、ヒューマンがその内容を理解するまでには、多少の時間を要した。つまり彼女は、クラッズと  
関係を持ったことを、ヒューマンが気にしないかと不安なのだ。  
怯えたように見つめるドワーフに、ヒューマンはそっと手を伸ばした。  
「そんなことは気にしねえよ。俺は、その……お前が好きだ」  
気の利いた言葉が浮かばず、ヒューマンはとにかく正直な気持ちを口にする。しかし、彼女にはそれで正解だった。  
何のごまかしも利かない、率直な言葉。不安でいっぱいだったドワーフの胸に、その言葉は強く響いた。  
頬を撫でる手に、そっと手を添える。そして、ドワーフは本当に嬉しそうに微笑んだ。  
「私も……だよ。ヒューマン君のこと、大好き」  
そんなドワーフに、ヒューマンも微笑みかける。もう、それ以上の言葉は必要なかった。  
ごく自然に、二人の顔が近づく。ドワーフが目を閉じ、ヒューマンは彼女の頬から首へと手を回し、そっと唇を重ねる。  
ふわふわとした肌触り。和毛が口元をくすぐり、軽く押し付ければ、唇がふにっと柔らかく受け止める。  
唇に当たる毛の感触、彼女の唇の柔らかさ、温かさ。それら全てが、たまらなく愛おしく感じる。  
ふと、唇に何か柔らかい物が当たった。一瞬遅れて、それが彼女の舌だと気付く。  
口を軽く開くと、その隙間をこじ開けるように、ドワーフの舌が入り込んだ。意外と積極的なことに驚きつつも、ヒューマンはその舌を  
舐めるように、自身の舌を絡める。  
薄く平たく、長い舌。ヒューマンがどう動かそうと、その舌はさながら子犬がじゃれ付くように後を追い、ヒューマンがそれに  
応えれば、嬉しそうにまとわりつく。そんな彼女が可愛らしく、ヒューマンは積極的に舌を絡めてやる。  
しばらくそうやってじゃれあってから、二人はどちらからともなく唇を離した。唾液が名残惜しげに糸を引き、ドワーフは蕩けるような  
笑顔でヒューマンを見つめる。  
 
「ふふ、嬉しいな。ヒューマン君と、キスしちゃった」  
「お前、思ったより積極的なんだな。びっくりしたよ」  
「ヒューマン君のこと好きだし、キスは慣れてる……から」  
一瞬、少しだけ寂しそうな笑みを見せたが、ドワーフはすぐに顔を上げた。  
「ヒューマン君。続き、してくれる?」  
「それは構わないけど、いいのか?アイドル学科なのに」  
冗談めかして尋ねると、ドワーフははにかみながら答える。  
「いいの、ヒューマン君となら。私だって……ヒューマン君と、してみたいもん」  
それだけ聞けば、もう十分だった。ヒューマンは彼女の服に手を伸ばし、慣れない手つきで一つ一つボタンを外す。全てのボタンを外し、  
上着を脱がせると、形のいい胸が露わになる。  
「ちょっと、恥ずかしいな…」  
「……触っても、いいか?」  
ドワーフが頷くと、ヒューマンは恐る恐るといった感じで手を伸ばす。彼の手が体毛に触れると、ドワーフはピクッと身を引いた。  
しかし、それ以上逃げはしない。  
そっと、掌で包み込むように触れてみる。  
「んぅ…!」  
ぎゅっと目を瞑り、鼻を鳴らすドワーフ。そのままゆっくりと、捏ねるように揉みしだく。  
掌に伝わる柔らかい感触と、手触りのいい艶のある体毛。肌に直接触れるのとはまた違う、独特の温かみと手触り。  
その中に僅かな突起の存在を感じ、ヒューマンはそこを指先でくすぐる。  
「んあっ…!ヒューマン君……気持ち、いいよ…!」  
ドワーフの体がピクリと跳ね、熱い吐息が漏れる。その反応に気を良くし、ヒューマンはさらにじっくりと揉み始める。  
ヒューマンの手が動く度、双丘が柔らかく形を崩し、ドワーフが鼻を鳴らす。揉むだけでなく、時には先端の突起を指先で弄る。  
不意に、ドワーフがその手をそっと掴んだ。  
「ん、嫌だったか?」  
「ううん、違うの。えっとね…」  
ドワーフは一瞬、躊躇うような仕草を見せたが、やがてもじもじしつつも口を開いた。  
「あの、私も、ヒューマン君に、何かしてあげたいな…」  
「えっ?あ、ああ、気持ちは嬉しいけど……触らせてくれるだけでも、結構嬉しいんだけどな」  
「でも、その、それじゃ不公平だもん。えっと……こことか、触るといいんだっけ?」  
言いながら、ドワーフはヒューマンの股間に手を伸ばし、ズボンの上から、中で立ち上がっているモノの先端を撫でた。  
「うっ…!」  
「いいのかな?これぐらいなら、私もしてあげられるもん」  
触るか触らないかといった強さで、先端をゆっくりと撫でる。力の入れ具合がわからないらしく、刺激としてはひどくもどかしい。  
やはり一度も経験はなく、クラッズにもされるばかりだったため、その手つきは非常に拙い。だがヒューマンにとっては、その覚束ない  
手つきが、逆にとても気持ちよく感じる。  
「ど、どう?気持ちいい?」  
「ああ……くっ……いいよ…!」  
「よかった、えへへ」  
尻尾が、再びパタパタと動き始める。嬉しそうな顔でそこを撫で続けるドワーフ。しかし、確かに気持ちいいのだが、ヒューマンは  
何となく彼女に対抗心を煽られていた。  
「うっく……おい、ドワーフ…!今度は、お前ばっかりになってるじゃねえかよ……くっ…!」  
「え?あ、そうだね。でも、私はこれでもいいよ?」  
「それじゃ不公平だって、お前が言い出したんだろ。だから、その、俺もお前に……同じこと、していいよな?」  
その意味を一瞬考え、途端にドワーフの尻尾が止まり、体毛がぶわっと膨らんだ。  
 
「あ、う、うん、いいけど……あの、優しく、してね…?」  
一度手を離し、お互いに体をぴったりと寄せる。そしてヒューマンが手を伸ばすと、ドワーフはすぐにその手を捕らえた。  
「ん、ダメなのか?」  
「あ、ううん。そういうことじゃなくって……あの、出来れば脱がせてほしいな。じゃないと、汚れちゃうし……ヒューマン君のこと、  
直接感じたいし、さ」  
「ああ、そういうことか。わかったよ」  
ドワーフが手を放すと、ヒューマンはまず自分の服に手をかけ、手早く脱ぎ捨てる。下着までもベッドの下に脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿に  
なってから、ドワーフのショートパンツに手をかける。  
「あ、尻尾、大丈夫か?」  
「うん、平気」  
ヒューマンが脱がせるのに合わせ、ドワーフはうまく尻尾を動かし、それを手伝う。ショートパンツが脱がされ、その下のショーツまで  
脱がされると、さすがにドワーフは尻尾で股間を隠す。  
「尻尾、どかしてくれねえか?それだと触れねえ」  
「う、うん。でも、ちょっと恥ずかしいな……ヒューマン君、堂々としてるよね」  
「まあ……今更、恥ずかしがる状況でもねえしさ」  
「そういうとこ、男らしくってかっこいい、かな?えへへ」  
全身の毛を膨らませつつ、ドワーフはゆっくりと尻尾をどかした。そこに、ヒューマンがそっと手を伸ばす。  
割れ目に、軽く指が沈み込む。ドワーフの体が、ピクッと震えた。  
「んんっ…!」  
「大丈夫か?」  
「ん……うん。続けて、いいよ…」  
指に、柔らかく熱い感触が伝わる。既にそこは僅かながら湿っており、触れればぬるぬるとした粘液が指にまとわりつく。  
ゆっくりと秘裂を擦ると、彼女の体がピクリと跳ね、同時に指をきゅっと締め付けてくる。  
「んっ……あ…!な、何かヒューマン君の……んんっ……さっきより、大きくなってる…」  
「そりゃ、まあ…」  
ドワーフもおずおずと、ヒューマンのモノに手を伸ばし、そっと握ってみる。  
「く…!」  
「えっと……握っても、平気?」  
「う……ああ、あんまり強くなければ…」  
やはり慣れない手つきで、ドワーフは恐る恐るヒューマンのモノを扱き始める。  
「わ……硬いし、熱いんだ……あんっ!」  
「お前だって、こんなに熱くなってる…」  
それまで、割れ目をなぞるように撫でていたヒューマンは、そっと指の角度を変え、彼女の中に突き入れた。途端に、ドワーフの体が  
ビクンと跳ねる。  
「い、痛っ!ヒューマン君っ……まだ、ちょっと……待って…!」  
「ご、ごめん!大丈夫だった!?」  
慌てて指を引き抜き、ヒューマンはドワーフの顔を覗きこむ。  
「入れられるの、あんまり慣れてなくって……だから、もうちょっと濡れてから…」  
「ごめんな。その、俺、その辺よくわかんなくて…」  
何だかしゅんとしてしまったヒューマンに、ドワーフは優しい笑顔を向けた。  
「大丈夫だよ。ちょっとびっくりしちゃったけど、そこまで痛かったわけじゃないから」  
「そ、そうか?悪かったな、今度は痛くしねえから」  
気を取り直し、ヒューマンは再び手を伸ばした。今度は優しく、周囲から揉み解すように撫でる。  
 
割れ目に指を沈み込ませ、親指で敏感な突起に触れると、途端にドワーフは熱い吐息を漏らす。  
「あっ!そこ、好きぃ…!もっと、してぇ…!」  
甘い声でねだるドワーフ。その姿は意外でもあったが、同時にひどく扇情的だった。声だけですら、十分な刺激である。  
「お前、意外と積極的なんだな。もっと大人しいイメージだったけど」  
ヒューマンが言うと、ドワーフは快感に潤んだ瞳の中に、僅かな悲しみの色を浮かべた。  
「言わないで……お願い、今はヒューマン君だけを、感じさせて」  
その言葉で、ヒューマンは気付いた。ドワーフは、クラッズを忘れたいのだ。  
「……ああ、悪かったよ」  
お詫びに口付けをし、指での刺激をさらに強める。ドワーフもお返しとばかりに、彼のモノを扱いているが、その手はやや  
止まりがちである。  
「あんっ、あっ!ヒュ、ヒューマンくぅん…!」  
ドワーフのそこは、既に十分濡れ始めていた。溢れる愛液は指を濡らすだけに留まらず、ドワーフの毛を伝い、今にもベッドに  
滴りそうになっている。ヒューマンも、ずっとお返しを受けているため、既にそこははちきれんばかりに怒張している。  
「ドワーフ……俺、もう…」  
ヒューマンが囁くと、ドワーフは恥ずかしげに笑い、頷いてみせる。そんな彼女を押し倒そうとすると、ドワーフはその体を  
全力で押し返した。  
「ま、待って、ごめん。あの……恥ずかしいけど、わ、私に、させてくれない……かな…?入れられるのって、ちょっと怖い…」  
「ああ……そうか。まあ、それでもいいけど」  
今度は逆に、ドワーフがヒューマンの体を押す。尻餅をついた体勢のヒューマンに、ドワーフはそっと乗りかかる。  
「ドワーフ、大丈夫か?」  
「う、うん、たぶん…」  
「その……経験は、あるん……だよな?」  
「でも、血、出たことないし……こんなにおっきいの、入れたことないから…」  
「……無理するなよ?」  
ヒューマンのモノを掴み、ドワーフは自身の秘裂にあてがうと、不安げな顔をしつつも、少しずつ腰を落とし始める。  
ちゅく、と、先端が押し当てられる。そして、ドワーフが体重をかけると、花唇がゆっくりと開かれ、少しずつヒューマンのモノを  
飲み込み始める。  
「んっ……お、思ったよりは……平気かも…」  
顔をしかめつつも、ドワーフはさらに体重をかける。彼女の中は熱くぬめり、それでいて強く締め付けてくる。初めての感覚に、  
ヒューマンは歯を食い縛って耐えている。  
「う……くっ…!」  
「んんんっ…!ど、どぉ…?もう……だいぶ、入った…?」  
痛みが出てきたのか、ドワーフは苦しげに顔を歪ませ、掠れた声で尋ねる。  
「う……まだ半分くらいだ…!」  
「ま、まだそれだけぇ…!?わかった……もうちょっと、がんばる…!」  
そう言うと、ドワーフは一旦呼吸を整え、息を止めると、グッと体重をかけた。途端に、今までの抵抗が突然なくなり、一気に根元までが  
彼女の中に入り込んだ。  
「うあっ!」  
「あぐうっ!あ……つぅ…!」  
完全にヒューマンの腰に座り、苦しげな息をつくドワーフ。一方のヒューマンも、今までにない快感に、必死に耐えていた。  
「く……ドワーフ、平気か…?」  
「痛っ……痛たた…!ちょ、ちょっと痛かったけど、聞いてたほどじゃないから、平気……でも、ちょっと待って……いたぁ…」  
確かに、結合部には僅かに血が滲む程度で、大した出血はしていないようだった。恐らくはクラッズと経験があったため、  
あまり緊張せずに受け入れられたのだろう。  
 
じっとしていても、ドワーフの中はまるで生き物のように動き、ヒューマンのモノをぎゅうぎゅうと締め付けてくる。思わず腰を  
突き上げたくなる衝動と戦いながら、ヒューマンは優しくドワーフの体を抱いてやる。  
「はぁ……はぁ……無理、するなよ…?」  
「あ、あはは……ヒューマン君も、辛そうだね…」  
少し涙を滲ませつつも、元気そうに振舞うドワーフの姿は、何とも可愛らしかった。ヒューマンは彼女の首を抱き寄せ、優しく  
キスをする。ドワーフは少し驚いたようだったが、すぐにそれに応え、自分から舌を絡める。  
お互いに向かい合って座り、深く繋がったまま、キスを楽しむ。そうしていると、不思議とドワーフの痛みも薄らいできた。  
自然と、尻尾が振れる。さすがに勢いはよくないものの、それでも多少は振動が腰に伝わる。繋がったまま、腰をぐりぐりと動かされ、  
さらに加わった快感に、ヒューマンは呻き声を上げる。  
「うくっ……お前、また尻尾…」  
「ん?あ、ごめんね。でも、何か嬉しくってさ……えへ」  
「もう、痛くないのか?」  
「うん、平気。だから……動いても、いいよ…」  
そう言われると、ヒューマンは少し苦笑いを浮かべた。  
「けど、その……気持ちよすぎて、動いたらすぐ出ちまいそう…」  
「そ、そう?でも、なんか嬉しいな……私で、気持ちよくなってくれてるって…」  
再び、尻尾がパタパタと動き出し、ヒューマンが呻く。  
「あ、ごめん」  
「……いいや、もう。痛かったら、すぐ言えよ」  
ヒューマンが、軽く腰を動かす。一瞬、ドワーフはビクッと身を震わせたが、痛みによるものではないらしい。  
かなり動き辛いものの、ヒューマンはゆっくりと腰を動かす。突き上げる度、ドワーフの中はぎゅっと締め付け、彼女自身も鼻を鳴らす。  
「んっ……はぁ…!ヒューマン、君…!」  
甘えるように言って、ドワーフはヒューマンに抱きつく。そんな彼女を、ヒューマンも強く抱き返す。  
「ドワーフ……中、すげえ熱くって……気持ちいい…!」  
「んあっ!あぁっ!うっ……あんっ!私、も……気持ち、いいよぉ…!」  
蕩けるような声で言うと、ドワーフもゆっくりと腰を動かし始めた。  
「うあっ!?ド、ドワーフ……くっ…!」  
「あっ、んっ!ヒューマンくぅん…!」  
腰をくねらせ、前後に動かし、中は強くヒューマンのモノを締め付ける。ぬるぬるとした膣内で強く扱かれ、熱い粘液が彼のモノを  
包み込む。その刺激に、ただでさえ限界近かったヒューマンは、一気に追い詰められた。  
「ドワーフっ!もう、出るっ!くっ……あっ…!」  
「い、いいよ…!ヒューマン君……好き…!そのまま、いいよ…!」  
「ドワーフっ……ぐっ……あぁ!」  
より強くドワーフを抱き締め、ヒューマンは彼女の中に思い切り精を放った。  
「うあっ、あ……ヒューマンくん、の……あついぃ…!」  
ビクビクと彼のモノが脈打ち、その度にドワーフの体内に精液が注ぎ込まれる。二度、三度と彼のモノが体内で跳ねるのを感じ、  
その度にドワーフはえもいわれぬ幸福感を覚える。  
やがて、その動きがなくなり、じきに大きかったモノが、少しずつ小さくなり始める。二人は抱き合い、荒い息をついていたが、  
ヒューマンが口を開く。  
「はぁ……はぁ……大丈夫、か…?」  
それに、ドワーフは笑って答えた。  
「うん、平気…。ヒューマン君も、大丈夫…?」  
「ああ……俺は平気だよ」  
ヒューマンが座り直すように腰を引くと、あらかた小さくなっていたモノが、ちゅるりとドワーフの中から抜け出た。  
「んっ…!ヒューマン君……好き…」  
甘えるような、それでいてどこか縋るような視線で、ドワーフはヒューマンを見つめる。  
「……俺も、好きだ。ドワーフ、大好きだ」  
二人はまた、キスを交わした。しっかりと抱き合い、お互いの感触を求め合う。二人はお互いに甘えるように、いつまでもそうしていた。  
 
「……それにしても、珍しいね。君が僕の部屋に来るなんて」  
「行くとこないんじゃもん……はぁ…」  
ベッドに突っ伏すクラッズ。ノームは足を組んで椅子に座り、クラッズをじっと見つめている。  
「結局ね、あたしはドワちゃんを、余計苦しめただけじゃったわけよ……あの子の好きな人を傷つけて、遠ざけて、おまけに余計な  
恋人まで作っちゃって、泣かせて……あんなにいい子、おらんのに……は〜ぁ…」  
「でも、ドワーフは悩んでたんだろう。それなら、君のものにすればよかったじゃないか」  
「出来るわけないでしょ〜!?元々、あの子はヒュマ君が好きじゃったわけじゃし、あたしは後から好きにさせただけで……ふ〜…」  
「だったら、仲直りなんかさせなければよかったんだ。どうして君は、あの時ヒューマンに謝るチャンスを与えたんだい」  
ノームが尋ねると、クラッズはむくりと体を起こした。  
「……狸寝入りして盗み見なんて、趣味悪い奴じゃなー」  
「失礼な。あの時、僕は首を切られてたんだ。まともに体が動かせなくって、僕は僕で苦労してたんだよ。わざとじゃない」  
「ああ、それはごめん。けど……ねえ……あたしは、ドワちゃんが好きなんじゃもん……ドワちゃんを、苦しめたいわけじゃないし、  
泣く姿なんか、見たくないもん…」  
「意外とピュアなんだね。それにしても、君は泣いたりしないんだな」  
その言葉に、クラッズは自嘲の笑みを浮かべた。  
「全部、あたしのせいじゃもん。自分で仕掛けたことが失敗して、『あ〜あたしが可哀想〜』なんて、泣けると思う?そこまでは、  
さすがに見損なわないでよ」  
「なるほど、それは失礼。しかし、君は本当に、ドワーフのことを第一に考えてたんだな」  
「結局泣かせて、苦しませて、あたしもヒュマ君のこと、言えなくなったけどね…」  
落ち込んだ声で言うと、クラッズは再び突っ伏した。そんな彼女を見て、ノームの口元が僅かに吊り上がる。  
「けど、一ついいかい」  
「……な〜に?」  
「どうして、わざわざドワーフと恋人の縁を切る必要があったんだい」  
「は!?」  
思いもよらない言葉に、クラッズはガバッと体を起こした。  
「ドワーフは、君のことも好きなんだろ。なら、恋人のままでいればいいじゃないか」  
「ばっ、馬鹿言わないでよ!?じゃから、あの子はヒュマ君がおるんじゃし…!」  
「好きな人が一人じゃなきゃいけないなんて、誰が決めたんだい。君とドワーフと、ヒューマンで付き合えばいいじゃないか」  
「はぁ〜!?あんた、何言ってんの!?あたしが!?ヒュマ君と!?馬鹿言わないで!!どうしてあたしが…!」  
「君は、ヒューマンを嫌ってるわけじゃないだろ」  
「嫌いじゃってのっ!!!どうしてあたしが、あんな見栄張ってドワちゃんを泣かせるような奴と…!」  
「そう、君が嫌いなのは、『ドワーフを泣かせたヒューマン』だ。君等は、パーティ結成当初はフレンドリーだったし、  
そうでなくとも、君は今もあいつを影で『ヒュマ君』って呼んでる。本当に嫌いなら、そんな呼び方はしない。それに、チャンスを  
与えるようなことだって、するわけない。いわば、かわいさ余って憎さ百倍ってとこだろ。違うかい」  
ノームの言葉に、クラッズは言葉が出なかった。言い返そうとしても、反論できる言葉がなかったのだ。  
やがて、クラッズは大きな溜め息をつき、肩を落とした。  
「……ほんと、よく見てるのぅ…。言われてみれば、そうなんじゃよね…」  
「いいじゃないか。ドワーフは君もヒューマンも好きで、君もヒューマンも、ドワーフが好きで、お互い嫌いではない。別に、  
君とヒューマンは付き合わなくたって、同じドワーフを好きな人同士、仲良くすればいいじゃないか」  
クラッズはゆっくりと顔を上げ、ノームの顔を見つめた。その疲れた顔に、少しずつ笑顔が蘇ってくる。  
 
「……なかなか面白いこと考えるのぅ〜。そうじゃよね、ドワちゃんに確認取ったわけでもないんじゃし」  
「今からでも行ってくればいいさ。彼女のことだから、きっと受け入れてくれると思うよ」  
ノームが言うと、クラッズはベッドからぴょんと飛び降りた。  
「よし!じゃああたし、行ってくる!ノーム君、ありがとね!大好きじゃよ!」  
「ああ、お礼のキスは結構だよ。ヒューマンとかドワちゃんに嫉妬されても困る」  
「あっははは、しないしない!でも、してあげてもいい気分じゃけどね〜!とにかく、行ってくるね!!」  
今までとは打って変わって、クラッズは弾んだ足取りで部屋を出て行った。それを見届けると、ノームは口元だけの笑みを浮かべる。  
「さーて、これでますます面白くなりそうだ」  
 
その頃、ヒューマンとドワーフはベッドの上で、仲良く寄り添って座っていた。言葉はなくとも、お互いの温もりを感じられるのが、  
とても幸せだった。  
突然、鍵がガチャリと音を立てて外され、続いてドアが勢いよく開かれた。  
「お邪魔しまーす!」  
「どわぁ!?」  
「きゃあぁぁ!?」  
入ってきたのは、紛れもないあのクラッズだった。服も着ていない二人は、慌てて布団を胸元まで引き上げる。  
「お、お前どうやって…!?」  
「そりゃーアンロックに決まってるでしょ!それにしても、あ〜……ちょっと遅かったかぁ。もう一発ヤッちゃった後みたいじゃね。  
大丈夫?痛くなかった?あたしが一緒なら、絶対痛くさせなかったのに〜」  
「ク、ク、クラッズちゃん…!?あの、どうして…!?」  
混乱しつつもドワーフが尋ねると、クラッズはにんまりと笑った。  
「うん、ちょっとノーム君と話したんじゃけど、別れる必要はなかったかなーって」  
「え?えっ……と…?」  
「ドワちゃん、あたしのこと、好き?」  
不意に、クラッズは真面目な顔で尋ねた。それに対し、ドワーフは即座に答えた。  
「うん……大好き、だよ」  
「よかったー!あたしも、大好き!お互い好きなんじゃから、別に別れる必要ないよね!ちょっと男臭くなっちゃったみたいじゃけど、  
それでもドワちゃんのこと、大好き!」  
言いながら、クラッズは当然のようにベッドに上がり、もそもそとドワーフの隣に潜り込んだ。  
「お、おい、クラッズ…」  
「あ〜、安心して。別にあんたからドワちゃん盗ろうってわけじゃないから……あ、違うか」  
クラッズはヒューマンの顔を見つめながら、心を落ち着けるように一つ息をついた。  
「あんたじゃなくて……ヒュマ君、じゃね。お互い、色々あったけどさ、ドワちゃんを好きな人同士、仲直りしてほしいな」  
彼女の意外な言葉に、ヒューマンは目を丸くする。  
「いや、その、それは別にいいけどよ……けど、ドワーフは…」  
言いかけてドワーフを見ると、彼女はもじもじしつつ、口を開いた。  
「あ、あの……私は、二人とも、大好き…。だから……クラッズちゃんとも、別れなくていいなら、嬉しいな…」  
「……つまり、俺とお前とクラッズとの関係で、構わないと…?」  
ドワーフは恥ずかしげに顔を伏せ、こっくりと頷いた。  
「……マジかよ…」  
「ま、そういうわけじゃからさ!ああ、でもあたし、ヒュマ君とはヤらないから、ドワちゃん安心して!」  
「……えへへ、嬉しいな…!やっぱり私、クラッズちゃんとも、別れたくなかったもん……ぐす…!」  
「あーもー!かわいいなぁドワちゃんは!んじゃまあ、ヒュマ君、これからよろしく!」  
「………」  
嬉しそうなクラッズとドワーフを尻目に、ヒューマンはこの予想も付かない成り行きに、ただただ絶句するばかりだった。  
 
その翌日、ヒューマンは目を覚ますと即座にノームの部屋へと乗り込んだ。  
「おいコラノーム!お前、クラッズに変な入れ知恵しただろてめー!!」  
そんなヒューマンに、ノームは椅子に座りながら、いつもの口元だけの笑顔で答える。  
「変な入れ知恵とは、失礼だな君は。僕はただ、パーティ全員が一番幸せになれる道を、指し示しただけじゃないか。君だって、  
クラッズと仲直りできたわけだし、女の子二人と同時に付き合えるんだぜ」  
「そ、そりゃ仲直りはよかったけどよ……でも、その、何か違わねえか!?」  
「ドワーフだって、クラッズと別れるのは辛かったんだ。君はまた、君一人の都合でドワーフを不幸にする気かい」  
「ぐっ……お前、地味に痛えとこ突くよな…」  
「最後には結局、インナモラーティは結ばれるものさ。今回は、ちょっとおまけがついてるけどね。スラップスティックとしては、  
なかなかよかったじゃないか」  
楽しそうに語るノームを、ヒューマンは呆れきった顔で見つめた。  
「……お前、自分は観客だとか言ってたけどよ、絶対観客じゃねえだろ。お前みたいなトリックスター、見たことねえよ」  
「あっははは。光栄だなあ、その言葉は」  
実に楽しそうに、ノームは笑った。いつもの口元だけのものではなく、目も少し笑っている。  
「けど、ヒューマン。ドワーフとするときは気をつけてくれよ」  
「あん?何にだよ?」  
「君はガンナーなんだ。命中率は高いからね」  
言葉の意味が判らず、ヒューマンは首を傾げた。  
「ああ、でも君のことだ。フィニッシュはやっぱりヘッドショットがお好みかい。けど、ドワーフ相手じゃ、毛が大変な事になるし、  
ほどほどにしてやれよ」  
「……てめえこの野郎ーーー!!!」  
ヒューマンが殴りかかった瞬間、ノームはふわりと体を浮かせ、開けっ放しの窓から外へと飛び出した。  
「ははは、そんなに怒るなよ。ちょっとしたジョークじゃないか」  
「一発殴らせろ、てめえ!」  
「お断りするよ。まあともかく、今度はドワーフともクラッズとも、仲良くやってくれよ。僕としては、親友が苦しむ姿なんて、  
あまり見たくないんだ」  
「……お前は、危なくなると友情を盾にするんだな…」  
「結果的にそうなっただけで、本心だよ。とにかく、僕はこれで失礼。また前みたいに、みんなで仲良く探索できるのを、  
楽しみにしてるよ」  
そう言うと、ノームはゆっくりと地面に降り、悠々と歩き去っていった。それを窓から見つめ、ヒューマンは溜め息をつく。  
「……感謝はするけどよ……ったく…」  
呆れたように呟き、ヒューマンは部屋を出た。するとすぐに声がかけられる。  
 
「あ、ヒューマン君、ここにいたんだ」  
「ノーム君にお礼でも言ってた?ヒュマ君もまめじゃのぅ」  
仲良く並んで歩く、ドワーフにクラッズ。言い換えると、現在の恋人に、その恋人の恋人。  
「……ま、そんなとこだ」  
「でもヒュマ君〜、黙って出てっちゃダメじゃよ?起きたら好きな人が隣にいないって、すっごく不安なんじゃから」  
「ああ……ごめん。悪かったよ」  
「……ま、おかげであたしが、ドワちゃん独り占めできたけどね〜」  
「明日は、ヒューマン君も一緒に起きようね」  
純真な笑顔で言うドワーフ。そんな顔を見ていると、ヒューマンは何だか、どんな問題も些細なものに思えてしまった。  
「……そうだな、そうしよう。ドワーフ、体は大丈夫か?」  
「うん、平気だよ。心配してくれて、ありがとね」  
「あ、今度するときは、あたしもちゃんと混ぜてね〜。ドワちゃんのこと、すっごく気持ちよくしてあげるからさ!」  
「えへへ……恥ずかしいけど、嬉しいな」  
既に、すっかりこの状況に馴染んでいるドワーフにクラッズ。そんな二人を見ていると、もはやそんなことで悩んでいるのが  
馬鹿らしく思えてくる。半ば自棄ではあるが、少なくとも以前のギスギスした関係よりは、何百倍もマシである。  
「んじゃ、朝飯は三人で食うか。せっかく会ったんだし、学食行こうぜ」  
「さんせーい!ごはんごはん〜」  
「あっははは。ドワちゃんは相変わらずじゃのぅ〜」  
仲良く歩き出す三人。そこには、今まであった確執など、きれいさっぱり消え去っていた。むしろ、以前よりさらに仲良く見える  
ほどである。今の彼等を見て、つい数日前まで喧嘩をしていた者同士だとは、誰も思わないだろう。  
雨降って地固まる、という言葉がある。しかしこれは固まりすぎだろうと、ヒューマンはぼんやりと思った。  
当然のように三角関係を受け入れる三人。しかもそれがうまく回る現実。普通なら、ちょっとありえない構図だろう。  
そのありえない構図が、通用する一行。  
クロスティーニきっての仲良しパーティ。または学園一の成長株。あるいは、最も混沌とした人間関係を持つパーティ。  
やはり色んな意味で特別なパーティだと、彼等は結局、学園で話題のパーティになるのであった。  
 

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