〜前回までのあらすじ〜
パナビア先輩に人類史上稀にすら見るか分からない現象がおきました。
相談されたフェアリさんは、ナノカさんを呼びつけました。
驚くパナビア先輩をなだめすかしたうえに実力行使で、ナノカさんに調べさせます。
調べた結果、原因はナノカさんの発明と、フェアリ先生の医療行為とは名ばかりのセクハラのようです。
仕方ないので、ナノカさんはパナビア先輩を治すために、色々することになりました。
パナビア先輩は自分でやるといいましたが、それで引き下がるナノカさんではありませんでした。
結局、ナノカさんの『工房士として』の言葉に、パナビア先輩はしぶしぶ治療を任せたのですが……
パナビアの工房に着いた二人は、まず最初にマイクロマシンの製造から始めた。
工房には精密作業に必要な機器も一通りそろっており、必要なEマテリアルを用意するだけで事足りた。
ちなみに、運送に尽力したテンザンは、今はスツーカのいるところに向かっている。
『これから私はパナビア先輩と作業に入るから、先に二人で工房に戻っててね』
という言葉を伝えるのが、今回の仕事である。本当に仕事熱心な機動城塞兵だ。一家に一台テンザンが欲しい。
「よし、完成」
「こっちも完成しました」
二人で頭をつき合わせた結果出来たプランは、とても単純だった。
専用のマイクロマシンで体内の掃除を行い、カラにしてから再治療用のマイクロマシンをインプラントする。
「じゃあ、早速始めましょう」
「うう……まさか、こんな理由でマイクロマシンを造ることになるなんて……」
泣きそうな気分でつぶやく。こんなアホな理由でマイクロマシンを作ることになった工房士など、自分くらいなのではないだろうか。
「まあまあ、貴重な体験をしてると思って……」
「貴重って言うか、ありえないわ……」
うんざりとした口調でそう言うパナビアに、ナノカは困ったような表情で苦笑した。
正直、自分もまさかこんな体験をするとは思っていなかった。
「じゃあ、ええと……おち……出してください」
「う……はい」
さすがにまだ抵抗感があるが、治療のためには仕方ない。椅子に座って、パナビアは再三脚を開いて見せた。
患部を確認し、ナノカはジェルを手にとって塗り始める。
「ま、まず最初に、念のため高出力マイクロ波で、中のマイクロマシンを壊します。わ、わ、先輩の、硬くなってきた……」
「そ、そりゃ、そんなもの塗られたら……あ、先っぽはもうちょっと優しく……」
「す、すいません。それで、えと、発信機発信機……」
ぺたぺたと、中ほどから根元周辺まで発信機を取り付ける。取り付けが済んでからナノカは、こくりと喉を鳴らした。
「五分ほどガマンしてくださいね」
「ご、五分……分かったわ。やって」
「はい」
返事をして、ナノカはスイッチを入れた。
ヴィィィ……という、小さな電子音と共に、高出力のマイクロ波が発信される。
治療用の以前使ったものとは違い、今度はマイクロマシンには致命的な出力のマイクロ波が体内を蹂躙する。
その強い刺激に、パナビアに生えた異物――男性の象徴たるそれが、ぴくぴくと脈打ち始めた。
「うわ……」
その様子に、ナノカは我知らず見入っていた。
マイクロ波に晒され、血管を浮き上がらせてそそり立つそれを、じっと凝視する。
当のパナビアは、そんなナノカに指摘するような余裕は無かった。
「は……くぅ……」
先から根元にかけて、煮え切らない快感がじんわりと広がってくる。
自分の手で刺激して、満足するだけの快感を得たいという欲求を、意志力を総動員して押し殺す。
この後輩の目の前で、そんなみっともなくて恥ずかしい姿を見せるわけにはいかないというプライドが、彼女の精神を支えていた。
人生の中で最高に長い五分を耐え切り、タイマーに合わせて機械が止まった事を確認したパナビアの視界に最初に入ったのは、自分のモノを凝視するナノカの姿だった。
機械が止まったことにも気づかず、ひくひくと痙攣するそれを、瞬き一つせずに眺めている。
「ナノカ……ちょっと、ナノカ?」
「はっ!? あ、ええと、と、止まりましたね! じゃ、じゃあ、とりあえず装置を外して……」
「あ、ちょっ……」
パナビアの呼びかけに、ナノカははっと気を取り戻して、慌てて装置を取り外しにかかった。
制止の声も聞かず先端付近を無造作に握り、発信機のコードをつかむ。
「――!」
そのまま、普段の彼女ならばありえないほど乱暴に発信機を剥ぎ取る。
全体を痺れにも似た快感で支配され、敏感になっていたその部分は、ナノカの柔らかい手と沢山の引っ張られる感覚に耐え切れ無かった。
「ぅ……あぁ……っ!」
下半身を突き抜ける快感と、半強制的な開放感に、パナビアは思わず声を上げ――
「ひゃぁっ!?」
自分の顔面に向かって放出される液体に、ナノカは小さく悲鳴を上げた。
顔いっぱいに広がり、服にまで滴っているその液体を手に取り、ナノカが最初にとった行動は――
「あわわわわわわっ!?」
パニクることだった。目をぐるぐると回して、その場で右往左往する。
ひとしきり一人で騒いでから大きく深呼吸して、今度は手にべっとりとついたその液体を、まじまじと観察し始めた。
「うわ、うわあ……べとべとするぅ……」
「……てゆーか……さっき散々見たでしょ……」
「い、いやまあ、その、直接触れるのは初めてですから……」
肩で息をしながら言うパナビアに、情けない口調でそう返す。
さすがの天才工房士も、こういう事態が相手となっては、そこらの十四歳の少女とそう変わらないらしい。
「それより、大丈夫ですか先輩。何か凄い息切らしてますけど」
「う、うるさいっ! あんたが急に刺激しなかったらもうちょっと元気だったわよ!」
「はううっ!? す、すいません!?」
「ええい、もう。いいから早く終わらせてよ!?」
「は、はい! では、僭越ながら……えいっ!」
気合の掛け声と共に、ナノカは目標を握り締めた。
とくんとくんという脈動と想像以上の固い感触、じんわりと伝わってくる熱さに、頭が沸騰しているような錯覚を覚えつつ、一心不乱にしごき続ける。
(う……や、ヤバイ……この光景は色々とヤバイ……)
自分の肉棒を凝視しながら一心不乱にしごき続ける後輩に、パナビアは何やら倒錯的な思いが鎌首をもたげてくるのを感じた。
これがあれだろうか。女性を従わせ、奉仕させたいという男性的な支配欲という奴なのだろうか。
そんなことを考えていると、本日三度目の――これが射精感という奴なのだろう――が、込み上げてくる。
「……出る……っ!」
その宣言の直後、先ほどとほぼ同じ量の白濁した液体が勢い良く放出され、再度ナノカの顔と制服を白く染める。
ぼーっと自分の分身を眺めているナノカを見て、パナビアはある事に気付いた。
「……あのさ」
「は、はいっ!?」
まるでいたずらが見つかった子供のような驚き方で、ナノカが反応する。その彼女に、一つ咳払いをしてからあとを続けた。
「……その……服、脱がない?」
「え? はい? ええっと……?」
「いや、このままどろどろになったら、帰る時とか困るでしょう」
「ああ、なるほど。びっくりしちゃいました」
「……何だと思ったのよ……」
あはは、と苦笑するナノカに、半ば呆れたような口調で言う。
それを受けて、ナノカは顔を赤くして口ごもった。
「い、いや、それはその……やだ、先輩のえっち」
自分も、ちょっと言い方がまずかったかもしれないと思ったので、それについては特に何も言わなかった。
だが、コレだけは言える。この後輩も十分えっちだ。
「……とりあえず、お風呂場でやりましょ。そこなら、どれだけ汚れても大丈夫よ」
「そうですね。分かりました」
パナビアの提案に、ナノカはこくこくとうなずいた。
風呂場に到着して、パナビアは自分の提案に少し後悔した。
確かに、服を汚さないための選択肢としては、悪くなかっただろう。
裸なら、どれだけ汚れても風呂場で洗い流してしまえば問題ない。事後処理も簡単だ。
しかし――
(い、いかん……どういうわけか、ナノカの裸が気になって仕方ない……)
こんなモノが生えたせいで、考え方や嗜好も男性的になってきているのだろうか。
何故か、ナノカの未成熟な胸やら下腹部やらに目が行ってしまう。
(お、落ち着きなさい、パナビア・トーネイド! 相手は同じ女よ!? 体のスペックはこちらが問答無用で上!
ああ……でも、あの膨らみかけの胸、まだつるつるのあそこ……未熟な体が私の征服欲を……って、ちがぁーうっ!)
「あの……大丈夫ですか、先輩……?」
急に身悶え始めたパナビアに、ナノカは心配そうに顔を覗き込んだ。
その顔にはっとして、誤魔化すように咳払いをする。
「だ、大丈夫よ。ちょっと色々打ちひしがれてただけ」
「は、はぁ……」
パナビアの返事に、何だかよく分からないといった様子で、ナノカは生返事を返した。
「とりあえず、始めちゃいましょう」
「……分かったわよ」
なるべく意識しないように努めながら、風呂椅子に座る。
ナノカはそのすぐ正面にちょこんと座り、今度は強すぎないようにゆっくりとしごき始めた。
慣れてきたのか、彼女の小さくて柔らかい手は、丁寧に刺激を与えてくる。
「ど、どうですか……?」
「い、言わせないでよ! 恥ずかしいから!」
「はぅっ! す、すいません!」
覗き込むように聞いてきた後輩に、不覚にも一瞬どきりとする。
それを誤魔化すために言い放った言葉に、ナノカは慌てて視線を下に戻した。
そしてそこで何かに気付いたように手を止め、ある物に手を伸ばす。
「……何?」
「あ、いや……これ使ったほうがやりやすくなるかなぁと……」
そう答えて手に取ったのは、ボディソープだった。恐るべきは天才の発想力。それはソーププレイというヤツですナノカさん。
手のひらに少量取り、しごきながら全体に塗りつける。
なるほど確かに、滑りがよくなってしごきやすくなった。自分の発見に上機嫌になったのか、ナノカはペースをあげる。
「あ、く……ナノカ、もう出る……」
「は、はい。出しちゃってください」
我知らずナノカの肩を掴んだパナビアに、軽く動揺しながら返事をする。
程なくして、パナビアが小さく顔をしかめると同時に、ナノカの体を精液――厳密には違うが――が、白く染めた。
「わ、沢山出ましたよ、先輩。ほら」
ナノカの無邪気なセリフに、絶頂の余韻もそこそこにパナビアは視線を向けた。
そこには確かに、自分の放出した白い液体が、ナノカの下腹部を濡らし、足の付け根へと垂れて行く光景があった。
その扇情的な光景に、パナビアは自分の分身がぴくんと反応するのを感じる。
そのせいだろうか。ほとんど無意識に――まるでそれが当然であるかのように、パナビアはナノカへと手を伸ばした。
「せ、先輩っ!?」
驚いたようなナノカの声に、パナビアははっと我に返った。
気づいてみれば、自分の手がナノカの秘所に触れている。
(あ、あれ……? 何で私……?)
胸中で自問するが、その答えが出るよりも早く、パナビアはあることに気付いた。
「……濡れてる……?」
「…………っ!」
その言葉に、ナノカが顔を真っ赤にして黙り込んだ。
彼女の幼い割れ目は、自分の出した液体とは別の何かで、確かに濡れていた。
それに気付き、顔を赤くして視線を落としているナノカを眺めていると、パナビアは不公平感を感じ始めてきた。
そうだ。自分がこんな恥ずかしい思いをしているのに、何で目の前の後輩はこの程度で済んでいるのだろう。
自分の会った恥ずかしい目の何分の一かでもいいから、自分の手でこいつに味わわせてやりたい。
……断じて、この後輩にえっちなことがしたくなったわけではない。そこんところよろしく。
「私の弄ってて、感じてたの?」
「え、いや……その、それは……」
覗き込むようにして聞いてくるパナビアに、ナノカは視線をそらして口ごもった。
その態度に、パナビアはナノカの充血した肉芽を指の腹で転がした。
「こ・た・え・な・さ・い」
「ぁひぃっ! ご、ごめんなひゃい、感じてまひたぁ……! あっ、あっ、くりくりしちゃだめぇ……!」
急な刺激に、ナノカは慌てて白状した。その返事に満足して、パナビアは指の動きを一旦止める。
「うう……先輩のえっち……」
「どっちがよ。人の弄って濡らすとか、十分あんたもえっちじゃないの」
パナビアの言葉にナノカは反論できず、あぅ……と呻いて黙り込んでしまった。
「それに、さっきからずっと、手を放そうともしないじゃない。何? 気に入ったの?」
「あ、あぅ……」
図星だったのか、顔を真っ赤にしてナノカは俯いてしまった。
茹でダコのように赤くなったナノカに、パナビアは倒錯的な支配欲が沸き起こってくるのを感じた。
そうだ、このままこの後輩を困らせてやろう。いつもこちらが困らされてるのだ。その立場がちょっと逆転するだけ。何の問題があろうか。
そう思ったときには、既に指が動いていた。自然と口も開く。
「ねぇ、どうなの? そんなに興味があったの?」
「あ……はぅ、よ、よく分かりません……う、あ、そこ、だめ……」
上下になぞるだけの愛撫だが、今のナノカには十分な刺激だったようだ。体を震わせ、それでもやはりその手は放そうとしない。
「そうなの? ふぅん……ところでさ」
「あ、ふぁ……は、はい……?」
「してくれるんじゃなかったの?」
パナビアのその言葉に、ナノカは自分の目的を思い出した。ゆっくりと、パナビアへの刺激を再開する。
「そう……ちゃんと『治療』してよね……半分はあんたのせいなんだから」
「は、はい……」
パナビアの愛撫に体を震わせながら、一心不乱に手を動かす。
そしてやがて、パナビアに限界が訪れた。
「く……出すわよ……」
「はい……出して、ください……!」
五回目ともなるといい加減慣れてきたのか、パナビアは小さく身じろぎするだけで放出を終えた。
そのまま一息つくと、ナノカがこちらを物欲しそうに見つめていることに気付く。
「……何?」
「あ、あの……その……」
よく見ると、もじもじと床にこすりつけるようにして腰を震わせている。
そういえばと、いつの間にかナノカから放してしまっている手を眺める。そこでパナビアは、ちょっとした意地悪を思いついた。
「ちゃんと言ってくれないと、分からないんだけど」
何だか自分も言われたような記憶のあるセリフを吐く。そのセリフにナノカは何やら弁解するようにつぶやき、やがて意を決したように口を開いた。
「わ、私も……イキたいです、先輩……」
半泣き状態で言ってくる後輩に、パナビアはにやりと口の端を歪めると、再度手を伸ばした。
「欲しいなら、腰、上げなさい?」
「は、はい……」
パナビアの言葉に、素直に従う。余程気に入ったのか、それとも義務感なのか、それでもナノカはパナビアのそこから手を放さなかった。
入り口付近を擦りあげ、ぴんと張った肉芽を指の腹で転がしてやる。さすがに指を入れるのは気が引けた。
「せ、先輩……私、もう……」
パナビアの肩にもたれかかり、甘い声を漏らす。ナノカのその告白に、パナビアは彼女の肉芽を、直接引っ掻いてやった。
「イ……ふぁあっ!」
一際大きい嬌声を上げ、ナノカはやっと念願の絶頂に達した。そのままパナビアに体を預け、余韻に浸る。
「結局最後まで放さなかったわね?」
「だ、だってぇ……」
未だ自分のモノを放そうとしないナノカの手を、優しく撫でる。ここまで来ると、ほとんど執念に近かった。
「沢山出して、先輩を治さないと……」
手が全く動いていない以上、それは言い訳にしか聞こえなかった。
「じゃあ、もっとしてくれないとダメじゃないの」
「は、はい……」
パナビアの指摘に、ナノカは腰を下ろそうとして――
「ひゃあっ!?」
「あわっ!?」
足を滑らして、パナビアに向かって倒れ掛かってしまった。急にかかった体重を支えきれず、そのまま二人で転んでしまう。
かこんと風呂椅子の跳ねる音が響き、パナビアは床に打ち付けた後頭部を擦りながら上半身を起こした。
「ちょっと、気をつけなさいよね!」
「す、すいませ……!」
謝ろうとして、ナノカは自分の顔に押し付けられている肉棒に気付き、息を呑んだ。いや、この場合は、自分が顔を押し付けているのか。
パナビアも、その事実に気付いて口を閉じた。この体勢から考えられるのはアレだし、ちゃんとしろとも言った。だが、そこまでしろとは言っていない。
だが、ナノカは熱に浮かされたように肉棒を手に取ると、自分の顔にこすりつけ、舌を伸ばした。
根元近くから先端までを舐めあげ、キスをする。
(にがい……)
先ほど塗りつけたソープがまだ残っているためか、ナノカの舌は彼女に苦味を訴えてきた。
しかしナノカはそれを無視すると、真っ赤に充血している先端を口に含んだ。
「ぅは……っ」
咥えられた本人は、手とは違う濡れた感覚に、体を反らして悶えていた。
「な、ナノカ……あんた、こんなのドコで……ふぅ……っ!」
「はぷ……このほうが、へんぱいがきもひいいはと思っへ……ぷあ……」
咥えたり舐めたりしながら、パナビアの質問に答える。恐るべきは天才の発想力。それはフェラチオというヤツですナノカさん。
しかも、ただするのではなく、パナビアの反応を確かめながら、色々な所に積極的に舌を這わせていく。
恐るべき探究心。こんなところでもナノカ・フランカという少女は天才だった。どーなのよそれは。
「どうえふか、へんぱい……きもひいいえふか……?」
「ひぅっ、だめ、咥えながらしゃべらないで……はぅっ……!」
あまりの刺激に、パナビアはとうとう我慢が出来ずにナノカの頭を抑えて射精してしまった。
ぎりぎりまで押さえ込まれていた精液は、ナノカの喉をしこたま打ち据え、口内を汚していく。
「んん……っ!」
喉を打つ精液に驚きながらも、ナノカはその息苦しさに目を閉じて耐えた。意外に大量の精液が、いくらか喉を流れ落ちていくのを感じる。
やがて、腰を震わせていたパナビアの手から力が抜けた。
「……ぷぁっ。けほ、けほけほっ」
「あ……だ、大丈夫……?」
肉棒から口を離して咳き込むナノカに、さすがのパナビアも心配そうな目を向けた。
つい反射的に頭を抑えてしまったが、自分もそこまでやるつもりはなかった。今までのも、ちょっと困らせたかっただけで、別にそこまでは求めていない。
「けほけほ……大丈夫です。ちょっと飲んじゃいましたけど……
それより、気持ちよかったですか……?」
「…………」
それでもやはり、ナノカに対しては素直になれなかった。顔を赤くして、視線をそらす。
すると何を思ったのか、ナノカは膝立ちになってこちらに体を寄せてきた。
「ちょ、ちょっと、何するつもり!?」
自分に馬乗りになるような形になったナノカに、パナビアは慌てて声を上げた。
ちょっと待った、あんたもしかして、止め――
「これなら――」
ぬぷ……という、擬音にすればそんな感じの感触と共に、ナノカの肉壁を押しのけて、パナビアの先端が入り込んでいた。
「こ、こら! 止めなさい……!」
「んぅ〜……」
そのまま体重を預け、入り込んでいくに任せる。パナビアはその行為を止めさせようと手を伸ばしたが――それには、体勢が悪すぎる。
程なくして、ナノカはパナビアの上に腰を下ろしきってしまった。
「い、いったぁ……」
「当たり前でしょ! あんた、自分がしてること分かってるの!?」
こんなモノが生えてはいるが、自分も女である以上、彼女がした行為の大きさは分かる。
それをこんなことで散らしてしまった彼女に、パナビアは信じられないものを見たような表情で怒鳴りつけた。
「だって……先輩、私のせいで……だから、気持ちよくなってもらわないと……」
痛みに喘ぎながら、声を絞り出す。ああ、そうだ。そういえばそうだっけ……
「……って、別にここまでしろなんて言ってないわよバカ! ホント、あんたは――!」
そこまで言って、パナビアはナノカを抱きかかえるように上半身を起こした。
「いっつも、厄介なことばっかりするんだから……」
「先輩……?」
急に優しくなった声に、ナノカは驚いたようにつぶやいた。労わるように、パナビアの手がナノカの腰を撫でる。
「あんたね……あんたの目的は、私を治療することであって、私を気持ちよくさせることじゃないでしょ?」
「そ、そういえばそうでした……でも、それにはやっぱり気持ちよくなってもらわないと……」
「出せばいいんだから、こんなことまでする必要ないのよ。どうするのよ、こんなことで初めて失くしちゃって」
「あ、あぅ……えーっと……どうしましょう……」
「……やっぱり後先考えてなかったか……全く、本当にあんたはもう」
何でそうなのよ、と言うパナビアの声には、いつものトゲはどこにもなかった。
「ちょっとは楽になった?」
「あ、は、はい。楽になってきました」
パナビアの言葉に、ナノカは痛みが随分引いていることに気付いた。
自分が楽になるために、先輩はわざわざ抱きかかえて話しかけてくれたのだろうか。
「もうこうなっちゃったら仕方ないから、最後までするわよ……今日だけは優しくしたげる」
自分も、初めてが乱暴にされたら大きな心の傷になるだろう。それが分かるから、その相手がナノカであっても、乱暴にする気がしなかった。
確かにナノカは、後輩としても工房士としても目の上のタンコブで気に食わないが、女としてのそういうものは別だ。
「は、はい……じゃあ、動きますね……」
「無理しなくていいから、自分のペースでね。私はいいから、自分の事考えなさい」
「はい……」
答えながら、ゆっくりと自分の中から肉棒を引き抜く。先端近くまで引き抜いたら、今度は少し遅い速度で押し込んでいく。
自分をぎちぎちと締め付けてくる肉壁に、ゆっくり動いてくれてよかったと、パナビアはこっそり安堵のため息を漏らした。
これで一気に動かれたら、すぐにでもまた達してしまうところだった。
「どう、ですか、先輩……気持ち、いい、ですか?」
「ええ……締め付けてきて、気持ちいいから……言わせないでよ、もう……」
「す、すいません……んっく……」
謝りながら腰を動かす。もう痛みはほとんど無くなっていた。未だゆっくりだが、このペースが彼女にとっては一番いいようだ。
その彼女に、腰やら背中やらを擦ってやりながら、パナビアは呆れたように口を開いた。
「て言うかさ、さっきから気持ちいいかどうか散々聞いてくるけど」
「は、はい……んっ……ふ……」
「……出してるんだから気持ちいいに決まってるじゃない」
「そ、そういえば……」
パナビアのその言葉に、ナノカはようやくそこに気付いた。アレは気持ちいい証拠なのだから、聞く必要無いではないか。
「あ、あはは……うっかりしてました……」
何だかとても微妙な表情で苦笑するナノカに、パナビアは今度こそ本気で、呆れたように嘆息した。
「……ったく、そういうところがあるから諦め切れないのよね……」
ぼそりと、ナノカにも聞き取れないほど小さな声でつぶやく。諦め切れない、というのは、ナノカに勝つことだ。
本当に完璧で、付け入る隙も無いほど完成されているのであれば、まだ諦めがついたかもしれない。それこそプロスペロのように。
だがナノカは、未だにどこか抜けているところがあった。それは、人生経験の問題ということなのだろうが――
「……なんですか?」
「何でもないわよ。もう痛くないなら……それ!」
「あひゃぅっ!? せ、先輩っ、そんな、激しく……っ!」
誤魔化すように、ナノカの体を持ち上げて上下させる。自分の意思とは全く関係なく与えられる刺激に、ナノカは嬌声を上げた。
漏れ出してくる声を我慢しようと必死なナノカに、パナビアは意地悪くストロークを続ける。
ついでに、小さく張りのあるお尻を鷲掴み、ぐにぐにと揉みしだいてやる。
「せ、せんぱっ、ズルいっ!」
「うるさいっ。さっきまで散々色々やってくれたお返しよ!」
ナノカの抗議に、心底楽しそうにパナビアが返す。
その言葉にむっと来たのか、ナノカはパナビアにもたれかけていただけの腕を、肩に置いて体を支えると――
「ま、負けませんよっ!」
何の勝負をしているのか分からないが、そう宣言して下腹部に力を込めた。
ただでさえ狭いナノカの膣が、ぎゅっとパナビアの怒張を締め上げる。
「うひぁっ!? あ、あんたさっきからホントに、ドコからこーいう知識を……!」
「今思いつきましたっ!」
高らかに宣言するナノカは、いっそ清々しさに溢れていた。天才もここまで来るとどうかと思う。本当に。
しかし、だからといってパナビアも負けてはいなかった。お尻を揉んでいた指を一本、ナノカの菊門にあてがう。
「はひぃっ!? ひぇんぱい、それ、何かヘンっ!」
ありえない所からの異物の進入に、自然と下腹部に力が入る。妙な緊張に感覚が敏感になり、意識が下半身に集中する。
「あっ、ダメ……先輩、私、もう――」
「わ、私ももう少し――」
初めてにもかかわらず、ナノカは絶頂を迎えようとしていた。我知らず脚でパナビアを拘束し、その精を搾り出そうと締め付けてくる。
「だ、ダメ……中に、出しちゃ……」
「だ、出してください、せんぱ……」
引き抜こうとするパナビアに、ナノカは意外なほど強い力で抵抗した。がっちりと脚で絡め取られ、抜くに抜けない。そしてそのまま限界が来て――
「ぅはあ……っ!」
結局パナビアは、ナノカの中にその欲望を吐き出してしまった。ほぼ同時にナノカも絶頂に達する。
「……先輩のが、いっぱぁい……」
うっとりとした声でつぶやくナノカに、パナビアはちょっとだけ可愛いと思ってしまった。
「うわ、血が出てる」
「……当たり前でしょ」
今更のように言うナノカに、パナビアは本日何度目か分からないため息を吐いた。
結局あのあとしばらく抱き合っていた二人は、どうにか落ち着いてから体を洗うことにした。
いくら生殖能力の無い、膣内腺液に近いモノだとしても、やはり自分のせいで一人の女の子が穢れてしまったというのは、あまり気分のいいものではなかった。
シャワーをかけながら、指で丁寧に――出来るだけ優しく掻き出す。
「全く、もうちょっと後先考えなさいよね」
「あ、あはは……実はちょっと、ムキになっちゃってました……」
ぽりぽりと、頭を掻きながら申し訳なさそうに言うナノカに、パナビアは再度嘆息した。
「アホか。ムキになるとしても、もうちょっと自分の事考えなさい。それに、あんたのおじいさんだって泣くわよ?」
「そ、そうですね……あう、反省……」
しょんぼりするナノカに、頭からシャワーをかけてやる。
折角だからとそのままシャンプーをかけ、髪も洗ってやることにした。
「もう……このこと、誰にも言うんじゃないわよ。騒ぎになるから。
こんなヘンな事情で、ヘンな騒動に巻き込まれるの、私は嫌だからね?」
「はい。……えへへ」
「……何よ?」
急ににやにやとしだしたナノカに、パナビアは眉根を寄せた。何かヘンなことでも言っただろうか。
「先輩って、優しいですね」
だがナノカは、別にそういった理由で表情を緩めたわけではなかったようだ。
どこか嬉しそうに言う彼女に、パナビアは見られてもいないのに顔をそらし――
「今日だけよ」
そう言い返した。
その返事に、ナノカが小さくふきだす。
「何よ」
「い、いえ、何も……」
「何が『何も』よ! さっき笑ったでしょ!? 笑ったわね!? このっ、このっ!」
「あ、あわーっ! 泡が目にっ! すいません先輩、ごめんなさぁい!」
二人はしばらくそんな風に、風呂場でじゃれあっていた。
「ホントに大丈夫? あんたのお供たち、心配するんじゃない?」
「大丈夫ですよ。スツーカもテンザンも、合同作業で遅くなったから泊めてもらったって言ったら納得してくれます」
「そりゃ、確かに嘘は言ってないけどね……」
パナビアから借りたYシャツに身を包み、ナノカがそんな事を言う。なかなか苦しいが、確かに嘘は言ってない言い訳に、パナビアは呆れ気味につぶやいた。
実はマイクロマシンが完成したのは夕方だったということもあって、既に外は真っ暗。
パナビアは送っていくと言ったのだが、ナノカは夜にパナビアを一人で帰らせるのもダメだと言い出し、結局泊まることとなった。
お供にスツーカをつければいいことなのだが、それについてはナノカが黙殺してしまった。
「まあいいわ。今回だけよ? 明日からは、またいつも通りだからね」
「はい」
どこか嬉しそうに返事をする。
まさか、自分がヘンな方向に目覚めさせてしまったのではないかと不安になるが、とりあえずその考えは頭の隅に追いやった。
ちなみに、既に専用マイクロマシンはインプラントしてある。上手く機能すれば、一日程度で元通りになるはずだ。
「しっかし、今回は色々とハードだったわ……」
「そうですね。正直、自分の身に直接降りかからなくて、ちょっとほっとしてます」
ベッドに二人で潜り込みながら、しみじみと話し合う。
「あんたね……まあ、確かに他人事だけど、いくらかあんただって関係してんのよ?」
「ええ、まあ……」
「あ〜あ、でもこれで、またあんたに貸し一つか……バイトの紹介もだけど、何か最近ツイてないわ〜」
「そんな、気にしないでくださいよ。私が勝手にやったことですし」
「そうもいかないわよ。私はあんたに貸しがあるってだけでイヤなんだから」
「はぁ……じゃあ、そうですね……」
と、何やら考え込む。しばらくして、何かを思いついたのか、口を開いた。
「なら、私が今回みたいなコトになった時は、その……色々お願いできます?」
「……なんだかやたらと限定的だけど……まあ、それもいいかもね。いいわ、その時に私がいたらね」
「ふふ……約束ですよ? 忘れちゃダメですからね?」
「大丈夫よ。記憶力には自信があるから。ところで――」
と、視線を下に落とす。
「何で触ってるの……?」
「え、ええと……その、なんか名残惜しいなぁと」
すりすりと、両手でパナビアのモノを撫でる。既にそこは怒張と化し、熱くたぎっていた。
「あんたね……これ、どうしてくれんのよ」
「大丈夫ですよ。責任、取りますから……」
結局二人が眠りについたのは、それから一時間以上も経ってからだった。