『箱の中身』
「ねぇ〜。お母さん、私の下着知らない?」
ドキリとした。 姉ちゃんにとっては何気ない言葉。でも俺は罪悪感でいっぱい。
キッチンで洗いものをしている母親に向かって後ろから小声で話しかけている姉ちゃん。
「どういうヤツなの」
「ほら、あのブラとお揃いので最近買ったばっかのヤツ。 色がブルーでレースがいっぱいの」
「ああ、あれ? 何、無いの?」
「うん。 私のタンスの中に無いの。 あれ、お気に入りだし高かったから無くなると困るのよ〜」
「いやあねぇ。 ちゃんと部屋の中よく探してみた? どっかに仕舞い忘れたままなんじゃないの?」
「うーん、そんなハズないんだけどなぁ」
「もう一回自分の部屋、よく探してみなさいよ」
「はーい」
どれだけ探しても出てこないよ。
だってあれは箱の中に入ってるんだもん。
俺の宝箱。 大切なものでいっぱい。
両親にも姉ちゃんにも絶対に見られたくないモノがいっぱい。
家族旅行に行ったとき、姉ちゃんと一緒に海で拾ったキレイな貝殻やガラスの欠片。
友達に頼み込んで貰った、姉ちゃんに似た感じのグラビアアイドルの裸が数ページ載っている雑誌。
姉ちゃんのエッチな写真。
そして。 最近入ったもの。 姉ちゃんの下着。
この間風呂に入ろうと洗面所に行ったとき、ふと洗濯機の横の脱衣カゴを見ると、かわいい下着がいろ
んな洗物の間からのぞいていた。
いつもは俺や父さんに見られないように気を使って別にしているけど、今日はうっかり普通の脱衣カゴ
に入れてしまったようだ。
ダメだと思いつつ、でも手がそれをカゴから引っ張りだすのを止められなかった。
そして誰にも見つからないように小さく丸めて手に隠して、部屋に持って帰ってしまった。
使用済み……。 ドキドキした。 匂いをかいでみると、甘酸っぱい、なんともいえない良い匂いがした。
姉ちゃんの匂い。
思わず反応してしまったアレが苦しくて、ジーンズのベルトを引っ張って外す。
ファスナーを開け、窮屈にしていたアレを取り出すと、それはすっかり立ち上がっていた。
「姉ちゃん……姉ちゃん……」
自身をおもいっきり擦る。
「姉ちゃん……好きだよ……姉ちゃん……姉ちゃん……ううっ!あっ……はぁ……っ!」
もう何回も数え切れないほど、姉ちゃんをおかずにしてる。
部活を終えて家に帰ってくると、リビングのテーブルに置手紙があった。
今夜は両親が共に出かけて遅くなるとのこと。
先に帰宅していた姉ちゃんは、俺が帰ってくると「お腹空いた?なんかつくろっか」
と姉らしい事を言っている。
「姉ちゃんが作るとろくなもんくえないから、俺が作る」
「何よ〜かわいくないな。 まあいっか、ラクだし。じゃあ、お願い」
俺は手早くチーズオムレツを作る。 皿の上にご飯とオムレツ、暖めた缶詰のデミグラスソースをそれに
かけて。あとはサラダを添えて、いわゆるワンプレートのカフェメシ風にしてみる。
「うわー!おいしそう。 あんた本当に上手だよね〜」
「姉ちゃんがいつまでたってもヘタだから弟がうまくなるしかないだろ」
食べてる。 結構バレないもんだな。 天然で鈍感な姉ちゃん。ありがたいことに味覚も鈍い。
「ねえ……なんだか眠くなっちゃった。私、部屋で寝てくるね」
「うん」
オムライスの中に入れたクスリが効いてきたみたいだ。
学生の俺じゃ、マンガや小説みたいに睡眠薬なんておいそれとは手に入らない。
だから風邪薬の錠剤を潰して粉のして、オムライスに混ぜて食べさせた。
姉ちゃん、あの風邪薬を飲むと必ず寝ちゃうんだよね。 そういう体質みたい、そういって姉ちゃんは
よほどの事がない限り、その風邪薬を飲まないようにしていた。
よっぽど風邪が辛いときには飲んでいたが、そうするとそのままぐっすりと眠ってしまって何をしても
起きない。 叩いてもつねっても。
俺達は小さい頃から一緒に育ったからこそ、こんなことも知ってるんだぜ。
いくら幼馴染でも智也兄ちゃんは知らないだろ。
自分の部屋を出て姉ちゃんの部屋のドアをそっと開けてみる。
姉ちゃんはベッドの上でスウスウと寝息を立てて眠っていた。
寝相が悪い姉ちゃんは、いつも布団を蹴飛ばして寝ている。
パジャマのボタンをそっと外していく。 寝るときはブラはしていない。
ぷるんと白い柔らかそうな胸がサラサラした綿のパジャマからこぼれる。
一緒にお風呂に入ってたときは、平らだったそこは、今ではすっかりたわわに実っていた。
いつのまにか、一緒に入れなくなったお風呂。
いつのまにか、別にされてしまった部屋。
どうして離されるのか、子供の頃には理解できなかった。 いつも一緒に居たいのに。
でも最近は解る。 その意味。
一緒の部屋に居るだけで、空気を吸うのも苦しいほど、緊張する。
好きで、好きで。 ちょっとでも気を緩めたら、襲い掛かってしまうのではないか。
ムリヤリ姉ちゃんを引き裂いてしまうのではないか。
自分を止められないかもしれない。
そんな自分が恐かった。
もし、そんなことしたら姉ちゃんは絶対に許してくれない。 きっと俺のこの気持ちを気味悪がるだろう。
そして今よりももっと離れていってしまうはずだ。
だから絶対に悟らせないようにしてきた。
我慢するしかないと最初から諦めてた。
なのに智也兄ちゃんに……。
姉ちゃんが智也兄ちゃんと付き合うことになった。
許婚のあいつとは婚約を解消して別れたんだと。
この事を知った俺は頭を棍棒で殴られたようなショックを受けたよ。
今までずっと姉ちゃんが好きだった。
実の姉弟じゃない。 その秘密を知ってからはタダの好き、じゃなくて女として意識してた。
でも。 俺達は現実には姉弟。 それに小さいときから姉ちゃんには婚約者がいる、そう言われ続けていたから。
それは俺の中では絶対に壊せない強固な壁だった。 それが。
まさかこんなに簡単に解消できるものだとはこれっぽっちも思わなかった。
俺がバカな刷り込みに囚われていた横で、智也兄ちゃんが姉ちゃんをかっさらっていった。
なんだよそれ。 さらえるんだったら最初から言ってくれなきゃ。フェアじゃないよな。
姉ちゃんの身体。 もう誰かに触らせたのかな。
あの元許婚にも。智也兄ちゃんにも。
息が苦しくなってくる。
俺のものなのに。 俺だけのものなのに。
そっと両胸の上に手を置いてみる。
柔らかい。 初めて揉んだときはもうちょっと小さかった気がする。
あの時も姉ちゃんの胸はマシュマロみたいに柔らかかった。
ピンク色の可愛い頂きにそっと口を付けてみる。
ふんわりと甘いコロンの花のような香りがする。
暖かい。 舌で転がしてみると柔らかに弛緩していたそこがキュッと硬く尖るのが解る。
「……ん……」
姉ちゃんの声が俺の官能を刺激する。
部屋の明かりを付ける。 大丈夫。 これくらいでは全然目を覚まさない事は俺はよく知っている。
プロレスの技をかけても目を覚まさない事は過去に実験済み。
足を折り曲げて下のズボンも引っ張って脱がす。
明かりの下で、姉ちゃんは寝息を立てる。
深く呼吸をするたびに胸は息づいて上下し、無防備に晒されたぷるんとした乳首の朱に染まった様子までが欲情を煽る。
もっと見たい。 もっと姉ちゃんの恥ずかしいところ。
そして思う存分、舐めて、噛んで、味わいたい。この腕におもいっきり掻き抱きたい。
胸の周りから首筋に唇を這わせていく。
姉ちゃんの肌は白くて柔らかすぎて、ちょっと強く吸うと簡単に痕が残っちゃうから、あまり強くはできないけどね。
そんなことを知らない頃、うっかり胸に痕を付けて冷や汗をかいたことがあったっけ。
喉もとを甘噛みしながらついに柔らかな唇にたどり着く。
そうっと押し付けるようにキスをする。
「……う…ん……」
肌の熱が少し上がった気がする。
姉ちゃん、どんな夢見てるの?
先輩にされてる夢? それとも智也兄ちゃんにされてる夢? 本当は俺にされてるのに。
思いっきり揺さぶって姉ちゃんを起こしたい欲求にかられる。 俺が犯ってるんだって叫びたい
でもそんなことはもちろんできないから、ちょっと強めに乳首を捻っていじわるする。
「……あ……」
吐息が口から漏れる瞬間、うっすらと口が開く。 それを見逃さず、舌を入れて絡ませる。
姉ちゃんの甘い唾液と舌とを貪欲に貪る。
興奮しすぎて息が苦しい。 ハァハァと部屋中に響く、荒い自分の鼻息をどこか醒めた自分が聞いている。
こんなことをしているのに姉ちゃんは、いつもと同じようにスウスウと安らかな寝息だ。
起きてる時に犯ったら、姉ちゃんはどんな風に喘ぐんだろう。
もっと……もっとして……って言わせたい。 もうダメ、許して……って喘がせたい。
流石に最後までやったらバレちゃうと思うからそこまではしてない。
それにやっぱり最後は姉ちゃんの起きてるときにしたいってのもある。
気持ちいいだろうな〜。姉ちゃんの中。
今はあの暖かい場所を想像しながら、下着の上から俺自身を擦り付けるくらいしかできない。
その部分に目をやると、姉ちゃん、下着が食い込んでる。 足を持って広げると、ちょっとムレたメスの匂いがする。
指でそっと突くと、フニフニと柔らかく指先が沈んでいく。 なんて柔らかいんだろう。
「姉ちゃん……キレイだよ……。姉ちゃん……気持ちいいよ。姉ちゃん。」
自身に絡めた指が先走りに濡れてぬちゃぬちゃと音をあげ始める。
やばい。あっという間に射精感がこみ上げてくる。
そのまま自身を激しく摺りたてて、姉ちゃんのお腹の上にピシャッと欲望を吐き出す。
「はぁ!……う……ぅう……」
こめかみの鼓動が強く打つ。
「……く…っ……っ」
なんとか声を堪えて、体中を襲った快感がゆっくりと醒めていくのを待つ。
もう一度、俺に散々嘗め回されて赤く腫れてしまった唇に舌を這わせる。
「姉ちゃん、気持ちよかったよ……」
でも、眠っている姉ちゃんは何も答えてはくれなかった。
携帯をカメラモードにして俺の体液で汚れたままの姉ちゃんに向ける。
パシャ、パシャ。本物のカメラを模した電子音が静かな部屋に鳴り響く。
便利だよな。今は。 こんなのがない頃はただひたすら、網膜に焼き付けることしかできなかったのに。
今ではメモリにいっぱいになるまで姉ちゃんの肢体を残しておける。
パソコンを使えば印刷だってできちゃうんだからな。
また俺の宝物が増える。
智也兄ちゃんと付き合っている姉ちゃん。
でもさ。
あんなに先輩、好き好きって言ってたのはわずか数ヶ月前の事なんだぜ。
それが今は智也兄ちゃんにベッタリ。
てことはさ。
俺がもっと成長して智也兄ちゃんに負けないくらい大きくなって、姉ちゃん好みにかっこよくなったら、
俺にだってお鉢が回ってくる可能性があるってことだろ? 姉ちゃん流されやすいから。
俺、今度は間違えないよ。
絶対にうまくやってみせる。
ピンに突き刺されたモンシロチョウの標本。
いつか俺の箱の中に本物の姉ちゃんを閉じ込めてみせるから。