〈――夜中に済みません。少々確認したいことがありましたので。
え? 話し声がする? 隣室の方がラジオをかけているようですから、
その音では? ここには私しか居ませんよ。
それの割りには声が大きかった? 音の大小で距離の区別がつくとは、
耳がいいのですね。
――水音? ああ、今ちょうど、ペットに餌をやっていた所ですから。
餌を食む音を受話器が拾ったのでしょう。
こんな小さな音まで聞き取れるとは、貴方の耳も相当いいようですね。
――あら。ものの例えですわ、何もそこまで落ち込まなくても……
――すみません、ペットがいじけてしまったようなので、
ご機嫌を取らなくてはなりません。申し訳ないですが、失礼〉
プツン、ツーツーツー……
「……はて、副局長は結局なにを確認なさりたかったのだろう……」
首を傾げて通信機を見つめたアンデレは、もう一度連絡が来てもいいように電源を切らぬまま、
それをベッドの脇に置いた。