コンコン  
しーん  
「?」  
コンコンコン  
しーん  
「?」  
コンコンコンコン  
しーん  
「小狼いないのかなぁ…」  
時間帯は夕方  
玖楼国の姫君、さくらは遺跡から帰ってきてるだろう小狼に会いに来たのだ  
しかし返事が無い  
「開けちゃうよー?」  
ガチャ  
「あっ」  
「スー、スー、スー、」  
小狼は眠っていた  
「そっか…疲れてるんだね  
毎日大変だもんね…」  
さくらは眠っている小狼の頭を撫でるように手を添えた  
小狼が眠っているので帰ろうかなと思ったさくらだったがせっかく来たのに何もしないで帰るのももったいないと思い  
「ご飯作ってあげよっかなぁ?」  
作り終わる頃には起きるだろう、とさくらは思った  
が、ある事に気付いた  
「えへへー小狼、寝顔かわいいなぁ」  
思わず顔がにやけた  
「よく寝てるみたいだし…  
ちょっといたずらしちゃお♪」  
 
そう言うとさくらはある物を探し始めた  
「マジックどこかなー?」  
そう、さくらの思いついたいたずらというのは小狼の寝顔に落書きすることだ  
「う〜ん、無いなー?」ガサガサ  
「ここかなぁ?」ガッチャンガチャガチャ  
小狼なら多少部屋をちらかしても怒らない、と高をくくっているのか、さくらは部屋をどんどんちらかしていく  
「あれー?無いのかなぁ?」  
しかし、それでも見つからない  
「小狼、まだ寝てるよね?」  
小狼の方を向いてみる  
「スー、スー、スー、」  
まだ寝ている  
「よかった、まだ寝てるみたい」  
さくらは再び探し始める  
「スー、スー、スー…」  
ピクッ  
小狼は目覚めた  
しかし  
「……………………」  
目覚めたのはさくらの知らない小狼だった…  
 
「あった!」  
さくらはマジック(油性)を見つけた  
「さ〜て何書こっかなぁ?」  
小狼の元へ行くさくら  
「よ〜し」  
と、書こうとした瞬間  
ガシッ  
「え?」  
腕を掴まれるさくら  
「小狼起きてたの?  
え、え〜とね、これはね〜…」  
「………………」  
小狼は何も答えない  
「(どうしよ〜小狼怒ってるのかなぁ?  
部屋もちらかしちゃったし…)」  
さくらが困っていたそのとき  
グイッ  
「きゃっ!」  
 
ベットに引き込まれるさくら  
「小狼?」  
恐る恐る小狼の顔を覗いてみる  
ゾク‥  
小狼の顔を見たさくらは背筋が凍りつく  
「!?(何?あの目  
なんか氷みたいに冷たい目してる  
小狼そうとう怒ってるみたい…  
でも…  
小狼、部屋ちらかしたくらいであんな怖い目して怒るかなぁ?)」  
いつもの小狼ならこのくらいのこと、ちょっと微笑んで許してくれるはず  
しかし今日の小狼は何か様子がおかしい  
さくらは小狼の様子がおかしい理由を自分なりに考え、一つの結論を出す  
「(ひょっとして小狼って…)」  
が、  
「(寝起き…機嫌悪い?)」  
出した結論は正解とは掛け離れていた  
「(きっとそうかも…  
どうしよぉ、ぶったりしないよね…)」  
そんなことを考えていると小狼は起き上がりさくらの上に乗りベットに押し付けるような体勢をとる  
身動きのとれないさくらはぶたれるのではないかという恐怖で泣きそうになってきた  
「あ、あのね小狼!  
部屋散らかしたこと本当にごめんね!  
だからあの、あの…」  
それでも小狼の表情に変化はない  
さくらの目には涙が溜まる一方  
「あの…だから、だから許し…」  
小狼の手が動く  
「(ぶたれる!)」  
と思ったさくらは目をつぶる  
目から涙が零れる  
しかし…  
 
小狼は予想外の行動にでる  
ぐいっ  
「?」  
ビリリ、ビリィ  
「えっ!?なに?」  
目を開けて見ると上半身が下着だけになっていた  
「あの…小狼?」  
何故こんなことをしたのかと尋ねようとすると小狼は下着をどかしさくらの胸を揉み始める  
形を確かめるようにゆっくり、ゆっくりと  
ピクン  
「あっ…しゃ、小狼やめ…」  
「…………………………無いな(ボソッ)」  
「なんか聞こえた#」  
そう言うとさくらは頬を膨らませ顔はそっぽを向く  
小狼は小声だったがさくらの耳にはしっかり届いていた  
だが小狼の行動にさくらは素直に反応せざるを選なかった  
「ふ…あん!んあ、あっ…やめ、ぁあん」  
しばらく揉むと小狼は手を放した  
「はぁ、はぁ…」  
このときさくらは体の異変を感じていた  
「(アソコがなんか変…  
なんか湿ってる気がするけど…  
気のせい?)」  
その疑問は気のせいではないことを小狼の手によって後に知らされることになる  
小狼は下も破こうとさくらの服を掴む  
ぐいっ  
「あっ!だめぇ!」  
 
今度はさくらに阻まれる。  
「なんで破くの? 下まで破かれたらわたしお城に帰れなくなっちゃう…(それはそれでいいんだけど)  
まだ怒ってるの?」  
「………」  
小狼は答えない。  
「う〜…  
わかった、自分で脱ぐから許して  
ね?」  
そう言うとさくらはいそいそと脱ぎ始めた。  
 
 
「これでいい…?」  
さくらは下着一枚だけになりベットの上に座っている。 羞恥心からか見られて恥ずかしい部分は両手で隠して。  
そんなさくらを小狼はじっと見つめている。  
「そんなに見ちゃいや…」  
顔を赤く染める。 自分からなった姿とはいえ、見られるのはやはり恥ずかしい。  
さくらが小狼から目を逸らしたそのとき小狼は動いた。  
「きゃっ!」  
さくらは再び小狼に押し倒されてしまった。 ついでに両手を退かされ隠していた胸も晒し出されてしまう。  
「(もういやぁ…)」  
と目を閉じた瞬間何かで口を塞がれる。  
「ふっ、んんっ!?」  
目を開けてみると目の前に小狼の顔があり、自分の唇には小狼の唇がある。  
 
「ちょっ、しゃおら…んんっ…」と言いたいのに口を塞がれている為うまく喋れない。  
そうこうしているうちに小狼の舌が侵入してくる。 絡み合う舌、混ざり合う唾液、そして口の中に響くいやらしい音。  
どれにしてもさくらにとって初めての経験。  
口が解放されると少しの間だけ二人の唇を繋ぐ糸のようなものが見えた。  
濡れた唇を手で拭う小狼。  
一方のさくらは  
「(しゃ、小狼とキスしちゃったよぉ…)」  
と、頬を赤く染め頭をぽわんとさせながら喜びに浸っている。 無理矢理とはいえ愛しい者との口付けなら嫌な気はしないのだろうか。 心なしか小狼への恐怖心が薄れていた  
そんなとき…  
くちゃ‥  
びくんとさくらの体が今日一番の反応を見せる。 「ひゃあ!何するの!?小狼」  
胸から離れた小狼は今度はさくらの秘部を下着の上から触る。  
くちゃ‥くちゅ‥  
さくらの感じていた異変は気のせいではなかった。 下着の上からとはいえよく濡れているのがわかる。 純粋な女の子でもこれほどエッチな気分にされては自然と濡れてしまうものなのだろう。  
「やっ…あぁ…やめてぇ…そんなとこぉ…」  
嫌がるさくらに構わず小狼は最後の下着さえもするりと脱がす。 ついにさくらは全裸にされてしまった。  
 
さくらを全裸にしたところで小狼はさくらの後ろに回り指を二本、さくらの中に挿れる。  
ずぷっ‥  
「やぁ…! 小狼…あ、あぁ…」  
さくらの足を無理矢理開かせより奥を刺激する。  
くちゅくちゅ‥  
指が動きさくらの中を掻き回す。 触れたことも触れられたこともない場所への刺激、そしてその刺激によって感じる快感。 決して声には出さなかったがさくらはしっかり感じていた。  
「やっ…ひゃあぁ…(何…これ…気持ちいい…)」  
よほど感度がいいのか、掻き回されればされるほど液が溢れてくる。  
「ああっ!」  
体がビクッと跳ねると同時にさくらはイッてしまった。  
それを見計らって小狼はさくらの中から指を抜く。  
「は…ぁはぁ…」  
指を抜くと小狼はくったりとしているさくらをベットに寝かしズボンを脱ぎ始める。 さくらは「はぁ…はぁ‥」と呼吸を整えるのがやっとで気付いていない。  
脱ぎ終えると小狼はさくらの体を起こす。  
「ふぇっ…小狼?」  
まだぼんやりしている頭のまま体を起こされたさくらだったが目の前に突き出された小狼のモノを見て驚き  
「!?」  
そして一気に顔が紅潮する。  
 
「ちょっ、小狼…そんなの見せないで…」  
さくらは顔を真っ赤にさせながら目を逸らし拒むがそれでもなお突き出してくる。  
それを何度か繰り返したときさくらは  
なぜソレを自分の顔の前に出してくるのか? と  
今日自分がされてきたことを考えたとき小狼が次に何をしてくるかに気付いた。  
「……それは…いや…」  
と言い目を逸らす。  
が、小狼はさくらの顎を掴み口を開かせると無理矢理自分のモノを口にねじ込んできた。  
「あうっ! いや…んっ…」  
出そうと試みるが小狼に押さえつけられてるため、出すことができない。  
観念したさくらは渋々小狼のソレを先端から舐め始める。  
ペロ‥  
「うっ…」  
さくらに舐められて顔を歪めながらピクンと反応を見せる小狼。  
今日始めて見せた弱気な表情に  
「(…ちょっとかわいいかも)」  
と思いながら本格的に舐め始める。  
ちゅっ‥くちゅ  
「んんっ…んくっ…」  
でも慣れていないためさすがに息苦しい。  
 
それでも小狼のモノを大きくするには充分で  
「(段々大きくなってぐ…?)」  
と、さくらは口の中にあるモノの異変に気付いた。  
 
もういいよね…  
そう思って小狼のモノを再び口から出そうとする。  
しかし小狼はさくらの頭を掴み口から離すことを許さない。 さらには腰を前後に揺すりだした。  
「んぐっ…ん、んっ…」  
さくらはうめき声をあげた。 ただでさえ息苦しかったところに小狼の動きまで加わり苦しさは増すばかりだ。  
そして小狼の動きが止まったとき  
 
どぷ‥  
 
さくらの口の中にそれは放出された。  
「ぷ…ひゃっ…!」  
喉元に放出された異物に驚きさくらは口の中から小狼のモノを出す。 口の中に出しきれなかったものがさくらの顔に放出される。  
「うっ…けほっ、けほっ」  
喉元に放出された為にさくらはむせ、口からぽたぽたと小狼の精液が垂れてくる。  
「(なぁに…? この白いの…変な味)」  
自分の顔、身体に付着し、そして口から零れ落ちる初めて見る液体に興味を示す。  
 
小狼はそんなさくらの足を引っ張り、不意をつかれたさくらはベットに倒れ込む。  
「!?」  
と思ったときにはすでに遅く、さくらはまたベットに背を着けていた。  
「お願い…もう、やめて…」  
さくらは目に涙を浮かべながら懇願するがそれも虚しく小狼の指が再びさくらの中に入っていく。  
「やぁん…」  
くちゅ‥くちゅ‥  
二、三回掻き回すと小狼は片方の手はさくらの秘部を広げ、もう片方の手で自分のモノをさくらの中に挿れようとする。  
「いや…ソレで何するの…?」  
ぐちゃ‥  
という音と共にさくらの中にソレは入ってゆく。 それと同時にさくらを激痛が襲う。  
「あっ! 痛い! やめ…抜いて!」  
余りの痛みにさくらは涙を流しながら叫ぶ。 さくらの中からは血が出てくるが小狼は構わずさらに奥へと挿入していく。 入りきったところでゆっくりと腰を動かし始める。  
ぐちゃ、くちゅ‥  
といやらしい水音が部屋に響く。  
「はっ、やだぁ…あっ…! はぁ…痛いよぉ…」  
さくらは気付いていない。 抵抗するために力を入れているため、小狼のモノを締め付け、より快感を与えていることに…。  
小狼は腰の動きを加速させ容赦なくさくらの中を攻め、奥を突く。  
ぐちゃ、くちゅくちゅ  
「はう…はぁ、あっ」  
 
どくん‥! どくどくっ  
「あああ!」  
小狼が中に出すと同時にさくらは絶頂を迎えた。  
小狼が自身を引き抜くとさくらの中から二人の液が混ざった濃いものが溢れてくる。 さくらはベットの上で力無く横たわり、そして泣いている。  
「…くすん…ぐす…小狼のバカ…ぐすっ」  
そんなさくらにおかまいなく小狼はさくらの尻に触れる。 さくらの尻はさくらの秘部から溢れ出した液で濡れている。 小狼は指でその液を肛門の周辺、そして肛門へと塗っていく。  
と、次の瞬間  
すぶ‥  
「ひゃっ!」  
肛門に小狼の指が入ってきた。  
くちゃ、くちと水音を起てながら小狼の指はさくらの肛門を攻める。 そしてさくらが仰向けのままだと弄りにくいのか、さくらの体を反転させ仰向けから俯せに変える。  
「あうぅ…はあ…はぁ…」  
さくらは力が入らずただ声をあげるだけ。 さくらはもちろんこちらの穴にも触れたことなどない。 ましてや指が入るなどもってのほか。  
ずぽ‥とようやく解放されるが小狼は今度は自身を肛門に当ててくる。 さくらにはもう次のことはわかっている。  
「いや…やめて…そんなとこまで…」  
力の入らない中涙声で抵抗するが小狼には届かなかった。  
ずぷっ‥  
「ああああっ!」  
 
液でならしたとはいえ、さくらを激痛が襲う。 小狼はこちらも同じように全てが入るまで挿入していき、入りきったところでゆっくりと腰を動かし始める。  
「はっ…! やだ…動かないで…あっ!…はぁ」  
激痛に表情を歪ませながらかすかな声で抵抗するも効果なく、それどころかさくらの秘部には指を挿入してきた。  
ちゃぷ‥くちゅ‥  
「あっ! そんな…はぁ…せめて…どっちかに…」  
前からは先程の行為によって混ざりあった二人の液が大量に溢れてくる。 そして後ろからは響いてくる卑猥な音。  
ぐちゅ、ぐちゅ  
「はぁ…はぁ…」  
前から後ろから攻められさくら、そして小狼も再び絶頂を迎えようとしていた。  
 
――なんでだろ…  
アソコに入れられたときもそうだったけど…  
すごい痛いのに…  
 
「はぁ…あぁっ…」  
 
痛いのと同じくらい…  
 
「あぁっ…! あぅっ」  
 
気持ちいい…  
 
どぷっ、ぐぴゅっ! どくどく‥  
「ふぁ…はああああ!」  
さくらの腸内に放出すると小狼は自身を肛門から引抜いた。 さくらの前と後ろから白い液体が溢れてくる。  
「あ…あはぁっ…」  
 
 
さくらはそのまま意識を手放した。  
 
 
 
「……」  
意識を手放したさくらを見た小狼は何かが抜けたかのようにベットに崩れ落ちた。  
 
 
ゴーン リーンゴーン  
城の鐘の音、小狼はそれに反応して目を覚ました。  
「ん……」  
もうそんな時間か…と寝返りをうつ。  
すると目の前で何やら寝息が聞こえてくる。  
「(ん…誰かいるのか?)」  
目を開けてみると目の前にさくらの顔があった。  
「うわっ!」  
小狼は飛び起き、その拍子にベッドから落ちてしまった。  
「痛…なぜ姫がここに…?」  
ひとまずさくらを起こそうと立ち上がる。  
「まさか…また城を抜け出して来たの…か?」  
ベットの上のさくらの姿を見ておもわず固まった。  
「ひっ、姫! なんで裸!?」  
しかも仰向け…  
小狼は目を逸らし、その顔はみるみるうちに赤くなった。 とにかくこのままじゃ起こせない…体だけでも隠せる物はないか、と辺りを見回す。 すると自分の足元のズボンに気付く。  
「これは…ズボン?」  
 
おれのか!?  
 
さくらのことで頭がいっぱいだったせいなのか自分が下半身裸であることに今更気付く。  
「なんでおれまで裸…」と言いつつ顔を赤くしながらズボンを履く。  
 
「とりあえずはこれで…」  
 
さくらには近くに落ちてた自分のマントを被せた。 小狼の方が背丈が大きいのでさくらの体を隠すには充分だ。  
ようやくさくらを起こすことにする。 だが  
「これは…血?」  
シーツに血のようなシミを見つける。  
「まさか姫の? どこか怪我してるのか…?」  
はっ、と振り向くと部屋が散らかっている。  
「まさか泥棒が入って、それで姫を…」  
不安が頭をよぎるが怪我をしてるなら尚更早く起こさなければ、と再びさくらを起こすことにする。  
「姫、起きて下さい! 姫!」  
「ん……」  
「姫!」  
 
わたし……どうしたんだっけ…?  
小狼にエッチなことされて…でも、それがすごく気持ちよくて…それで…  
 
「姫!」  
 
寝ちゃったの…?  
 
「姫!」  
心配そうな顔をしている小狼を見て、さくらは手を伸ばし小狼の頬に触れ  
「敬語…ヤだって言った」  
と毎度のセリフを言った。 いつもの元気は無いが小狼はそれを聞いて少し安心した。  
「姫…」  
しかしその発言に反応してさくらは膨れっ面になり、触れていた手には力が入り小狼の頬を抓る。  
「さくらって呼んでって言った#」  
「あ いや、ごめん。 痛いよさくら…」  
「さくら」と呼ばれるとさくらは微笑み、小狼から手を放してあげた。  
小狼から手を放したさくらはあることに気付く。  
 
「小狼、ズボン履いちゃったの?」  
小狼は頬を撫でながら  
「うん…」  
 
やっぱ見られたんだ…  
 
「……ねぇ小狼」  
「なんだ?」  
「あの あのね…」  
次の瞬間、さくらの口から出たのは予想外の言葉。  
「さっきの続き…もっとやろぅ…」  
「え?」  
そう言うとさくらは顔を赤くさせながら顔の半分をマントで隠してしまった。  
「あの…さっきの続きって…?」  
「アソコ? それともお尻?」  
と言いながら起きあがる。  
「お尻って…一体何の話だ?」  
「覚えてないの?」  
「えっ と…」  
さくらはきょとんとした表情でこちらを見ている。 そんな顔で見られても心辺りの無いものに応えることなどできず、小狼はただ謝るしかなかった。  
「ごめん…」  
 
「……小狼」  
「なん…」  
返事すると同時に小狼はさくらの両手に顔を挟まれた。  
「あの…」  
「(…違う。さっきまでと目が全然違う。 さっきは氷みたいに冷たい目してたのに…  
今はいつもの優しい目…)」  
「さくら…あの」  
「(じゃあさっきと違う小狼なの? だから覚えてないの?)」  
「さくら?」  
はっ、と我に返る。  
「ごめんなさい! 痛いよね!」  
ぱっ、と小狼の顔から手を放す。  
「いや、そうじゃなくて…その………  
服…着てくれ」  
 
ふと自分の体に目を向けるといつのまにかマントがずり落ち、裸をさらけ出していた。  
「きゃ! ごめんなさい!」  
さくらは慌ててマントで体を隠し、小狼はさくらに背を向けてベッドから降りた。  
「小狼…服取って。 そこにたたんであるから」  
「あ、ああ…」  
後ろを向きながらさくらに服を手渡す。  
「あと下着…その辺にない?」  
「下着は一緒にないのか?」  
「う…、自分で捜す…。小狼、目閉じてて」  
「うん…」  
小狼は両手で目を隠し、さくらはベッドから降りて下着を捜した。  
 
「あった…」  
一つは本棚のところに、もう一つはテーブルの下に投げ捨てられていた。  
 
さくらはベッドの上に戻るとすぐに着始めた。  
下着を着けて、下まで履くと後ろを向いた。 そこには両手で目を隠し、丸まっている小狼がいた。  
それを見て、安心したような残念な気持ちになる。  
 
…やっぱいつもの小狼だ  
 
「う〜…恥ずかしいけど頑張って言ったのに…寝なきゃよかった…」  
「え?」  
 
口に出ちゃった…  
 
「ううん、なんでもない。」  
 
上も着ようと思うのだが、破けている。 なので着るだけ着てマントで隠し、ごまかすことにした。  
「もう、こっち向いていいよ」  
小狼と顔をあわせた。  
 
「これ、小狼が被せてくれたの?」  
 
「うん…その格好じゃ恥ずかしいと思って」  
「(小狼が脱がしたんだけどな…)」  
ぁぅ…と困った顔をする。 小狼はそんなさくらにいくつか質問をした。  
「さくら、どこか怪我してないか?」  
「? どうして?」  
「いや、シーツに血がついてるから」  
「ん〜…わかんない…けど……アソコから出たのかな…すごく痛かったから」  
「え? どこから?」  
「だから…あの…  
もうっ! 恥ずかしいからあんまり言わせないで!」  
顔を赤くさせて怒るさくら。  
「? ごめん…じゃあどこか変なとこは?」  
「変なとこ?」  
少し考えてからさくらは答えた。  
「う〜ん……お腹が変…あとお尻が痛い…」  
「お尻…」  
小狼はまた顔が赤くなった。  
 
大丈夫そうだ…。  
ここで一番気になっていることを聞いてみることにした。  
 
「じゃあ…何があったんだ? 部屋は散らかってるし、さくらは…裸だったし…」  
「え、えとね…」  
 
「(困ってる…)」  
「(どうしよぅ…ほんとのこと言った方がいいかな…)」  
「誰かに襲われた…とか…?」  
「それは…」  
答えようとしたときさくらはあることに気付いた。  
「小狼今何時!?」  
「何時…あ、城の鐘もう鳴った…」  
「もう帰らなくちゃ! 兄様来ちゃう!」  
「送ってく…「いいの! 小狼疲れてるみたいだし、じゃあね!!」  
 
「じゃあ…」  
小狼のを自分のマントに代えて、ぶんぶん手を振り回し、さくらは去って行った。  
逃げられた気がするが、小狼はとりあえず部屋の片付けから始めることにした。  
 
 
帰宅後さくらの部屋  
着替えを終えてさくらはベットに飛び込んだ。 兄にこってりしぼられたが、今日あったことを思い出すと自然と顔がにやけてきた。  
「小狼にキスされちゃった」  
嬉しそうに顔を赤くしながら枕に顔を埋める。  
「また今日みたいに小狼とキスして、それから…」  
 
 
―――今度は痛くしないでねって頼もう  
 
 
―終―  
 
 

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