「ヒビキ様、ちょっとよろしいですの?」  
「あぁ、いいよ。入って」  
 
ティエンが部屋の戸の向こうからヒビキに声を掛けてきた。ヒビキがそれを快く了承するとテ  
ィエンは、失礼します、と素早く引き戸を開けてそそくさと部屋に入り、開けた時と同様に素  
早く戸を閉める。それなのに物音は一切立てなかった。なかなか熟練した技だ。  
ヒビキの部屋に現れたティエンはいつもの服装ではなく、淡い緑を基調とした浴衣を身に纏っ  
ていた。風呂上りなのか少し上気した顔が色っぽい。少し異国風な外見にも浴衣はよく似合っ  
ていた。  
 
 
月も天頂に昇り人々がそろそろ寝静まったと思われる深夜。  
夏とは言え深夜の外気は冷たい。窓から流れてくる夜気がそう教えてくれる。  
せっかく暖まったティエンの身体が冷えないようにヒビキはさりげなく窓を閉める。  
なぜ、ティエンがこんな夜遅くにヒビキの元を訪ねたのか。  
ティエンがこの時間にヒビキの部屋を訪れる時、することは決まっていた。  
それは二人の間で交わされた暗黙の了解───  
 
 
ティエンはヒビキに差し出された座布団に座った。二人はちょうど向かい合う形で鎮座してい  
る。居心地悪そうなティエンはすぐそばに敷かれた布団にちらと目をやりヒビキの様子を窺う  
かのような声音で話しかける。  
 
「あ、あの……いつもの……をお願いしたいんですの」  
「いつもの?」  
「だ、ダメでしょうか?」  
「ダメじゃないよ。僕の方からもお願いしたいし。それにティエンと抱き合うのすごい好きだ  
からさ」  
 
ヒビキは何の照れもなく恥ずかしいセリフを笑顔でさらっと言う。  
一方、ティエンはヒビキが言ったセリフに赤面している。ヒビキから目を逸らして次の言葉を  
必死で探す。  
 
「そ、それは……真にありがとうございます」  
「いいえ、どういたしまして。……じゃ、そろそろ始めようか?」  
「は、はい。では……よろしくお願いいたします」  
「あのさ、ティエン。いつも思ってたけどいちいち改まらなくてもいいよ、もっと気楽にさ」  
「あ、つい。でも、それは私の性格上の問題ですので……」  
「普段がそうなんだから僕と二人でいる時くらいもっと肩の力抜いていいんだよ」  
「別に肩肘張っているわけでは───きゃっ」  
 
短い悲鳴。  
一瞬の内にティエンがヒビキの腕の中に収まる。  
 
「ま、そういうとこも含めて可愛いんだけどね」  
「あ、あまりからかわないでください……」  
「からかってなんかいないよ。僕は本気でティエンが可愛いと思ってるんだから」  
 
そう言ってヒビキはティエンの髪をかき上げ、おでこに軽くキスをする。  
洗ったばかりのティエンの髪からは甘い香りが漂って鼻腔をくすぐる。  
ティエンは耳まで赤面した顔をヒビキの胸にうずめる。  
 
「ヒビキ様から優しい言葉をかけられると、胸が……苦しくなってしまいます」  
 
ティエンはぷぅ、と頬を膨らませた。本人は照れ隠しで怒っているつもりなのだろうがその子  
供っぽい仕草には全然迫力がなく、むしろ可愛いさを増長させているだけだ。  
そのまま栗鼠のような顔で言う。  
 
「この胸の苦しみをどうしてくれるんですの?責任とってください」  
 
顔を上に向け、両目を瞑る。  
 
「次は……唇にください」  
 
ヒビキは何も言わなかった。  
そして二人の唇の距離がだんだん短くなっていく。  
10センチ、  
5センチ、  
1センチ、  
互いの唇の距離がゼロになる。舌が絡む。  
 
部屋の電気は消してあるため光源は窓から差し込む月の光だけだ。  
2ヶ月前、ティエンがヒビキに操を捧げた時から二人の関係は続いていた。普段忙しくて(主  
にティエンが)なかなか二人きりの時間が作れないのでどうしても会う時は深夜になってしま  
うのだ。それに二人の関係は仲間内にも内緒にしているので深夜にしか会えないというのはあ  
る意味では好都合だった……が数名を除いてもはやバレバレだった。ティエン本人もバレてい  
る事に気付いていない。  
 
 
「あっ、……は……んっ」  
 
ヒビキは自分の腕の中に居るティエンの胸の膨らみを優しく愛撫する。浴衣の隙間から手を入  
れて触れていたが、やがて浴衣が徐々にはだけてきて二つの乳房が外気に晒される。あまり大  
きくないが形がとても良い。白い肌と浴衣の淡い緑に挟まれたピンク色の乳首が妙に目に映え  
る。つんと上を向く乳首にそっと触れるとすぐに身体全体で反応が返ってくる。優しくつまん  
で指先で軽く弄うと可愛い声を上げた。舌先で軽く刺激すると身体をくねらせて抗議の声を上  
げる。しかし、本気の抵抗ではない事は分かっていた。舌先に触れる感触が硬度を増したから  
だ。  
 
ゆっくりとヒビキの指が下半身に向かって降りていく。  
指先でティエンの身体のラインを浴衣ごしになぞる。  
と、ヒビキはすぐ異変に気付いた。  
異変に気付いたのは下着があるはずの場所から柔らかい繊毛の感触が伝わったからだ。  
 
「ティエン、どうしていつものように下着を付けていないんだい?」  
「だ、だって浴衣ってそういうものですよね?」  
「上はともかく、普通下は付けておくと思うけど」  
「あ、いえ、それは知っていたんですの。でも……」  
「でも?」  
「は、早くヒビキ様に触れて欲しくて、し、下着も付けずに来てしまいましたの……」  
「……」  
 
「こ、こんなはしたない女は嫌いですか……?ヒビキ様だからこんな大胆になれるんですの」  
と赤面したティエンは言おうとしたがそれはヒビキの指によって遮られティエンの口から発せ  
られることは永遠に無かった。  
 
ヒビキはティエンの要望に行動で応えた。指を移動させ、足の間にある性器に触れる。  
指が入るだけの準備はとうに出来ていたらしい。さほど抵抗もなく指は膣穴に消えていく。  
熱い肉壁の圧力を指全体で感じながらゆっくり奥へと進める。  
 
「あっ、ん……んんっ!は、ああぁぁっん……んん!」  
 
軽く出し入れするだけですぐにぐしょぐしょになってしまった。  
侵入させた指は膣壁の歓迎に会い奥へ奥へと招かれる。帰ろうとすると引き止めるかのように  
入り口がキツく締まる。膣の中だけでは収納できなくなった愛液が膣口からトロトロと流れ出  
ていて止まる気配はない。ティエンの秘部はヒビキの指を食べる事で排泄物として愛液を出し  
ているようにも見えた。だが、指は前菜に過ぎない。メインディッシュを食べないことには満  
腹中枢は満たされないのだ。  
 
「気持ち良いかい、ティエン?」  
「は、はい……と、ても、気持ち良いで……あぁんっ」  
「すごいね。もう、僕の手がティエンでこんなに濡れちゃったよ」  
「それは、ヒビキ様の指がとても良いからですの……いつまでも触れていて欲しいです」  
「指だけでいいのかい?」  
 
少しの間、潤んだ瞳でヒビキを見つめる。  
 
「ヒビキ様……私、身体が切ないです。もう耐えられません。だ、抱いて欲しいんですの……  
強く、強く私を抱いてください」  
 
ヒビキはティエンを布団に仰向けにさせる。  
浴衣の帯を一気に取り去り、浴衣の前面をはだけさせる。  
まだ男の前で裸を晒すのには抵抗があるのか少しだけ恥ずかしそうにしたティエンが何だか愛  
しい。だが身体を隠すようなことはしない。  
 
「ティエン、足を持って自分で開いてごらん」  
「こ、こうですの?」  
 
ティエンは両足の太ももを持ち足を左右に広げて秘部をヒビキに見せやすいようにする。  
ティエンはまるで産婦人科の医者に性器を検診してもらうような体勢になっていた。一国の主  
のこんな姿を見たら部下や民衆は倒れるかもしれない。根が真面目なティエンは素直にヒビキ  
の指示に従っているだけなのだが。  
もう早くヒビキを受け入れたいティエンの秘部はだらしなくよだれを垂らしたままだったが、  
月光の下に照らされたティエンの秘部は神聖で不可侵な場所のような気がした。  
ヒビキはしばらくティエンの裸体に見入っていた。  
 
「ヒビキ様の要望でも、こ、これはとても恥ずかしいです……っ!」  
「とても綺麗だよ、ティエン。まるで女神様みたいだ」  
「も、もう手を離してもよろしいですか……?」  
 
ティエンがヒビキの方を見た時目に入ってきたのは、いつの間にか服を脱いだヒビキの股間─  
──太く、大きく、屹立している男性器だ。作り物のように立派なソレからティエンは目を逸  
らせなかった。  
ヒビキがティエンの足の間から覆いかぶさってくる。  
 
「僕もこんなティエンを見たらいつもより興奮しちゃったよ。僕も耐えられない……入れるよ、  
いいかい?」  
 
男根を露になった割れ目にゆっくりと挿入する。  
 
「あ、あぁぁ…………んっ、んん」  
 
そして肉壁を掻き分け、陰茎を根元まで全て沈める。  
常人よりも大きいヒビキの性器は当初のティエンにとっては悩みの種だったのだが今ではすっ  
かりこの大きさに慣れていた。むしろこのくらいの大きさでなければダメなくらいだ。  
 
「どう、痛くない?大丈夫?」  
「はい……大丈夫です」  
「じゃあ動くよ」  
 
全て挿入した陰茎をゆっくり動かして出し入れする。  
ティエンの腕がヒビキの身体に回される。  
ヒビキの動きが早くなり、硬い陰茎でティエンの中を掻き回す。  
ティエンの声が自然と大きくなる。  
 
「んっ、んっ、はぁっ!……ひゃあああうんっっ!!」  
 
さほど広くないヒビキの部屋はティエンの嬌声と性器が擦れあう卑猥な音で満ちていた。  
 
しばらく抱き合ったまま行為に耽っていたが、ふとヒビキが陰茎を抜き取る。  
急に下半身への刺激が無くなった事を不審に思ったティエンがヒビキに尋ねようとしたが、  
次の瞬間。  
ティエンの身体はヒビキによって四つん這いにさせられていた。  
ティエンがその事に気付いた時には、一旦抜かれた陰茎は再び膣の中に収まっていた。  
 
 
「い、いやぁっ!こ、こんなはしたない格好でなんて……。これでするのですか?これでは犬  
猫みたいですの……」  
「ほら、動かすよ」  
 
ヒビキはティエンの腰を両手で掴んで激しくピストン運動を繰り返し、何度も膣奥を亀頭で刺  
激する。奥に当たる度に膣全体がきゅっと締まり、ティエンが先ほどよりの快感を得ている事  
が分かる。両手は先刻まで着ていた浴衣をぎゅっと掴んでいる。  
当然ながらその反応は火に油を注ぐようにヒビキの興奮を増長させた。  
 
「あっ!ああんっ、あぁぁんっんっ!」  
「何だかいつもより声が大きいよ、ティエン」  
「だ、だって、はぁんっ、こ、この格好だと……ひうっ、あ、……いっ!」  
「え、何?この格好だと何だって?」  
「す、すごい奥に当たってしま……あんんっ!……ますの……だ、だから……」  
「すごい感じちゃう?」  
 
もはやティエンは言葉を紡ぐのも困難なほど快感を得ているためヒビキの問いに対して頷く事  
しかできなかった。そしてそれで十分だった。  
後背位でいつも以上の快感を得たティエンをヒビキは容赦なく攻める。  
腰を打ち付ける度にヒビキの下腹部がティエンの臀部に当たり、ぱんっぱんっ、という渇いた  
音が木霊する。  
ヒビキは陰茎をギリギリまで引き抜き膣から抜けると思った直後、一気にまた奥まで深く突く。  
この格好だとよく締まる膣壁が陰茎に引っ張られてめくれる様子が観察できる。結合部のわず  
か数センチ上にある菊門がひくひくしていて卑猥な生き物を連想させた。  
今となってはシーツ代わりとなってしまったティエンの浴衣が互いの汗やら体液やらいろんな  
もので汚されている。  
 
 
 
 
振り返るティエン。  
「ま、待ってください、ヒビキ様」  
「どうしたの?イキそう?」  
「わ、私、こんな……こんな格好では終わりたくありません。最後の時はヒビキ様の顔を見な  
がら、抱き合いながら……果てたいんですの」  
「……」  
「だ、ダメでしょうか?」  
 
感じすぎて涙目になったティエンの顔を見ると、そのまま最後まで到達してしまいたいという  
欲望の衝動が現れたがヒビキは残った理性をフル動員させてその衝動を抑えることに成功した。  
 
ヒビキは陰茎を膣から引き抜く。  
そしてティエンを仰向けに寝かせて両足を開く。  
ヒビキはティエンに覆い被さり再び挿入する。  
 
「ヒビキ様……手を、私の手をしっかり握ってくださいませ」  
 
差し出された両手をしっかり握り、指を絡ませて二人は絶頂へと昇りつめる。  
もはや二人の行き先は同じだった。  
流れ落ちる汗も気にせず一心不乱に快楽を貪る。  
 
「ヒ、ヒビキ、さま……ぁっ。あぁ私、もうダメですの、ダメですのっ!!」  
「くっ、ティエン僕もイ、イキそう……だよ」  
「い、一緒に、一緒に……」  
「イ、イクよ、ティ……エンっ!!」  
「ヒビキさまあああああああぁぁぁっっっ!!!」  
 
痙攣する膣と陰茎。  
刹那、ヒビキはティエンの膣奥に白い欲望を数回に分けて射出した。  
ティエンは薄れかかった白い意識の中で確実にそれを身体の奥に感じた。  
それは二人が愛し合った証。  
 
───熱い  
 
ティエンはその熱の中に快感と嬉しさを感じていた。  
女しか感じることのできない、体内に射出された熱。  
のしかかるヒビキの体重が心地良い。  
 
二人の息は荒く言葉すらまともに紡げないほどだった。  
精液を吐き出したヒビキの陰茎が膣から抜けるとそこからは大量の愛液と精液の混合物がとろ  
りと溢れ出た。やがて液体はシーツに落ちてシミを作っていた。  
 
 
 
二人の息がようやく整った頃、ヒビキとティエンは抱き合って接吻を交わしていた。  
激しい運動をしたため、口が渇き唾液の粘性が高くなっていた。だがそんな事はお互い全く気  
にしていない。いや、気付いてもいないのかもしれない。  
やがて先に言葉を発したのはティエンだ。  
 
「私、ヒビキ様だったら何度でも構いませんの。でも───」  
 
───四つん這いの格好もまんざらではありませんの  
 
直後、陰茎は再び力を取り戻す。硬さが戻ってきていた。  
 

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