砂塵と、赤い空。  
夕方、だろうか。辺りを見渡せない程暗くはなく、活字を読むには僅かに光が  
足りない。  
ただひたすらに同じ砂漠が続く風景の中、一つだけ解け残った氷の様に、  
粗末なつくりの小屋がぽつんと取り残されていた。  
小屋、とすらいえないかも知れない。木々を重ね合わせて無理やり日陰を  
作っただけの様にも思える。大きいだけは大きいが、差し渡されているのは  
屋根と壁だけで、薄暗がりに包まれた床には砂の地面が剥き出しになっていた。  
 
地面に直接据えつけてある椅子に、一人の少女が腰掛けていた。  
薄い金色を湛えた、長い髪。日焼けした肌。整った美しい顔立ちは、たおやかな  
美少女と言うに十分なものだったが、その口元にはどこかいたずらな笑みの影が  
浮かんでいた。上半身は濃い色のシャツに包まれ、なだらかな曲線が女性らしさを  
周囲にふりまく。デニム地をまとったほっそりとした足を無造作に宙に揺らしている。  
 
「・・・そうだね。効くだろう。ばれやしないと思うけど」  
美しい表情に似合わない少年の様な口調の言葉が、少女の口から漏れていた。  
「隠してはいくよ。一応ね。そんなに大きいものでもないだろ?」  
周囲には誰もいない様だったが、少女は誰かと会話を交わしているかの様に言葉を  
続けた。  
少女は、少なくとも一部の人間には、ザジと呼ばれていた。ザジ・ザ・ビースト、と。  
ぼこり。  
剥き出しの地面の一角がモグラの穴の様に膨らみ、そこからしゅるしゅると蝶の触覚の  
様な触腕がのびて来た。その先端に、奇怪な生き物がしがみ付き、尻尾をばたつかせて  
いる。  
「・・・結構太いね。飲んでいこうかと思ったんだけど」  
全く驚いた風もなく、少女は細長いミミズとムカデを掛け合わせた様な蟲を手に取った。  
外骨格に覆われた本体は薄い粘液に包まれ、先端には無数のガラス玉の様な目がついている。  
いくつもの節からなるその全体は、まるで空気に触れるのを不満がる様に、びちびちと  
体を跳ねさせていた。  
長さは大したことはないが、飲み込むには多少骨を折りそうな太さだ。ザジの感覚や神経網は  
増強されてはいるが、肉体自体はごく一般的な少女のものだったので、その生理反応にザジの  
行動もある程度制限される。嚥下する途中に食道にでも触れればザジも苦しい。  
かといって、蟲の粘液を乾かす訳にもいかない。確実にナイヴズの側に近づくとすれば、  
体内に隠す以外に方法はない。  
上がダメならば、下しかない。  
数秒、少女はいたずらっぽい表情で何事か考え込んでいたが、蟲を触手の手に戻すと、やがて  
ゆっくりと右手を自らの股間に伸ばした。  
 
ジーンズのファスナーを引き開け、その中、薄い水色の布地へと手を延ばす。  
「っ・・・・・・」  
無意識の内に、薄い喘ぎ声がザジの口から漏れ出た。  
細い2本の指が、下着越しに自分の股間を走り始める。あまり力を込めず、撫で上げる様に。  
一往復、二往復。三往復目で、じんわりとした快感が太ももの奥から湧き出し始めた。  
自慰に慣れている訳ではない。むしろ、ザジの今の「肉体」も意識も、快感を感じることに  
関しては極めて不慣れだった。それだけに、ある程度成熟した快感を突然与えられた意識は、  
あたかも媚薬に浸されたかの様に、快楽を貪ることに集中しつつあった。  
「ふぅっ・・・・・・」  
深く熱い息を吐いて、ザジはゆっくりと、自らを包む水色の布地の中に細長い指を這いこま  
せていった。  
指が、細い谷間を、ぷっくりと膨れ始めた小さな膨らみを、まさぐる。  
「んくっ・・・ふぁっ・・・」  
最初の目的が薄れつつある。秘所から全身に、染み渡る様に快感の波が流れ出している。波が  
駆け抜ける度に、少女の全身がびくっと震える。恥毛を潜り抜けて、秘所からこぷりと愛液が  
押し出される。縮れた感じの草原が濡れそぼる。その愛液を再び元に戻すかの様に、更にその  
上から指が秘裂へと押し込まれる。その繰り返し。何時の間にか、少女の顔全体に漂っていた  
いたずらな雰囲気は影をひそめ、眉間をきゅっと締めた、快感に翻弄される女の表情が姿を  
見せていた。  
 
ぼこ。  
椅子の真下の地面に一つ、もぐらが顔を出した後の様な小塚が出来上がった。  
ぼこ、ぼこ。  
二つ、三つ。同じ様に、地面の下から、何かが顔を出し始めている。  
気付かないことなどないかの様な感覚を見せるザジが、自ら得ている快感に翻弄され、それ  
に全く気付いていない。  
遊んでいた左腕が、腹の側から、自らのシャツの中にもぐりこんでいった。  
程なく、小ぶりなやわらかい膨らみの上に、肉芽が硬くしこっているのを探り当てる。  
表面を、左手の薬指が撫ぜ上げた。  
「は・・・うっ・・・」  
くちゅ。  
音と共に、水色の下着にくっきりとした濃淡が浮いてきた。ザジは手を止め、僅かに  
臀部を持ち上げると、邪魔になり始めたジーンズに手をかけた。  
勢い良く、下に。膝までデニム地がたどり着く。続いて、水色の下着も引きおろすと、  
その下に隠されていた痴態が全て露わになった。  
股間の三角地帯はじっとりと濡れそぼり、ところどころが薄い明かりを反射してきらきらと  
光っている。  
太ももに引っかかってぴんと伸びている下着に、いくつもの透明な橋がかかり、途方もなく  
淫猥な雰囲気をかもし出していた。  
ザジは僅かな間、その様を不透明な目つきで眺めていたが、すぐに指の動きを再開する。  
くちゅ。くちゅ。くちゅ。ぷちゅ。  
ザジの高ぶりと同調する様に、卑猥な音が間隔を狭めていく。快感を感じるにつれて両足が  
びくびくと開きかけるのだが、ジーンズに邪魔されてその度に動きが止まる。その感覚も  
また、拘束されているかの様な倒錯した快感をもたらしていた。  
 
「くっ・・・あぁっ・・・あっ・・・」  
声から余裕が失われてきた。背中が反り始め、椅子ががたっと音を立てる。つま先がぴんと  
伸び始める。秘裂に出入りする指の動きが激しさを増し、暗がりの中で愛液が飛び散る。  
左手を隠したシャツがもぞもぞと動く。快感を余すことなく受け取ろうと、尻がいやらしく  
左右に振れる。  
親指がクリトリスを撫ぜ挙げ、中指と薬指が同時に秘裂の奥深くに打ち込まれた瞬間、限界が  
来た。  
「あふぁっ!!!あ、あっ!」  
今までにない強さの喘ぎが、口を衝いて出た。全身がのけぞる様な快感。首が、足が、尻が、  
跳ねる様に動き回り、椅子ががたがたと揺れる。  
子供程度にしか発達していないザジの性感が、女性の肉体の絶頂感に翻弄される。  
やがて嵐が去った時、局部を露出させ、シャツを胸まではだけた淫猥な姿をした少女は、  
荒い吐息をつきながら蕩けた視線で天井を見つめていた。  
しゅる。  
音。  
何かがはいずる音も、宙に細いロープの様なものがゆっくりと浮かび上がる気配も、放心した  
ザジの意識には引っかからない。ただ、まだ体中に色濃く残る快感の残滓に、時折体を小さく  
びくつかせるだけだった。  
 

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