初めの森に通じるクロスティーニ学園の裏門のたもとには、名も知れぬ名器が転がっているという。  
人に知られることも無く、名器名鑑に記されることも無く、手に入れて使っている本人にも全く  
自覚が無い、そんな空気のような名器があって、貧しくも心清らかな新入生たちをやさしく見守って  
いるらしい..。  
 
「セレスティア喜べ!!軽木の樹脂が手に入ったぞ」  
 モンスターの遺体を漁っていたクラッズが明るい声を上げる。  
「良かったじゃん。帰ったら早速実験室でライトスリング作ってあげるよ」  
「これでまた『ゴルゴセレちゃん』の復活だね」  
 口々にお祝いを述べるパーティーの仲間たち。  
 入学当初ひょんなことから手に入ったぱちんこと魔法でパーティを支えてきた魔法使いの  
セレスティアだが、活動の場が初めの森から魔女の森や剣士の山道に移るにつれ、ぱちんこの非力さが  
目立つようになってきた。昨日も、魔女の森のアンチスペルゾーンでモンスターと遭遇し、死者こそ  
出さなかったものの泥沼の乱戦の末に冒険半ばで撤退を余儀なくされたばかりで、もっと強力な飛び道具が  
欲しいと思っていたところにこの慶事である。セレスティアの顔も自然と明るいものになる。  
「ありがとう..このすばらしい贈り物に神と皆さんに感謝します」  
「そんなー。僕に感謝されても困るなー。照れちゃうなー」  
「勘違いすな。セレちゃんの言う皆の中にはあんた入ってないから」  
「もちろん。僕は神だからねー」  
「そっちかい!!」  
クラッズのボケに速攻で突っ込みを入れるノーム。夕暮れの初めの森に仲間たちの笑い声がこだまする。  
―明日からはもっと素敵な冒険が始まりそう―  
そんな想いを抱きつつ、一行はクロスティーニ学園への帰路についた。  
 
 その夜、セレスティアは学生寮の自室で武具の手入れをしていた。就寝前、今日一日生き延びたことに  
神への感謝を捧げ、心穏やかに愛用の武器を磨き上げるのが彼女の日課だった。  
―このぱちんこの手入れをするのも、今日が最後―  
 壊れて森の入り口に捨てられていたものを錬金にかけて修理し、補強材が手に入るたびに補強を重ね、  
美しく漆塗りを施したぱちんこ。「たかがぱちんこにそこまでしなくても」と仲間たちは笑ったが、  
戦死したときに手入れの悪い道具を他人に見られて嘲笑されるのは、剣士だった父親譲りのプライドが  
許さなかった。たとえそれが廃品から再生したぱちんこであったとしても。  
 明日には現役を外れるぱちんこ。しかし、セレスティアは今までと変わることなく、否、今までの感謝の念を  
込めて、普段以上に丁寧に磨きあげた。  
「これで、磨き残しは無いかしら..ね?」  
ぱちんこを目線に掲げ、右手の指先でくるくる回しながら、表裏を満遍なくチェックする。  
「あ..ん..!!」  
手からぱちんこが外れ、胸元、お腹、太ももの間を転がり落ち、机の下へ消えていった。椅子を引き、ノロノロと  
かがみこみ、机の下からぱちんこを取り上げるセレスティア。椅子に座ったまま拾ったぱちんこをぼうっとした  
表情でしばらく眺めていたが、何を思ったか、制服のスカートのすそをたくし上げ、下着越しに股間の秘裂に  
ぱちんこの柄をあてがった。  
「..ん..んん..」  
一番感じやすい角度を探り当てると、そのままぱちんこの柄で秘部をこすり始める。  
「ん!!…くっ..ふぁっ…」  
興が乗るにつれ、こすり上げるペースが上がる。白い頬に赤みが差し、呼吸が荒くなってくる。  
「ん..ん..ん..ふあっ!ああっ!!」  
思わず声が上がる。はっ、と我に返り自らの口を押さえ、ルームメイトに聞かれてはいないかと背後を振り返るが、  
幸いにしてルームメイトは夢の迷宮の奥深くを探索中であった。  
 
 ほっ、と安堵のため息を一つ付くと、椅子からよろよろと立ち上がり、愛用のぱちんこを携えたまま自分のベッドへ  
向かう。制服を脱ぎハンガーに吊るすと、寝巻きに着替えることなく布団の中にもぐりこむ。そして、下着を膝まで下げ、  
枕カバーの代わりに枕に巻いているタオルを枕から剥ぎ、そのすそを口にくわえ、横向きに横になると再びぱちんこの柄を  
股間にあてがった。  
(わたし..ぱちんこなんかで..しちゃってる..し..)  
 
「パセリからぱを抜けば『せり』。立派な野菜やね〜。では、ぱちんこからぱを抜くと..いてっ!!」  
「乙女の前ではしたないんじゃ!!ぼけなすがぁ!!」  
「正解!!ぱちんこのぱを抜くと立派な黒ナス..ぐわっ!!」  
「だからやめんか!!このあほんだらがぁ」  
(ふふふ..そんなこともあったわね..)  
ぱちんこを手に入れた後初めての冒険した日の夜、あまりの威力に喜んだクラッズとノームが寮の食堂で  
繰り広げた漫才のことを突然思い出した。それをきっかけに、押し寄せる快楽の波間で、セレスティアは  
ぱちんこと過ごした日々のことを次々と思い出していった。  
冒険からの帰り道、校門のあたりで偶然朽ち果てたY字の木の破片を見つけたこと。まさかと思い、拾って  
調べてみたら壊れたぱちんこだったこと。  
(木屑を集め錬金釜に放り込み..ん..わくわくして待った1時間..んはぁ..最初に倒したのは.,.がぶりんちょ  
だったかな?一度の戦闘で..あっ..雷のやどりぎを4体落としたことも..あったわね..)  
ダストに向かって何度撃っても手ごたえがなく、後一撃食らえばあの世行き..という土壇場でようやく命中したこと。  
魔力が尽きた後の退却戦で、ぱちんこ一つでしんがりを支えたこと。無事に学園にたどり着いたときの、みんなの  
泣いてるのか笑ってるのかわからないような顔も、ほんの2-3ヶ月前のことなのに、すでに懐かしい思い出だった。  
(楽しかったわね、あの頃は..)  
セレスティアの瞳から一筋涙が零れる。  
 
 やがてメンバーが成長し、武器もそれなりに整って、冒険が奥地に進むに連れて、ぱちんこの非力さが目立つように  
なってきた。初めの森では一撃食らうとばらばらに吹き飛んだどくガエルが魔女の森に入るとまるで顔に小便を  
引っ掛けられたかのように平然としている。ツンねこや、呪いのメダルなどまだまだ通用する敵もあったが、  
グリングリンやハナモゲラ、べろべろばーなどにはほとんど歯が立たなかった。  
 補強部材を加え、ぱちんこの玉も錬金で強化はしたものの、能力に限界が見えてきたのは明らかだった。規定以上の  
強力なゴム、強化されて重くなったぱちんこ玉、なかなか通用しないモンスターを相手に歯を食いしばり力の限りゴムを  
引き絞るセレスティアの期待に応えようと、ぱちんこも今にも折れそうな軋み音を立てながら頑張ってきた。  
その苦役が今日で終わる。  
(今まで苦労かけてごめんね..本当に..本当にありがとうね..)  
ぱちんこの柄で秘部を激しくこすりつつ、布団の中で口にくわえたタオルの裾をかみ締めて嗚咽をこらえ、涙を流す  
セレスティア。今まで苦楽を共にしてきたぱちんこにはどんなに感謝を捧げても、どんなにお詫びの言葉を並べても  
物足りないような気がしていた。  
 
ひとしきり涙を流し気持ちが落ち着くと、セレスティアは愛液でぬるぬるになったぱちんこの柄の先端を  
秘口にあてがった。そして呼吸を整えるとゆっくりと手に力を込め、柄を押し込み始めた。  
(くっ..あっ..)  
奥まで差し入れると、アクションを起こすセレスティア。  
― 時に激しく抜き差しし、時に内部をえぐるようにかき回し、時に自らの腰を振ってさらなる刺激を加え―.  
(うっ..あっ..いっ..あっ..くぅ〜っ)  
ベッドの中で息を殺し涙にむせびながら、許されぬ仲の恋人と最後の逢瀬を惜しむかのように自慰にのめりこんでいった。  
(ん..はっ..くっくふっ..ん、ん、んんん〜っ!!..)  
やがて、絶頂に達し燃え尽きたかのように脱力する。しばらく余韻に浸った後、秘口からぱちんこを抜き取り、  
うっとりとした目で眺める。そして暗闇の中で、自らの愛液で黒光りするぱちんこに軽く口付けすると、  
さるぐつわの代わりに噛み締めていたタオルで付着している液体を拭い、自分の枕の下にそっと忍ばせた。  
(こんなことでしかお礼出来なくてごめんなさいね。君は私の一生の宝物だよ)  
そう心の中でつぶやくと、両親に挟まれて眠った幼少時代と同じような安らかな気持ちで眠りに落ちて行った。  
 
次の日の朝  
「ほーい!!錬金術科希望だがしかし成績及ばず現在不本意ながら普通科で見習い修行中の残念なノームちゃん謹製  
ライトスリングです。セレちゃんどぞ〜..うが!!」  
「..残念て言うな残念て!!..つかなんであんたが渡すねん?あんた全然製作に関わっとらんやろ〜!!」  
クラッズの軽妙なボケにハードな肘鉄で突込みを入れるノーム。いつもと変わらない仲間のやり取りにくすくす  
笑いながら、生成されたばかりのライトスリングを受け取るセレスティア。  
(こんにちは。新しい私の相棒さん。これからよろしくね)  
目を瞑り、感慨深げに得物を抱きしめる。  
「..な、なんか、いきなりそんなに抱きしめられると照れちゃうね..あた!!」  
「.だから、あんたじゃないから」  
懲りないクラッズのボケ。すかさず突っ込みを入れるノーム。  
「ありがとう、ノームちゃん、そしてみんな。これ、大切にするね。今日からまた頑張るからよろしく」  
「よし、じゃあ今夜はセレちゃんが仕留める、どくガエルのから揚げで一杯やるぞ!!張り切っていこう」  
「一杯ってあんたまだ酒飲めんやろ〜。でもあんたには飲ませへんけど、私は『飲―む』なんちて〜」  
先頭に立ち、意気揚々と森に向かって歩き出すクラッズとノームの学園最強漫才コンビ。  
それをセレスティアが呼び止める。  
「あ、ちょっと待って」  
「どうしたの?」  
足を止め、振り返る一同。  
「これをちょっと、ね」  
と懐から昨日まで愛用していたぱちんこを取り出すと、膝で柄を叩き折り、草むらの中へ放り投げてしまった。  
「あらら。あんなに大切にしていたのにもったいない..売店で売るとか、お守りとして持ってても良かったのに。  
そんなに荷物にもならないし..ねえ」  
セレスティアが道具を大切にするのをよく知っているノームが不思議がって尋ねると、彼女はノームの耳元に  
口を寄せ、静かにささやいた。  
「本当はお守りに手元に置いてつもりだったんだけど..実は昨日ね..」  
 
セレスティアが眠っていると、夢の中に一人の男の子が出てきた。  
「今まで大切に使ってくれてありがとう。きつかったけど楽しかった。ここまで能力を引き出してくれたのは  
君が始めて。感謝してる」  
「君は誰?」  
「僕はこれさ」  
と左腕を伸ばし左手で斜めのL字を作ると右手でゴムを引っ張る真似をした。  
「まあ!!ぱちんこの妖精さん..なのですか?」  
「そんなところ。なんか新しい武器が手に入ったみたいだからお別れと、最後のお願いに来た」  
「お別れ?私はこれからお守りとして君を一緒に連れて行こうかと思っているんですけど..ご迷惑でしたか?」  
「いやいや、そんなことは無いよ」  
苦笑いしながら否定する男の子。  
「とても嬉しいし、僕も最後まで君について行きたい、と思ったこともある。..でも僕がいなくなると新入生たちが  
困ると思ったんだ。特に君のように貧しくて、でも道具を大切に扱ってくれる心優しい新入生がね」  
一緒に来てくれないと知り、寂しそうに俯くセレスティア。  
 「そんなに悲しまないで。僕はいつでも校門のあたりに転がっているし、見当たらないときは誰かの道具として  
働いていると思ってくれればいいから」  
彼女を慰めるようににっこり微笑んで続ける男の子。  
「君は僕が送り出す最高の卒業生だ。今まで何人の生徒に使われたけれども、君ほど道具の能力を引き出す才能が  
ある生徒は初めて。これから関わる道具も、僕と同じように大切にしてあげて欲しいな。それがお別れするに当たって  
の第一のお願い」  
お別れという言葉にはっとして顔を上げるセレスティア。明るい水色の瞳に涙を浮かべながら男の子の顔を見つめる。  
「それと二番目のお願いは、出来れば僕を売店に売ったりせずに、森の入り口のあたりにほうり投げて欲しいんだ。  
できれば折れるところはみんな折ってばらばらにして、ね」  
 
「そんな!!そんな酷いこと、私には出来ません」  
「でも、そうして欲しいんだ。売店に並べられたら、生徒は高いお金を払って僕を買わなくちゃならなくなる。  
君が僕を手に入れたときのことを思い出してごらん?もし、僕が売店に並んでいたら、君は僕を買えたかい?」  
セレスティアは力なく俯いて首を横に振った。  
「..だからお願い。どうしても壊せないならそのままでいいから、その辺の草むらに放って置いてくれると嬉しいな。  
僕のためにも、君の可愛い後輩たちのためにも」  
涙をぽろぽろこぼしながら頷くセレスティア。  
「..よし、いい子だ。ありがとね。..そうだ!!君には一つ感謝しなければならないことがあったんだ」  
「え?」  
「..その..僕..あんなこと、初めてだったんだ。だから..なんというか、僕の初恋の人になってくれて、ありがとう」  
「う..う..うわああああああ〜ん!!」  
真っ赤になって照れる男の子に抱きついて号泣するセレスティア。  
「よしよし..いい子いい子..君は僕の一番の卒業生..そして初恋の人..いつでもどこでも、君を見守っているからね..大丈夫..大丈夫..」  
男の子にやさしく慰められ、抱きしめられ、頭を撫でられながら、彼女は再び眠りに落ちていった..。  
 
「..で泣き疲れて眠り込んで、気がついたら朝になっていたと..不思議ねー」  
セレスティアの物語に目を丸くするノーム。  
「うん。本当はものすごく辛くて寂しかったけど、ああしたの。だからこの子も目一杯大切にするつもりです」  
と、新しい相棒をぎゅっと抱きしめるセレスティア。  
「..そりゃ作った甲斐があるってもんだね。..それにしても、あんたもオナニーすることがあるんだねえ」  
意地悪そうなジト目で見つめ返すノーム。  
「いいえ。あれは自慰ではありません。恋人との大切な秘め事です」  
すまし顔で答えるセレスティア。  
「はいはい、そうですね〜ご馳走様〜」  
半分呆れたような笑顔を残してノームが前衛のポジションに戻っていくと、セレスティアは空を見上げた。  
生い茂る木々の葉の間には、夏が終わってすっかり高くなった秋の空が広がっていた。  
(私、頑張ります。見ていてくださいね、ぱちんこの妖精さん)  
 
 翌年の春  
 セレスティアは魔法使いとして堅実な成績を上げ、二年生に進級していた。金にものをいわせて最新鋭の装備を揃え、  
スコアを競い合うようにモンスターを狩りまくるトップエリート達と違い、  
廃棄物再生品や手に入る範囲の道具を使いこなし、着実に課題をクリアするセレスティアは、成績は平凡でも  
教員達の間での評価は高かった。  
「ああいう狂ったトップのバカどもなんざ参考にならん。金力勝負になったらお前らが連中についていける訳がねぇ。  
手本にするならあのセレスティアを見習うんだぜぃ」  
道場で剣の自慢話に興じる生徒達に、ロッシ先生はそう諭したものだった。  
 
 昼休み、セレスティアがパーティの仲間と共に食堂で昼食を取っていると、隣のテーブルに新入生のパーティ  
らしき集団がやって来た。  
「お前うらやましいなあ。いきなりぱちんこGetかよ」  
「いや、偶然だよ。裏門のすぐそばにそれらしい木っ端屑が落ちてたから、拾ってみたらたまたま壊れた  
ぱちんこだったってだけで」  
校門とぱちんこというキーワードにセレスティアの耳が反応する。  
「..ねえ、君。素敵なぱちんこを手に入れたみたいね。良かったら私にも見せてくれないかしら?」  
「へ?あ、どうぞ、先輩」  
突然魔法使い科の制服に身を固めた美しいセレスティアの先輩に声をかけられ、ドギマギしながらぱちんこを差し出す少年。  
 もしかしたら、あのぱちんこでは?と期待したセレスティアだったが、一度錬金にかけたせいか、手に取ってみても  
かつて自分が使っていたぱちんこの面影はどこにも見られなかった。しかし、何の根拠も無いけれど、セレスティアは  
これがあのぱちんこだと確信していた。  
「あの..このぱちんこがどうかしましたか?」  
不思議そうにセレスティアを見つめる少年。  
「え?あ、いや何でも無いの。私もね、新入生のとき、たまたま校門のところで拾ったぱちんこを使っていたことがあったの。  
それでちょっと懐かしくなって、ね」  
「へぇ、そうなんですか。偶然ですね」  
「..ちょっとセンターがずれてるわね。部屋に帰ったら左のアームを火であぶりながら少しずつ矯正してね。ゴムは使う前に  
同じ重さのおもりをぶら下げてみて、伸びが均等かチェックすること。それを気をつけるだけでも精度は格段に上がるわよ」  
慣れた手つきでぱちんこの微調整をするセレスティア。  
「へぇ、詳しいんですね。ありがとうございます、先輩」  
「はい、おしまい。大切にしてあげてね」  
 
調整が終わったぱちんこを少年に返すと、ノームが尋ねて来た。  
「あのぱちんこだった?」  
「さあ..。一度錬金にかけてしまうとわからなくなっちゃうわね」  
ノームは、ふーん、と意味ありげな笑みを浮かべると、パーティ仲間の方に向き直り、  
「食堂も混んできたし、そろそろ行きましょう。席の無い人に早く譲ってあげないと」  
と出発を促す。  
 食堂から出る間際、中を振り返ってみると、ぱちんこを左手でかざし、射撃の真似をする少年の姿が見えた。  
(がんばってね)  
目頭に熱いものがこみ上げてくるのをこらえつつ、セレスティアは仲間の後を追いかけた。  
 
 初めの森に通じるクロスティーニ学園の裏門のたもとには、名も知れぬ名器が転がっているという。  
人に知られることも無く、名器名鑑に記されることも無く、手に入れて使っている本人にも全く自覚が無い、  
そんな空気のような名器があって、貧しくも心清らかな新入生たちをやさしく見守っているらしい..  
 

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