今夜の月は明るい。  
丸々と肥えた満月の光は、開け放たれた窓を通してその部屋に射し込んでいる。  
 
 
日本国・白鷺城の一室。  
 
月が懸命に照らしても、その少女には届かない。  
目隠しをされ、暗闇の中で少女は耐えていた。  
漆黒の布地の外側が、朝なのか夜なのかも分からない。  
しかしそんなことは その少女の主である姫には関係の無いことだ。  
この行為は、夜が明けようがが昼になろうが、黒鋼の精神が折れるまで続くのだ。  
 
 
半刻ほど前に投与された媚薬は、確実に少女の精神を蝕んでいた。  
目隠しに猿轡、四肢は拘束されて、  
自分で慰めることも、ねだることもできない。  
気が狂いそうな熱。音と触覚だけの世界では、嫌が応でもその熱に意識が集中してしまう。  
膣が収縮を繰り返し、そのたびに蜜が滲んだ。  
 
「ん゛ーーー!ん゛ーー!!」  
 
呻きは主に向けて発せられたものであるが、姫はそ知らぬふりで無視を続けている。  
紅潮した肌と荒くなる吐息は、少女の限界が近いことを示していた。  
 
抗い難い官能はその健康的な身体の中を暴れ回り、遂に限界を迎えた。  
もじもじと内股を擦り合わせていた少女が、そのうちうつ伏せになり、畳に腰を擦りつけだしたのだ。  
 
主はコロコロと笑い出す。  
 
「まぁ!堪え性の無い。  
ここまで淫らな女子は初めて見ましたわよ、黒鋼?」  
姫が近寄りながら声をかけると、少女は理不尽な羞恥に歯を食い縛った。  
悔しがる顔が見たくなり、目隠しと轡を外してやった。  
 
腫れた目は涙で潤み、頬は真っ赤に紅潮している。  
溢れるままに垂れ流された唾液は轡と顎をぐっしょりと濡らしており、その姿は酷く官能的だった。  
 
姫はうつ伏せの少女の背に人差し指を添えると、背骨にそってツー…と滑らせた。  
 
「ーーーッ!」  
 
ビクンッ、と反る背中。一つに結んである黒髪が揺れる。  
追い込まれた少女の身体は、そんな些細な刺激でさえ激しい反応を見せた。  
 
 
「イかせ……知世……」  
 
朦朧とする意識に視点が定まらない。主のいる方向に顔を向けながら、少女は懸命に懇願した。  
 
 
「酷い顔ですわね。いいですよ。膝を立てなさい」  
 
 
ようやくこの苦しみから解放されることに安堵しながら、黒鋼は主の命令に従った。  
 
 
…手は後ろ手に縛られているので、必然的に肩と頭で身体を支えることになる。  
その様子を見て、姫はまた笑い出した。  
 
「まるで土下座しているようですわよ!  
そのまま、もう一度おねだりしてみなさいな。」  
 
少女の顔がまた歪んだ。  
彼女の中に僅かに残っていた理性が、涙となって畳に零れた。  
 
「…イかせて……」  
 
 
「それが人に頼む態度ですか?頭を擦りつけて、」  
 
 
「イかせて、ください…お願い…します……」  
 
 
鼻をすすりながら、黒鋼はやっと言い切った。  
姫が動いた気配がして顔を上げると、黒鋼の前に足が差し出されていた。  
 
「舐めなさい」  
 
あまりに酷い要求に、黒鋼は目を見開いて主の顔を仰ぎ見るが、彼女の顔は変わらず微笑んだままだった。  
 
 
黒鋼の奉仕は、足袋の止め金を外すことから始まった。  
まるで獣のように口で足袋を引っ張り 外す。  
もう何も考えないようにしながから、カプ と親指を甘噛みした。  
 
「まるで犬みたいですわよ、黒鋼」  
 
指の間に舌を這わせれば、くすぐったそうに脚が震える。  
 
この体勢からだとチラと垣間見える主の股に、黒鋼は背徳的な興奮を感じていた。  
 
隅々まで舐め終わり、口を離せば唾液の糸。  
仰向けになりなさい、という声に従うと、主は唾液で湿った足先を秘部に押し当ててきた。  
 
「あっ、ああーーっ!!」  
 
膣の上の粒を、親指で押し潰される。  
グリ、とこねくり回すと、少女の身体が仰け反る。  
細かい振動を与えてやれば、我慢を強いられていた身体は呆気なく果てた。  
 
「あ、や、あぁーーーー!!!  
 
 
ーーーッ、は、…」  
 
 
 
数秒の硬直のあと、弛緩した黒鋼に、知世はさらに追い討ちをかけた。  
足首を持ち、かかとで秘部を強く刺激したのだ。  
 
 
「あぁぁあーーーッ!!ひ、やぁぁあああーーッ!!」  
 
イッたばかりの身体に、強烈な快感が襲いかかる。  
痛みとも似た感覚が、脳天を突き刺した。  
 
「ああーーーッ!!ああぁーーーーッ!!」  
 
「城下の子供らがよくこうやって遊んでますわね?」  
 
いくらわめこうが、暴れようが、知世はいっさい止める気配が無い。  
この拷問に、黒鋼は拒絶の言葉も口にできずただ叫ぶばかりだった。  
 
 
 
 
 
…何分たっただろうか。  
ついに黒鋼が失神してしまい、反応を示さなくなった。  
それを醒めた目で一瞥すると、知世は自分の身だしなみだけを整え、隣の間に控えていた女中に声をかける。  
 
「あれを片付けて下さる?」  
 
優雅な手つきで障子が閉められると、そこには少女一人だけが残された。  
 
END  
 
 

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