「・・・ん・・・ここは・・・?」  
気づいたらベッドに横たわっていた。  
窓の方を見ると綺麗な星空に月の光。  
その光をさえぎる1つの人影。  
「・・・オーギ・・・?わたしは・・・」  
声に気づいた影の正体は少し心配そうに  
「お、気づいたか。大丈夫か?無理するからだぞ」  
・・・そうだ、今日は朝から体調がイマイチだったんだ。  
それなのに無理してサークル活動やってて、それで・・・  
そこから記憶がない、おそらく倒れたのだろう。  
「ここは保健室だ、いきなり倒れたからびっくりしたぞ」  
”ありがとう”と言おうと思った、でも素直になれない私は  
「・・・寝てる間に変なことしなかっただろうな・・・」  
と、つい思ってもないことを言ってしまう。  
「お前みたいなお子様にそんなことするか。オレはもっと美人のおねーちゃんがいい」  
「なんだと!」  
頭にきて飛び起きようとする私の頭を片手で押さえつけるオーギ。  
手足をジタバタさせても相手は元軍人、簡単に押さえ込まれる。  
「ほらほら、病人なんだから寝てなさい」  
ムカついたのでそっぽを向くと時計が目に入った。  
深夜1時か・・・結構寝てたんだな・・・その間オーギはずっと看病しててくれたのかな・・・  
「なぁオーギ、ずっと私の看病しててくれたのか?」  
「あぁ、病人ほっとくわけにもいかんだろう。他のみんなも途中までいたんだが夜だしな。家に帰ったよ」  
何時間もついててくれたのか・・・と思うと”すまない”という気持ちがこみ上げてくるが、  
”うれしい”という気持ちもあった。  
 
「さてと・・・」  
そう言いながら立ち上がるオーギを見て私は不安になった。  
「お前も・・・その・・・帰るのか・・・?」  
そばにいて欲しい、素直にそう思う。  
「ちょっとタバコすってくるだけだ、5分でもどる」  
その言葉に安心し、わかった と答える私。  
オーギが出て行ったあと、私はぽつりとつぶやいた。  
「もっと素直になりたいなぁ・・・」  
しかしそういう性格だから仕方ない、性格なんてそう簡単に変えられないしなぁ・・・  
5分と言っていたが3分もたたないうちにオーギは帰ってきた。  
「アマネカ、今日はもうここへ泊まるか?明日寮まで運んでやるから」  
「そーだな、私も歩く元気はない」  
「歩けなきゃおぶってやるけど」  
それを想像した私は顔が真っ赤になる。  
「い、いらん!歩けるようになったら自分でかえる!」  
「そうか、ならもう寝ろよ?体、よくならないぞ」  
そう言われ眠りにつこうとするがなかなか寝付けない。  
昔のトラウマでなかなか寝付けないのだ。  
「・・・なぁ、オーギ・・・1つ頼みがあるんだが・・・・」  
「なんだ?添い寝でもして欲しいのか?」  
「ち、ち・・・ちがーう!そうじゃなくて!・・・あの、その・・・・」  
私はモジモジしながら小声で  
「その・・・寝付くまで手を・・・握っててほしいんだ」  
 
オーギはちょっと驚いている様子。そりゃそうだろう・・・まさか私がそんなこと言うなんて思ってもみなかっただろう。  
「キミも結構子供っぽいところがあるんだな、まぁそれぐらいの方が歳相応でよろしい」  
「ちがうんだ・・・私は昔路上生活してたことがあってな、路上生活なんて寝たら次の日に目が覚める保障なんてないからな・・・」  
そのまま死んでしまうかもしれない、その恐怖を何度味わったことか。  
「なるほど、トラウマというやつか」  
そう言うと今にも泣きそうな声を出している私の手を握ってくれた。  
「これでいいか?」  
暖かくて大きな手だ・・・  
「ありがとう、オーギ」  
やっと素直になれた。  
そして眠りに着く私。  
今日はいい夢が見れそうだ・・・  
 

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