フルクラム帝国の帝都のお昼過ぎ、道行く人々の中に彼女は居た。  
 ネネだ。なにやら嬉しそうに歩いている。  
 方向からしてプロスペロ工房に向かっているようだ。  
 止まった。どうやら工房に着いたようだ。  
 トントン、ドアをノックする。  
 ガチャッ、ドアが開く。  
 ナノカが顔を出す。  
「はーい、あっ、ネネちゃん、いらっしゃーい。入って入って。」  
「おじゃまいたします、ナノカさん。ご一緒にお茶をと思いましてクッキーを  
焼いてきましたの、お口に合うとよいのですが。」  
 ネネが手に提げていたバスケットを持ち上げてみせる。  
「うわぁ、ありがと、ネネちゃん。今お茶入れるから座って待っててよ。」  
 そう言うとナノカは工房の中に戻る。ネネも続いて中に入った。  
 
工房のダイニングは、紅茶とクッキーのよい香りに包まれていた。  
 その中では楽しそうなナノカと、幸せそうなネネが談笑している。  
「そういえばナノカさん、今日はナノカさんがお茶を淹れてくださいましたけ  
ど、いつも淹れてくださるスツーカさんはどうされましたの?それにテンザン  
さんも?」  
 確かに二体の姿は見当たらない。  
「実はねー、スツーカたちはおじいちゃんと一緒に退役軍人・兵器の集まりに  
朝から出かけちゃってて明日まで居ないの。だから一人で退屈だったんだけど  
ネネちゃんが来てくれてよかった。」  
「まあ、そうでいらしたんですか。でしたら、キスしてください。」  
「!」  
 ・・・  
 ・・・  
「えっと、いまなんて?」  
「だからキスしてください!愛し合うもの同士が二人っきりで居るというのに、  
キスのひとつもしないだなんておかしいです、変です、異常です、不健全です。」  
 ネネがまくし立てる。その剣幕に押されながらも  
「いや、えっと私たちそういう関係じゃ…」  
「そんな!ナノカさんは私のことなどどうでもよろしいのですね!遊びだった  
んですね!私にかけてくださったやさしさは偽りだったんですね!死んでやり  
ますわ!今ここで!」  
「まっ、まってネネちゃん落ち着いて。確かにネネちゃんのことは大切だけど、  
それは親友としてであってその…」  
「いいえナノカさんと私は愛し合う二人です!ナノカさんはまだ自分のお気持ちに気づかれていらっしゃらないだけです。でもキスすればわかります。教え  
て差し上げます!ナノカさんはわからない事をそのままにしておくような方ではなかったはずです!」  
「いや、でも…」  
 拒もうとする。  
「さぁ。目を閉じてお顔をこちらに向けてください!」  
 その迫力に  
「はい。」  
 折れた。  
 
 観念したナノカがネネに顔を向けて目を閉じる。  
 っとすぐにネネが唇をナノカのに押し当てるように合わせる。  
「ん」  
 二人の唇の間から、息が漏れる。  
 ネネがナノカの背に手を回す。  
 ネネが唇を少し開けて舌を出して舌先でナノカの唇の合わせ目をつつく。  
 しかし緊張しているのかナノカのそこはぴたりと閉じあわされたままだ。  
 いったんネネは唇を離す。  
「ナノカさん口を少し開けてください」  
「んはぁ。こうネネちゃん?」  
 ナノカが少し唇の間に隙間をつくる。  
 ネネは答えずにふたたび唇を合わせる。  
 今度は舌をナノカのなかに侵入させる。  
 ネネの舌がナノカのそれに絡むと湿った音が響く  
 それだけではなくネネの舌はナノカの歯茎の裏や口蓋も舐めてゆく。  
 ネネの舌に口内が蹂躙されていく感覚に、ナノカは酔った。  
 ナノカの身体から力が抜けていくのをネネはナノカを抱いた腕を通して感じた。  
 ようやく二人の唇が離れる。その間には透明な糸が引かれた。  
 ネネがナノカに回していた腕を緩めると、その場にナノカはくずれるように  
へたり込む。  
「どうでしたかナノカさん。気持ちよろしかったでしょう。」  
 ネネがナノカの耳にささやく。  
「う、うん」  
 それが返せるせいいっぱいだ。まるで世界に霞がかかったようだ。  
「気持ちがよいということは、私たちが愛し合うもの同士という証です。これでようやくナノカさんにもわかっていただけたようですわ。」  
「そうなのかな。」  
「ええそうですわ。ナノカさんベッドへ行きましょう。こうなったら後はする  
ことはひとつですわ」  
「うん」  
 ナノカは素直に従った。  
 
 ナノカの部屋。ベッドの上に裸のナノカが寝かされている。ベッドのふちに  
は同じく裸のネネが腰掛けている。  
「ネネちゃん私たちにはまだこういうことは、早いんじゃあ、というか私たち  
女の子どうしだよ。」  
 ここにいたって少し正気が戻ってきたらしい。  
「ナノカさんたら何をおっしゃるんです。私たちが愛しあう二人なのはさきほ  
ど確かめ合ったばかりではありませんか。早いも遅いもありませんわ。それに  
ナノカさんの身体のほうはもう準備ができてるみたいです。」  
「えっ」  
「ほらナノカさんの足の間のココ、湿ってます。さわってみてください。」  
 言われるままにナノカは自分の股間に手をやって自分のものに手を触れる。  
 確かにわずかに湿っている。  
「えっ、えっ、これってどういうこと!?」  
「それはですね、ナノカさんと私が身体で愛し合う準備ができているというこ  
とですわ。私などもうびしょびしょです、ほら。」  
 そういってネネは自分の股間に触ってぐちゅっと湿った音をひびかせる。  
「さぁナノカさん足を開いてくださいね。いっぱい気持ちよくして差し上げま  
すから。」  
 そういうとネネはナノカのひざに手を当てて両側に開きナノカの股間に顔を  
うずめた。  
 
ぴちゃり、ぴちゃり、ナノカの股間から水音がたつ。  
「ああ、いや、ひゃう、きゃっ、やぁ」  
 ナノカの口からあえぎ声があがる。  
 ネネの舌はそれ自体が別の生き物のように動いてナノカの性器を刺激し、快  
感を掘り出していく。  
「やだ、おかし、くなっちゃ、ぅ」  
 ナノカがネネの頭を押さえて快感の波に抵抗する。  
「ナノカさん、素直に感じてくださいな。」  
 ネネはそのナノカの両手に自分の手をつないでナノカの身体の両脇にどけて、  
再びナノカの性器を舌で責め始める。  
 ネネの舌がナノカの未成熟な膣口をつつく。  
 小さな、さやに包まれた、クリトリスを転がす。  
 花びらと花びらの間を舐めあげる。  
 次々とあたえられる快感にナノカはあえぎにあえいだ  
「はぁん、いぃやあああ、うふぁん、きゃうぁ」  
 ナノカの声が大きくなるにつれてネネはますます激しく責め上げる。  
 そしてひときわ大きくながい声とともにナノカの身体が大きくしなりそのま  
ま弛緩した。  
「どうやらイッたみたいですわねナノカさん。」  
 ネネはナノカの股間から顔をあげてナノカの隣まで這っていく。  
「はあ、はぁ、は、はあ」  
 荒い息をついているナノカをそっと抱きしめる。  
「可愛かったです、ナノカさん。愛してます。」  
 そうささやく。  
「私も、わかったよネネちゃん。愛、してる。」  
 ナノカが抱き返した。そしてささやき返す。  
「うれしいです。ナノカさん。」  
 さらに強くナノカを抱きしめた。  
 
 一晩明けた。あれから二人は性行為こそしなかったものの恋人としての時間  
をたっぷりと過ごした。  
「ナノカぁ、今帰ったぞ」  
「ガァ」  
 どうやらスツーカたちが帰ってきたようだ。  
「おかえりー」  
「おかえりなさいませ。」  
 二人が出迎える。  
「おう、嬢ちゃんきてたのか、おはよう」  
 なんか家の雰囲気がちがう、こう甘ったるいというか。そういうなれば新婚  
さんの新居のような…。  
「あのねースツーカわたしたちねぇ・・・」  
 この後工房は大騒ぎになる。  
 
 

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