その悲喜劇は、季節外れの虹とともに幕を開けた。
ある日のアカデミー。どことなく統一感に欠ける3人が中庭で昼食を取っていた。
自信作の『旧校舎裏直送・朝採り雑草サラダ』をネネに強制廃棄され、少々がっかり気味のナノカ、
そのナノカに持参の弁当を「あーん」しながらご満悦のネネ、
そして相変わらずマイペースにテイクアウトのハンバーガーをぱくつくエリンシエである。
「それにしても近頃、エリンシエさんはナノカさんにベタベタし過ぎじゃありませんこと?」
恋する乙女の勘で二人の距離感に気付いたネネが剣呑な口調でエリンシエを睨む。その目つきはいつになく刺々しい。
無理もない。先日の新法制定の際、定例議会にねじ込むために策定を急ぎすぎ、
こともあろうに自分の年齢までも結婚の対象外にするという大ポカをやらかしてしまったのだ。
これではどさくさ紛れに同姓結婚を認めさせた意味がない。
ミスをしたのはネネ自身だが、そもそもエリンシエの件がなければもっと落ち着いて策定作業ができたのだ。
この世にデウス・エクス・マキナがいるのなら私を道化にしようとする憎き敵だ、自分のミスに気づいてからたっぷり3日間、ネネは天に向かって呪詛を吐き続けた。
無論、ネネは先日ナノカとエリンシエの間にあった一件を知るはずもない。
知っていれば一国の前女王であろうとお構いなしにハンプデン家の私設特殊部隊が投入される。間違いなく。
「まあ、人質として異国の地に連れ去られた我が身にとって、頼るよすがと言ったらナノカしかおらぬのだ。許せ」
エリンシエは「人質」に微妙なアクセントを付けながらさらりと返す。
「うっ…」帝国の覇権に浴する立場のネネにとって、そこを突かれると痛い。それにつけ込んだ駆け引きとは分かっていても、どうも攻撃の手が鈍ってしまう。
それにエリンシエは11歳とはいえ、記憶転送によって数百年分の知識をため込んでいる、いわば帝王学の巨大データベースだ。いかに英才教育をたたき込まれたネネと言えど論戦では敵うべくも無い。
不承不承に矛を収めたネネは、とりあえずナノカを餌付けする目先の悦楽に没頭することにした。
微妙なパワーバランスがせめぎ合った(むろんうち1名はまったくその雰囲気に気付いていない)昼食が終わり、3人は食後のティータイムを楽しむ。
とはいえナノカは相変わらずコーヒーだが。
その時、のほほんとした顔でコーヒーをすするナノカをぼんやりと見つめながらエリンシエが何気なしに呟いた。
「なあ、ナノカ……女性同士で子を成すことは可能だと思うか?」
「ぶ――――――――――っ!」
ネネの口から吹き出されたアッサムの霧の中に、見事な虹が架かった。
「あ、虹」「おお、見事であるな」のんきな2名が捻りのない感想を述べる。
「げほっ、げほっ…え、え、え、エリンシエ女王!あなた一体何を!!??」
「だからもう女王ではないと言うに」
「そんなことはどーでもいいです!言うに事欠いてなんてことをおっしゃるんですの!?」
「いや、単なる学術的な興味だ。まあ気にするな」
「だからって何もこんな人目のあるところでそんな破廉恥なことを!」
「何が破廉恥なのだ。と言うか、そなたが騒ぎを大きくしているように思えるのだがな」
…とネネの暴風をエリンシエが柳に風と受け流している間、ナノカの灰色の脳細胞には発明の神が降臨しつつあった。
「つまり受精というのは遺伝情報の注入なわけだから、DNAを何らかの形で受け渡せば可能だよね。女性はXX染色体だから単性生殖は100%女性が産まれるわけで一代限りになる心配もないし、染色体の受け渡しにはマイクロマシンに行動をインプットしておけば可能だし」
…今回、ナノカに降臨したのは生命の営みに挑戦状をたたきつけた悪魔だった。
「…ナノカ?」「…ナノカさん?」
脳内倫理委員会の慎重派に賄賂を掴ませて検討部会を流し、マイクロマシンにおけるDNA情報保持機構の検討に入ったマッドサイエンティストに、口論を中断した二人が恐る恐る声をかける。
しかし発明に全てのタスクを振り向けたナノカは、秘密の弱点を知るスツーカ意外の何者も止められない。
結局、その日の閉門時間寸前に迎えにきたスツーカがナノカを強制停止させるまで
ビジー中のスーパーコンピュータと付き人2名は中庭に取り残されることとなった。
そして時は過ぎて1ヶ月後の夕食時、ふと思い出したようにナノカはエリンシエを自室へ呼んだ。
「エリンシエ、ついに人は神の領域へその一歩を踏み込んだよ!」
開口一番、今夜のナノカは絶好調で意味不明だった。
「…な、何の話だ?」当然の疑問を返す。
「やーだなー、こないだエリンシエ言ってたじゃない、人間の単為生殖は可能かって」
微妙に違っているような気はしたが、エリンシエはとりあえず曖昧にうなずく。
「それで完全な単為生殖は難しいとしても、遺伝子情報を保持したナノマシンを使えば『男性を必要としない』という意味での単為生殖は可能という結論に達したのですよ」
「は、はあ…」
「そこで、まずは私の細胞を使って作ってみたのがこちらです!」
満面の笑みで密閉フラスコを取り出す。中には白濁した粘性の液体が封入されていた。
ここにいたってやっとエリンシエにも状況が分かってきた。
ナノカはエリンシエのたわいない妄想を全力で真に受け、言った本人ですら御伽噺と諦めていた世界をたった1ヶ月で具現して見せたのだ。
ならば、それにエリンシエが応える術はただ一つだった。
「いやー、鞭毛の代替品についてはマイクロマシンのモーターでなんとかなったんだけど、DNAの保護膜とタンパク質分解酵素を同居させるのが大変で」「ナノカ」
「え?なにエリンシエ」
「その理論の実証に、余を使ってはもらえぬか?」
「え゛ぇ?で、でもエリンシエ、実証って言ったらつまり妊娠」
「なればこそだ。そもそもあれを口にしたとき、私の心中にはその想いがあった」
「で、でも何でまたそんなことを?」
「先達ての一件の時、ナノカに抱かれながら思ったのだ。ただ抱かれるのではなく、本当に最愛の人の子を産めたならどれほど幸せなことかと」
「はあ…」
「何だその気の抜けた返事は。そなた、いつぞやのラジオ番組で私が言ったことを冗談だとでも思っていたのか?」
「いや、あれはてっきり場を収めるために追及不可能な方向へ躱したのかと」
「心にもないことを公言するほど私はひねておらぬ。…そ、それにだ、あの時にも余のナノカへの想いは伝えたであろうが」ごにょごにょと後半を付け加える。
「あ、あーあー、そーいえば言ってたよね、おっぱい揉んでた時」
「…っ!だから、どーしてそなたにはデリカシーというものが…っ!」
「でもエリンシエが立候補してくれるなら嬉しいな」
「え!?」エリンシエの顔が一気に朱を帯びる。
「だって私にとってもエリンシエは初めての人なんだよ?初めて同士で添い遂げるというのは何というか男のロマンだと思うのですよ、ハイ」
「ま、まあそれは私としても望んでいたことと言うか何というか…男の??」
言葉を濁していたエリンシエが最後の単語に引っかかる。
「だってホラ、私は女の子のロマンは体験してないから」
「あう…」ナノカの性体験を歪めてしまった原因として、これを言われてしまっては返す言葉もない。
「と言うわけで善は急げと申しますし。さっそく試してみよっか?」
とにこやかに迫ってくるナノカを押し止める妙案は、エリンシエには無かった。
「こら、じろじろと見るでない!」脱衣中、ナノカの視線に気付いたエリンシエが身を竦める。
「どして?お風呂のときとかいつも見てるじゃない」
「それとこれとは話が別だ!いいからとにかくこっちを見るな!」
「そーお?ちぇ、ざーんねん」赤面しながら服を脱ぐエリンシエの姿に不思議と興奮を覚えていたナノカは、軽口を装いながら本心からの感想を口にした。
しょうがないので先ほどの人造精液をEテクペニスバンドに装填する作業に専念する。
「自分で服を脱いで畳む」というまだ慣れない作業を四苦八苦しながらやっと終えたエリンシエが振り返ると、背後から忍び寄っていたナノカがわきわきさせた手のやり場を失って棒立ちしていた。
「うわぁ、な、な、なんだ!?」身を竦めて飛び退る。
「あ、ばれた」「ばれたとは何だ、一体なんなのだその手は!?」
「いやー、エリンシエの裸見てたらなんだかいたずらしてみたくなっちゃって」悪びれもせずナノカが返す。
「というわけで改めまして」と言うなりナノカがエリンシエを抱きすくめた。
「何が『というわけ』だ…むぐっ」反論しかけたエリンシエの口がナノカの口で塞がれる。
突然の展開にエリンシエが硬直している隙にナノカの舌が侵入してきた。
「ん…んぐ…ん…んうっ!」舌をねぶり、上あごの裏を舐め回し、頬の裏側をつつき、執拗なまでにエリンシエの口内を犯す。
1分近く経ってようやく口を離すと、エリンシエは息継ぎだけではない喘ぎ声をあげた。
「ふあ…な…ナノカ…何なのだ今のは?」
「いやー、私もあれから勉強したのですよ色々と」
「勉強…?」「ほら、こないだの時はいろいろ失敗しちゃったから、次回は順序を踏んでちゃんとしようかと」
「しかしそれは何か学習の方向性が」言いかけて口ごもる。ナノカを男として『使って』しまったのは自分の責任なのだ。
「それにね」見透かしたようにナノカが続ける。
「エリンシエのせいで逆の体験からスタートしちゃったんだから、最後まで責任取ってもらわないと。ね?」艶然と微笑む。
「う…」半ば冗談と分かっていてもこれでは何も言い返せない。
しかしエリンシエにとってはある意味望んだ世界ではあるのだし、何よりその「正しい順序」にも興味はあった。
もう少しの間ネオスフィア動乱が起こらず、記憶転送が順調に進んでいればいずれそのような知識もコピーしたのだろうが、
エリンシエの脳には優先順位の高かった先王の重要な記憶や帝王学、治世術しか写されていない。
「…で、でだ、この後はどうすれば良いのだ?」上目遣いでおずおずと問いかける。
「えっとね、次はエリンシエの胸やあそこをオルガスムスに達するまでいじってー、そのあと男性器をおしゃぶりしてもらってー、次に反対向きになってお互いの性器を舐め合ってー、それからやっと本番です!」
「=≦♀¥°§★◆○&♂〜〜〜!!??」あっけらかんと告げられた、想定のはるか斜め上を行く行為の数々に、エリンシエが声にならない悲鳴を上げた。
「なななななななナノカ!?なんなのだそれは!?夜伽というのはそんなことまでするものなのか!!?」
「だと思うよ、私だって詳しくないから何冊か参考書を買ってきたんだけど」
「参考書?」「うん、さすがに成人向け図書は買えませんので、私でも買えるあたりで女性セ○ンとか女性○身とか、あぁ、あと東○ポとか」
「…そ、そうか…世の夫婦はそのように激しい営みを行っていたのか…」
市井に明るくない悲しさか、エリンシエは『参考書』選びの致命的な過ちに気付かず項垂れた。
「どーお?エリンシエ、気持ちいい?」
全裸のエリンシエを後ろから抱きかかえ、片手で胸をさすり、もう片手を股間に滑り込ませたナノカが無遠慮な質問を投げかける。
「…っ!そ、そんな…こと、を…聞くな…あっ!」顔を真っ赤にしたエリンシエが必死に堪える。
「えー、でもちゃんとエリンシエがイってくれないと次に進めないよー」とナノカが口をとがらせる。
凶変発動なのか、単にマニュアルに拘泥しているだけのかは微妙なところだ。
ともあれエリンシエが満足していないと見たナノカはさらに攻勢をかける。
素早くエリンシエを抱き上げ、ベッドの上に仰向けに押し倒すと、先ほどまでの責めに加えてもう片方の胸に舌を這わせ始めた。
「ひあっ!?や、だめ、ナノカ、ダメぇ!」
拒絶の声を無視するように、仰向けになってなお重力に逆らう形の良い乳房を舌で舐めあげ、乳首を舌先で弾く。
胸に当てられた手は乳房の上で円を描きながら半径を縮めて中心へ迫り、硬く凝る桜色の乳首を軽く転がしては、焦らすようにまた乳房をくすぐった。
「やぁ、ダメ、イク、イッちゃう!」
「イキたいの?いいよエリンシエ、見せて、イクところ見せて?」残った理性にとどめを刺すようにナノカが耳元で囁く。
その声に反応してか、エリンシエは雷に打たれたように背をのけぞらせる。
「や、あ、ぃやああぁぁ―――っっっ!!」
全身を震わせながら、エリンシエは絶頂に達した。十秒近く身体を硬直させて痙攣を続け、そのあとスイッチが切れたように弛緩する。
ナノカはぐったりと倒れ込んだエリンシエの秘裂をゆっくりと擦り続け、エリンシエの余韻を長引かせる。
「ぁ…いや…いやぁ…」休むことのない責めに朦朧となったエリンシエがうわごとのようにつぶやいた。
一方、幼い身体を快感に震わせるエリンシエの痴態に嗜虐心をそそられたナノカは放心しているエリンシエを抱え起こして座らせ、その顔にペニスを寄せる。
「さ、今度はエリンシエの番だよ?」頬を撫でながらエリンシエに呼びかけると、ぼんやりした表情のエリンシエが目の前のモノを見つめた。
「あ…ナノカの…」すでに快楽に酔わされているエリンシエは、かつて自分が純潔を捧げたモノに頬ずりすると、躊躇いもなく口づけする。
「んっ…」センサーを通じて伝わる唇の感触にナノカの腰が震えた。
エリンシエはナノカのペニスに舌を這わせ、口に含むと苦しげに涙を浮かべながらも必死に根本までくわえ込もうとする。と同時に刺激のない身体がもどかしいのか、無意識のうちに太股をこすりあわせた。
それを見たエリンシエの髪をナノカが手で梳き、さらに猫をあやすように喉元をさすると、性感帯を刺激されたようにエリンシエの身体がびくりと震えた。
倒錯した行為になけなしの理性も溶かされ、エリンシエはただ一心にナノカのペニスをしゃぶり続けた。
かつて一国を統治した女王が自分の前で跪き、喉を突かれる感覚に涙ぐみながらも一心に奉仕を続けている。
その光景に倒錯した興奮を呼び起こされ、ナノカの性感はすぐに上り詰めた。
「で、出るよっ、飲んでっ!」エリンシエの顔を両手で挟みながらナノカが腰を震わせる。
同時にエリンシエの口内に白濁液が吐き出された。
「〜〜〜〜っ!?」頭を押さえられているエリンシエはなすすべもなく白濁液を注ぎ込まれる。
「あっ、あっ、ああっ…」エリンシエの頭をしっかり押さえたまま、ナノカが腰を震わせるたびに二度、三度と精が放たれる。
口の端から零れるほどに注ぎ込まれた後、やっと頭を解放されるとエリンシエはけほけほと咳き込んだ。
「ううっ、酷いではないか、何をする…うわ、なんだか口の中が苦くなってきたぞ!?」
「あ、それはアルギニンのせいだと思うよ多分」
「そーいうことを聞いているのではない!だいたい前の時もそうだったが何故口に!」
「いやー、だって参考書によると最初はこーするらしいし」
「え゛ぇ?し、しかしこのようなことをしても何もならぬではないか」
「いやいや、でもすっごい気持ち良かったので私的にはオッケーです!」
難関を乗り越えたアスリートが栄養ドリンクの蓋を開けるときのような無駄に爽やかな笑顔で、ナノカが身勝手な回答を返す。
「あ、それともやっぱり膣内に出される方がいい?」
「ち、膣っ…い、いや、だからそーいう問題では無くてだな」
「それではエリンシエの同意も得たところで当初の予定通り第三段階へ移行とゆーことで」
エリンシエの逡巡を大変都合良く解釈したナノカは素早くエリンシエを押し倒し、逆さ向きにのしかかった。
「ちょ、ま、何を…ひあっ!」動転のあまり抵抗も忘れたエリンシエの秘裂をナノカが指でそっと開く。
「あ、ちょっと濡れてる。さっきから触ってないのに、エリンシエやーらしーんだー」
「やだ、ナノカ、馬鹿、見るなぁ!」
はかない抵抗を楽しむようにナノカの舌はぴったりと閉じたエリンシエの陰唇を執拗にねぶり、舌先を差し入れ、内側を舐め上げる。
「ふあ…あぁ、ダメ、そんな、ダメぇ…」
「ほーらエリンシエ、自分ばっかり気持ち良くなってないでこっちもしてくれなきゃ」
ペニスを目の前に突きつけられたエリンシエ。快楽という責め苦から逃れる術がそこにあるかのように必死にむしゃぶりついた。
「んっ…上手だよエリンシエ、先端も舐めてみて…」
絶え間なく与えられ続ける快感に半ば朦朧としたまま、必死にエリンシエはナノカの命令に従う。
その刺激に昂ぶったナノカが舌を突き出して奥の方に差し入れようとすると、途中で何かに阻まれた。
「あれ?」首をかしげながらエリンシエの膣口をそっと拡げ、「んん?」中を覗いて少し考えこむ。
「…ど、どうしたのだ、ナノカ?」下半身からの刺激が無くなったエリンシエが不安そうに、そしていくぶん不満そうに見遣る。
「処女膜が元に戻ってる」「え?」
「ほら」指でくにくにと押す。
「い、痛っ!…え、ええ!?なぜ??」軽く混乱するエリンシエ。
「多分ね、エリンシエとえっちしたのは一晩だけだったから、その後で損傷が治っちゃったんだよ」
「えぇ!?…と言うことは、もう一度あの痛みを味わわねばならぬのか?」
「うーん、まあ最初よりは若干マシだと思うけど」と無責任な返答をしつつナノカは未発達な陰唇を舐め上げる。
「ひっ!」不意打ち気味に再開された責めにエリンシエが悲鳴を上げた。
「ほらエリンシエ、口がお留守になってるよ?」
ナノカがからかうが、上り詰める寸前のエリンシエには届いていない。
「ああ、ダメ、ナノカ、ダメ、ダメぇ!」
「駄目なの?じゃあ、やめたげる」とナノカが舌の動きを止める。
「イヤ、イヤぁ…お願い、ナノカ、いじわるしないで…」絶頂寸前でお預けを食ったエリンシエが泣き声で懇願する。
「じゃあ、どうしてほしいのか言って?」意地悪くナノカが追い詰める。
「…ッ、い、イかせて…ナノカの舌でイかせてぇ!」理性のヒューズが飛んだエリンシエが本心を叫んだ。
「よくできました〜、それじゃあごほーび♪」言うなりナノカは包皮を指で押しのけ、痛々しいほど充血している幼いクリトリスを舌で舐め上げた。
「ひやぁっ!」その刺激にエリンシエの忍耐力は一瞬で崩壊する。
僅かに残った理性で声を抑えようと下唇をかみしめながら、
「あっ、んっ、んくうぅ〜〜っ!」エリンシエは二度目の絶頂を迎えた。
「な、ナノカ…できるだけ痛くないように頼む…」仰向けに寝かされ、大きく脚を開かされたエリンシエがすがるようにナノカを見つめる。
「うん、ゆっくりすると痛いのが長引くと思うし、最初は一気に入れちゃうから」
「え?それでほんとに」「えいっ」
エリンシエに逡巡する暇を与えず、ナノカが一気に腰を進める。
治りかけの処女膜は再びあっけなく突き破られ、エリンシエの幼膣は奥まで蹂躙された。
「かはっ」エリンシエの喉から咳のような音が漏れ、仰け反った上半身がベッドの上に豊かな金髪を振り撒く。
わずかな間を置いて、エリンシエの目にみるみる涙が溢れた。
「い、痛い、痛いよぉ、ナノカの嘘つきぃ!」ぽろぽろと涙の粒を零しながら、力無くナノカの腕や胸をたたく。
ナノカはペニスを突き入れたまま動きを止め、泣きじゃくるエリンシエをぎゅっと抱きしめた。
はぁはぁと浅い息をつくエリンシエの唇を奪い、舌で口内をゆっくりと愛撫する。
エリンシエの身体の強張りが解けるのをしばらく待って、ゆっくりと口を離した。
「もう一回エリンシエの初めてをもらっちゃったね?」耳元で囁く。
「あっ…」『最愛の女(ひと)の子を産む』あまりに現実離れしたエリンシエの夢。
だが今下半身に感じる疼痛は現実で、これから自分はナノカの精を膣で受け止めるのだ。
その事実を再確認したエリンシエは内から湧き出す痛みとは違う感覚に身体を震わせた。
「もう、大丈夫?」エリンシエの頭をそっと撫でながら、ナノカが囁きかけた。
耳元で囁されるたびにエリンシエは下腹部の痛みが消えていくような感覚に襲われる。
それどころか、エリンシエの身体は膣内を埋めたまま動かないペニスにもどかしさすら感じ、両胸の先端は刺激を求めて硬く尖っていた。
「お願い、ナノカ、動いて…」エリンシエが応じる。震える手を伸ばし、ナノカの頬に添えた。
「うん、じゃあ最初はそっとするから」ナノカがゆっくりと腰を前後させる。
「うあぁっ!!」エリンシエが痛みとも快感ともつかない声を上げる。
目を開くと涙でぼやけた視界の中に、自分の上に覆い被さって陶然とするナノカの姿が見えた。
自分の膣をナノカのモノが擦りあげている。ナノカが自分の膣で感じている。
最愛の人に抱かれているという実感が幼い身体に性感を与え、破瓜の痛みを覆い隠していく。
抜き差しされるペニスに血が付着していることだけが、エリンシエの破瓜を証明していた。
ナノカの首に両腕を巻き付け、しがみつくような姿勢のまま揺さぶられるエリンシエ。
「うあっ、あっ、ああん!」乳首がナノカの胸に当たって転がされる。
我知らず腰を動かし始めたエリンシエが健気にナノカのペニスを締め付ける。
「うあ、す、すごい、エリンシエの中、気持ちいい…っ!」幼膣の激しい締め付けと、耳元で快感にあえぐ少女の泣き声に揺さぶられ、急激にナノカも昂ぶっていった。
ナノカのが欲しい。
ナノカを中で感じたい。
ナノカに膣内射精されたい。
いつの間にかエリンシエは両脚もナノカに巻き付けていた。
ナノカのモノを少しでも奥に受け入れようとするかのように脚に力を込める。
「出して、ナノカぁ、なか、中に出してぇ!」はしたない言葉を躊躇いなく叫ぶ。
ともすれば今にも果てそうな状態で必死に堪えていたナノカも、涙ぐみながら求めてくる健気な少女の姿に忍耐の堰が切れた。
「か、可愛いよっ、エリンシエ…っ!!」
しがみつくエリンシエを抱き上げると正座した自分の両脚に跨らせる。重力に従って深く挿入されたペニスがエリンシエの子宮口を突く。
「うあ、い、イっちゃう!」その姿勢のまま、ナノカが腰を震わせた。
ナノカのペニスから精液が迸り、エリンシエの膣奥を叩く。
「ナノカ、ナノカ、ナノカぁ――――――っ!」奥に注がれる熱いものを感じた瞬間、最愛の人の名を叫びながらエリンシエも絶頂に達した。
精液を浴びた膣が激しく収縮し、全て搾り取ろうとするかのように締め付ける。その刺激で更に精が吐き出され、膣奥を満たしていく。
「「あっ、あっ、あっ…」」絶頂を共有し、抱き合ったままさらに昂ぶっていく二人の声が重なった。
繋がったまま息を整え、奥に突き入れていたものをそっと抜き出すと
「あっ…」エリンシエが名残惜しげに呻く。
同時に、精液と破瓜の血が混じった桜色の液体が痛々しく拡げられた膣口から溢れた。
発明工房自慢の24時間風呂でべたべたに汚れた身体を洗う。
予感めいたものを感じたエリンシエは一人で入ろうとしたが、「まーまー、いつものことじゃない」と押し切られ、結局二人で入らざるを得なかった。
大きくもない湯船に二人なので、ナノカに背を向け両脚の間にすっぽり納まった恰好でエリンシエも湯に浸かる。
目を閉じ、湯に疲れを溶かしていると不意に抱きかかえられるような感触。
自分の胸元に目を向けると、両胸をしっかりと後ろから掴むナノカの両腕が見えた。
「おお、この滑らかな肌触りとフレッシュな弾力…いやー、まさに芸術だね」
ナノカはオヤジ臭い台詞を吐きながら胸を揉みしだく。
「やっ、ナノカ…何を…んぅっ!」お湯の熱で敏感になった胸を責められ、エリンシエが悶える。
「ね、エリンシエ…せっかくだからここでしてみない?」
「な、何がせっかくなのだ!」「だってホラ、据え膳食わぬは男の恥って言葉もあることですし」
「誰が据え膳だ…にゃあっ!やめ…ふあっ!」治まっていた性感がナノカの手でまた目覚めさせられる。
そもそも風呂に押し入ってきたナノカがペニスバンドを着けっぱなしだった時点で気付くべきだった、エリンシエは薄れゆく理性で己の迂闊さを呪った。
「それにね、たくさんしたほうが赤ちゃんができる確率も上がると思うよ?」耳の先を舌でくすぐりながらナノカが囁く。
「赤ちゃん…ナノカの…」身体と心の両面から攻め込むナノカの手管に、エリンシエはたやすく籠絡されていった。
両脚を開かせ、背後から膝裏に手を差し込んでエリンシエを持ち上げたナノカがゆっくりとその身体を下ろしてゆく。
エリンシエは言われるがままにペニスに手を添えて自らの秘裂にあてがい、自分の膣内に挿入されていく光景を蕩けたような表情で見つめていた。
愛液とお湯を潤滑剤に、エリンシエには少し大きすぎるペニスが飲み込まれていく。
「あ…ああ…ナノカ、ナノカぁ…」口を大きく開け、身体をわななかせるエリンシエ。
ナノカはその顔を振り向かせて唇を奪う。
たっぷりとエリンシエの口内を犯した後、ナノカはゆるゆると腰を動かし始めた。
浮力の助けを得たエリンシエの軽い身体は、ナノカが腰を突き上げるだけでゆっくりと上下を繰り返す。
背後から胸を揉みしだいていた両手は人差し指で乳首をくるくると転がし、残りの指は乳房を愛撫し続けた。
精密工作機械のようなナノカの手は、的確かつ緻密な動きでエリンシエの性感を高めていく。
「…ナノカ…ナノカぁ…」胸をなぶる指と、奥を突き上げる剛直の感覚に酔いしれ、次第に意識が混濁し始めたエリンシエは夢うつつで揺さぶられ続けた。
「エリンシエ、前を見てごらん?」ナノカの声に意識を引き戻されたエリンシエが言われるままに前を見る。
そこにはM字型に脚を開き、背後から突き出されたペニスに無毛の縦筋を押し開かれ、幼い身体をまさぐられながら悦楽の表情を浮かべた自分の姿が鏡に映っていた。
「…あぁ、いや、見ないで、ナノカ、見ないでぇ!」イヤイヤをするように力無く首を振るが、エリンシエの膣はその言葉を否定するように一層強くナノカを締め付ける。
その反応を楽しむように、右胸を責めていたナノカの手が下へと伸び、結合部の上にある包皮を開くとクリトリスを転がす。
「イヤぁ、許して、許して!」限界を超えた快楽にエリンシエは我を忘れ、お仕置きされる子供のような泣き声を上げた。
すると突然、ナノカの責めが和らいだ。細やかな指使いとゆったりした腰の動きにエリンシエは酔いしれ、暖かで柔らかな性感に溺れていく。
するとナノカがそっとエリンシエの耳元で囁いた。
「エリンシエ、気持ちいい?」「うん…」
「じゃあちゃんと言ってごらん?」「気持ちいい…きもちいいの…」
「どこが気持ちいいの?」「…おっぱい…」
「それだけ?もっと気持ちいいトコあるでしょ?」ペニスに大きく拡げられた秘裂を指で撫で上げる。
「ふあぁっ!…ごめんなさい…おま○こ…おま○こきもちいいの…」
夢と現実の間をたゆたうエリンシエはナノカに促されるままに卑猥な言葉を口にした。
肉欲の虜へ堕ちていくエリンシエを、ナノカはさらに辱める。
「おま○このどこが気持ちいいの?」「いりぐちと…うえのところ…」
「ここ?ここはクリトリスって言うんだよ?」「ふやぁっ!…く、くりとりす…」
「おっぱいは?」「…さきっぽが…せつないの…」
「どうしてほしい?」「…おっぱいと…おま○こ…いっしょにいじめてほしいの…」
「いい子だねエリンシエ、それじゃごほうびをあげる」再びナノカの責めが激しさを増した。
前触れ無く再開した乳首やクリトリスへの執拗な責めと激しいピストン運動。
理性どころか意識すら飛びかけたエリンシエは、ナノカに嬲られるまま絶え絶えに喘ぐ。
「あっ、あっ、あっ」エリンシエの口は言葉を忘れ、ただ喘ぎ泣く声だけを紡いだ。
「可愛いよ、エリンシエ…」ナノカが囁くたび、エリンシエの膣内はナノカの精を求めるように強く締め付ける。
絶頂へと上り詰めていく二人の動きは激しさを増し、風呂の湯が浴室中にまき散らされる。
暴れる脚が排水栓を引っかけ、風呂の湯はほとんど抜けていたが二人とも気にも留めない。
エリンシエは両手をバスタブの縁にかけ、浮力を失った身体を自ら上下させていた。
動きの激しさにペニスが抜けてしまうと、エリンシエはもどかしげに自ら秘裂を指で開き、ペニスに手を添えると愛おしげに挿入する。
もうナノカにもエリンシエを嬲る余裕はない。ただ背後から抱きしめながら動きを同調させる。
そして求めるよう振り返ったエリンシエにナノカが口づけた瞬間。
「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
お互いの唇をむさぼりあいながら、二人は声も無く同時に絶頂に達した。
ナノカのペニスから再度精液が吐き出され、エリンシエの膣内を白濁液で埋めていく。
膣内を満たされる快感にエリンシエが身をよじり、その拍子にペニスが抜けた。
「やぁ、やだっ…」エリンシエの両手が抜けたペニスを求めてさまよう。
なおもナノカが身体を震わせるたびペニスは射精を続け、その手を白く汚した。
「あ…ナノカの…」エリンシエはべっとりと付いた精液を愛おしげに見ると、絶頂に震える指を口に含んだ。
荒い息を整え、湯の抜け落ちた寒さにようやく気付いたナノカがシャワーの栓を開く。
エリンシエを持ち上げて向きを変え、向かい合わせに座らせると胸や顔まで飛び散っていた白濁液を洗い流してやる。
その間、エリンシエは焦点の合わない目でナノカを見つめながら、されるがままになっていた。
くすりと悪戯っぽい笑みを浮かべたナノカが耳元に口を寄せ、とどめの一言を囁きかける。
「赤ちゃんできるまで、いっぱいセックスしようね?」
「うん、する…なのかと、せっくす、するぅ…」うわごとのように鸚鵡返しするエリンシエ。
性交の疲労と湯あたりに襲われたのか、そのまま気を失った。
エリンシエが意識を取り戻したのは小一時間経った後のことだった。
ベッドに寝かされたエリンシエが目を開くと、先ほどまでのサディストぶりが嘘のように優しく髪を撫でるナノカの姿が映る。
「…ナノカ?」「あ、急に起きちゃダメだよ、少し顔色が悪いよ?」
「そうか…気を失っていたのだな…それにしても風呂の中でナノカにいたずらされた辺りから記憶が断片的なのだが…湯船の中で抱かれたことはうっすらと覚えているのだが」
「ええ〜!?忘れちゃったの!?」「うむ…なんだその目は。また何か余に破廉恥なことを強いていたのではあるまいな」
「イエイエナンデモアリマセンヨ?…ちぇ、つまーんなーいのー」
さっきまで自分の仕打ちによがり泣いていた少女の痴態を名残惜しく思い出し、ナノカは口をとがらせた。
「しかし、それにしてもEテクノロジーとはまさに神秘の力であるな、余がナノカの妻になれる日が来ようとは…」
夢見るような遠い目をしたエリンシエが呟く。
「でもエリンシエって成長早いんだねー、私なんかまだ始まらないから、こないだなんてスツーカが、徹夜ばっかりしとるから成長が遅くなるんだ〜、なんて言って病院に連れてかれそうになったのに」
「ん?何の話だ?」エリンシエが怪訝そうに尋ねる。
「いや、初潮まだなんだよ私」
「しょちょう?なんだそれは」「え?…いや、だから、月経が始まって排卵ができるようになる現象というか」
「ふむ、そういうものなのか。で、月経とはなんだ?」エリンシエがまったく自然に質問を重ねる。
「…あの、エリンシエさん?」ナノカの心にむくむくと不安がわき起こり、おもわず居住まいを正してエリンシエに問いかける。
「む?何だナノカ改まって」「ちょっとお聞きしますが、今までに性器から出血したことは?」
「な、何を言わすのだ、ナノカに抱かれたときが初めてに決まっているではないか…」
赤らめた頬を手で覆ったエリンシエが、完全に見当外れな答えを返した。
「…え、え゛え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!??」
「実験失敗」の書き割りを(心象的に)背負ったナノカの絶叫が響き渡った。
数日後、また中庭に3人集まっての昼食後。まるで午後の天気でも聞くような気軽さでナノカが口を開いた。
「ネネちゃんってさ、もう初潮きた?」
「ぶ――――――――――っ!」
ネネの口から吹き出されたダージリンの霧の中に、見事な虹が架かった。
「あ、虹」「おお、見事であるな」のんきな2名が捻りのない感想を述べる。
「ななななななナノカさん!!??いきなり何を!!??」
「ほら、初潮がくれば赤ちゃん産めるようになるでしょ?」
「いえですからそう言うことではなく…というか初潮が来ればすぐ産めるようになるわけでもないですし…」
「そなの?で、ずばりネネちゃんはどーお?」
「あ…いえ、その、わたくしまだ12歳ですし、来てないからといって遅すぎると言うことはないと思うのですが…」首まで真っ赤に染まったネネがごにょごにょと口を濁す。
「まだなの?ちぇ、ざーんねん」ナノカがあからさまに落胆の表情を浮かべる。
(が―――――ん!)さっぱり話の流れは分からないが、ともかくナノカの期待に背いてしまったことに気付いたネネはこの世の終わりのような表情でよろめいた。
「そっかー、実験に協力してもらえないかと思ったんだけど無理かー」
ショックのあまり、ナノカの口から禁断のパラダイス行き乗車券が発行されていたことにネネは気付かなかった。
「で、でも!ナノカさんのためでしたらわたくしなんとしてでも初…そ、その、えーと、大人の女性になってみせます!」
「いやいーよ、ちょっと聞いてみただけだから」あっさりと引き下がられ、ネネは話の真意も知らないまま肩を落とした。
向かい風に乗って舞い戻った紅茶の霧を浴びて髪がしおれたネネは、雨に濡れた捨て犬のように見えた。
(終)