「???」
背中を這う手の温もりを感じてサクラは目を開け手の主を探した。
「……ファイさん??」
「ん? 起こしちゃった?」
ファイはいつものヘラヘラした笑顔のままサクラの顔を覗き込み、
しかしそれでも手の動きを止めようとはしない。
「えっと、あ、あの…この手は……?」
背中から腰をゆったりと行き来する手の意味するところを掴めず、サクラは困惑した。
「あ、これ? サクラちゃん最近疲れてるみたいだからね。
マッサージしてあげようと思って」
「ほぇ? ……マッサージ?」
「うん。俺の国のマッサージなんだけどね、すごい効くよー。
効きすぎて全身の力が抜けちゃうかも」
「そんなにすごいの、いいんですか? ありがとうございます」
寝ている人間に突然マッサージをするなんて誰であっても怪しい。
けれど余程疲れが溜まっているのか、それとも単に世間知らずなのか……。
ともかくサクラは疑問を抱いた様子もなく素直に礼を言い再び目を瞑った。
「どういたしまして。あ、ちょっと下だけ脱いでくれるかな?
生地と擦れて肌を傷つけちゃうと困るから」
何でもないことのようにサラッと言うと、サクラは素直に従う。
(…やっぱり世間知らずの方か)
異世界とはいえ一国の姫らしい純粋さを考えると、
有り得ないような世間知らずも妙に納得できる。
薄暗がりの中、月明かりに照らされたサクラの透き通るような肌が浮かんだ。
「最初はちょっとくすぐったいかもしれないけど我慢してね」
飄々と言いながらも背中からヒップにかけて、柔らかなその体を味わうかのように色っぽく撫であげる。
サクラは気持ち良さそうな表情を浮かべ、大人しくされるがままになっていた。
慎重に様子を伺いながらもファイは徐々にその動きを広げていく。
ヒップから太もも、そして内ももへ。
直接触れた肌は驚くほど滑らかで、しっとりと掌に吸い付いてくる。
きめ細やかなその肌をやわやわと揉みさすりながら手応えを待った。
指先で内もものラインを触れるか触れないかの微妙なタッチでなぞると、ふとサクラが小さく反応する。
「っん…」
先ほどまでの心地よさとは違う、今まで味わったことのない不思議な感覚に
サクラは目を瞑ったまま小さく息を吐いた。
ファイは逸る気持ちを抑え、サクラの反応が確かなものになるまで
辛抱強く何度も指を往復させる。
掌全体を使って、無駄な肉のついていないスラッとした腿をほぐすように揉みしだく。
張りのあるその感触や素肌の滑らかさを堪能しながらも、注意深くタイミングを探った。
次第にサクラの呼吸が荒くなっていく。
すべすべとした素肌から伝わる温もりも熱を帯びてきたようだ。
(……もう平気かな?)
ファイは内ももからヒップにかけてのギリギリの位置から少しずつ手を動かし、
サクラの秘部へと指先を這わせた。
「ひゃあ!?」
思いもよらない場所を触れられて、流石にサクラは声をあげた。
「っそ、そんなところも、マッサー…っん、するんですか……?」
あくまでもマッサージだと信じて疑っていないようである。
「うん、俺のいた世界のマッサージの仕方だからね。
サクラちゃんの国ではしないんだね」
指先での侵入を止めずにニコッと微笑みながら言うファイに、
サクラは途切れ途切れながらも言葉を続ける。
「ふぁ……あ、あの、なんか、恥ずかっ…ぁ…」
行為の意味は分からなくとも、恥ずかしいことだとは本能的に感じるらしい。
羞恥の為だろうか、月明かりでも分かるほど顔を赤らめている。
「大丈夫、恥ずかしくないよ。嫌?」
「……っいやじゃ…なぃ、です…」
下着の上から包むように手を動かしながら尋ねると、サクラは意外にも素直に答えた。
「よかった。もっとしてあげる、仰向けになって?」
コクンと小さな子供のように頷くとサクラは体を捻り体勢を変えた。
再び脚の間に手を伸ばす。やりとりの最中も触れ続けていたせいか、
下着の上からも分かるくらいに湿り気を帯びている。
「擦れちゃうと可哀想だからこっちも脱ごうね」
下着に手をかけると、サクラは潤んだ瞳を向けながら腰を浮かせファイの作業を手伝った。
(知らないってすごいなぁ…)
サクラのあまりの素直さに半ば感心しながらもファイは行為を続ける。
「んっ…」
下着が取り払われ、ひんやりとした空気を直接そこに感じサクラは小さく体を捩った。
ファイの目の前に現れたサクラの秘部はわずかに毛が生えてはいるものの、
まだ少女のみずみずしい幼さが残っている。
そっと腕を伸ばすと、まだ誰も触れたことがないであろう花園を優しく撫であげた。
「……あっ」
下着の上からとは全く違う、甘く痺れるような感覚にサクラは声を漏らす。
「ふゎ、ぁ……んっ」
普段は自分でも触れることのない場所への刺激にサクラの声は止まらない。
ファイの指は休むことなく動き続け、徐々にその扉を開いていく。
――クチュ――
完全に開かれた扉から現れた泉は十分と言っていいほど濡れそぼっていた。
「ぅん……あっ…」
くすぐったいような、むずがゆいような気持ちよさは
いつしかはっきりとした快感へと変わっていた。
静かな部屋に水音に合わせるかのようにサクラの喘ぎ声が甘く響く。
しばらく泉で遊んでいた指が、ちょこんと顔を出している蕾を不意に掠めた。
「っ!…あぁ!!」
電気が走ったような急激な快感がサクラの身体を襲う。
鋭い感覚に戸惑い、快感をやり過ごそうと逃げるようにサクラの腰が動いた。
ファイは指先の動きを緩めることもせず、容赦なく蕾をさすり続けている。
「ぁっ……やっ、…っん!」
下から上へ。上から下へ。
泉で濡れた指はなめらかに一定の動きだけを繰り返した。
安定した変わらない刺激は、ともすれば不規則な動きを凌駕する快感をもたらす。
ファイは指の腹を使って、押し当てる強さのみを変えながら器用に蕾を擦りあげていく。
「…っふぁ、あぁ…やっ……あっ」
指が行き来する度にじわじわと、だが確実に高まっていく快感。
声の間隔は狭まり、瞳はキュッと閉じられ、拳は耐えるかのようにシーツを握り締めている。
そのどれもがサクラの限界がすぐそこであることをファイに教えていた。
「もうちょっとだね…」
ファイは誰に言うでもなく呟くと、指の動きを少しずつ速めた。
――クチュクチュ…――
「あっ!? …だめっ、なにっ? はぁ、ぁ……こゎい!」
急速に高まり押し寄せてくる波を怖れサクラは大きく身体を捩った。
「大丈夫、怖くないよ」
ファイは今までの一定の動きに加え、あいてる手を添え指先で蕾を摘みあげる。
堅く主張するそれは泉から溢れた蜜でヌルヌルと滑り、
不規則な刺激がサクラを追いつめる。
「あっ…ゃあ…なんっ…き、ちゃっ……」
摘んだ指で根元を刺激しながら、滑らせていた指に力を込める。
逃げ場を失った蕾をグリグリと押し潰した瞬間。
「っや………あああぁぁ!!!」
ギリギリまで高まっていた快感の波が砕け、サクラの全身を取り込んだ。
サクラの身体はしなやかな弧を描き、数秒の後にシーツに崩れ落ちた。
気を失ったサクラをそのまま放っておくわけにもいかず、
ファイは丁寧にサクラの身体を拭い風邪をひかないようにと毛布をかけた。
下着と服も着せようかと考えたが、気持ちよさそうな寝顔を見ると
起こすのも悪い気がしたのでやめておいた。
(ま、起きたら自分で着るでしょ)
ファイは朝になって慌てふためくサクラを想像して小さく微笑み、部屋をあとにした。
《おわり》