どんなにあがいても、逃れられないものがある。  
「・・・うっ・・・・っ!?」  
体の中にいる“奴ら”の存在を忘れたことは無かった、そう、ただの一度も  
「つっ・・・ッ!」  
しかし“奴ら”はまれに、感情や理性までも食い尽くして暴走しようとする  
−−−−−−もしこんな所に誰かが来てしまったら−−−−−−  
恐ろしさを通り越した想いだけが何時も脳裏を通り過ぎる  
そう考えるだけで額に冷や汗をかく  
「・・・・・・・・・」  
銀髪の青年は、すぐ傍にあったテーブルに手を掛けたままうずくまるような体制になっていた  
だがそんな彼の思いもむなしく、悪夢は現実のものとなってしまった。  
「・・・神父さま?」  
聞き慣れた声  
その声を聞いたとたん、彼の頭の中は真っ白になる  
全身が一瞬のうちに強ばった  
・・・・・・・・エステル・・・・・・・・  
「こんな暗いところで何を・・・!?しっ、神父さま!どうかなさったんですか!?」  
彼の異変に気付いたエステルが、急いでアベルの方へ駆け寄ってくる  
ダメだ・・・いけな・・い  
少しだけ残っていた理性が、自分に向けて警告を発する  
「・・・く・・・る・な・・・」  
息が荒くなりながらもアベルは必死につぶやいた  
だがその声はエステルの耳に届かなかったようだ  
手を伸ばせば触れられる距離に彼女は来てしまっている  
「顔色が真っ青ですよ!直ぐにお医者様の所へ!!」  
美しい、青金石の瞳が、今は不安の色を映していた  
その双眸から目を離すことが出来たのなら、どれだけ自分は助かったのだろう  
「・・はなれ・・・ろ・・・」  
思わず“じ”が出てしまっていることも構わずに  
彼女を何とか遠ざけようとした  
「待っていて下さいませ、今誰か呼んで・・・」  
もう“奴ら”を押さえるのは限界だった  
本能に忠実になれと“奴ら”は命じてくる  
「神父さまっ!?」  
人を呼びに行くといって立ち上がったエステルを  
アベルは半ば強引に抱き寄せた  
「なっ・・何を・・・んぅっ!?」  
苦しそうに抵抗するエステルの頭を押さえつけながら  
柔らかな唇に無理矢理口づけ  
舌を口内へ侵入させ、貪る。  
 
「うぅ・・ぅ・・し・・神父さ・・!」  
首筋に舌を這わせただけでも、エステルは高い声を上げた  
「やぁあ!止めてくださっ・・・神父さまっ!!」  
きっちりと着込まれたシスター服を、半ば強引に脱がせていく  
「いっ・・・いやっ!いやぁ!!」  
彼女は必死に抵抗をくり返した  
だが今のアベルにとってはそんなことどうでも良かった  
綺麗な赤い髪に指を絡ませ、無理矢理後ろへと仰向かせにする  
きめ細かな白い肌に自分が犯した跡を残していく  
血を連想させるキスマークの跡。  
それを見るだけで口の端が上がる  
「・・・・放して、下さいっ!」  
一瞬の隙を見て、エステルは彼から逃れようとした  
「・・・逃げるな・・・」  
細い腕を掴みあげ、再度自分の方へ彼女を引き寄せる  
「あっ・・・!」  
引っ張られたときの衝撃で抵抗が一瞬やんだ  
その機を逃さずに、アベルは冷たい床へと彼女を押し倒す  
「・・・や・・だ・・・!」  
「・・・・邪魔だよ、この手」  
そう言って、自らの髪を縛っていたリボンを解き両手を拘束する  
「うっ・・痛っ・・・」  
痛がるエステルをよそに  
太股に手を当て大きく開かせる  
下着越しに秘部に手をあてがう  
「やっ・・・やめて・・くださ・い、そんな・・とこっ」  
「・・・その割には濡れてるよ?ここ・・・」  
クッ、っと指に力を加える  
「んああっ!!」  
拘束された腕に力が入り  
腰は無意識のうちに浮いてしまう  
そんな彼女の姿を見ているだけで、被虐的な気持ちに駆られる  
邪魔になった下着をすばやく脱がせ  
何の前触れもなく、淫らに濡れている秘部へ指をねじ込む  
「ひぁあああああああぁ!!」  
しまりがきつい、おそらくは処女だろう  
苦痛のみの喘ぎ声が、暗い室内に響いた  
「んっ!ひぁあっ!」  
彼女の目元から何の曇りもない涙がこぼれ落ちた  
 
「・・・エステル・・・」  
強弱をつけながら彼女のナカをかき回すにつれて  
苦痛のみの喘ぎ声は、快楽から来る喘ぎ声へと変わっていった  
「はっ・・あぁ、んあぁ」  
まるで動物を調教するかのごとく  
アベルはエステルを指を使って責め立てる  
「んぅ!っひぃあぁあああぁっ!!」  
小柄な体が大きく痙攣し  
ひときわ大きな嬌声をあげ、エステルはぐったりとなってしまった  
「・・・・・・」  
アベルはそんなエステルを無言で見下ろす  
その瞳にいつもの温かな光はなかった  
ぐったりとした彼女の細い腰を引き寄せ、自らの勃起物を宛う  
「ひゃぁあ!?」  
熱い何かが秘部へ宛われた恐怖に  
エステルは目を見開いた  
「・・・力・・抜いとけ・・・」  
抵抗されるその前に、アベルは勃起物の挿入を開始した  
ただ、本能が命じるままに。  
「!?っああああああああああぁっ!!」  
この行為に、エステルは最初酷く痛がった  
ああ、やはり処女か・・・  
頭の隅でぼんやりとそんなことを考えた  
考えたところで、今更行為を止めるつもりはないのだが  
「ふぅうっ!あっ・・ああぁ!!」  
クチュクチュと、多少血の混じった愛液が接続部から流れ落ちる  
柔らかな肉壁の中、彼女が一番感じやすいところばかりを責め立てた  
「あっ、あぁっ!やぁああんっ!」  
本当に良い声で鳴いてくれる  
アベルは正直にそう思った  
この声を聞くだけで彼女のナカへ挿入を繰り返している勃起物は更に容積を増していく  
「ふあぁあっ、ああっ、ああああっ!」  
恐らく限界が近いにだろう、身体が小刻みに痙攣しだした  
だが“今の”アベルに、簡単にイカせてやるほどの慈悲はない  
含み笑いがばれるのも承知で  
アベルは行為を止めエステルに囁いた  
「ねぇ・・・もうイキたいんでしょ?」  
「あっ、あっ・・・わた・・し・・・」  
エステルは急に行為が止められたことに困惑を隠せなかった  
もう、どうにかなってしまいそうだったのだ。  
 
「じゃあ・・・ちゃんとお願いしてくれたらイカせてあげるよ」  
「お・・ねが・・い・・・?」  
「そう、イカせて下さいってね・・・簡単でしょう?このくらい・・・」  
クスクスクスっとアベルは笑った。  
「・・・あ・・・・っ」  
そんなこと、恥ずかしくて・・・いや、神に仕える尼僧として言いたくなかった  
「黙っちゃって・・・良い子じゃないね。」  
そう言うとアベルは、強く腰を前に押し出した  
「っ!ふぁああぁあっ!!」  
強い快感が、頭の中を駆けめぐる  
「どう?これでも言いたくない?」  
アベルが耳元で囁く  
「・・・いっ・・・イカせて・・くださ・・い」  
「・・・・・良い子だ。」  
勝ち誇ったような笑みを浮かべ  
アベルは再び激しい挿入を開始した  
「ああぁ!あぁっ!!わた・・し、なんかっ・・あっ!・・へん・・・あああ!!」  
「・・・変にっ、なればいい・・よ」  
「あたっ・・し、あぁあっ!あたし・・・はぁっ!」  
「・・エステ・・ルっ!」  
「はぁっうっ!んっ!ふぁああああああっ!!」  
ほとんど二人は同時に達し  
そのまま床に倒れ込む  
荒い息を吐き出しながら、ふと、目が合った  
そしてその時エステルは感じた  
これは−−−−・・・  
この人は・・・ナイトロード神父さまなんかじゃ・・・ない。  
背筋がゾッとした  
「どうしたのエステル?そんなに顔を青くしちゃって・・・」  
その笑顔は何時も通りのものであって、何時も通りのものではない  
逃げなくては、此処から。  
そう思った瞬間、腕を掴まれる  
「・・・・いやっ!」  
逃げ出そうとするエステルを、アベルは再び床に押し倒した  
「ねえエステル・・・まだ俺は満足してないんだよね」  
エステルにとって恐ろしい言葉を  
“今の”アベルは口にする  
「付き合っていただきますよ?エステルさん・・・」  
その言葉だけ普段のアベルのように聞こえたのが、彼女の唯一の救いだったのだろうか  
彼女の瞳から涙が一滴こぼれ落ちていく  
 
本来のアベルに戻るまで“彼は”エステルを貪り続けるのだ。  
 
 

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