「…ぅぅん……」
桜都国の中の小さなカフェの奥で黒鋼は目を覚ました。体がだるい。そして、頭がぼぅっとする。水でも飲もうと、黒鋼は体を起こした。
ハラリ…
着慣れたはずの着物が黒鋼の肩から落ちた。黒鋼は着物の襟をなおそうと手を伸ばし、そのとき、自分にはあってはならないものに気付いた。
…胸がある。どう見ても男のそれではない。
「ぁ、黒たん、起きた〜??」
いつの間に現れたのか。部屋の入口にはいつものようににっこり微笑んだファイが立っていた。
「おはよう黒たん、女の子になった気分はどぅ??」
「お前がやったのか!?」
黒鋼が吠える。
「ぅん♪黒りん絶対かわいくなると思って〜」
ファイはその抗議をへにゃんとかわし、黒鋼の体をまじまじと見つめた。
「ねぇ…黒たん、誘ってる??」
「じ、冗談じゃねぇ!」
しかしその時の黒鋼は、まだ肩を露出したままで、更に体がいつもより一回り小さいので、着物は着崩れており胸は谷間まで見えている状態だった。その状態に気付き、黒鋼は思わず顔を赤らめ前を隠す。
「黒りん、可愛い〜♪」
そういうとファイはガチャリと部屋の鍵をかけ、黒鋼のベッドに近付いていった。
そして黒鋼の目の前に腰掛け、うつ向いた黒鋼の顎を持ち上げ目を合わせて言った。
「もっと可愛い黒たんがみたいな…」
ファイは黒鋼の両手を片手で拘束すると、黒鋼の唇を奪い、ゆっくりと押し倒していった。