「ナノカさぁん♪」  
「ネ、ネネちゃん・・・何か変な匂いするよ?」「これはハーブの香りですよ。安眠のための香水みたいなものです」  
「へぇ、そうなんだ?」  
 
ここはホテル・パンプデンの一室。  
あのごちゃごちゃした工房で日々を過ごすナノカのために、ネネがスツーカと組んで休養がてらに泊まるように仕組んだのは、数日前。  
特にここ最近は元老院から締め付けが厳しかったりハリーの手伝いをしたりと、休みを取らずにコーヒーだけで過ごすことが増えたため、心身の完全回復をはかる・・・という建前の元、彼女をここに連れてきた。  
 
 
勿論本懐は別にある。  
昔から懇意にしていた学友ということを盾にスツーカには建前を信じ込ませたが、目的は違う。  
 
 
−ナノカを、完全に自分のモノにしてしまおう−  
 
それがネネの本当の目的だった。  
ネオスフィアに来てから初めて知ったが、ナノカにはノキという親友やフェアリという理解者、果てには女王との繋がりまでがある。  
トリスティアの時でさえまごまごしていてろくに距離が縮んでないのに、これ以上差を付けられては勝ち目はなくなる。  
ならばと思っての強攻策だった。  
 
 
「あれ?ネネちゃん、なんかすっごく暑くない?」  
「そう・・ですか?空調は完璧ですが・・?」  
 
 
内心ほくそ笑みながらネネは答えた。  
確かに空調は完璧だが、部屋の匂いがナノカの身体を火照らせているのだ。  
媚薬混じりの香水をナノカの近くに置いているためだった。  
 
 
プロスペロ流の工房師として散々修行や研究を重ねてきたナノカは、常人以上の、むしろ世界レベルでのアイテムの知識はあっても、性に関する知識は皆無に近い。  
 
 
30分後。  
流石のナノカも媚薬混じりの香水には気付けないまま、身体の疼きのみを堪えていた。  
 
 
(私、何だか変だよ・・・?)  
 
 
股間が疼く。  
身体の芯が熱い。  
胸がドキドキする。  
今すぐにでも服を脱ぎ払って女の子を弄って疼きを止めたい。  
しかし・・・。  
 
 
(ネネちゃんが、いるんだよねぇ・・・)  
 
 
目の前にいる幼い外見の学友が、後一歩の所でナノカの理性を押しとどめる。  
しかし理性の決壊は間もなくだとナノカは思う。  
 
 
胸の高鳴りだけは、過去に味わったものと同じ感覚だった。  
海洋都市トリスティアにいたころに、フォーリィとキスしたりラファルーにキスされたりしたときにも同様の高鳴りを感じたのを、未だ鮮明に覚えている。  
 
 
ふとネネに目をやると、彼女は少し微笑んでいた。  
そして、数々の修羅場を乗り越えてきたナノカの本能が訴えかけてくる。  
 
−・・・・・・・!!−  
 
それは既に言の葉ではなかった。  
不意打ち気味のネネのキスに、ナノカは自分の頬が先ほどまで以上の熱を持ったことを知覚した。  
 
 
「んむぅっ!!」  
 
 
ネネの小さな手のひらがナノカの頬にあてがわれる。  
ひんやりとした感触が、熱を持ったこと頬に心地よい。  
唇同士が触れ合う時間は10秒にも満たないほどに短いが、少なくとも今のナノカには永遠の如く感じられた。  
 
 
−やがて、ネネの唇がナノカのそれに別れを告げて。  
 
「ネ、ネネ・・ちゃぁん・・・・」  
 
 
どうやら、ナノカの理性が軋みをあげだしているようだ。  
乱れた呼気を直そうともせずに、ネネの顔を見つめている。  
 
 
(もう少しですか・・)  
 
ネネには、ナノカの思考が手に取るように解る。熱を帯びた瞳で自分を見つめているナノカに、ネネはトドメのキスをする。  
ただし。  
 
 
−今度は、恋人同士のキスだがー  
 
ちゅぷ・・くちゅ・・。ぬちゃ・・じゅる・・。ネネの舌がナノカのそれを捕らえ、執拗なまでに舐め絡め味わおうとする。  
ナノカの口腔には二人の唾液の混じったモノが溢れ、唇の縁から流れ落ちる。  
 
 
「ナノカさん・・んちゅぅっ、くちゃ・・気持ちよく・・・してあげますからねぇっ・・・!」  
「ネネ・・ネネちゃぁん・・・良いよぅ、気持ち良いよぅ・・・!」  
 
 
不意にネネの細指がナノカの女の子を、その縦筋に沿うように擦りだす。湿り気などというヌルいものではなく、間違いなく愛液と解るものが、ナノカの女の子から溢れ出てくる。  
 
 
「あらあらナノカさんったら・・14歳にもなってお漏らしなんかして・・・天才が泣きますよ?」「はゃぁ・・ネネちゃん、ダメ、言わないでぇ・・・・」  
 
 
ネネは、自分の暗黒面を全面に押し出すようにしてナノカを言葉で攻める。  
ナノカの女の子からはくぐもったとは言いづらい、水音が鳴り止まない。  
 
「ナノカさんは変態なんですね?だから女の子とのエッチでこんなに・・・」  
 
 
ネネは、意地悪げに薄く笑い・・・ナノカの女の子に指を二本突き立てる。  
ナノカの秘肉が、ネネの指を即座に締め付けてきた。  
 
 
「ひゃぁんっ!?」  
 
 
ネネの指が突き立てられた瞬間、ナノカは絶頂に達した。  
全くの無経験、知識が皆無だとしても身体は正直だということだった。  
 
 
「あらあら、イっちゃいましたか?初めてって言いましたけど・・・ナノカさんは変態な上に淫乱の素質もあるみたいですね」  
 
 
無論、ネネの笑みは変わらない。  
青息吐息のナノカは、いつもの明朗快活なナノカの欠片さえ残っていない。  
 
 
「さぁ、ナノカさん?もっと気持ちよくなりたいでしょう?」  
「ぅ・・・・ん・・・」  
 
ネネの問いに、ナノカは力無く首肯する。  
そんなナノカがいとおしくなったネネは、再度キス−フレンチキスだが−をして。  
 
 
「では、ナノカさん。気持ちよくなりたいのなら・・私以外の女の人とはキスなどしないでくださいね?」  
 
 
再度、首肯。  
最早翼をもがれた鳥の様相のナノカに、ネネは満足そうにほくそ笑んだ。  
 
 
 
 
───────────「これですわ!これなら間違いなくナノカさんを私の虜に出来るはず!」  
 
ここは、ホテル・ハンプデンの一室。  
先ほど大声を上げたのは、ここのホテルの支配人的存在であるネネ・ハンプデン。  
今し方まで愛しの天才工房士、ナノカ・フランカを如何にして自分だけのものにするかを脳内シュミレートしてみたが、余りの完璧さ具合に酔いしれていた。  
 
 
−一時間後−  
 
 
媚薬混じりの香水を用意させ、ホテル内の一室への立ち入りを完全に禁止し、ナノカを手中にすべくネネはナノカの元へと駆けていった。  
 
 
「ナノカならノキとか言う嬢ちゃんの家に泊まりに行ったぞ?」  
「そんなぁ・・・」  
 
 
意気込んでナノカの根城(?)に殴り込んだネネを待っていたのは、ヤクトテンザンとスツーカのみだった。  
話によれば、ノキという区長との仲を深めるべく泊まりに行ったらしい。これには働きづめのナノカの休息を取る意味も含まれていたらしく。  
 
結果としては、ネネの計画をノキが一歩早く行動に移した結果となった。  
 
(でも、諦めません!)  
どうやら諦めは悪いようだ。  
 
 
ネネ・ハンプデン。  
ナノカを愛して止まないロリータ娘・・・・。  
 

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