放課後のHR、遥のクラスでは文化祭の出し物を決めていた。  
しばらくして演劇をすることが決まり、演目は「シンデレラ」、  
お姫様役には満場一致で「神無月葵」が選ばれた。  
 
 
 
委員長「えー、次は王子様役ですが(ry」  
 
遥「葵ちゃんのシンデレラ楽しみだよ〜。きっとお客さんいっぱいだね」  
テスラ「そうですねぇ。劇中には王子様とシンデレラの熱いキスもあるみたいですし(ニヤニヤ」  
遥「え゛っ……テスラちゃん今なんて?」  
テスラ「ですからぁ、神無月さんはこのクラスの誰かと人前でキスをすることになってるんですよぉ」  
遥「だ、だめだめ!そんなのぜーったいにダメ!」  
テスラ「だったら水無月さんが立候補すればいいじゃないですか。ああ、でもそれだと――」  
 
委員長「誰か立候補される(ry」  
 
遥「はいっ!わたしっ!わたしが葵ちゃんの王子さまやりますっ!」  
葵「は、遥さん?」  
遥「大丈夫っ!まかせて、葵ちゃんはわたしが守るから」  
葵「……そうですね。私も遥さんがいいです///」  
 
委員長「では他に立候補もないことですし(ry」  
 
遥「テスラちゃん、教えてくれてありがとー。危うく葵ちゃんのファーストキスが奪われちゃうところだったよぉ」  
テスラ「別に感謝される覚えはありませんけどー。  
    でもいいんですか? これだとお二人がキスすることになるんですよ?」  
遥「……ほぇ?」  
テスラ「いや、あなたアホの子でしょ」  
遥「えっ!? うそ……ええええええっ!!」  
 
 
 
こうして波瀾万丈の文化祭が火蓋を切ったのであった。  
 
 
 
葵「えーっ、知らずに立候補しちゃったんですか?」  
遥「う、うん。だって葵ちゃんがピンチって思ったらいてもたってもいられなくて」  
葵「そうだったんですか。私はてっきり……(ゴニョゴニョ」  
遥「ホントにごめんね? 今から脚本の人にキスシーンはなしでってお願いしてくるから」  
葵「わ、わぁーーーーっ!!」  
遥「葵ちゃん?」  
葵「ゴホン。いいですか遥さん? この劇にとってキスシーンは必要不可欠なんです。  
  キスシーンのないシンデレラなんて縞柄のないパンツみたいなものです」  
遥「よ、よくわかんないけど」  
葵「とにかく! このままでいいんです。みんな幸せになれます」  
遥「葵ちゃん目がこわい……」  
葵「さぁ、そうと決まればさっそく練習しましょう。もう文化祭まであまり日もないですし」  
遥「うん……わかった」  
 
 
 
それから、放課後は毎日のように練習が行なわれていた。  
 
西条「学園の人気者、しかも女の子同士のキスシーンなんて話題性抜群だわぁ。  
    これは思いっきり入場料ふんだくれそうね」  
ナイン「チケット……完売した」  
西条「ふふっ、順調ね。まだ確保してあるから当日今の倍額でさばきなさい」  
ナイン「……ラジャー」  
 
っとそんなこんなで前夜祭。  
ほぼリハーサルは終了しているものの、肝心のキスシーンはまだ手つかずだった。  
王子役の遥が逃げ回っているのが主な原因である。  
そして不安を抱えたまま、ついに本番当日を迎える。  
 
 
本番15分前――。  
 
主役の二人が突然いなくなり、慌てるクラスメート達で舞台裏は騒然としていた。  
 
くるみ「あのバカ、いったいどこ行ったのよ! せっかく葵お姉さまとキスできるっていうのに、ビクビク逃げ回って……」  
テスラ「いざとなったらあなたが水無月さんの代わりをしたらどうですか?  
    知ってますよぉ。王子役の台詞全部覚えてるってこと(ニヤニヤ」  
くるみ「なっ、そ、それは葵お姉さまの練習に付き合っていたからよ! それに……そんなこと葵お姉さまが望まない」  
テスラ「でしょうねー。水無月さんとキスが出来るって、あんなにはしゃいでいましたもの(クスクス」  
くるみ「わかってるんならあんたもさっさと探しなさいよ! ホント使えないんだから」  
 
 
 
ところ変わって屋上。  
 
逃げ回る遥をシンデレラ姿の葵がようやく追い詰めていた。  
 
葵「ぜぇ……ぜぇ……」  
遥「あ、葵ちゃん大丈夫?」  
葵「ぜ、全然大丈夫じゃ、ありません。遥さんの、せいですよ。待ってって言っても、ハァ、聞いてくれないから」  
遥「ごめん……でもやっぱり無理だよっ!葵ちゃんとキスなんてできないよ」  
葵「そんなに嫌ですか? 私とのキス」  
遥「そ、そうじゃないけど……恥ずかしいっていうか、その」  
葵「私は嬉しかったです。遥さんが立候補してくれたとき、相手が遥さんならって」  
遥「……葵ちゃん、わたしのこと好きでしょ」  
葵「はい。大好きです、っていうか愛してます。もうずっと昔から、遥さんは私の王子様なんですよ」  
遥「も、もぅ/// しょうがないなぁ、葵ちゃんは」  
葵「さぁ行きましょう、遥さん!」  
 
そういって手を引く葵。しかし遥はその場に立ちつくしたまま動かない。  
 
遥「待って。今ここでして? 初めてがみんなの前でなんて、イヤ……」  
葵「遥さん……わかりました。目を閉じてください」  
遥「こ、こう?」  
葵「では……んちゅっ」  
遥「///」  
 
 
その後体育館に戻った二人は顔が真っ赤で、ひとしきりクラスメートに冷やかされた後舞台に上がった。  
初々しい演技はもちろん高評価、キスシーンでは卒倒する学生も出る盛況ぶり。  
興行収入的にも文化祭記録を作り、この「シンデレラ」はのちのチェリーヌに伝説として語り継がれるのであった。  
 

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