神の愛娘であるサクラは、その呼び名の通り人々から愛されていた。  
今は亡き母と父は彼女を存分に愛し慈しんでいたし、普段妹を揶揄する兄とて、  
可愛さゆえのちょっかいであり当然彼女を心の底から愛していた。  
妹と幼い頃から共にいた少年との仲をありとあらゆる手で妨害を目論む程には。  
それで妹が気を害することがあったとしても、それは兄の知るところではない。  
そんなわけでクロウ国の愛されし姫君であるサクラは、家族と町の人々から愛し守られ、  
大事に大事に育てられた。  
そんな回りの甲斐があってか、素直で明るく、そして純粋に育ったサクラ姫が、  
その問いの答えを知らずとしても、まぁそんな不思議なことではないのだろう。  
が。  
「ファイさん…あの、聞きたいことがあるんです…」  
サクラはその成長期特有の丸みの帯びた頬をほんのり赤く染めながら、  
上目で見つめながら聞いてみせた。  
「赤ちゃんて、どうやってできるんですか?」  
ファイは笑顔で押し黙った。  
妙に躊躇いがちに聞きたいことがあるのだと言うサクラに、ファイは  
優しく微笑んで先を促してみせたのだが、早まったか。  
黒鋼ならなんと答えただろうか。  
(知らなかったりしてー。なんて、まさかねぇ。はは…)  
サクラは答えを待ってじっとその翡翠の瞳を真っ直ぐファイに注ぐ。  
ファイの一人部屋をサクラが先ほど一人で尋ねてきたので、今彼らは二人きりである。  
黒鋼と小狼は自室に篭っているだろう。黒鋼は一人酒でも勤しんでいるだろうか。  
(モコナはもう寝てるかな?)  
「…ファイさん?」  
無意識に軽い逃避に走っていたファイは、呼びかけに「あぁ、うん」とサクラを改めて見返した。  
一人部屋のシングルベッドの上にちょこんと座っているサクラ。  
答えを期待する彼女の目は、どこまでも純粋にきらきらと澄んでいた。  
加えて隣り合わせで座る成人男性一人。時は夜分。  
ふむ、とファイは頷いてみせた。  
「…知りたい?」  
 
こくりとサクラは頷いた。  
それにファイはにっこりとお兄さん然とした面持ちで微笑む。すっ、  
と既に近い距離がさらに近くに詰め寄られたが、サクラは回答を待つばかりで、  
それを気にする様子は見せなかった。  
「まず、愛し合う男女が二人揃わなきゃいけない。それは、なんとなく分かるね?」  
サクラが赤みがかった頬をさらに赤く染め、こくこくと頷く。  
ファイがにこりとさらに笑みを深める。  
「愛し合う男女が愛し合う為にする行為があるんだけど、それをすると赤ちゃんが  
できるんだ。どうするか分かる?」  
今度は首が横に振られた。  
ファイは優しげに眦を細め、どこまでも安心するような笑みを浮かべる。  
ぎしり、と僅かに音を立てて、サクラの横に左手をついた。  
体を寄せて顔を相手のに近づければ、さすがのサクラも戸惑いの色をその表情に乗せた。  
「ファ、ファイさん…?」  
吐息を感じられる程に近づけられた互いの容貌。呼びかけに、ファイはうんと  
微笑みながら頷いた。  
「教えてあげるよ」  
右手がそっと柔らかな頬を包む。それがすっと下へ、顔から首筋へ、首筋から胸元へと  
滑っていく。胸へと到達した時点で、ようやくサクラが声をあげた。  
「えっ!ファ、ファイさん…!?」  
右手は小ぶりながらも確かにそこにある膨らみを優しく撫でた。僅かに揉むように  
押されれば、サクラの戸惑いは増すばかりだ。  
「ファイさ…!」  
「大丈夫。教えてあげるだけだから。知りたいでしょ?どうやって赤ちゃんができるか」  
耳元で囁かれたどこまでも甘く低い声に、混乱するサクラは火照った顔を  
こくこくと縦に振って頷いてしまう。  
あわふためくサクラの様子に、ファイは純粋に可愛いなぁ、と思う。  
可愛いなぁ苛めたいなぁ。  
思うままに、胸を彷徨っていた手が腹部を撫で、さらに下へと降りていく。  
「あっ!」  
「ここを使うんだよ」  
撫で上げられた下肢に、サクラは堪らず声をあげた。寝間着の上から  
指で押されて、サクラはびくりと震える。  
「っや、やっ、ファイさんっ!」  
「赤ちゃんをつくるには、ここを使うんだ」  
「やっ、ぁっ、う、そぉ…っ!」  
ほんとだよ。そう言って、中指でぐりぐりと秘部を布の上から押し上げた。  
「やぁぁぁっ…!」  
 

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